エジプトの「バハルヨセフ灌漑用水路サコーラ堰改修計画(詳細設計)」に対する無償資金協力について
平成15年12月7日
- わが国政府は、エジプトにおける、「バハルヨセフ灌漑用水路サコーラ堰改修計画(詳細設計)」(the project for Rehabilitation and Improvement of Sakoula Regulator on Bahr Yusef Canal)に資することを目的として、9,600万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が12月7日(日)、エジプトの首都カイロにおいて、わが方浦部和好在エジプト大使と先方ファイザ・アブルナガ外務担当国務大臣(H.E. Mrs. Fayza ABOULNAGA, Minister of State for Foreign Affairs)との間で行われた。
- エジプトは、主食である小麦の自給率が約50%にとどまっており、その多くを輸入に頼っているが、現在、エジプトの人口は急増しているため、人口増加に見合う食 糧自給率の向上が急務となっている。しかしながら、年間降雨量が約5mm程度であること、ナイル協定によりナイル川の年間利用可能水量が555億立方メートルに限定されていること、砂漠が広がっており耕作可能面積が全土の約4%に過ぎないこと等が大きな制約となっている。
このような中、エジプト政府は、食糧自給率の改善のため、エジプト農業全体の約13%の灌漑に使用されているバハルヨセフ灌漑用水路の中流に位置するサコーラ堰の改修計画を進めるため「バハルヨセフ灌漑用水路サコーラ堰改修計画」を策定したが、同国の厳しい財政事情のため実施の見通しは立っていない。しかし、サコーラ堰は、建設後約100年を経て老朽化が著しいため堰の開閉が十分に行うことができず、本来の灌漑のための役目を十分に果たしていない。また、老朽化の進行による自然崩壊の恐れもあり、周辺農民・農地に多大な被害が及ぶことが予想されているため、同計画の実施は急務となっている。
このような状況の下、エジプト政府は、「バハルヨセフ灌漑用水路サコーラ堰改修計画」の詳細設計の実施のために必要な資金につきわが国に対し高い優先度を付し無償資金協力を要請してきたものであり、これは我が国のエジプトに対する援助重点分野、農業生産の拡大にも合致するため実施するものである。
- この計画の実施により、既存の堰が崩壊した際に想定される住民および農地への被害が未然に防止できるとともに、約3万4,70 0ヘクタールの農地に安定した水を供給することが可能となり、約53万人の農民の所得が向上し、これを通じて、エジプトの経済社会開発に貢献することが期待される。
(参考)ピラミッドに象徴される古代文明の発祥の地であるエジプトは、地中海東岸の北アフリカと中東にまたがって位置する人口約6,900万人の国である。国土の大半が砂漠であるが、ナイル川沿い及びナイル川デルタ地帯においては工業、農業が行われている。中東和平の推進やアフリカ開発問題等において積極的な役割を果たし、中東・アフリカを中心とした国際政治における重要な地位を占めている。
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