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日本政府による規制改革及びその他の措置


III.エネルギー

A.独立規制機関

 日本政府は、引き続き経済産業省の電力市場整備課とガス市場整備課が、電力及びガス事業規制において効果的で、独立した、透明性のある規制権限を確保するよう措置する。このため、日本政府は、近年、電力市場整備課及びガス市場整備課の人員及び予算を増加したところである。

B.競争政策

 日本政府は、電力市場における競争を保護・促進するため、以下のような措置を講じ、また今後講ずることとする。

  1. 電力分野における競争を促進し、既存の電力会社やその他の事業者のどのような行為が独占禁止法あるいは電気事業法に触れることとなるのかを更に明確にするため、公正取引委員会と経済産業省は、1999年に策定した共同ガイドラインを必要に応じて見直すこととしている。

    1. この目的のため、2002年6月3日に、公正取引委員会と経済産業省は、常時バックアップ、精算金・違約金、需給調整契約や余剰電力購入契約の変更、部分供給の拒否や物品・役務取引の停止等、問題となる行為に焦点をあてた、このガイドラインの補足案をパブリックコメントに付すため公表した。
    2. 提出された全てのコメントを一覧・評価した上で、公正取引委員会と経済産業省は、2002年末までに、補足案に考察を加え、新しい最終的なガイドラインとして発効するものとする。


  2. 公正取引委員会は、電力分野につき、積極的に監視し、それが適切な場合には、潜在的な排他的行為について審査を行ってきた。

    1. 例えば、公正取引委員会は、中部電力と九州電力が、新規参入者が卸及び小売分野において成功的に競争することを困難にするような反競争的行為に携わったという訴えについて十分に審査を行った。これら訴えについての審査を終了するにあたり、公正取引委員会は、その結論についての説明と、「電力の部分供給等に係る独占禁止法上の考え方」を公表した。
    2. 公正取引委員会は、適正な行為及び適正でない行為の範囲を明確にするという目標に向かって、当該分野における事業者の行為の評価を引き続き公表する。


C.電力

 日本政府は、電力市場規制改革に際し、公正かつ効果的な競争を確保するため、以下のような措置を講じており、また今後も講じていく。

  1. 2001年に、日本の電力市場規制改革について公式に検討するため、産業界の代表、工学者、経済学者及び消費者代表から成る電気事業分科会が設置された。この分科会は、我が国経済活動及び国民生活の基盤となる電力の安定供給を効率的に達成しうる公正かつ実効性のあるシステムの構築にとって重要となる多くの論点を明らかにした。

  2. 同分科会では、電力供給の安定性と公平性を確保する、明確な電力規制改革政策の必要性について議論している。同分科会は次の原則と視点を明らかにした。

    1. 電力需要の拡大に対応しうる新規発電設備と送電設備の一体的な整備の確保。
    2. 電力需給をバランスさせるための、発電設備と送電設備の一体的な運用の確保。
    3. 電力供給者にとっての共用インフラとしての性格を持つ電力ネットワークが、透明で公平な競争を保証するよう確保。(公平性の確保については一定の成果が見られるものの、現行の電力系統ルールや情報遮断措置が、全ての事業者に対しての透明性を担保しうる制度となっているのかを検証する必要がある。)
    4. 経済産業省と公正取引委員会による現行の紛争処理システムが、送電部門の公平性の確保という観点から十分であるかどうかの検討。
    5. 現行の電力供給システムが、安定性、効率性、公平性、透明性の目的に合致するものであるかどうかの検討。


  3. 電力供給システムの効率性の向上という論点について、電気事業分科会では、以下の原則と目的を明らかにした。

    1. 経済性や供給信頼度の観点を踏まえ、全国大での電気の取引を容易にするための、送電容量の活用や、託送制度、供給区域間の連系線の整備についての検討。
    2. 送電ネットワークの形成・管理に係るコスト負担制度の公平性の検討。


  4. 供給力の安定性及び多様性の論点について、電気事業分科会では以下の原則及び視点について明らかにした。

    1. 供給力が全国規模で効率的に活用できるよう、広域的な電力流通や、それに資するような設備形成を推進する仕組みの要否についての検討。
    2. 制度見直しが、長期的安定供給のために重要な原子力発電等の電源の開発と両立できることを担保する仕組みの整備。
    3. 卸電力調達方法の多様化・円滑化・効率化を実現し、指標性を有する価格形成に資するような、広域的な電力取引市場の創設について検討する。取引市場検討にあたっては、技術的な側面からの更なる検討が必要であり、市場機能がゆがめられることのないよう、注意深い市場設計が必要。
    4. 需要家の選択肢の拡大、ネットワークを通じた電力供給との競争を通じた電力供給全体の効率向上、電力需要と熱需要とを効果的に組み合わせることによるエネルギー利用効率向上等に資する可能性のある分散型電源について、その実施の支障となっているものがないかどうか検討。加えて、分散型電源が環境に与える影響や、ネットワークの二重投資の回避、系統接続によるメリットや電力品質の維持の問題も踏まえるべきこと。


