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EUの規制改革に関する
日本側(優先)提案及びコメント

B.業種別規制

6.法律サービス

【総論】
 我が国は法律サービスに関し、これまで日EU規制緩和対話におけるEU側の要望を真撃に受け止め、外弁法改正を含めてできる限りの措置を行ってきたところであるが、他方、我が方からの要望に対し、EU側では十分な改善がなされていないことは遺憾である。これは、我が国外弁法の下、外国人弁護士が享受している地位に比較して、相互主義の観点から正当化しえない点であることを付記する。
 ついては、EU各国の代表機関である欧州委の各加盟国に対するイニシアティブを期待し、EU加盟国において、我が国の弁護士が、より容易かつ広範囲に法律サービスを提供できるよう規制を緩和することを要望する。

(1) 仏における外国弁護士の母国の法律サービスに関する業務従事の許可
 日本は、かねてからEUに対し、仏が我が国の外弁法のように外国弁護士が特別の試験を経ることなく母国の法律サービスを行う業務に従事することが出来る制度を設けるべきことを要望してきた。
 2001年8月の仏側回答によれば、外国弁護士が仏において外国法に関する法律サービスを提供する場合、あくまで仏における仏語の法律知識検定試験に合格する必要があるとしている。
 我が方の要望に対しては、これまで同様、満足のいく回答は得られていないこと、我が国の外弁法において法律知識検定試験の要件が課せられておらず、お互いの制度の同等性の観点から問題があることから、引き続き本要望を維持する。

(2) 独における外国弁護士のいわゆる第三国法に関する法律事務の許容
 2001年8月の独側回答によれば、独において、外国弁護士は、第三国法に関する法律事務を取り扱えないが、他国の弁護士と提携することにより、結果として何ら制限なしに第三国法を取り扱えるとし、これにより他国の法律について依頼者に広い助言を与えることが可能となる等としている。
 しかし、第三国法を排除する合理的理由は不明であり、また、我が方の要望である外国弁護士が直接第三国法に関しても法律事務が行えるように規制を緩和するとの点では満足のいく回答は得られていないので、引き続き本要望を維持する。

7.電気通信

(1) EUにおける相互接続
(a) EUにおいては、既に「相互接続約款(相互接続に関する基本的な接続約款)(Reference Interconnection Offer :RIO)」が全ての加盟国において公表されている。しかしながら、RIOについては単に公表さえすればよいものではなく、市場ニーズに基づいて詳細な要素を記述すべきことが現行の相互接続指令(Directive 97/33/EC)(第7条の3)で求められている。それにも関わらず、当該指令の要件を満たしていない加盟国が存在することを欧州委員会は、「電気通信規制パッケージの実施に関する第6次報告書」において認めている。
 また、「RIO」に記載すべき契約条件の中に、「接続に要する期間」が含まれることを明確にすべきことの我が方要望については、欧州委員会は何も回答していない。
 したがって、「RIO」の記述について、EU指令上の要件を充たしていない加盟国に対して、今後はどのような措置を求めていくのか明らかにするとともに、「RIO」に記載すべき契約条件の中に、「接続に要する期間」が含まれることを明確にし、加盟国に対し明示するように要望する。
(b) このような背景としては、「RIO」に「接続に要する期間」が記載されている場合、新規参入を計画する事業者にとっては、新規参入にあたってのビジネスプランが立てやすくなり、ひいては現行の相互接続指令(第7条の3)の「市場ニーズに従った要素」(components according to market needs)に繋がると考えているものである。
 逆に、これが記載されていない場合、新規参入者はいつ接続が開始されるか分からず、ビジネスプランを立てることが困難となる。また、我が方としては、欧州委員会からの回答(「接続に要する期間」は、ビジネス上の議論に委ねるべき。)には疑問を持っている。
 ついては、欧州委員会は、「市場ニーズ」に該当する事項について、どのような考え方に基づき、「RIO」に記載すべき事項と事業者間の交渉に委ねるべき事項を切り分けているのか明らかにされたい。
(c) さらに独からの回答によると、独においては、相互接続指令第7条の3は独の国内法に十分反映されていると考え、電気通信分野の発展は何よりも市場参加者の手に握られており、国家は例外的な事例に関してのみ介入するべきであるという回答を行っている。しかし、我が方は、相互接続における事業者間の交渉は、対等な立場同士でのみ有効と考えており、SMPを有する事業者とそれ以外の事業者とは対等な立場とは言えず、国家が介入すべき例外的な事例に該当するものと考える。更に、紛争が起こった場合に事後的に介入できるというが、これでは接続開始までに時間がかかるのみならず、当事者は標準的な接続期間が分からないため、紛争に勝てるかどうかの予測可能性も奪われる。
 ついては、独政府が、早急に独の「RIO」の中に、「接続に要する期間」を含めることを要望する。

