中国の「人材育成奨学計画」に対する無償資金協力について
平成16年1月8日
- わが国政府は、中華人民共和国政府に対し、「人材育成奨学計画」の実施に資することを目的として、1億6,600万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、1月8日(木)、北京において、わが方阿南惟茂在中国大使と先方易小準商務部部長助理(Yi Xiaozhun, Assistant Minister, Ministry of Commerce)との間で行われた。
- 中国経済は、改革・開放政策の進展に伴い、沿海部を中心にめざましい発展を遂げており、2001年12月に中国はWTO(世界貿易機関)に加盟し、公平・公正な国際ルールのもとで対外経済関係を構築することを今後の課題としている。
このような中、改革・開放政策の進展は中国政府にとって、「沿海地域と内陸部の著しい経済格差」、「失業者の増加と社会保障体制の未整備」、「大気汚染や生態環境悪化等の環境問題の顕在化」等の様々な政策課題を投げかけており、沿海部の発展に伴い、年々その課題克服の重要性が増している。
このような状況の下、中国政府は、中国の持続可能な発展、日中両国政府間の相互理解を増進する観点から、「人材育成奨学計画」を策定し、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきており、これは中国に対するわが国の援助重点分野(相互理解の増進)に合致するため実施することとしたものである。
なお、この計画は、わが国と関わりの深い中央政府機関等の若手行政官約40名を対象に、日本の大学院における学位取得を前提とした留学に対して経費を支援するものである。
- この計画の実施により育成される人材が、将来、各分野のリーダーとして中国の抱える諸問題の解決に貢献するとともに、今後の日中両国間の政府レベルでの相互理解の増進に資することが期待される。
(参考)中国は、約960万平方キロメートルのアジア一の国土と、約12億8,000万人の世界一の人口を有し、56の民族(うち約92%が漢民族)からなる多民族国家である。「改革・開放政策」の下、著しい経済的発展を遂げてきており、2002年には8%の経済成長を達成しているが、一人当たりのGDP(国内総生産)は約911ドルと発展途上にある低中所得国であり、農業・農村問題、財政・金融問題、環境問題、国有企業改革、近年発展の目覚ましい沿海地方と内陸部との経済格差の解消といった多くの課題も抱えている。
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