前頁  次頁


第2章 > 第3節 > 1 開発課題と日本の政府開発援助(ODA)を取り巻く状況

第3節 開発途上国の開発問題と政府開発援助(ODA)


1 開発課題と日本の政府開発援助(ODA)を取り巻く状況


 今日、開発援助をめぐる内外の情勢は大きく変化しており、これに応じた日本の政府開発援助(ODA)のあり方が問われている。
 国際的な状況を見ると、グローバルな課題が山積している。例えば、環境、感染症等の問題は、開発途上国の人々の生命に直接的な影響を与えるばかりか、一国の経済・社会基盤をも脅かす深刻な問題であり、国際社会が一致して取り組むべき課題である。
 紛争予防、平和構築といった分野についてもODAが果たす役割に注目が集まっている。さらに、2001年9月の米国同時多発テロに端を発したアフガニスタンをめぐる諸問題への取組は、ODAが日本外交の手段として極めて有効であることを再認識させた(ODAを通じた米国同時多発テロへの対応については、第1章2(3)及び(4)を参照)。
 また、近年、開発途上国に流れるODAの総量が増えない中、国際社会においては、援助のあり方をめぐり、援助手続の共通・画一化、また、プロジェクト型援助からプログラム型援助へ、タイド型援助からアンタイド型援助へといった議論もなされてきている。こうした新しい潮流の中で、開発途上国の援助ニーズの多様化に応えつつ、日本としてのODAの競争力をいかに確保するかが課題となっている。
 一方、国内の状況を見ると、ODAに対する厳しい見方が国民の中に依然としてあり、現下の厳しい経済・財政状況を背景に、ODA予算は減少傾向にある。2002年度政府ODA予算についても、一般会計で前年度比約10%削減され、より重点的かつ効果的・効率的なODAを実施することがますます重要になっている。
 こうした状況の下、ODAの実施にあたり、日本は、アジアを中心とする世界との共生、地球規模の課題への対応を中心課題としてきた。以下、2001年における特に重点的な取組を中心に取り上げる。


 日本の開発途上国に対する資金の流れ

日本の開発途上国に対する資金の流れ



前頁  次頁