第1章 総括:2003年の国際情勢と日本外交
第4節 経済連携協定(EPA)/自由貿易協定(FTA)の推進

 
(注1)自由貿易協定(Free Trade Agreement、FTA)とは、一般に、特定の国・地域の間で、関税等を撤廃し、物品・サービスの貿易の自由化を図ることを目的とした協定であり、WTO協定、最恵国待遇の例外として認められる。また、経済連携協定(Economic Partnership Agreement、EPA)とは、一般に、特定の国・地域の間で、貿易の自由化という自由貿易協定の内容を基礎としつつ、投資、人の移動の促進や、政府調達、競争政策、知的財産権等におけるルール作り、さらには様々な分野での協力等を通じて、各種経済制度の調和等を図るなど、より幅広い対象分野について経済関係の強化を図ることを目的とした協定のことをいう。

 
(注2)NAFTA(1994年発効)及びEU・メキシコFTA(2000年発効)を通じて関税撤廃が進められている米国やEU諸国の企業と比べて平均16%の関税を支払う日本企業は競争上の不利益を被り、メキシコの総輸入額に占める日本からの輸入額のシェアはNAFTAが発効した1994年の6.1%から2000年の3.7%へ急減している。NAFTA締結時のシェアが維持されていた場合に比して、日本企業の輸出が年間約4,000億円分逸失しているとの推計もある。また、政府調達の面でも、メキシコの政府調達においてメキシコ及びメキシコとEPA/FTAを締結した国の企業しか入札できない案件が存在するなど、FTAの不在が日本企業に具体的な不利益を生じさせている。

 
(注3)日韓間では幅広い経済連携を目指すという点で認識が一致しているが、便宜上、FTAという呼称が用いられている。


第2章 地域別に見た外交
第1節 アジア・大洋州
 
(注1)(注2)ともに2002年世界銀行統計資料、世界銀行「World Development Indicators」、アジア開発銀行統計:2002年

 
(注3)1998年の江沢民(こうたくみん)国家主席訪日の際、日中共同声明、日中平和友好条約に示された諸原則を再確認するとともに、21世紀に向けた日中間の協力関係の強化を盛り込んだ「平和と発展のための友好協力パートナーシップの構築に向けた日中共同宣言」が発出された。同「宣言」と同時に発出された「共同プレス発表」では、首脳レベルの対話、地域問題(朝鮮半島情勢等)、環境保護協力等33項目に及ぶ具体的な協力事項を明記している。

 
(注4)第4回日中漁業共同委員会(2月)、日中科学技術合同委員会(2月)、日中軍縮不拡散協議(8月)、第2回日中経済パートナーシップ協議(10月)、日中外交当局間協議(12月)、海洋法の問題に関する日中協議(12月)、第5回日中漁業共同委員会(12月)、日中安保対話(2004年2月)、日中領事当局間協議(2004年2月)

 
(注5)貿易、投資とも財務省統計。

 
(注6)アジア諸国・地域の政・財・学会関係者に対話の場を提供し、アジア地域内及びアジアと他地域との貿易・投資の機会を増やすことを目的とするフォーラム。中国海南島ボアオにて開催(第1回2002年4月、第2回2003年11月)。

 
(注7)第1回ボアオ・アジア・フォーラムの際に行われた小泉総理大臣と朱鎔基総理(当時)との会談で設立につき合意。貿易・投資を中心とする日中経済関係のあり方につき、総合的な見地から議論を行い、両国間の経済分野における問題点を早期に発見し紛争を未然に防止することを図るとともに、両国経済の相互補完関係を一層強化していくことを目的としている。日中双方の関係省庁が出席。

 
(注8)日中友好21世紀委員会は、1984年中曽根総理大臣と胡耀邦(こようほう)総書記との合意に基づき発足し、これまで15回の全体会合を開催してきた。2001年に旧委員の任期が終了したことを受け、今般、新たな委員の下で新日中友好21世紀委員会として発足。

 
(注9)江沢民党総書記が2000年2月に発表したもので、「中国共産党は中国の生産的な社会生産力の発展の要求、中国の先進的文化の前進の方向、中国の最も広範な人民の根本的利益を代表すべき」とするもの。

