補正予算によるイラク復興支援経済協力事業について
平成16年3月26日
- わが国が昨年10月に発表した「当面の支援」15億ドルの無償資金の供与については、電力、教育、水・衛生、保健等イラク国民の生活基盤の再建および治安の改善に重点を置きつつ、イラクの復興需要を踏まえ、緊急に援助を実施する必要のある12億1,000万ドル相当の1347億円について、平成15年度通常予算(1億3,000万ドル相当の159億円)および平成15年度補正予算(10億8,000万ドル相当の1,188億円)から充当することとしたところである。平成15年度通常予算では、各国に先駆けて主要な戦闘が終了する以前からこれまでの間に、電力、教育、水・衛生、保健等の重点分野において、国際機関及びNGOを経由した支援および直接支援(合計159億円)を実施してきたが、今般、イラク側との調整等を踏まえ、平成15年度補正予算(1,188億円)によるイラク復興支援経済協力事業を以下の通り実施していくことを決定した。
- 直接支援
(1)本26日(金)、直接支援によるプロジェクト(総額218億円)を実施することを決定した。
(イ) |
移動式変電設備整備計画(電力省) 79億4,400万円
サマーワ(2台)を含むイラク全土に移動式変電設備27台を供与するもの
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(ロ) |
南部地域主要病院整備計画(保健省) 55億6,300万円
いわゆる13病院のうちナシリヤ、ナジャフ、ディワニヤ、サマーワの4病院に対し医療機材の供与及び設備の改修を実施するもの。
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(ハ) |
浄水設備整備計画(バグダッド市) 60億6,900万円
プレハブ式の浄水設備(コンパクトユニット)30基を供与するもの。
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(ニ) |
消防車整備計画(内務省) 21億9,500万円
バグダッド市、バスラ県およびサマーワ(6台)を含むムサンナ県に消防車70台を供与するもの。
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(2)また、イラク側と詳細な調整を行っている以下のプロジェクトにつき、同調整を了し次第、直接支援として実施する。
(イ) |
タジ・ガスタービン発電所復旧計画(電力省)
ガスタービン発電機7機のうち、1、2、3、5号機を取り替えるもの。
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(ロ) |
モスル・ガスタービン発電所復旧計画(電力省)
ガスタービン発電機4機のうち、1、3号機を取り替えるもの。
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(ハ) |
モスル水力発電所復旧計画(電力省)
水力発電所の水車部周辺部品を交換するもの。
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(ニ) |
中南部及び北部地域主要病院整備計画(保健省)
いわゆる13病院のうちのアマラ、クット、カドミヤ、ラマディ、ティクリート、キルクーク、エルビル、モスール、ドホークの9病院について医療機材の供与及び設備の改修を実施するもの。
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(ホ) |
ゴミ処理車両及び下水処理特殊車両供与計画(地方・公共事業省及びバグダッド市)
ゴミ収集車、ゴミ埋立て用ブルドーザー、バキュームカー等を供与するもの。
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- イラク復興信託基金(495億円(4億5,000万ドル))
24日(水)、信託基金の国連管理部分に3億6,000万ドル(396億円)、世銀管理部分に9,000万ドル(99億円)の合計4億5,000万ドル(495億円)の払い込みを行った。このうち国連管理部分への拠出金については、現在、以下のような案件実施を念頭に国際機関と調整を行っている。
(1) |
ウンム・カスル港への水路の浚渫(UNDP)
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(2) |
中央配電所及びハルサ火力発電所(フェーズ2)(UNDP)
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(3) |
アル・ムサイブ火力発電所及びタジ・ガスタービン発電所復旧(UNDP)
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(4) |
初等・中等教育強化計画(UNICEF)
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(5) |
サマーワを含むイラク南部水衛生施設整備計画(UNICEF)
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(6) |
環境評価及び環境分野の能力強化(UNEP)
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(7) |
南部湿原管理を含む水資源管理技術の支援(UNEP)
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(8) |
生活インフラ再建事業(国連人間居住計画(UN-HABITAT))
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- 国際機関経由の支援
(1)本26日(金)、サマーワを含むイラクにおいて国連開発計画(UNDP)による復興雇用計画を支援するため約1540万ドル(約16億9,300万円)を供与することを決定した。この計画は、イラク南部等で現地住民を雇用し、上下水道復旧、ゴミ収集等を実施するものである。
(2)ユネスコ等を通じて文化・教育関連事業を実施することも検討している。
- 上記以外の案件についても、できる限り早期に実施していく予定である。
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