事務次官会見記録 (平成17年2月28日(月) 17:00~ 於:本省会見室)
パレスチナ自治政府の強化に関するロンドン会合
(事務次官)中東和平について申し上げます。明日3月1日、ロンドンにおいてパレスチナ自治政府の強化に関する国際会議が開催されます。本件会合は、現在、中東和平プロセスを前進させる歴史的機会が生じている中で、ブレア英国首相の強いイニシアティブの下、アッバース・パレスチナ自治政府長官の和平努力を支援するための国際社会による支援を結集するために開催されるものです。各国からの出席者ですが、我が国からは逢沢副大臣が出席されますが、アッバース・パレスチナ自治政府長官が出席する他、ライス米国務長官、それからソラナEU・CFSP上級代表、アナン国連事務総長、それからアラブ諸国の外務大臣等が出席する予定です。なおイスラエルは出席致しません。この会合で我が国は、6000万ドルの対パレスチナ追加支援を含めた我が国の取り組みを紹介しつつ、国際社会が一致して、パレスチナ自身による改革努力を早急かつ目に見える形で支援することが重要であるという点を主張する予定です。
(問)イスラエルとパレスチナの合意にもかかわらず戦闘状態は続いており、且つイスラエルが一時決めたパレスチナからの引き上げも実行されない見通しになってきていますが、日本としてどういう対応を取っていくのでしょうか。
(事務次官)イスラエル、パレスチナ両方の間で、特に2月8日の首脳レベルでの会合で成立した盛り上がり、モメンタムといったものを維持し、中東和平のプロセスが進むことを我々としては希望しているわけです。確かに、テル・アビブで事件が起きたりしましたが、我々としてはそういったものを乗り越えて、イスラエルとパレスチナ双方の間で中東和平の努力がこれからも行われるように、また国際社会が今述べた国際会議の成功などを通じて、そういった真面目な努力を支援していきたいと思っています。いろいろなことがこれからもあるかもしれませんが、中東和平を達成するという大きな目標に向かって、両当事者間は勿論ですが、国際社会も大いに努力していかなければならないと思っています。
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六者協議
(問)週末に日米韓そして日中の間で、六者協議の再開に向けての動きがありましたが、成果はあったと思いますか。
(事務次官)2月10日の北朝鮮側による態度の表明があって以降、日米韓でもそれぞれ政府内でこれからどうするかを考えていたわけですが、週末に、六者協議の日米韓の首席代表が集まって、無条件且つ早急に六者協議を再開すべしということを呼びかけようと足並みを揃えて、その態度を明らかにしたことは大変有意義だったと思っています。また、それぞれの国の立場というものをお互いに話し合い、その辺りの相互理解を深め、従来からの日米韓の協調、統一された立場はこれからも維持されるということが明らかになったと理解しています。
(問)日本政府として早期再開に向けて、どういう点で取り組んでいくかということについてのお考えをお聞かせください。
(事務次官)これは日米韓がきちっと歩調を揃えるということが一つ大事なことであり、これは達成できたわけです。また中国に対して、中国は北朝鮮が六者協議の場に出て来るように従来以上に強く働きかけてもらいたいということも確認されたわけです。日米韓の後に佐々江局長も中国に行き、日米韓の協議の内容を紹介すると同時に、そういった働きかけについての申し入れも行いました。中国のこれからの態度は非常に大きな意味をますます持ってくるのだろうと理解しています。
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船舶油濁損害賠償保障法
(問)明日、船舶油濁損害賠償保障法が施行されますが、これは北朝鮮に対する経済制裁というような効果があるとお考えですか。
(事務次官)この問題は本来法律に基づいて取られる措置であり、且つまた北朝鮮だけを対象にしたものではありません。日本の近海、あるいは日本の海において、油濁が起こらないようにするために、あるいは起こった場合に、その被害について適切な対処が取れるように保険に入っていてもらうということであり、これは北朝鮮も含めて他の国についても同じことであり、制裁であるとは考えていません。法の適正執行の問題であると考えています。
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事務次官会見記録 (平成17年2月21日(月) 17:14~ 於:本省会見室)
「2+2」及び日米外相会談