 
(注10)CEPA:Closer Economic Partnership Arrangementの略。モノの貿易(ゼロ関税の実施)、サービス貿易(金融等18分野の市場参入規制を緩和)、貿易・投資の円滑化(通関の簡素化等)を内容としており、中国政府の香港経済に対する積極的支援を示すもの。なお、10月、中国本土とマカオの間でもCEPAの署名が行われた。

 
(注11)2002年12月、東京にて日本は米国、EU、世銀とともに共同議長として「アチェにおける和平・復興に関する準備会合」を開催した(同会合には24の国・国際機関等が参加)。また、停戦監視モニタリング経費(120万ドル)の拠出や現地NGO等を通じて草の根無償資金協力を実施した。

 
(注12)憲法の基本原則を審議するため、1993年1月以降、国会議員代表、少数民族代表等8グループの代表から構成され開催されていた。一方、NLDは1995年11月、国民会議が民主的プロセスで行われていないとしてボイコットを発表し、これに対し政府側はNLD代表を国民会議から除名。その後、NLDを欠いたままで審議が続けられていたが、1996年3月以降、現在まで休会の状態が続いている。

 
(注13)アジア10か国=日中韓、ASEANのうちブルネイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム。欧州15か国=欧州連合(EU)に加盟している15か国。

 
(注14)アジア側調整国は、日本及びベトナム。欧州側調整国はEU議長国及び欧州委員会。


第2節 北米

 
(注)○次官級経済対話(二国間、地域的、グローバルな問題についての戦略的な経済対話):4月に第3回会合をワシントンで開催。日米両国経済の動向と今後の見通し、地域的及びグローバルな課題(アジア経済、交通保安と物流の効率化、WTO、イラク問題等)につき議論。
○官民会議(民間部門からの建設的な意見等(インプット)を得る会議):4月に第2回会合をワシントンで開催。「21世紀の経済的な課題への取組に成功する」というテーマで両国経済、企業統治、人口動態(少子高齢化等)の経済的影響やWTO等について議論(10月には同会議のフォローアップ会合を開催)。
○規制改革及び競争政策イニシアティブ:〔1〕電気通信、〔2〕情報技術(IT)、〔3〕エネルギー、〔4〕医療機器・医薬品の各分野と〔5〕分野横断的な規制に関する日米双方の要望について、各作業部会及び次官級の上級会合を開催。その成果は両首脳への報告書にまとめられ、5月の日米首脳会談の機会に公表。10月には、3年目の対話に関する要望書の交換が行われ、以後、各作業部会を順次開催。
○貿易フォーラム:7月にワシントンにおいて第2回会合を開催。農業関連や公共工事の問題等について議論。


第4節 欧州
 
(注1)1998年のサン・マロ宣言(1998年12月、英国のブレア首相及びフランスのシラク大統領が、サン・マロ(仏)で行われた英仏首脳会談において、NATOの集団防衛義務は保持しつつも欧州のみでも独自に軍事行動がとれる能力・機構をEUが保持すべきとした宣言)以降、EUの軍事能力向上が課題となっていた。
 2003年4月に独・仏・ベルギー・ルクセンブルクが参加した欧州防衛に関する4か国首脳会合において、NATOの装備・能力に頼らないEUとしての作戦立案・実施能力の強化が必要であるとして、NATOから独立した軍事司令部のテルビューレン(ブリュッセル郊外)への設置が提案された。これに対し、米英はNATO司令部との重複につながり、受け入れられないとの立場を取ったが、同年12月のブリュッセル欧州理では、〔1〕NATOの欧州連合軍最高司令部(SHAPE)内にEU独自のオペレーションを行うための連絡室を設置、〔2〕EU幕僚部にNATOの連絡要員を配置、〔3〕EU幕僚部に軍事・文民セルを設置することで一応の合意をみた。

 
(注2)締約国は、ヨーロッパまたは北アメリカにおける一または二以上の締約国に対する武力攻撃を全締約国に対する攻撃と見なすことに同意する。したがって、締約国は、そのような武力攻撃が行われたときは、各締約国が、国際連合第五十一条の規定によって認められている個別的または集団的自衛権を行使して、北大西洋地域の安全を回復し及び維持するために必要と認められる行動(兵力の使用含む)を個別的に及び他の締約国と共同して直ちに執ることにより、その攻撃を受けた締約国を援助することに同意する。
 前記の武力攻撃及びその結果として執ったすべての措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。その措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全を回復し及び維持するために必要な措置を執ったときは、終止しなければならない。


