ミャンマーの「中央乾燥地植林計画」ほか1件に対する無償資金協力について
平成14年9月30日
- わが国政府は、ミャンマー連邦政府に対し、「中央乾燥地植林計画」および「人材育成奨学計画」の実施に資することを目的として、総額7億4,600万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が9月30日(月)、ヤンゴンにおいて、わが方宮本雄二在ミャンマー大使と先方ソー・ター国家計画経済開発大臣(H.E.U Soe Tha, Minister for National Planning and Economic Development)との間で行われた。
(1) |
「中央乾燥地植林計画」(the Project for Afforestation in Central Dry
Zone) |
:4億8,000万円 |
(2) |
「人材育成奨学計画」(the Project For Human Resourse Development
Scholarship) |
:2億6,600万円 |
- (1)「中央乾燥地植林計画」
ミャンマーの中央乾燥地には全人口の約3分の1が居住しており、人口の増加に伴う薪炭材の過伐採を原因として森林が著しく減少している。また、同地域は平均降雨量が年間500mmから600mm程度と乾燥が著しく、一度失われた森林が自然に回復することは難しい状況にある。
このため、ミャンマー政府は中央乾燥地における緑化を推進するため、1997年に林業省の中に乾燥地緑化局を創設するとともに、「乾燥地緑化5ヵ年計画」を策定し、5年間で約4万2,000ヘクタールの植林を行うことを目標としている。しかしながら、これまで中央乾燥地において植林が行われてきた地域は技術的に植林が容易な地域にとどまっており、乾燥が著しく、緊急度の高い地域における植林は技術および資金の不足により非常に限られた面積の試験造林に留まっている。
このような状況の下、ミャンマー政府は、厳しい自然環境の中で植林事業を拡張するためのモデル森林の造成および植林に必要な施設の建設、並びに住民の植林に対する意識啓蒙を目的とした「中央乾燥地植林計画」を策定し、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
この計画の実施により、ミャンマーの中央乾燥地の造林対象地である約2,000ヘクタールに、保護林、薪炭林、共有林、放牧林等のモデル森林が造成されることとなり、対象地域の土砂流出量が減少し、地域の環境保全が図られるほか、住民への普及啓蒙活動技術移転をおこなうことによる今後のミャンマー国自身による森林造成活動が推進されることが期待される。
(2)「人材育成奨学計画」
ミャンマーでは1996年から2000年7月まで大学が政府によって全面的に閉鎖される等、将来同国でリーダーシップを発揮できる優秀な行政官・企業家等の人材を育成するには困難な状況にある。また、社会主義体制が長かったため、現在進行しつつある市場経済化に対応すべき知識を有する人材も限られているほか、大学教官についても全体的な教員不足が指摘されており、かつて欧米で学んだ世代と海外で学ぶチャンスが少なかった中堅・若手との世代間格差も問題となっている。
このような状況の下、ミャンマー政府は、人材育成における留学制度の果たす重要な役割に鑑み、「人材育成奨学計画」を策定し、この計画のための現地における事前教育、渡航費、滞在費、学費等の資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
わが国は、こうしたミャンマー政府の要請に対し、一般無償資金協力の枠内で導入されている留学生支援無償により支援を行うものである。これにより、既に日本に留学しているミャンマー人約20名および来年度新たに日本に留学する約20名の学生が支援を受けることになる。
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