第1章 > 2 > (4) アフガニスタン復興支援
【アフガニスタン暫定政権の発足】
米軍等による軍事行動の進展とともに、アフガニスタンの和平・復興に向けた国際社会の取組も進んだ。
11月14日、安保理は、アフガニスタン和平に関する安保理決議1378を採択した。この決議の骨子は、
新たな暫定政権成立に向けた努力への強い支持、
国連の中心的役割の確認、
暫定政権への支援の提供、
タリバン支配下ではなくなった地域での安全及び治安の確保に向けた努力への支援の奨励の4点である。
さらに、11月27日から12月5日にかけて、ドイツのボンにおいてアフガニスタン各派代表者会合(ボン会合)が開催された。この会合には、国内外の四つの主要アフガニスタン人グループと国連の代表者が参加した。このほか、多くの主要関係国の外交団がオブザーバーとして開・閉会式及び署名式に出席し、会合の推移を会場の外から注視した。
会合自体は非公開で、全体会合のほか、アフガニスタン各派間、あるいは国連と各派代表団との間で個別の会談を行う形で進められた。ボン会合では、11月13日にブラヒミ国連事務総長特別代表が発表した構想に基づき、新政権樹立に向けた道筋や治安維持の方策につき議論が続けられた結果、各派が合意に達し、12月6日に合意文書への署名式が行われた。
ボン会合での決定を受けて、12月22日にはハミド・カルザイ氏を議長とする暫定行政機構の発足式典がカブールで開催され、暫定政権が対外的にアフガニスタンを代表することになった。今後、暫定政権設立後6か月以内に、緊急ロヤ・ジルガ(国民大会議)がザヒル・シャー元アフガニスタン国王により招集され、国家元首の選定等移行政権に関する事項につき決定される。さらに、移行政権設立後18か月以内に憲法制定ロヤ・ジルガが招集されることとなっている。
また、もう一つの重要な問題であるアフガニスタン国内での治安の維持について、12月20日、国連憲章第7章の下、安保理は、行動する国際治安支援部隊の設立を認める決議1386を採択した。この決議は、カブール及びカブール周辺地域の治安の維持においてアフガニスタン暫定政権を支援することを目的として掲げている。任期は6か月と規定され、英国主導で活動の調整が進められている。
【日本のアフガニスタン復興支援】
日本は、アフガニスタン国民各層の広範な支持を得た政府を樹立することが永続的な和平を実現する唯一の方策であると考えており、従来からアフガニスタン問題に積極的に取り組んできた。日本は、1996年以降、アフガニスタンの和平・復興に貢献するための国際会議を東京にて開催する用意があるとの考えを提唱してきており、2000年3月には、アフガニスタン各派を個別に招聘し、和平・復興に関する会談を行った。
日本は、米国同時多発テロ後も、このような努力を継続し、11月20日には、ワシントンDCにおいて、日本と米国との共同議長の下でアフガニスタン復興支援高級事務レベル会議が開催された。この会議では、国際社会のアフガニスタン復興支援への積極的な関与、人道支援と復興支援の継ぎ目のない連結の重要性、即効性のある支援の重要性、アフガニスタン人自身が人道・復興支援へ関与することの重要性等が確認された。
12月20日から21日にかけては、ブリュッセルにおいて、日本、米国、欧州連合(EU)、サウジアラビアが共同議長となり、アフガニスタン復興支援運営グループ会合が開催された。この会合では、アジア開発銀行(ADB)、国連開発計画(UNDP)、世界銀行によるアフガニスタン復興予備ニーズ・アセスメントの進捗状況が報告されるとともに、今後、国際社会がアフガニスタンの復興支援を行っていくにあたっての資金拠出の方法について議論が行われた。
また、12月23日には、日本はカブールへ経済協力調査団を派遣し、さらに2002年1月7日には、アフガニスタン復興支援国際会議開催に向けた準備の一環として、緒方貞子特別代表を団長とする調査団をアフガニスタン等に派遣した。
これらを踏まえ、2002年1月21日から22日にかけて、日本、米国、EU、サウジアラビアが共同議長となり、東京でアフガニスタン復興支援国際会議が開催された。この会議には61か国、21の国際機関が参加し、多くの参加者がアフガニスタン復興を支援するとの力強いメッセージを発出した。各参加国が表明した支援額の累積合計額は45億ドル以上に上った。日本は、難民帰還・再定住促進、地雷除去支援、メディア・インフラに対する支援(以上「和平プロセス・国民和解のための支援」)及び教育、保健・医療分野、女性の地位向上及び国造りへの参画支援(以上「人造り支援」)を重点分野として、正式政権が樹立されるまでの向こう2年6か月の間に5億ドルまでの支援(うち最初の1年で最大2億5000万ドルまでの支援)を行う用意があることを表明した。
日本は、今後とも、アフガニスタンの和平と復興の両面で、アフガニスタン支援に積極的かつ主体的に貢献していくことにしている。
今回のアフガニスタン復興支援国際会議においては、当初、外務省が日本のNGO2団体に対して会議への出席を拒否する旨を伝達したことから、NGOの会議への参加問題をめぐって混乱が生じ、今回の会議の大きな成果に水を差す結果となった。このことを、外務省として率直に反省しており、アフガニスタン復興支援におけるNGOの果たす大きな役割に鑑み、外務省は、今後、NGOとの対話、連携、協力に一層努めていく考えである。
アフガニスタンの和平・復興に向けた日本の支援