第5節 ロシア、中央アジアとコーカサス
 
(注1)中央アジア諸国は、カザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタン、キルギス、タジキスタンの5か国、コーカサス諸国は、グルジア、アゼルバイジャン、アルメニアの3か国を指す。

 
(注2)ソ連のサンフランシスコ平和条約の署名拒否を受け、1955年6月から1956年10月にかけて、日ソ間で個別の平和条約を結ぶために交渉を行ったが、色丹、歯舞諸島を除いては、領土問題につき意見が一致する見通しが立たなかった。そのため、10月19日、日ソ両国は、戦争状態の終了、外交関係の回復等を定めた日ソ共同宣言に署名した(両国の議会で批准された条約)。同条約第9条において、歯舞・色丹の二島が平和条約締結後に日本に引き渡されること、及び日ソ両国が引き続き平和条約締結交渉を継続することが規定されている。

 
(注3)1993年の東京宣言のポイント
〔1〕領土問題を、北方四島の島名を列挙して、その帰属に関する問題であると位置付けたこと。
〔2〕四島の帰属の問題を解決して平和条約を締結し、両国関係を完全正常化するとの手順を明確化したこと。
〔3〕領土問題を、(i)歴史的・法的事実に立脚し、(ii)両国の間で合意の上作成された諸文書、及び(iii)法と正義の原則を基礎として解決する、との明確な交渉指針が示されたこと。
〔4〕ロシアがソ連と国家としての継続性を有する同一の国家であり、日本とソ連との間のすべての条約その他の国際約束は日本とロシアとの間で引き続き適用されることを確認したこと。
〔5〕「全体主義の遺産」「過去の遺産」の克服という考え方がうたわれたこと。

 
(注4)1956年の日ソ共同宣言が両国間の外交関係の回復後の平和条約締結問題に関する交渉プロセスの出発点を設定した基本的な法的文書であることを確認し、その上で1993年の東京宣言に基づき、四島の帰属の問題を解決することにより平和条約を締結し、もって日露関係を完全に正常化するため、今後の交渉を促進することで合意した。

 
(注5)F/S(フィージビリティ・スタディ)とは、個々のプロジェクトが技術的、経済的、社会的に、さらには環境等の側面から見て実行可能であるかを検証し、最適な事業計画を策定するもの。

 
(注6)1992年に署名、現在加盟国は6か国(ロシア、ベラルーシ、アルメニア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン)。


第6節 中東と北アフリカ
 
(注)2005年6月までにイスラエル、パレスチナの二つの国家を樹立することと、それに向けたイスラエル側、パレスチナ側のとるべき措置について定めたもの。


第7節 アフリカ
 
(注)第3回アフリカ開発会議(TICADIII)の開催決定を受け、2002年3月に川口外務大臣はTICADIIIまでの1年余りを「対アフリカ協力躍進の年」と位置付け、アフリカ問題への具体的な取組を強化していくことを表明した。


第3章 分野別に見た外交
第1節 国際社会の平和と安定に向けた取組

 
(注1)日米の提案によりG8エビアン・サミットで採択された文書。テロの脅威は依然深刻であり、テロリストに安住の地を与えないために、G8間のテロ対策協力の他国への拡大や、テロ対処能力が不十分な国への支援が不可欠とする。他国への働きかけや、テロ対処能力向上支援のためのG8共通戦略の必要性をうたう。テロと闘うための国際的な政治的意思及び能力の向上のための具体的な行動計画を含む。

 
(注2)(注1)の行動計画により創設が決定され、その主たる目的は、キャパシティ・ビルディング支援に関する要請の分析や需要の優先付け、及び右のための被援助国におけるCTAGメンバーによる調整会合の開催。2004年サミットまでに支援の拡大を追求。2003年は、7月及び10月の計2回の会合を開催。

