南アフリカの「東ケープ州地方村落給水計画」に対する無償資金協力について
平成14年9月10日
- わが国政府は、南アフリカ共和国政府に対し、「東ケープ州地方村落給水計画」(the Project for Rural Water Supply in the Eastern Cape Province) の実施に資することを目的として、6億3,000万円を限度とする額の無償資金協力を行うこととし、このための書簡の交換が、9月10日、ケープタウンにおいて、わが方榎泰邦在南アフリカ大使と先方ロニー・カスリル水資源森林大臣(Mr. Ronnie Kasrils, Minister of Water Affairs and Forestries)との間で行われた。
- 南アフリカでは、かつて「アパルトヘイト(人種隔離)」に基づく人種差別政策が行われており、1994年の全人種参加の民主的選挙によるマンデラ政権の成立後、人種間の社会的・経済的格差を縮小するための様々な取り組みが実施されているが、旧ホームランドをはじめとする黒人居住地域では社会資本整備が極めて遅れており、特に給水分野においては、白人層の給水率がほぼ100%であるのに対し、黒人層の約40%が満足な給水サービスを受けていない状況にある。
なかでも東ケープ州は、最大規模の旧ホームランドを含む、南アフリカでも最貧困州の1つであり、州人口の約61%は給水状況が国家基準を満たしておらず、給水施設の建設は急務となっている。
このような状況の下、南アフリカ政府は、東ケープ州の中でも、最も開発が遅れたオーアールタンボ地区において「東ケープ地方村落給水計画」を策定し、この計画のために必要な資金につき、わが国政府に対し無償資金協力を要請してきたものである。
- この計画の実施により、オーアールタンボ地区において給水施設が建設され、住民に対し安全な水が安定して供給されることで、住民の衛生環境及び生活環境が改善される。これにより黒人貧困層の生活水準が向上することで、南アフリカにおける人種間格差の是正が期待される。
(参考)
ホームランドとは、旧白人体制下におけるアパルトヘイト政策に基づく黒人自治地域のこと。1994年の南ア民主化時に4つの独立ホームランドと6つの自治ホームランドがあった。(総面積は南アフリカ全土の13%)
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