中国の「漢江洪水予警報機材整備計画」他1件に対する無償資金協力について
平成15年3月13日
1. |
わが国政府は、中華人民共和国政府に対し、「漢江洪水予警報機材整備計画」および「第2次黄河中流域保全林造成計画」のため、総額7億900万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、3月13日(木)、北京において、わが方阿南惟茂在中国大使と先方龍永図対外貿易経済合作部副部長(Long Yongtu, Vice Minister, Ministry of Foreign Trade and Economic Cooperation)との間で行われた。
(1) |
「漢江洪水予警報機材整備計画」(The project for Improvement of Equipment for the Flood Control System of the Hanjiang River)
供与限度額 5億3,000万円
|
(2) |
「第二次黄河中流域保全林造成計画」(The project for Afforestation for Conservation of Middle Stream of Huang He(Phase II))
供与限度額 1億7,900万円
|
|
2. |
(1) |
「漢江洪水予警報機材整備計画」
漢江は長江の最も大きな支川として、湖北省を通過する中下流域は全長652キロメートル、流域面積は6万3,800平方キロメートルに及ぶ、中国有数の農作物生産拠点である江漢平野を潤し、重要な工業中心地である武漢において長江と合流しているが、この流域は、下流に行くに従い川幅が狭くなっているとともに、長江の洪水の影響も受けるため、1998年8月には経済損失44億7,000万元、被害耕地78万ヘクタール、被災人口770万人、死者65人など被害が発生している。
このため中国政府は、洪水被害を最小限に食い止めるために、雨量、河川流量・水位等の情報を収集して洪水予測を行い、収集した情報を速やかに人口が密集する下流域に伝達し、避難を促すための整備を進めているが、現在の洪水予警報システムでは、手動による水文情報観測情報を郵便局の一般用電報を用いて下流域に伝達するという手法を用いているため、有効な避難警報を下流域住民に伝達できていない状況にある。
このような状況の下、中国政府は漢江の洪水予警報システムを近代化し、同地域の洪水被害を最小限に食い止めるため「漢江洪水予警報機材整備計画」を策定し、この計画にかかる資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
この計画の実施により、迅速かつ的確な洪水予測と避難警報の発令が可能となり、洪水想定氾濫区域113万ヘクタール内に住む740万人の人々の被災が軽減されるとともに、中国における広範な洪水被害防御技術の発展のモデルとなることが期待される。
|
(2) |
「第二次黄河中流域保全林造成計画」
中国には1億6,000万ヘクタールの砂漠を含む約2億6,000万ヘクタールの荒廃地がるが、中でも黄土高原を中心とした黄河中流域では4,300万ヘクタールにもおよぶ荒廃地が広がっており、土砂流出、風蝕等による農業生産の低下、農地の縮小などの被害が拡大しているほか、流域の荒廃は下流域にも影響をおよぼしており、夏季の集中豪雨による洪水、冬季の少雨による流下水の消滅等の被害が発生している。
このため中国政府は、1978年から中国内陸中西部および北部の植林を行う「三北防護林造成計画」を実施し、国土緑化、地域の生活環境の改善に努力しているが、同国の広大な荒廃地に広がる貧困地域においては、計画どおりに植林活動が進んでいない状況にある。
このような状況の下、中国政府は山西省における荒廃地緑化のため「第2次黄河中流域保全林造成計画」を策定し、保全林の造成等に必要な資金につきわが国政府に対し、無償資金協力を要請してきたものである。
この計画の実施により、荒廃地の復旧、農地、草地、家屋、道路等の保全、生活環境の向上、森林の造成維持管理技術の向上、現地住民への植林技術の普及、ならびに黄砂の飛散防止が期待される。
なお、第一次計画として、寧夏回族自治区における植林が現在実施されている。
|
|
|