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第二部 「アジア経済再生ミッション」の訪問を通じて

II. 訪問国の課題と日本の役割

1.韓 国

(1)現状及び課題

 韓国は着実に経済構造改革を進め、経済危機からの脱却を確かなものとしようとしている。しかし、改革はまだ道半ばであり、経済の上向き基調によって改革をスローダウンさせたり、収束させたりすることなく今後も継続的な改革努力が望まれる。改革の課題は次の通りである。

(2) 日本の役割

 今後、日本は韓国との間では先進国同士のパートナーシップを構築していくという精神で協力していく必要がある。例えば、日韓が協力して第三国に対する支援を行ったり、また、危機再発防止のため、経済の動向や資本移動の状況について、日韓両国間においては、特に、相互モニタリングを行っていくことが考えられる。また、ブリッジファシリティーなど危機対応のためのバックアップシステムのあり方について検討を進めておくことも重要である。更に、不良債権処理については、人材、ノウハウなどの面で協力を進めることが考えられる。
 日本企業にとって、韓国の投資環境及び市場アクセスは、経済危機前と比べてかなり改善されつつあり、また文化開放も一層進展している。しかしながら、このことに対する日本側の認識は十分でなく、過去の評価にとらわれず、大きく変わった韓国の現状を再評価すべきである。一方、日韓間になお残る投資及び市場アクセスの阻害要因については、これを解消すべく「日韓経済アジェンダ21」(99年3月日韓首脳合意)に基づき、今後更に協力していく必要がある。具体的には、当面は、投資協定、相互認証などの実現に努力することにより、両国企業の戦略的提携等経済関係の緊密化を積極的に推進すべきである。そうした努力の延長線上において、長期的には自由貿易協定(FTA)構想の実現を目指すべきであろう。

2.ヴィエトナム

(1) 現状及び課題

 1980年代後半に始まったヴィエトナムの市場経済化・対外開放に向けた改革は、1990年代に入り諸外国からの直接投資・援助の流入を促進し、年平均8%台の高い経済成長を可能とした。しかしながら、アジア通貨危機による域内の貿易・投資活動の減退、近隣諸国に対する輸出競争力の低下等から、1998年以降成長率の鈍化を余儀なくされている。

(2) 日本の役割

 ヴィエトナムの構造改革推進のため、我が国からは既に市場経済化総合政策支援調査(石川プロジェクト)や新宮澤構想の延長による経済改革支援借款の前提条件となった民間セクター育成プログラム策定支援等を行ってきている。今後はこうした政策対話を継続・発展させていくとともに、改革プランを実際の政策に適切に反映させるべく、我が国から法律・税制・財政・貿易・工業等の専門家、及び各政策を調整するハイ・レベルなアドバイザーをヴィエトナム政府や国営企業に派遣するなどの人的協力を行うことが期待される。
 また、ASEANの構成員となったヴィエトナムが周辺諸国と比肩する経済発展を遂げるためにも、遅れが著しい経済・社会基盤の整備が必要であり、通常の円借款に加え、特別円借款の活用により、ヴィエトナムのインフラ整備を引き続き支援していく必要がある。

3.タ イ

(1)現状及び課題

 1997年7月のバーツ暴落に始まる一連のアジア通貨危機の発端となったタイ経済は、1998年に史上最悪のマイナス成長を記録した。しかしながら、1999年に入り、タイ経済は落ち着きを取り戻し、経済は回復基調にある。
 通貨危機を克服し、安定かつ持続的な成長を確固たるものとするためには、タイが取り組むべき喫緊の課題が存在する。それらは以下の3点に集約される。

(2)日本の役割

4.マレイシア

(1) 現状及び課題

 通貨危機に見舞われた国の中でもマレイシアの対応は、IMFの支援を受けない独自のものであった。資本取引規制の導入と為替レートの固定により海外の投機筋の動きから自国経済を遮断しつつ、金融緩和と財政出動による景気刺激策を機動的に実施し、銀行への資本注入や不良債権の買い取りにより、金融機関の再編など金融システムの健全化にも積極的に取り組んでおり、マレイシア経済は回復基調にある。マハティール首相のリーダーシップの下で自ら問題を解決すべく努力したことが評価される。

(2) 日本の役割

 マレイシア経済の回復はようやく緒についたばかりであり、これを確かなものとするためには、日本からの資金協力が引き続き極めて重要である。また、人材育成と技術やノウハウの移転における協力は、特に、日本に対して期待が大きい分野である。我が国としても、円借款等を活用し、積極的に支援すべきであろう。マレイシアが産業の高度化や裾野産業の育成、金融セクター改革の推進に必要な人材を育成するために協力すべく、日本の経験を伝え、良き助言者として行動することが望まれる。外資、特に、日系企業からの苦情などには十分耳を傾ける国であり、問題点があれば率直に指摘し、議論して行くことが望まれる。

5.インドネシア

(1) 現状及び課題

 インドネシアは総選挙を円滑に実施し、99年10月末には民主的手続きを経てワヒド大統領が選出されるなど政治の安定化に向けてのプロセスが順調に進んできたが、安定した政治環境と公正で透明性ある政治システムの確立に努めることが経済活動の活性化にとり不可欠であり、引き続き政治面、経済面での改革に取り組むことが期待される。特に、透明性やアカウンタビリティの向上に努めることが重要である。
 マクロ経済状況は、このような政治的プロセスの進展はあるものの、不安定な状況が続いており、社会的弱者対策、経済関係の法規範の整備、銀行セクターの再建、民間企業債務問題解決など、ワヒド新政権にとっての課題は少なくない。

(2)日本の役割

6.フィリピン

(1) 現状及び課題

 アジア経済危機は、フィリピンにおいては近隣諸国と比較してそれほど深刻ではなかったものの、経済成長率の悪化(実質GDP成長率97年5.2%、98年▲0.5%)、インフレ率の上昇(97年5.0%、98年9.6%)、財政収支の悪化(GDP比 97年0.1%、98年▲1.9%)といった指標からも明らかのように、経済成長と、貧困状況(貧困率97年32.1%)に対して大きな負の影響をもたらした。経済危機を契機として発生した経済面での諸問題を速やかに克服するとともに、持続的な経済成長を可能とし、貧困状況の緩和を促進するために国家経済の効率的運営及び重要政策の迅速な実行の確保並びに国民の社会福祉の向上が緊急の課題である。

(2) 日本の役割

 フィリピンの国家経済の成長と国民の福祉を確保するために、日本が期待され、貢献できることは大きい。

(参考)シンガポール

 本ミッションは上記6ヶ国を訪問する途次シンガポールに立ち寄り意見交換を行った。シンガポールは通貨危機の直接の影響は受けなかったものの、域内経済の低迷による影響を受け、98年には経済成長率が鈍化したが、再び高い成長を遂げつつあり、我が国としては地域協力の推進に向けて金融・情報センターとして発展するシンガポールと緊密に協力して行くことが重要である。



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