(事務次官)最初に「2+2」と日米外相会談について申し上げます。今回の日米安全保障協議委員会、いわゆる「2+2」、及び日米外相会談では、北東アジアの安全保障環境やイラク、アフガニスタン、中東和平問題等幅広く議論を行いました。日米両国が緊密に協力して、世界の中の日米同盟という役割をしっかり果たしていくことで合意をみたところです。また、「2+2」においては、次の3点が有意義であったと認識しています。まず第一に、日米同盟関係が日米両国の安全と繁栄にとって重要であり、そして地域及び世界の平和と繁栄を高める上で極めて重要であることを確認しました。第二に、これまでの日米外務・防衛両当局間の協議の成果として、日米間の共通の戦略目標を共同発表において確認すると共に、今後、自衛隊と米軍との役割・任務・能力、相互運用性に係る検討を進めることを確認しました。さらに、抑止力を維持しつつ沖縄を含む地元の負担を軽減するとの観点から、在日米軍の兵力構成見直しにかかわる協議を強化していくことを確認しました。第三に、在日米軍の安定的な駐留のためには、日米地位協定の運用改善及びSACO最終報告の着実な実施が重要であることを確認しました。
(問)「2+2」、特に共通戦略目標について、周辺の韓国、中国等に対する説明を行う予定はありますか。どういうレベルで。
(事務次官)この点については既に内々には話をしています。
(問)大使館ルートででしょうか。
(事務次官)ルートは聞いていませんが、少なくとも中国、韓国には説明はしたと聞いています。
(問)今後の協議ですが、結論を出す時期について数ヶ月後とも言われているようですが、次官としてはどれくらいの時期を目処にお考えですか。
(事務次官)大臣は記者会見で数ヶ月と述べています。数ヶ月という間の中で議論を加速化していきたいということを述べているわけですが、これから事務的な話し合いを精力的に進めていきますが、具体的に何ヶ月という目処を置いているわけではありません。
(問)これについては、個別の基地の再編案まで含めて最終的な合意に果たして数ヶ月で達せられるのか、大臣が言われるように、一年はかけていられないという話なのか、見通しはお持ちですか。
(事務次官)両方ではないでしょうか。大臣は、一年、あるいは二年、三年かける話ではないということも述べていると思います。他方、目標としては数ヶ月だということですが、今、私が述べたように、事務方としてもこの点をきちんと責任を持って精力的に議論していかなければいけないと思いますが、その数ヶ月なるものは、今述べたように、具体的な時期として決まっているわけではないので、それを守った守らないという話ではないということです。
(問)戦略目標の中に台湾海峡の問題が含まれていて、中国側は反発を見せているのですが、先ほど次官は中国側にも説明したと述べられましたが、どのように説明されて、先方の反応はどうだったのかをお聞かせください。
(事務次官)どういうやり取りであったかというのは差し控えますが、いずれにしても共同発表もあるわけですから、それはどのような趣旨であるということをこちらから説明したということです。
(問)それで理解は得られたのですか。
(事務次官)反発をしているわけでしょうから、少なくとも日本は、あるいは日米両国は、こういう考えであるということは理解されていると思います。しかし、その通りですね、ということではないわけです。
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脱北者問題
(問)北朝鮮の脱北者に関する問題ですが、先月の下旬に北京の日本人学校に脱北者8名が駆け込んで1ヶ月たち、去年の秋から、かれこれ40人余りが大使館に留め置かれて半数くらいは出国させているかと思いますが、現状はどうなっているのでしょうか。
(事務次官)脱北者の方まだ大使館の中で生活というか、出国を待っているわけです。他方、今、何人滞在しているとか、あるいは何人、いつ出国したということは、いちいち外には明らかにしないということにしております。それはなぜかと言いますと、海外における、基本的には中国だと思いますが、日本と同じような立場にある在外公館はそもそも、今、大使館に何人いるとか、何人出国したかということは、事実として従来から明らかにしていなかったわけです。それは、その関係国に及ぼしうる影響、及び大使館に今何人いるから、何人さらに滞在することもできるというような今後の行動を誘発することもありえますので、そういったことも考えて、具体的な数字を申し上げることは差し控えたいと思っています。他方、我々としては、あくまでも脱北者の方々は、人道的観点から、色々な国とも話し合い、こういった方々の今後については考える必要があると思っています。
(問)昨年の12月始めくらいまでですね、15人出国させましたとかいう発表がありましたが、外務省として方針を変えたということでしょうか。
(事務次官)そう考えていただいて結構です。
(問)いつからでしょうか?