(2) EU、独及び仏における免許料
 仏の免許料は、一定程度の免許料の引き下げが行われ、独においても免許料に関する制度の改正作業が開始されるなど、一定の改善があったことを歓迎する。
 しかし、仏においては、次のとおりネットワーク設置申請時の免許料は175万フラン(約26.7万ユーロ)のまま据え置かれ、引き下げが行われていないこと、また、いずれの免許料も日本の免許料(事業許可申請時の15万円のみ、約1,363ユーロ)の10倍以上の水準である。また、独については、免許料に関する規則の改正が開始されているものの、改正後の免許料がどの程度の水準となるか、いつまでに改正が実現するのか明らかにされていない。
 ついては、仏政府及び独政府が、適切な措置を早急に講ずることを要望する。また、欧州委員会としても、両国政府が上記措置をとるよう確保するとともに、各加盟国別に免許料の情報を公開することを要望する。
(参考:仏における免許料の推移)
(a) ネットワークの設置
申請時   175万フラン(99年) 175万フラン(現在、約26.7万ユーロ)
毎年 350万フラン(99年) 87.5万フラン(現在、約13.3万ユーロ)
(b) サービスの提供
申請時   75万フラン(99年) 25万フラン(現在、約3.8万ユーロ)
毎年 150万フラン(99年) 12.5万フラン(現在、約1.9万ユーロ)

(3) EU域内への無線通信機器の輸出
 日本においては、法令に適合している無線通信機器を、EU域内に輸出する際には、EU指令(R&TTE)に合致させるよう無線通信機器に手直しを行う必要があるが、EUにおいては周波数の割当等に関する各国の国内規制が統一されていない。そのため、EU域内で調和されていない周波数帯域を使用する無線通信機器を輸出する場合、製造者側でテストレポートを作成し、輸出先の国が指定する適合性評価機関に申請・承認をもらい、さらに輸出先の国の周波数管理当局に通知を行うといった手続が必要となり多くの時間を費やすこととなっている。
 ついては、適合性評価機関による承認後の、各国の周波数管理当局への通知の手続を廃止又は簡素化するよう要望する。

(4) 欧州委の調整状況・違背手続等にかかる情報開示
 欧州委員会は、今後とも日EU規制改革対話の枠組みの中で、加盟各国での状況、日本の要望事項に関する各加盟国と欧州委員会との調整状況及び電気通信関係の指令に対する違背手続の進行状況に関する情報について開示するよう引き続き要望する。

8.金融サービス

(1) 金融分野におけるEU共通手続の導入
 ある国で認められた活動、商品、ライセンス等に関して、他のEU加盟国でも自動的に認められ、追加的な手続の必要がない、若しくは報告のみで許可を要しない制度を導入することを要望する。これが認められない限り欧州の金融サービス市場は単一市場とは言い難い。また、監督当局に対する届出書類について、各EU加盟国において、日本人を含む外国人への配慮として複数言語で記述されたフォームを準備するのは、欧州域内のビジネス環境を整備する上で即効性のある処方箋と思われるので、早急な対応を検討して欲しい。また、国毎に異なる内容、様式の届出を行うのは煩雑であり、ビジネス上の障害となっているので、届け出内容、様式の調和を検討して欲しい。現在、欧州委としても金融サービス市場統合に向けた努力を行っていると承知しているが、前回の回答は不充分と言わざるを得ない。短期的に解決できる問題ではないが、継続的な努力を要請する。

(2) 域内銀行と域外銀行の取扱の統一
 大口融資規制に関し、邦銀がポルトガル、オーストリア、ルクセンブルグ、オランダに支店を開設した場合は、EU加盟国籍の外銀支店に対する取扱(外銀支店の融資についても本国での資本額を同規制の計算上用いる)を受けられない。邦銀支店については、当該支店の資本額(いわゆる「持ち込み資本額」)をベースにした規制がなされるため、一件あたりの融資額の上限が低く抑えられる等の取り扱いがあり、EU域内に本店を持つ他の銀行に比し不利である。前回のEU側回答では、現在これら4カ国に純粋な形での邦銀の「支店」は存在しないことが強調されていた(EU域内に現地法人(支社)を設立すれば問題は解決される)が、これは今後支店を開設しようとする場合の障害となるので、受け入れられない。今後のビジネス展開の自由度を確保するという意味で、域外に本店がある場合も域内に本店がある場合と同様の扱いとすることを希望する。なお、ルクセンブルグについては何ら回答が得られていないので、引き続き回答を要望する。

