ラオスの「気象監視システム整備計画」に対する無償資金協力について
平成16年8月25日
- わが国政府は、ラオス人民民主共和国政府に対し、「気象監視システム整備計画」(the Project for Establishment of Disastrous Weather Monitoring System)の実施に資することを目的として、7億3,600万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が8月25日(水)、ビエンチャンにおいて、わが方橋本逸男駐ラオス国大使と先方ポンサワート・ブーパ外務副大臣(H.E. Mr. Phongsavath BOUPHA, Vice Minister of Foreign Affairs)との間で行われた。
- ラオスでは、南西モンスーンや台風、熱帯低気圧がもたらす大雨による洪水、土砂災害が毎年各地で発生しており、1992年には洪水災害等で被災額は3億200万ドルにのぼり、最近の年間平均被災額は約21億円となっている。また、ビエンチャン国際空港周辺および航空路上で気象が原因と見られる航空機事故が多々発生し、過去20年間で5件の死亡事故が発生しており、悪天候により直前で出発地へ引き返す事例も毎年発生している。これは、ラオス各地で発生する大雨や集中豪雨を監視し、また、ビエンチャン国際空港周辺で発生する大気擾乱を把握するための気象観測網が未整備であり、予警報が正確且つ迅速に提供されていないことが一因である。
ラオス政府は、国家5カ年開発戦略計画(2001~2005年)において「気象・水門観測データの収集および伝達に関する開発」を掲げており、その中で気象観測の整備、監視能力および予警報の向上を目指すこととしている。同戦略計画を受けて、ラオス政府は、洪水、土砂災害や航空機事故の誘因となる大雨や強風、雷雲を観測し、精度の高い気象予警報を適切なタイミングで発表する体制を整備することを目的とする気象監視システムの整備に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
- この計画の実施により、メコン河流域でも最も降雨量の多いラオス中部周辺における雨量監視能力・精度が向上し、今後の防災計画や灌漑・農業作付等ラオスにおける農業生産計画の策定にも寄与するほか、空港周辺の大気擾乱についての情報がリアルタイムに空港関係者へ伝達され、航空事故の予防が期待される。
なお、わが国は現在メコン地域の安定と経済成長を目標としたイニシアティブを積極的に推進しており、今回の案件も同地域開発の一環と位置づけている。
(参考)ラオス人民民主共和国は、東南アジア諸国連合(ASEAN)の加盟国であり、人口553万人、国民一人あたりのGNI(国民総所得)は約365ドルである。
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