  5. 需要家の選択肢の拡大と全需要家への適切な供給の確保の論点から、電気事業分科会では、以下の原則と視点を明らかにした。

    1. 競争を通じて様々な事業者が多様なサービス・価格を提示し、それを消費者が選択できる小売市場環境の整備。
    2. 消費者の自己責任の在り方と交渉力の有無、日常生活における電気の必需性といった点を勘案して、ユニバーサルサービスの要請等を踏まえ、消費者を保護する仕組みについて検討。
    3. 小売自由化範囲を拡大する場合の、技術的・実務的な対策についての留意。
    4. 事業者にとって、市場規模に関する予見可能性を高めることが、適切な供給力の確保につながるとの観点からの、小売自由化範囲の拡大の内容とスケジュールの可能な限り早期の明確化。


  6. 電気事業分科会は、これまで明らかにしてきた原則と視点についての結論を取りまとめ、その結論に基づき、日本政府は、電力分野における規制改革を実施する。このため、

    1. 電気事業分科会は、答申を起草し、パブリックコメントに付し、提出されたコメントとそれに対する回答を公表する。
    2. 電気事業分科会は、提出されたパブリックコメントを勘案しつつ、2002年度末までに、最終的な答申をまとめる。
    3. 最終答申は、時宜に応じ国会に提出される法案の基となることになる。


D.ガス

 日本政府はガス分野の規制改革を引き続き実施しつつ、公正で効果的な競争を確保するため以下の措置を実施してきた。また日本政府は今後も以下の措置を実施する。

  1. 経済産業省は2001年1月に、ガス分野における更なる規制改革の方向性を正式に検討するためにガス市場整備基本問題研究会を設立するという重要な措置を実施した。研究会は学会、ガス会社、新規市場参入者、及び消費者の代表からなる29人のメンバーで構成された。当該研究会は13回の会合を開催し、2002年4月22日に、この分野の中長期的な改革のための勧告を内容とする報告書を発表した。

  2. 当該研究会は、改革は以下の幾つかの基本原則に基づいて進められるべきであると合意した。

    1. 供給の安定を確保し、またガス料金を下げることで需要家の利益を拡大する。
    2. 効率的で透明性が高く、公正で競争的な市場を創造することにより、環境に優しいガスエネルギーの利用拡大とガス産業の健全な発展を図る。
    3. ガス事業者の活動を広範に規制する現行の規制から、ガス輸送ネットワークに主に焦点を当てた規制へ移行する。
    4. ガス・インフラの第三者利用を促進し、またガス・インフラへの投資インセンティブを確保する。
    5. 市場メカニズムを利用し、またセーフティーネットを整備する。
    6. 消費者ニーズと実状に即応する。
    7. 予見可能性のある漸進的な方法で改革を進める。
    8. 事前規制を極小化し、事前規制と事後規制の適切なバランスを確保する。


  3. 当該研究会は、以下の方法によるガス・パイプラインの建設や相互連結の促進、及びガスパイプラインの第三者利用の促進を提案した。

    1. パイプラインの余力に関する情報開示の推進。
    2. 新規パイプライン建設のためのインセンティブの改善。
    3. 卸売目的での輸送への適用を含む、第三者アクセス規制の拡大。


  4. 当該研究会は、液化石油ガス(LNG)ターミナルの第三者利用を、所有者と利用者の交渉を通じ、以下のような方法で促進する。

    1. 利用者が当該ターミナルの余力を推定するための情報の開示。
    2. LNGターミナルの利用に関する条件及び手続きについて、所有者が利用者のために文書を作成。
    3. 当該ターミナルの利用を拒否された者への所有者による書面での説明。
    4. 交渉を促進し紛争を解決・防止するための政府のガイドライン。


  5. 当該研究会は、以下のような手段により、ガス供給の信頼性と安全性を高めつつ、ガス分野における小売自由化範囲を拡大するよう提案した。

    1. 小売自由化範囲をより多くの需要家に漸進的に拡大。
    2. 需要家への供給安定性の向上、ガス事業者の供給区域の設定、より柔軟な料金設定方法等について効率的なシステムを検討する。


  6. 当該研究会は、最低限以下の方法によって、ガス輸送事業とガス販売事業を分離することを提案した。

    1. ガス会社の輸送事業と販売事業の会計を分離し、
    2. 各ガス会社内で、ガス輸送事業と販売事業との間にファイア・ウォールを設ける。


  7. 2002年4月22日に当該研究会が発表した報告書は、インターネットから容易に入手できるものであるが、日本における更なるガス分野の規制改革のための重要かつ貴重な参考と考えられる。経済産業省はこのレポートについての非公式なパブリックコメントを求めた。当該コメントも、インターネットから入手できる。

  8. 経済産業省は、2002年中に日本のガス市場の規制改革について公式に検討する審議会を立ちあげる予定である。前の段落で述べられた研究会の報告書とパブリックコメントは、当該審議会に提出され、審議会委員会の作業のための重要かつ貴重な参考となる。当該審議会は適切な時期に、作業についての報告書を発表する見込み。

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