 
(注3)同行動計画において、公衆交通に対するテロの脅威を削減するための努力を強化することを決意。2002年6月のカナナスキス・サミットで採択された「交通保安に関するG8協調行動」における合意事項を継続して実施することとし、努力対象分野として携行可能な地対空ミサイル(MANPADS)、航空、人員、コンテナの安全、及び海上交通の5分野を定め、それぞれ具体的な措置を規定。

 
(注4)テロ防止関連条約は、航空機内で行われた犯罪その他ある種の行為に関する条約(航空機内の犯罪防止条約(東京条約)、航空機の不法な奪取の防止に関する条約(航空機不法奪取防止条約(ヘーグ条約))、民間航空の安全に対する不法な行為の防止に関する条約(民間航空不法行為防止条約(モントリオール条約))、国際的に保護される者(外交官を含む。)に対する犯罪の防止及び処罰に関する条約(国家代表等犯罪防止処罰条約)、人質をとる行為に関する国際条約(人質行為防止条約)、核物質の防護に関する条約(核物質防護条約)、1971年9月23日にモントリオールで作成された民間航空の安全に対する不法な行為の防止に関する条約を補足する国際民間航空に使用される空港における不法な暴力行為の防止に関する議定書(空港不法行為防止議定書)、海洋航行の安全に対する不法な行為の防止に関する条約(海洋航行不法行為防止条約)、大陸棚に所在する固定プラットフォームの安全に対する不法な行為の防止に関する議定書(大陸棚プラットフォーム不法行為防止議定書)、可塑性爆薬の探知のための識別措置に関する条約(プラスチック爆薬探知条約)、テロリストによる爆弾使用の防止に関する国際条約(爆弾テロ防止条約)、及びテロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約(テロ資金供与防止条約)の12本。日本は、2001年10月30日にテロ資金供与防止条約に署名し、通常国会で国会の承認を得た上で、2002年6月11日に受託書を寄託した。これにより、日本は12本すべてのテロ防止関連条約を締結したことになる。

 
(注5)1989年のアルシュ・サミットにおいて、国際的な資金洗浄(マネーロンダリング)対策の推進を目的に招集された国際的な枠組みで、日本の他、経済協力開発機構(OECD)加盟国を中心に31か国・地域及び2国際機関が参加。

 
(注6)テロ対策タスク・フォース(Counter Terrorism Task Force:CTTF)は、(1)APEC内で実施されているテロ対策関係作業についての情報共有、(2)テロ対策に係る首脳声明内容の実施状況の確認、(3)APECの関連会合、作業部会にテロ対処能力向上活動の実施を指示することを主な目的として2003年に設置。

 
(注7)2003年9月に中国のイニシアティブにより「ASEMテロ対策セミナー」(ASEM Seminar on Anti-terrorism)が開催され(日本、ドイツ、スペイン、デンマークが共同提案国)、アジア及び欧州におけるテロとの闘いの現状分析、テロとの闘いの経験及び実践に関する意見交換、ASEMのテロ対策協力強化に向けた具体的措置の検討を行った。

 
(注8)テロは国境を越える犯罪と密接な関係を持つ一方、包括的なアプローチと国際協調が必要であり、テロ防止のためには、国境の管理と、テロリストとその物資・資金が国境を越えることを阻止することが必要との基本的認識の下、人の移動、物の移動、文書の安全、及びその他の一般的措置について規定。また、すべてのテロ関連条約の締結と関連安保理決議の履行を要求する他、一般的なテロ対策努力として、情報交換の緊密化、国内法制度の整備、国際協力等を勧奨。

 
(注9)紛争等にかかわっていた兵士のDisarmament(武装解除)、Demobilization(動員解除)、Reintegration(社会復帰)の頭文字をとったもの。

 
(注10)1992年6月、国際平和の実現のため、より積極的な役割を果たしていくことを目的に、「国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(通称:国際平和協力(PKO)法)」を制定し、国連を中心とした国際平和のための努力に対して、本格的に参加できる体制を作った。国際平和協力法は、日本の国際平和協力として、「国連PKO」、「人道的な国際救援活動」、「国際的な選挙監視活動」への協力を3本柱として規定している。

