日本政府による規制改革及びその他の措置
VII.透明性その他の政府慣行
A.パブリック・コメント
各府省は、1999年3月に閣議決定された「規制の設定又は改廃に関わる意見提出手続」に基づき、規制の設定又は改廃の際に一般から提出された意見・情報を考慮するよう努める。
各府省の意思決定過程の公平性・透明性をさらに向上させ、パブリック・コメント手続の有効性を高めるため、総務省は規制の設定又は改廃に関わる意見提出手続の実施状況を調査・公表する。総務省は、パブリック・コメント手続の各府省における実施状況調査等を通じて当手続が有効に活用されるよう努力する。
B.ノーアクションレター
- 2002年3月末までに、12省庁が、民間企業等の事業活動のうちIT・金融等新規産業や新商品・サービスの創出が活発に行われる分野について「行政機関による法令適用事前確認手続」、いわゆるノーアクションレター制度に関する細則を導入した。この制度の下では、企業はある実際の状況における法令の解釈・適用について、府省に対し照会することができる。府省は、原則として30日以内に書面で回答し、その回答を公表する。
- 本手続が適切に実施されるよう、総務省は「行政機関による法令適用事前確認手続」の実施状況を調査し、その結果を速やかにウェブサイト等で公表する。公表される調査結果には、各省庁における手続の導入及び実施状況、照会対象となる各省庁の法令、照会とそれに対する回答が含まれる。
C.情報へのアクセス
2001年12月5日に、「独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律」(平成13年法律第140号)が公布された。同法は、独立行政法人、特殊法人等の保有する情報の公開を請求する権利及びそれらの法人が自己の活動について国民に情報提供をする義務を規定している。同法は2002年10月1日に施行される。
D.行政指導
日本政府は、引き続き行政手続法を遵守し、許認可などの行政処分及び行政指導についてその透明性及び明確性を確保する。総務省は引き続き行政手続法及び行政指導に関する一般からの意見を参考にする。
E.政策評価制度
- 2002年4月1日、日本政府は、「行政機関が行う政策の評価に関する法律」を施行した。
- 法に基づく政策評価の実施のため、内閣は、2001年12月28日、同法の第5条に基づき「政策評価に関する基本方針」を閣議決定として採択した。この基本方針は、各行政機関の長が定める基本計画の指針となるべき事項を定めるとともに、政府の政策評価に関して基本とすべき方針を規定するものである。
- 各行政機関は、法律及び基本方針に基づき、中期的な基本計画及び毎年の実施計画を策定し、現在、政策評価に取り組んでいるところである。
F.特殊法人
政府は、2001年12月19日に「特殊法人等整理合理化計画」を閣議決定した。本計画を実現するために、日本政府は、
- 本計画に則り、透明性を確保しつつ、特殊法人の整理合理化を継続する。
- 本計画の実施状況を評価・監視するために、民間の有識者により構成される参与会議を設置する。
G.郵便金融機関
- 2003年における郵政事業庁から郵政公社への移行に関し、総務大臣は「郵政事業の公社化に関する研究会」を立ち上げた。この研究会は2001年12月20日に「中間報告」を取りまとめた。この過程において、研究会は、東京、仙台、熊本及び名古屋において、利害関係者が意見を表明するための公聴会を実施し、研究会の中間報告案へのパブリック・コメントを募集し、研究会の詳細な議事録を関連資料と併せ、インターネットを介して公表する等、透明性を確保してきた。
- 総務省は、上記「中間報告」を踏まえ、2002年4月26日に「日本郵政公社法案」、2002年5月7日に「日本郵政公社法施行法案」を策定し、今国会において法案審議が行われているところである。
- 日本郵政公社の設立に関連する規制について、総務省は、民間利害関係者に対し、要請に基づき、総務省職員と意見交換を行う機会を与える。
- 法案は、
- 日本郵政公社が設立された後でも、日本郵政公社が引き受け又は委託により販売する保険商品及び特約は、引き続き、法律の規定するところによること、
- その拡張又は変更は、法律で認められた商品及び特約の範囲内での限定的な変更を除き、国会の承認を要すること、
を規定している。
法案においては、元金無保証型商品について規定がないことから、日本郵政公社はこの商品の元売りを行うことはできない。
- 法案においては、簡保及び郵貯に対し、民間金融機関に対する検査や課税と類似の要件を課すことが予定されている。
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