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EUの規制改革に関する
日本側(優先)提案及びコメント

日EU規制改革対話全般

 世界経済は近年になく厳しい状況にある。9月の米への連続テロ事件の発生は、その先行きを更に不透明なものにした。我々は、この困難な時代を切り開き、変革の好機としなければならない。既に、世界経済の回復と発展に向けて、様々な取り組みが行われている。現在、我が国は、聖域なき改革を行うことによって、我が国経済の建て直しを図らんとしている。また、EUにおいては、一層の統合と拡大の実現を通じてその経済成長の減速に対応せんとしている。更に、WTOのようなグローバルな枠組みについても、日本とEUは、世界経済の主要なプレーヤーとして、協力して主導的役割を果たさなければならない。

 日EU規制改革対話は、その積み重ねにより、これまで着実に目に見える成果をあげてきている。本対話は、日欧が相互の貿易・投資関係を強化することによって、世界経済の減速に協調して対応していく上での象徴的で、実際的な共同行動である。

 我々は、日EU規制改革対話が、欧州全体と日本との間の真に建設的な対話の場となることを願っている。本対話の目的は、互いに批判しあうことではなく、双方の規制について知見と経験を共有し、互いから学ぶことによってより良い枠組みを構築することである。

 EUの深化と拡大は、域外に対してもオープンな形で進められなければならない。我々が改善を求めている事項の多くは、各EU加盟国の権限とされている事項や、各加盟国間の調和に関する事項であり、我々は、日EU規制改革対話を有効なものとするため、欧州委員会にとどまらず、各EU加盟国がより積極的に参加することを要請する。また、我々は、本対話をより有意義なものとするため、欧州委員会が加盟国への働きかけを積極的に行うよう期待する。

 我々は、以上のような基本的な考えに基づき、今般、EUに対する規制改革要望リストをとりまとめた。ここに、欧州委員会及び各EU加盟国に対しリストを提出するとともに、EU側が本リストの要望事項を今後真剣に検討し、具体的な成果をあげていくことを要請する。

 本年度の日本側要望の中には、これまで要望してきた案件も多く含まれるが、これらは日本のビジネス関係者が現実に直面している重要な問題であり、繰り返し改善を求める声が出されているものである。我々は、これらの問題について進展を図るため、本年度の要望を取りまとめるにあたっては、問題点の明確化に努めるとともに、可能な場合には、考え得る具体的改善策を提示した。

 我々は、この要望を取りまとめるにあたって多くのビジネス関係者の協力を得て、欧州でビジネスを行う際の具体的な問題点について把握に努めた。日欧間のビジネス界の対話と協力において重要な役割を果たしている日EUビジネス・ダイアログ・ラウンドテーブルの提言も反映されている。

 日欧協力の十年のスタートである今年度の日EU規制改革対話のプロセスが、日欧経済にとって、ひいては世界経済にとって有益なものとなることを切に願う。

A.分野横断的規制

1.商法・商慣行・競争

(1) 合併・買収審査の際の第三者への情報提供要請の慎重な運用
 企業の合併・買収を審査する際、規則4064/89に基づく欧州委からの情報提供要請について、合併・買収当事者以外の第三者企業も、情報提供拒否や提供した情報が不完全・不正確であるとの理由で制裁金を課される事例がある。また、その際、欧州委の情報提供要請書には「要請に応じない場合にペナルティがある」旨明記されていない例がある由である。ついては、詳細な情報提供が当事者以外の第三者に強制され、対象企業が過度の負担を強いられているとの不満があることに鑑み、また、欧州企業との公平な扱いを担保するとの観点から、提供すべき情報の程度及び第三者への制裁金賦課について、公平かつ透明な形での慎重な運用を要望する。
 昨年度要望に対するEU側回答では、欧州の競争政策における情報提供の重要性と制裁金賦課の根拠が述べられているが、これについては当方も十分理解できるところであるが、一方で、日本政府代表部への連絡を含む透明性を保った運用については何ら回答されていない。
 本件については、在欧日系企業の間から「過度の負担」として改善の要望が強いところであり、具体的要請として以下を提示する。(1)万が一制裁金が賦課される場合には事前に日本政府への連絡を行う、(2)要請書に対する回答期間が短いことに配慮し、企業側の要請があれば、要請書の送付先を「責任を持って回答ができる同一企業グループ内の一定の会社・部署」に限定する、及び(3)当該第三者企業側が、求められた情報の提供者たりえない合理的な理由が存在すると判断した場合には、情報提供の手続に入る前に、その理由を明示して欧州委に対し、「自社は無関係である」旨を表明し、欧州委側の説明を求めることができるような制度を導入する。(2),(3)により欧州委は、真に有益な情報を効率的に収集することが可能となり、限られた人的リソースの有効活用に資するものと思われる。

(2) EU域内の複数加盟国間での損益通算を認める指令の早期成立
 ある加盟国内の居住法人の利益と他の加盟国にある子会社によって生じた損失を相殺することができるように1991年に出された指令案が未だに指令になっていない。欧州における投資促進のため同指令案の早期採択を望む。前回回答では、1992年以降議論の進展が無く近い将来の採択見込みは無い由であったが、本件は欧州会社法の不備を補うことも可能な法案であり、引き続き早期の審議再開を要望する。