 
(注11)NPT第8条第3項の規定により、5年に1回、NPTの運用状況について検討する締約国会議。1995年の運用検討・延長会議では、NPTの無期限延長が決定され、2000年の運用検討会議では、核兵器国による全面的核廃絶に関わる「明確な約束」をはじめ、核軍縮に向けた現実的措置を含む「最終文書」が採択された。

 
(注12)世界337か所に設置される4種類の監視観測所(地震学的監視観測所、放射性核種監視観測所、水中音波監視観測所及び微気圧振動監視観測所)により、CTBTにより禁止されている核兵器の実験的爆発または他の核爆発が実施されたか否かを監視する制度。

 
(注13)ジュネーブ軍縮会議においては、8月18日~12月31日まで日本の猪口軍縮代表部大使が議長を務めた。

 
(注14)現在ロシア極東地域には、多数の退役原子力潜水艦が処理されないまま係留されており、船体の腐食等により放射能汚染を起こす危険を呈している。また、1990年代初頭には、ソ連が原潜解体に伴って発生する低レベル液体放射性廃棄物を日本海に投棄していることが公表され大きな問題となり、2001年、日本の協力で低レベル液体放射性産業廃棄物処理施設「すずらん」が供与された。

 
(注15)IAEA保障措置:IAEAが各国と個別に締結した保障措置協定に基づき、核物質等が軍事目的に利用されていないことを確保することを目的として、「査察」を中心とした検認活動を行うもの。核兵器不拡散条約(NPT)締約国たる非核兵器国は、同条約第3条に基づき、IAEAとの間で保障措置協定を締結することが義務付けられている。

 
(注16)追加議定書:IAEAとの保障措置協定に追加してIAEAとの間で締結する議定書。追加議定書の締結により、IAEAに申告すべき原子力活動情報の範囲や「補完的アクセス」による検証対象場所を拡大する等、IAEAの権限が強化される。2003年12月末現在、79か国が署名し、38か国で発効している。

 
(注17)統合保障措置:従来型の保障措置と追加議定書に基づく保障措置と合理的かつ有機的な統合を図る概念。具体的には追加議定書の実施を通じ「未申告の原子力活動及び核物質の不存在」の結論がIAEAにより得られた国を対象に、従来型の保障措置に基づく通常査察を合理化する等により保障措置を効率化するもの。

 
(注18)1997年4月発効。2004年3月現在の締約国数は161か国。2004年1月にはリビアが加入した。

 
(注19)CWCの発効に伴いオランダのハーグに設置された国際機関。締約国によるCWC遵守を検証するために査察団を派遣するなどの活動を行っている。

 
(注20)CWC上、締約国は原則としてCWC発効後10年以内(2007年4月まで)に国内の化学兵器の廃棄を完了することを求められている。期限は最大5年間(2012年4月まで)延長可能である。

 
(注21)1975年3月発効。2004年3月現在の締約国数は151か国。生物兵器の開発、生産、貯蔵、取得及び保有を包括的に禁止するとともに、保有する生物兵器の廃棄義務を規定する。

 
(注22)5年に1回、生物兵器禁止条約の運用状況を検討するために開催される締約国会議。

 
(注23)BWC締約国は、2003年から次回運用会議が開催される2006年まで専門家会合及び締約国会合を毎年開催して条約強化のための以下の5分野を順次協議し、締約国間の共通理解と実効的措置を促進していくこととなった。
〔1〕条約の禁止事項を実施するための国内措置の強化
〔2〕病原体・毒素の安全管理・管理体制を確立・維持するための国内措置(バイオセキュリティ)
〔3〕生物兵器の使用の疑惑及び疑義のある疾病の発生に対処し、調査・被害の緩和を行うための国際的対応能力の強化(危機対処)
〔4〕感染症の監視・探知・診断に対処するための国内・国際的努力の強化(疾病サーベイランス)
〔5〕科学者の行動規範

 
(注24)NSG(Nuclear Suppliers Group:原子力供給国グループ)とは、核兵器開発に使用され得る資機材・技術の輸出管理を通じて核兵器の拡散を阻止することを目的とする輸出管理レジーム。現在40か国が参加。原子力関連品目(専用品)技術の規制指針であるロンドン・ガイドライン・パート1と、原子力汎用品・技術の規制指針であるロンドン・ガイドライン・パート2が存在する。

