フィリピンの「麻疹抑制計画」に対する無償資金協力について
平成15年3月28日
- わが国政府は、フィリピン共和国政府に対し、「麻疹抑制計画」(the project for Measles Control)の実施に資することを目的として、8億8,100万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、3月28日(金)、マニラにおいて、わが方高野幸二郎在フィリピン大使と先方ブラス・F・オプレ外務長官(Blas F. Ople, Secretary of Foreign Affairs)との間で行われた。
- フィリピンにおいて、麻疹は子供の死亡の主要因の一つであり、感染後数カ月にわたり栄養状態の悪化や免疫低下等の併発症を引き起こすことから、世界保健機関(WHO)も麻疹抑制を推進している。このため、同国政府は1998年から10年間で麻疹を撲滅するための戦略を策定し、1998年には生後9ヵ月から14歳までの約2,800万人に対し、麻疹の予防接種を行うキャッチアップ・キャンペーンを実施した。その後も定期予防接種を行う等、麻疹の撲滅に向けた努力を行っている。
しかしながら、1998年のキャンペーンから既に5年が経過し、予防接種を受けず麻疹に対する免疫を持たない子供が年々増加しているため、麻疹の罹患数・死亡数は再び増加傾向にあり、緊急的に予防接種の機会を与えない場合には、麻疹が大流行し、多くの子供の命が奪われることも懸念される状況にある。
このような状況の下、フィリピン政府は麻疹による罹患数・死亡数が高い生後9ヵ月から8歳未満の子供たちを対象として、緊急に麻疹ワクチンの接種を行うフォローアップ・キャンペーンとして「麻疹抑制計画」を策定し、この計画のための麻疹ワクチン、注射器等の調達に必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
- この計画の実施により、生後9ヵ月から8歳未満の子供たち約1,800万人に対し、麻疹のワクチン接種が実施され、麻疹の大流行を未然に防ぐことが可能となり、罹患数・死亡数の低下が期待される。
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