モンゴルの「第二次鉄道線路基盤改修計画」ほか1件に対する無償資金協力について
平成15年6月23日
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わが国政府は、モンゴル国政府に対し、「第二次鉄道線路基盤改修計画」および「人材育成奨学計画」の実施に資することを目的として、総額7億2,600万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、6月23日(月)、ウランバートルにおいて、わが方当田達夫在モンゴル大使と先方ロブサン・エルデネチョローン外務大臣(Luvsan Erdenechuluun, Minister for Foreign Affairs)との間で行われた。
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「第二次鉄道線路基盤改修計画」(the project for Rehabilitation of Railway
Facilities(Phase II))
6億6,800万円
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「人材育成奨学計画」(the project for Human Resource Development
Scholarship)
5,800万円
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「第二次鉄道線路基盤改修計画」
内陸国であるモンゴルでは、鉄道が長距離国内輸送および国際輸送について重要な役割を果たしている。特に南北を縦貫しロシアと中国を結ぶスフバートルからザミンウードに至る幹線は、道路網整備が遅れていることもあり、モンゴルにおける幹線輸送機関としての役割を果たしている。
しかし、輸送事業を開始し50年を経過した現在、橋梁・盛土等の線路基盤施設は、本格的な修復工事がなされていないことに加え、厳寒な気象条件等の影響もあり、老朽化が著しく進行している。特に雪解け時期や雨季においては、自然河川の氾濫、線路横断排水路の容量不足による線路冠水、路盤の崩壊および落石等が恒常的に発生し、しばしば列車の運休を余儀なくされ、国民生活を支える物流の確保が困難となり、モンゴル経済に大きな影響を与えている。
このような状況の下、モンゴル政府は「第二次鉄道線路基盤改修計画」を策定し、この計画のための改修工事および機材の調達に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
この計画の実施により、モンゴル鉄道の北部区間の計30カ所において落石防護対策、河川護岸整備、鉄道横断排水溝増強等の工事が実施され、安定的な物流の確保や鉄道沿線に居住する約100万人の安全かつ確実な輸送が確保されることが期待される。また、鉄道線路基盤の改修に必要となる機材が整備されることにより、今後はモンゴル側で改修工事が可能となる。
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「人材育成奨学計画」
モンゴルでは、1991年のソビエト連邦の崩壊以降、市場経済化、近代化等への対応が急務であり、市場経済化に資する人材育成が喫緊の重要課題となっている。このためモンゴル政府は、教育を国家発展の基礎と位置付け、2000年から2005年までの教育戦略計画を策定しており、この計画の中心として、教育行政の強化、高等・専門教育における市場経済への適応化等をあげている。しかしながら、政府職員、国営企業などで指導的立場にある者の多くは十分な市場経済の教育を受けていないことから、近年の市場経済化、近代化等に向けた適切かつ円滑な対応が十分に行えない状況にある。
このような状況の下、モンゴル政府は、人材育成における留学制度の果たす重要な役割に鑑み、「人材育成奨学計画」を策定し、この計画のための現地における事前教育等の資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
なお、この計画は、モンゴルの将来を担う若手行政官等約20名を対象に、日本の大学院における学位取得を前提とした留学に対して経費を支援するものである。
この計画の実施により育成される人材が、将来、各分野のリーダーとして、モンゴルの抱える諸課題の解決に貢献するとともに、今後の日・モンゴル両国間の友好関係の架け橋となることが期待される。
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