 
(注25)AG(Australia Group:オーストラリア・グループ)とは、化学・生物兵器の開発・製造に使用し得る関連汎用品及び技術の輸出管理を通じて、化学・生物兵器の拡散を防止することを目的とする輸出管理レジーム。33か国で構成される。

 
(注26)MTCR(Missile Technology Control Regime:ミサイル技術管理レジーム)とは、大量破壊兵器の運搬手段となるミサイル及びその開発に寄与し得る関連汎用品・技術の輸出を規制することを目的とする、国際的な輸出管理の枠組み。

 
(注27)WA(Wassenaar Arrangement:ワッセナー・アレンジメント)とは、ココム(旧共産圏を規制対象地域とした輸出管理体制)が発展解消し、その後継として設立された、(1)通常兵器及び機微な関連汎用品・技術の過度な蓄積を防止することにより、地域及び国際社会の安全と安定に寄与し、(2)グローバルなテロとの闘いの一環として、テロリストグループ等による通常兵器及び機微な関連汎用品・技術の取得を防止することを目的とする国際的輸出管理レジーム。2003年12月現在33か国が参加。

 
(注28)HCOC(Hague Code of Conduct against Ballistic Missile Proliferation:弾道ミサイルの拡散に立ち向かうためのハーグ行動規範)とは、弾道ミサイル不拡散のための初めての国際的ルールであり、弾道ミサイルの拡散を防止・抑制する上で尊重されるべき原則とそのために必要な措置を示す政治的文書(法的拘束力を伴う国際約束ではない。)。主な内容は、〔1〕大量破壊兵器を運搬可能な弾道ミサイルの拡散防止・抑制、〔2〕開発・実験・配備の抑制、〔3〕大量破壊兵器開発懸念国の弾道ミサイル計画について貢献・支持・支援しないこと、〔4〕信頼醸成措置の実施、などである。2004年2月現在112か国が参加。

 
(注29)大量破壊兵器等関連物資の拡散を阻止するために、参加国が共同してとり得る措置を検討しようとの提案。2004年3月現在、日本を含む14か国(米国、日本、英国、イタリア、オランダ、オーストラリア、フランス、ドイツ、スペイン、ポーランド、ポルトガル、シンガポール、ノルウェー、カナダ)が参加。

 
(注30)2003年9月に開催されたPSI第3回総会(於:パリ)において、各参加国が大量破壊兵器等の拡散懸念国家及び非国家主体への拡散を阻止するための努力を共同で行うことを含む、PSIの目的や阻止のための原則を述べた「阻止原則宣言」を採択。

 
(注31)対人地雷の使用、生産等を禁止し貯蔵地雷の廃棄、埋蔵地雷の除去を義務付ける条約で、1999年3月に発効した。2004年3月末現在の締約国数は、日本を含め141か国。

第2節 国際社会の繁栄の実現に向けた取組
 
(注1)関税及び貿易に関する一般協定。

 
(注2)1986年から行われたGATTウルグアイラウンドの結果、1995年にGATTはWTOに発展的に解消した。

 
(注3)2001年11月の第4回ドーハ閣僚会議において交渉開始を妥結し、2002年から行われている包括的貿易交渉のこと。2005年1月1日が一括受託での交渉期限とされた。

 
(注4)WTO交渉を促進するために東京(2月)シャルム・エル・シェイク(6月)、モントリオール(7月)で非公式閣僚会合が開催された。東京会合では川口外務大臣が議長を務めた。

 
(注5)自由化の程度や方式を事細かに定めるモダリティではなく、例えば、「全体の[ ]%の品目は平均[ ]%、最低[ ]%削減する。」といったように具体的な数字を定めない枠組みのこと。

 
(注6)ブラジル、インド、中国を中心とする開発途上国グループ。構成国には何度か入れ替えがあったが前述の主要国には変動はない。

 
(注7)01996年シンガポール閣僚会議において今後議論していくことが決定した貿易円滑化、政府調達透明性、投資、競争の4分野。

 
(注8)関税の引き下げ・撤廃や関税割当の拡大・新設の交渉。関税引き下げ方式については、UR方式(全品目平均引き下げ率と品目ごとの最低引き下げ率を設定し削減する方式)とスイス方式(数式により関税を一定水準以下に引き下げる方式)がある。