(事務次官)今年に入ってからと考えていただきたいと思います。
(問)今、与党内で北朝鮮人権法案といった動きがでているのですが、そうしたことへの対応というのは、今回の判断への影響はあったのでしょうか。
(事務次官)そういうことではありません。現地の事情を踏まえて考えたということです。
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中国の王家瑞対外連絡部長の訪朝
(問)先週末から中国の王家瑞対外連絡部長が平壌を訪問されていますが、意義とか現状での見通しなどをお願いします。
(事務次官)これは広い意味では朝鮮半島の非核化、それとの関連で六者協議を出来るだけ早く開催するということが重要であり、米国、韓国、日本もそうですが、最も影響力のある中国が働きかけていただきたいということは強く伝えてあります。今回の王家瑞対外連絡部長には、それを踏まえて、今回北朝鮮でそういった働きかけを行っていただいていると理解しています。ただし、まだ帰国されていませんので、まだ話も聞いていません。どういうやり取りになるのか、またどういう成果になるのかは、これからお聞きすることだと思います。
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EUの対中武器輸出解除
(問)EUの対中武器輸出解除の問題ですが、今ブッシュ大統領がヨーロッパを訪問しており、焦点のひとつとなると思うのですが、改めてこの問題に対する日本政府の考えと今後の影響などについてお聞かせください。
(事務次官)EUの対中武器禁輸というのは、天安門事件以降の制裁として採られているわけであり、それを今解除するということがどういうことを意味するのか、我々としてはそれが中国の軍事力の強化ということで、このアジアにおける平和と安定ということから見て問題があるということで、反対の立場を取っているわけです。そのことはEU側にもいろいろなルートを通じて、大臣レベルでもそうですが、申し入れているところです。
(問)米国との連携は。
(事務次官)米国とも随分その点は話し合っています。米国と日本との間で考え方は一致していると理解しています。
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事務次官会見記録 (平成17年2月14日(月)17:05~ 於:本省会見室)
イラク国民議会選挙
(事務次官)2月13日、イラク独立選挙管理委員会は、1月30日に行われたイラク国民議会選挙の暫定結果を発表しました。我が国は、この国民議会選挙はイラクの民主化に向けた重要な一歩であると考えています。いろいろな困難があったにもかかわらず結果発表にこぎつけた同委員会の努力、また、選挙実施に向けた暫定政府の努力、投票所に足を運んだイラク国民の熱意に改めて敬意を表します。結果については、投票率は58%、1位はシーア派政党連合「イラク統一連合」、2位は、「クルド同盟リスト」、3位は、シーア派でアッラーウィー首相率いる「イラク・リスト」となっています。我が国は、今回の国民議会選挙実施に向け、選挙支援として4,000万ドルを国連に拠出した他、独立選挙管理委員会の職員の研修を実施しました。また、ヨルダン等8ヶ国において、各国の日本大使館館員による在外選挙の監視を実施してきたところであり、今回のイラク国民議会選挙が基本的に成功裏に行われたことを喜んでいます。
(問)今後の政治プロセスの進行について、日本としてどういう協力の方法があるか、お考えがありますか。
(事務次官)これから憲法の草案作りが8月15日までに行われ、それについての国民投票が10月15日までに行われます。それを踏まえて、新しい議会選挙が12月15日までに行われるという政治プロセスが想定されています。我が国としては、例えば憲法の問題については、そういったいろいろな起草作業を行う人達、あるいは事務当局の人達に対して、例えば日本国内で研修という形で協力することも可能だろうと思います。これは先方の希望があればということですが、そういったことも行う気持ちはあります。また、国民投票となると、いろいろと選挙のやり方等々について、私どもとして協力できることがあると思いますので、これについても、例えば研修とかその他の形で協力することはあるかと思っています。いずれにしても、イラクの人達が政治プロセスを民主化という方向に向けて、これから更に努力されるわけであり、国際社会全体としてそういった動きを支持していき、日本もその一環としてそれに参加していくことが大事だろうと思っています。