(3) 個別国における事項
(a) 独においては、大口融資規制の対象となる融資残高を算定するにあたり、日系企業グループの認定について、実態にそぐわない取り扱いがなされている由である。すなわち、企業グループの認定に際し、日系企業については旧財閥のグルーピングが依然として判断基準となっており、実質支配の観点からは明らかに実態を反映していないグルーピングが行われている。現在我が国では株式持ち合いの解消や系列を越えた合従連衡が進行しているところであり、連結会計基準に即したグルーピング等、より現実を反映したものに変更されることを要望する。
(b) 仏においては本店所在地がEU域内であるか否かによって以下のような取り扱いの相違が見られる。(a)と同様に支店が現地法人かという経営形態の自由度確保の観点から、域内外の銀行を同様に取り扱うよう要望する。
<仏における取り扱いの相違点>
・域外銀行は支店開設の申請と許可が必要(域内銀行は事前報告のみ)
・域外銀行の支店は擬制資本が必要(域内他国銀行の支店は不要)
・域外銀行の支店は預金保険機構加入が必要(域内他国銀行の支店は不要)等
 また、外銀支店でも保険料負担・救済スキームとも仏銀と同様に制度に組み込まれ、貸出残高による保険料分担の対象となる。これは我が国を含め他国には見られない規制であり、改善を要望する。
 前回の仏回答は、我が国とは監督制度・法制度が異なるため邦銀が差別的取り扱いを受けるとしても致し方ないという趣旨と解されるが、各取り扱いごとの根拠、理由は不明であるため再度要望する。
(c) なお、仏の金融監督に関して、以下2点を併せ要望する。
(i) 仏における資産査定
 仏における資産査定の基準は明文化されたものが存在せず、銀行の所要引当金算定に際し検査官の裁量の余地が大きい。同じ取引先に対する貸出でも、銀行毎に検査官が違うために異なる指導が行われるケースがある。監督基準は銀行経営上極めて重要な意味を持つものであり、ルールを明文化し、透明且つ明確にすることを要望する。前回仏回答では、仏の監督基準はバーゼル委の基準に沿っておりIMFも問題視していない由であったが、我が方要望の中心要素である「ルールの明文化」の意思はないと解されるので、引き続き要望する。
(ii) 仏における流動性比率規制
 流動性比率規制について、本支店への資金放出ネット額(本支店への資金放出-本支店からの資金調達)について、本店からのStandby L/Cを差し引いて流動性比率を算出しなければならず、外銀の流動性比率算出上不利である。前回の仏回答では、邦銀が不利に取り扱われているとの状況は存在しないとのことだったが、当方調査によれば、現に右の如き指導が当局より行われている例がある由であり、右規制の緩和若しくは撤廃を要望するとともに、規制の根拠・存在の有無につきEU側の誠意ある回答を求める。

9.自動車

(1) 二輪車・商用車の車両形式認証制度(WVTA)の創設
 現在、WVTAは乗用車及び二輪車について適用されているが、商用車については、いまだ本制度の適用がなされていない。2001年8月の欧州委員会回答によれば、商用車への本制度の適用については、2001年中に理事会及び欧州議会へ提案する旨述べられているが、早急に実施細目を定めて制度の運用を開始するよう引き続き要望するとともに、適用開始までのスケジュールの明示を求める。

(2) 車両型式認証制度(WVTA)におけるECE規則13Hの採用
 ECにおいて、ECE規則13Hが採用されたことを評価する。しかし、今後、本規則がWVTAにおいて使用可能となるためには、自動車の型式認定に係るEU指令(指令1970/156/EECのANNEXⅣ)に同規則を追加する作業が必要である。2001年8月の欧州委員会回答によれば、同規則の採用手続き終了後、直ちに同指令に同規則を追加する旨述べられているが、未だ同指令の改正は行われていないと聞いている。ついては、同指令改正の早期実施及び改正スケジュールの明示を要望する。

(3) 歩行者保護法規
 歩行者保護基準についてはEUが独自に作業を進めているが、国際研究調和プロジェクト(IHRA)の枠組みの中で、日本、米国などとも歩調を合わせたうえで調和基準を策定するよう要望する。

(4) ELV(End of Life Vehicles:廃自動車)指令
 2001年8月の欧州委員会回答によれば、前回、我が方が要望していた使用禁止物質に関する現行の適用除外リストの拡充に関しては、明年開催予定の廃棄物規制に関する規制委員会で優先的に検討する旨述べられているが、現行の適用除外リストは、代替不可能と考えられる物質が網羅されておらず、不十分であると思われるため、引き続き適用除外リストの拡充を要望する。
 また、先般、JAMA(日本自動車工業会)及びACEA(欧州自動車工業会)が、適用除外リストへの追加希望物質を明記した意見書を共同作成し、欧州委員会に提出した旨聞いているが、今後、適用除外リストの拡充を検討するにあたっては、この意見書の内容を十分尊重するよう要望する。

(5) 運転視界に関する国際調和基準策定に向けた日EU間の協力
 現在、我が国においては、自動車の運転者からの視界に関する安全基準の策定を検討中であるが、EUにおいても、同様の検討がなされていると聞いている。
 我が国は、同安全基準について、自動車の安全性の向上及びと自動車基準の国際調和促進の一環として、グローバル協定(the1998 Global Agreement)に基づく、世界的技術規則(Global Technical Regulations)を策定していくことが望ましいと考えている。ついては、今後、本件に関し、日EU共同で世界的技術規則の策定を行うことの可能性について早期に意見交換を開始し、より一層の基準調和を図ることにつき、EUの協力を要請する。

10.建設

建設業者の資格に関する欧州規格

 2001年8月の欧州委員会回答によれば、相互承認の効果を高めるために、建設業者の登録に関する欧州規格について、CEN及びCENELICにおいて、我が国の要望を踏まえつつ草案を策定中とのことであるが、我が国の要望が具体的にどのような形で反映されるのか、また、策定に至る具体的なスケジュールがどのようなものか、という2点について説明を求める。


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