(3) 欧州会社法の改善
 多国籍企業がEU加盟国に子会社を作らなくとも域内の1カ国で欧州会社SE(Societas Europaea)の形態として会社を作ればEU中でオペレート出来ることを担保する「欧州会社法」は本年10月に正式採択され、2004年にも発効するものと承知。長期間に亘る欧州委他関係者の努力は評価するが、現状の内容では企業の組織再編に際し必ずしも直接役に立つわけではないとの意見が多数寄せられている。加盟国をまたぐ会計・損益計算の採用と本規則・指令の非公開会社(在欧日系企業の大半を占める)への適用について、引き続き検討するよう要望する。

2.基準・認証

EU市場における工作機械の検査体制

 複数のEU加盟国では、機械安全指令の導入(1989/392/EEC)以後に市場に流通した工作機械についても、CEマークを貼付していないものが流通している旨報告されており、CEマーク制度を遵守して輸出している我が国企業は競争上不利な立場におかれている。現在のところ、このような違法な機械を取り締まるための、EU全域で統一された措置は存在しておらず、いくつかの加盟国においては、関係当局が毎年調査を実施し、CEマークのない機械に対し販売禁止や回収措置をとっているものの、十分な調査が行われていない加盟国も多い。
 ついては、域内における安全水準の向上に対する理解から、CEマーク制度を遵守している我が国企業の努力にも最大限の配慮を求めたく、欧州委に対し、EU域内におけるCEマークの調査及び取り締まり措置を統一するための法令(規則、指令)を策定するよう要望する。

3.雇用

(1) 欧州の雇用制度一般
 欧州における雇用制度・慣行は我が国のものと比べ、多くの点で雇用者側にとって厳しすぎる内容となっており、解雇、転勤、勤務時間、給与等について我が国進出企業にとって困難を生じている場合が少なくない。これらは必ずしも「規制」の問題とは言えず内外無差別なものもあるが、効率的な労働市場は欧州自身の利益にもつながると考えることから、現実に生じている問題が改善されることを引き続き要望する。

(2) 西の期限付雇用契約制度
 西の法律では、生産状況に対応するためその原因となる事象が発生してから12ヶ月内に最大6ヶ月の期限(労働協約の変更により18ヶ月内に最大12ヶ月に延長可)を上限として、期限付き労働契約を結ぶことができるとしている。
 前回西回答によれば、期限付き契約を繰り返しても直ちに違法とはならず、また、期限付き契約に関する西の規制は十分柔軟性を有しているとしているが、実際上は原則6ヶ月(最大12ヶ月)という期限が存在しており、日本企業の業務運営上、人事の面で支障を来している。西においては、依然として途中解雇に対して高い解雇補償が要求され、それ自体柔軟な雇用決定の妨げとなっているが、これが改善されない現状においては、企業が期限付き契約によって必要に応じて必要な期間労働者を採用することは不可欠である。
 ついては、上記期限に限定されない期限付き契約が可能となるよう制度改正を要望する。

(3) 白の従業員代表保護規定
 従業員代表選挙の候補者は、当選者のみならず、代理要員、落選した候補者を含め、次回4年後の選挙まで、勤怠不良でも解雇できない。前回要望に対し白から回答が得られていないところ、代理要員及び落選した候補者は、一般従業員と同じ扱いとするよう保護規定を改善することを引き続き要望する。

4.貿易・関税

アンチダンピング規則の適切な運用

 欧州委員会のアンチダンピング調査について、テレビカメラ用部品の件に見られるように、当局が十分な証拠を有しない段階で、当局の自己の発意に基づいて職権調査を行うことにより、企業活動が妨害されているので、職権調査を行う際には慎重な検討を要望する。また、個人用FAXについて、再審査により対象製品の定義を拡大する動きがあるが、アンチダンピングの再審査制度は対象製品のダンピング課税措置を継続するか否かを判断するためになされるべきものであるため、対象製品の定義見直しについては、新たなダンピング案件としての手続をとることを要望する。また、現在の見直し審査の状況及び結果が示される時期についての情報提供を要望する。

5.情報・知的財産

個人情報保護指令

 EUは、十分な情報の保護規定がない国や地域向けには、EU加盟国からの個人情報を出さないことを義務づける「個人情報保護指令」を1998年10月に発効させるなど、政府主導による規制を実施している。本規制実施にあたり、EU域内の現地法人から、採用情報、顧客データ等の各種情報を本社へ移転することが制限され、企業活動に支障が出てくる恐れにつき、前回の我が方要望の中で指摘したところ、本年8月の欧州委員会回答において、指令の運用には十分な柔軟性を持たせてあり、心配には及ばないとの説明がなされている。
 我が国においては、産業界が、引き続き個人情報を保護するための自主規制に取り組んでおり、また、政府レベルでも、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とした「個人情報の保護に関する法律案」を国会に提出しているところである。
 ついては、今後共、適切性認定を含み、日EU間において個人データの移転の自由が確保されるよう、EU側の前向きな対応を要望する。


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