スーダン西部のダルフール地域における人道状況の悪化に対するわが国の取り組みについて
平成16年9月22日
- わが国は、ダルフール地域における人道状況の更なる悪化を受け、国連の統一アピールに応えて、本年5月の日本政府職員の現地派遣結果を踏まえた従来の約600万ドルの人道支援に加え、今回、新たに1,500万ドルを拠出し、合計約2,100万ドルの貢献を行うことを決定した。さらに、チャドにおけるスーダン難民に支援物資の供与を行う予定である。この決定については、国連総会出席中の小泉純一郎総理大臣よりコフィ・アナン事務総長に伝えるとともに、小泉総理大臣の行った一般討論演説においても言及したところである。
- わが国は、ダルフール地域の人道状況に関する国際社会の深い懸念を共有し、今月初めに来日したムスタファ・オスマン・イスマイール・スーダン外相に対し、小泉総理大臣および川口順子外務大臣より、ダルフール問題や南北和平交渉につき具体的な行動を取るよう直接働きかけた。さらに、東京でイスマイール外相とルード・ルベルス国連難民高等弁務官およびサイード・ジニットAU(アフリカ連合)平和安全保障委員との会談の機会を各々設けた。さらに、今後果たし得る役割等を検討するため、23日から、佐藤啓太郎アフリカ紛争・難民問題担当大使をルベルス国連難民高等弁務官一行とともに現地に派遣する。
(参考)
- スーダン西部のダルフール地域では、アラブ系遊牧民とアフリカ系定住農耕民(いずれもイスラム教徒)との間の部族紛争が拡大した。約120万人の国内避難民が発生し、また隣国チャドには約20万人のスーダン難民が流入し、人道・治安状況の悪化が深刻化している。
- わが国は、5月末に政府、UNHCR(国連難民高等弁務官)駐日事務所、わが国NGOからなる合同現地調査団をチャドに派遣した他、ダルフール地域の人道状況改善のため、国連統一アピールに応えて、食糧援助や医療支援を中心とする総額約600万ドルを国連諸機関等へ拠出済みである。
- 今回、ダルフール地域における人道状況を改善するため、新たに1,500万ドルを追加し、合計2,100万ドルの貢献を行うことを決定した。佐藤アフリカ紛争・難民問題担当大使(Ambassador in Charge of Conflict and Refugee-Related Issues in Africa)の現状視察を踏まえ、国連諸機関等への拠出先を検討していく予定。
- 9月5日から9日まで来日していたスーダン外相に対し、小泉総理大臣(8日)、川口外務大臣(6日)から、ダルフール問題解決や南北和平交渉の早期妥結に向けた具体的な行動を直接働きかけた。またわが国は、東京で、イスマイール外相とルベルス国連難民高等弁務官及び同外相とジニットAU委員の会談をそれぞれアレンジした。
- 佐藤アフリカ紛争・難民問題担当大使は、9月23日から28日まで、ルベルス(Lubbers)国連難民高等弁務官が率いるチャド及びダルフール地域視察団に参加して、現状視察を行う予定(G8(主要8カ国)からは日本の他、米(アーサー・デューイ国務次官補)、独、欧州委員会(EU)、人道支援事務局(ECHO)、アフリカ連合(AU)が参加予定)である。
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