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報道発表


フィリピンの「指紋自動識別システム整備計画」ほか1件に対する無償資金協力について


平成15年6月30日


  1. わが国政府は、フィリピン共和国政府に対し、「指紋自動識別システム整備計画」および「人材育成奨学計画」の実施に資することを目的として、総額10億3,900万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、6月30日(月)、マニラにおいて、わが方高野幸二郎在フィリピン大使と先方ブラス・オプレ外務長官(Blas F. Ople, Secretary of Foreign Affairs)との間で行われた。

    (1) 「指紋自動識別システム整備計画」
    (the project for Establishment of the Automated Fingerprint Identification System)
    9億7,500万円
    (2) 「人材育成奨学計画」
    (the project for Human Resource Development Scholarship)
    6,400万円


  2. (1)「指紋自動識別システム整備計画」
     フィリピンでは、近年の経済活動の発展および国際化の進展に伴い、犯罪の多様化、凶悪化が進んでいる。このためフィリピン国家警察では、このような犯罪動向に対処するため科学犯罪捜査の強化を進めており、わが国も初動捜査や鑑識分野の技術協力を実施し、フィリピン国家警察の能力強化を支援してきている。現在、わが国を含む世界各国では、犯罪歴のある人物の指紋をデータベース化し、犯罪現場の遺留指紋との照合作業がコンピュータにより行われている。フィリピンにおいては、わが国技術協力の成果により、犯罪現場における指紋採取技術が向上し、犯罪者の指紋カードについても既に約21万枚が収集・保管されているが、現在はそれらの指紋カードと犯罪現場の遺留指紋を目視で確認しているため、指紋照合による被疑者特定は極めて困難であり、作業にも多くの時間を要し、収集された指紋が有効に活用されていない状況にある。このような状況の下、フィリピン政府は大量に保管されている犯罪者の指紋や被疑者の指紋と犯罪現場の遺留指紋とを自動で照合することにより、被疑者特定を迅速かつ効率的に行うことを目的として「指紋自動識別システム整備計画」を策定し、この計画のための指紋自動識別システムの整備に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。この計画の実施により、現在は目視により行われている指紋照合作業がコンピュータ化され、照合作業時間が短縮し、犯罪捜査効率が向上することが期待される。また、国際基準に準拠した機材が整備され、国際犯罪に対してもフィリピン政府が他国と協力して取り組むことが可能となる。この計画は、フィリピンで多発しているテロ事件の対策や捜査にも資するものであり、平成14年12月の日・フィリピン首脳会談後に発表した「平和と安定のためのミンダナオ支援パッケージ」の重点分野の一つである「平和構築、テロ対策に直接資する支援」の一環としても位置付けている。

    (2)「人材育成奨学計画」
     フィリピン政府は、「貧困に対する戦いに勝利する」ことを政策目標として掲げ、2001年には「新中期国家開発計画」(2001年から2004年)を作成し、市場経済の活用、自由化等の路線は継承しつつ、貧困削減と所得分配の改善により発展と成長を図ることとしている。また、同計画では、そのための手段として、農業近代化等を中心とする地方開発の加速化、教育、保健、福祉、住宅供給等の弱者に対する基本的社会サービスの提供、持続的インフラ開発、国際競争政策の推進、マクロ経済の安定確保およびガバナンスの向上を中心的課題として位置づけるとともに、フィリピンが持続可能な経済発展を達成するためには、開発計画策定を含む行政能力の強化、関係機関との相互調整能力の強化等、公共セクターのための人材育成を緊急の課題としている。このような状況の下、フィリピン政府は、経済、経営、公共政策の3分野における人材育成を図るため「人材育成奨学計画」を策定し、わが国政府に無償資金協力を要請してきたものである。なお、この計画は、フィリピンの将来を担う若手行政官等約20名を対象に、日本の大学院における学位取得を前提とした留学に対して経費を支援するものである。この計画の実施により育成される人材が、将来、各分野のリーダーとして、フィリピンが抱える諸課題の解決に貢献するとともに、今後の日・フィリピン両国間の友好関係の架け橋となることが期待される。


・ 経済協力局 無償資金協力課


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