 
(注9)農業国内補助金等の削減・撤廃の交渉。開発途上国は、農産品を輸出している先進国の補助金の大幅削減を強く主張している。

 
(注10)輸出補助金や輸出信用など、輸出を奨励する補助金の削減・撤廃や制度の規律強化に関する交渉。開発途上国はすべての形態の輸出補助金の撤廃を強く主張。

 
(注11)原則としてすべての加盟国のすべての品目に対し適用される関税の引き下げ方式。一般的に数式の形がとられる。

 
(注12)ある特定品目分野に対してとられる関税引き下げ方式。特定分野の関税を無税にする関税撤廃や、一定の水準にそろえるハーモナイゼーションなどの方法がある。

 
(注13)TRIPS協定という表現は、協定の名称である“Agreement on Trade-Related Aspects of Intellectual Property Rights”(知的所有権の貿易関連の側面に関する協定)の頭文字に由来する。知的所有権の保護の最低の水準を定めることに加えて、権利行使の手続、紛争解決手続についても規定している。

 
(注14)バード修正条項とは、ダンピング防止税及び相殺関税により米国が得た税収を、ダンピング又は補助金訴訟を支持した国内業者に対して分配することを義務づける米国国内法(2000年10月成立)。

 
(注15)ウルグアイ・ラウンド交渉の結果、アンチ・ダンピング措置は、レビュー手続において継続性の必要性が認められない限り、原則5年間で失効(サンセット)することがアンチ・ダンピング協定に明記されたにもかかわらず、米国において徹底されていないという問題。

 
(注16)エジプト、アルジェリア、ナイジェリア、南アフリカ、セネガル、メキシコ、スイス、ブラジル、中国、サウジアラビア、マレーシア、インド計12か国の首脳、国際連合、世界銀行、国際通貨基金、世界貿易機関の4国際機関の長が出席(フランス政府発表順。なお、モロッコは、招待されたが出席せず。)。

 
(注17)出典:IMO「海賊行為等報告書2002年版」

 
(注18)これは、規制を遵守している正規船のリストを作成することにより、同リストに掲載されていないIUU漁船からの輸入を認めないとするもの。

第3節 人間の安全保障の推進に向けた地球規模の諸課題への取組
 
(注)国際的に重要な感染症発生に迅速に対応するため、既存の各国医療・研究機関等の人的、技術的な資源を国際的にプールし、WHOの調整の下に感染症の監視、緊急対応等について協力するグローバルな医療・研究機関間のネットワーク。今次、SARSの発生に際してもWHO主導で、このネットワークの下に緊急対策、病原体の特定、感染経路等を含めたSARSウイルスの実態解明、診断法の開発のための研究協力ネットワークが3月17日に立ち上げられ、13(当初11)の医療・研究機関の参加の下に情報交換、研究協力が進められている。

第5節 海外広報と文化交流
 
(*)琴や琵琶等の日本の古楽器奏者と、ミャンマーの竪琴やベトナムの一弦琴等各国の著名な民族楽器奏者との競演コンサート。

 
(注1)(参考)JETプログラムホームページ:http://www.mofa.go.jp/jet/(外務省)または http://www.jetprogramme.org/((財)自治体国際化協会)

 
(注2)(参考)日本留学に関する総合ホームページ「日本留学総合ガイド」


第4章 外交の広がり
第1節 外交主体の多様化

 
(注1)NGOの照会や要望などを外務省の窓口として一元的に受け付け、遅滞なく関係部局に伝えるため、NGO担当大使を長とするNGO連絡センターが設けられている。(外務省国内広報課内 NGO連絡センター 〒100-8919 東京都千代田区霞が関2-2-1 電話:(代表)03-3580-3311(内線4873)、(直通)03-5501-8046)また、「ODA改革・15の具体策」と「外務省行動計画」の中では、NGOとの連携強化の具体策として、〔1〕現行のNGO・外務省定期協議会の機能強化、〔2〕在外公館とNGOとの定期協議(「ODA大使館」)の実施、〔3〕NGOの能力形成やその活動を支援するための日本NGO支援無償資金協力及び草の根技術協力の導入が挙げられた。

