ネパールの「予防接種拡大支援計画」に対する無償資金協力について
平成15年10月16日
- わが国政府は、ネパール王国政府に対し、「予防接種拡大支援計画」(the project for Improvement of Expanded Program on Immunization)に資することを目的として、2億6,200万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が10月16日(木)、カトマンズにおいて、わが方鈴木一泉在ネパール臨時代理大使と先方バヌ・プラサド・アチャリア大蔵省事務次官(Mr. Bhanu Prasad Acharya, Secretary, Ministry of Finance, His Majesty's Government of Nepal)との間で行われた。
- ネパール政府は、1997年に今後の保健分野の指針となる「第二次長期保健計画」を策定するとともに、2001年には全国における予防接種計画に係る多年度行動計画を採択し、感染症の蔓延の予防と子供の健康を確保するため、「定期予防接種率90%以上の達成」、「2005年までのポリオ撲滅」、「妊産婦および新生児破傷風の罹患率減少(2005年までに1例/1,000人以下)」、「麻疹の制圧」、「B型肝炎ワクチンの導入」、「安全注射実施の推進」の6つを目標とする「予防接種拡大計画」(EPI)を推進している。
予防接種活動を効果的に実施するためには、ワクチンを保冷下において安全に移送・保管するコールドチェーンネットワーク(CCN)の構築が不可欠であり、ネパール政府は、ユニセフなどの協力の下、1980年代にCCNの整備を実施した。しかしながら、既に導入後20年近くを経過し、同国における人口の増加、対象ワクチンの追加等の事情により、既存の機材では対応が難しく、また、電力供給が不安定であるにも関わらず、代替電源となる発電機が普及していないことからCCNが十分機能していないため、効果的な予防接種が行えていない状況にある。
このような状況の下、ネパール政府は、「予防接種拡大支援計画」を策定し、ウォークイン冷蔵室、冷凍庫、冷蔵庫、クーラーボックス、発電機等全国レベルでのEPI活動の強化に必要なCCN用機材の新規導入および更新に必要な資金につき、わが国政府に無償資金協力を要請してきており、これはネパールに対するわが国の援助重点分野(母子保健をはじめとする基礎保健・医療の拡充)に合致するため実施することとしたものである。
- この計画の実施により、ネパール国内のCCNが強化され、EPI活動が円滑に実施されることにより、ポリオ、麻疹等感染症の蔓延の抑止が図られるとともに、ワクチンの定期予防接種率向上による乳幼児死亡率の低下に貢献することが期待される。
(参考)ネパール王国は約14万7,000平方kmの国土と約2,321万人の人口を有し、北はヒマラヤ山脈をはさんで中国と、南はタライ平原と呼ばれる東西に広がる平坦地でインドと国境を接する内陸国である。一人当たりのGDP(国内総生産)は約240ドルと発展段階の低い後発開発途上国であり、貧困削減が政府の最重要課題の一つである。
|