 
(注2)日本のNGOによる迅速で効果的な緊急人道支援活動を目的として、経済界及び政府が協力して構築した枠組みで2000年8月に設立された。参加NGOは以下のとおり。アドラ・ジャパン、シャンティ国際ボランティア会、JEN、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、日本医療救援機構、日本国際民間協力会、日本赤十字社、日本紛争予防センター、日本レスキュー協会、難民を助ける会、BHNテレコム支援協議会、ピース・ウィンズ・ジャパン、ワールド・ビジョン・ジャパン、災害人道医療支援会、日本地雷処理を支援する会、人道目的の地雷除去支援の会。

 
(*)Junior Professional Officer制度。国際機関職員志望者を日本政府の経費負担で原則2年間国際機関に派遣し、職務経験を積むことにより正規職員への道を開くことを目的とした制度である。

 
(注3)一般に、政府間対話をトラック1、非政府間・民間レベルの対話、政府と民間が混在する対話をトラック2と呼んでいる。

第2節 国内世論と国内広報
 
(注)2003年作成のパンフレット:「日本とアフリカ」、「われらの北方領土」等。


第5章 海外の日本人・日本企業に対する支援
第1節 海外邦人安全対策・領事移住業務

 
(*)センサーにICをかざすだけでよく、密着させる必要がないことから、扱いやすいという利点がある。

 
(*)国政選挙のうち、比例代表選出議員選挙に限る。

第2節 日本企業に対する支援
 
(注)同窓口への相談内容は、税制、規制、裁判、入札、査証、治安、知的財産権などの分野で関係当局に是正を申し入れる等の事例が179件(27.67%)、事業の相手方とのトラブルを解決するための働きかけを行った事例が44件(6.8%)、日本企業の要望を関係当局に伝達するなど、関係当局による日本企業に対する協力を確保するための働きかけを行った事例が80件(12.36%)、現地での情報入手、人脈形成に協力した事例が294件(45.44%)、その他の事例が50件(7.73%)となっている。


第6章 外交を支える基盤
第1節 外務省改革

 
(注)これまでに実施した改革の具体的成果の例としては、外部から24名(2004年1月現在)を本省幹部及び大使等に起用するなど外部人材を積極的に起用したほか、人事における公募制や「下からの評価」の導入、若手職員をNGOに派遣して研修を実施したこと、在外公館において24時間電話対応サービスの拡充等領事サービスを拡充したこと、意識改革の観点から若手職員を領事窓口業務へ従事させるようにしたこと、国民と外務大臣が直接対話を行う外務省タウンミーティングを計4回(通算計8回)実施したこと、国民の声を幅広く聴くための体制の強化として「広聴室」を設置したこと、さらに、本省・在外公館の運営状況、経理状況等について、これまでに13の本省内組織に対する監察、114の在外公館に対する特別集中査察(いずれも2004年1月現在)を外部専門家の参加を得て行ったなどが挙げられる。

第2節 外交実施体制
 
(注1)国際情報統括官(局長級分掌官)の下4人の国際情報官(局長級分掌職を助ける課長級の職)を置く体制;現状は国際情報局長の下での3課体制。

 
(注2)-安定した日本周辺環境の構築
-国際社会全体の平和と繁栄の実現
-日米関係をはじめとする二国間、さらに、国連等のマルチの外交的枠組みの強化

 
(注3)-外交実施体制の強化(危機管理体制・在外公館警備・情報収集能力の強化、IT化の推進)
-国民のニーズに沿った外交実施体制(広報・広聴体制の再構築、領事サービスの改善・拡充)
-ODAの戦略性・透明性・効率性の向上
-国民参加のODA実施(人材の発掘・育成・活用、地域社会の活力の活用)
-NGOとの関係強化

 
(注4)構内情報通信網とも呼ばれるもので、オフィス内、ビル内など限られた範囲のコンピュータ同士を接続し、データをやりとりできるようにすることで、電子メールやファイル共有などの各種の機能を実現するシステム。

 
(注5)府省認証局及び手続の受付・結果通知等のオンライン化について汎用的に利用できるシステム。