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日朝関係
(問)北朝鮮が先週、六者協議中断の声明を出しましたが、これについての受けとめ方と対応について次官の考え方はいかがですか。
(事務次官)六者協議に参加している国を含めて、EUその他の国々も、六者協議の早期の開催を去年の夏以降、皆思ってきたわけであり、いろいろ事情はありましたが、北朝鮮も参加するのではないかという期待があったところ、無期限に中断するということを明らかにしたわけであり、我々としては極めて遺憾であると思っています。我々としては、この核、ミサイルの問題というのは、六者協議という枠組みの中で大いに議論し、何とか解決していかなくてはいけないと思っています。また、北朝鮮も対話と交渉を通じて解決を図るという原則的立場と、非核化を図るという基本原則は変わっていないということであることから、できるだけ早くこの六者協議に復帰することを、我々としては望んでいます。またそのためには、この六者協議に参加している他の国々とも十分連絡を取り合いながら、北朝鮮に早期の復帰、参加を働きかけていきたいと思っています。
(問)先ほどの衆議院予算委員会で町村外相が、日米韓の閣僚レベルの協議をしたいと述べたのですが、政府としてそういった準備を進められているのですか。
(事務次官)私共としては、考え方として、日米韓の代表者の協議、あるいは閣僚レベルの協議も行い、日米韓の団結、連携というものをきちんととっていくということが基本であると思っています。更に、北朝鮮をこの六者協議の場に復帰、参加させるためには、中国の役割には非常に大きいものがあると思いますので、中国とも更に話し合って行く必要があると思っています。
(問)北朝鮮が核保有を宣言したことで、平壌宣言の有効性がなくなってくるという主張も野党などから出ているのですが、これに対する見解は。
(事務次官)今回の北朝鮮の、言ってみれば核保有宣言というものは、この平壌宣言との関係では非常に大きな問題であると我々は思っています。それと同時に、我々としてはこの平壌宣言というものを守って、これを履行することが大事なので、直ちにそれに戻り且つ履行するという態度に、北朝鮮が早く誠意を持った対応を示すということが大事であろうと、今の時点では考えています。
(問)横田めぐみさんの遺骨とされるものを受け取る際に、藪中前アジア大洋州局長が書いたと言われるメモと言われるものを入手したのですが、それによると、めぐみさんの「遺骸」を直接受け取った旨と公表しないこととするという旨が書いてあり、アジア大洋州局長の肩書きで署名されているのですが、そうしたことについて改めて感想をお願いします。肩書きがわざわざ記入されていること、「遺骸」という表現をされていることについてどのような感想をお持ちですか。
(事務次官)「遺骸」という言葉が使われたということは承知していませんでしたが、いずれにしても藪中前局長はこの拉致事件に関する真相を解明するという大きな目的を持ちつつ対応したわけであると理解しています。そもそも、この遺骨はご遺族に渡してください、また、それは公表しないでくださいと、こういった拉致事件を行った国が言うこと自体が如何かなと思いますが、藪中局長はあくまでも真相を解明するという観点から先方の要求に応じて、そういうものを書かれたのであろうと思っています。これは、そういうものを書かなければそもそも渡さないと言われたようです。しかし、それと同時に平壌に滞在中に藪中局長からは、これは御家族に勿論渡すけれども、場合によっては公表することはあり得るということを言い、これに対して北朝鮮側は異議を唱えなかったという経緯があります。その点は既に杉浦副長官からも説明した点ですが、そういった経緯の下で、今そのような文書がどういう形で出てきたのか承知しませんが、そういったことがあったこと自体が、やむを得なかったことではないかと思っています。
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事務次官会見記録 (平成17年2月7日(月)17:05~ 於:本省会見室)
日朝関係(サッカーワールドカップ北朝鮮代表来日・北朝鮮への経済制裁)
(問)今日の午後、サッカーワールドカップ北朝鮮代表が来日しました。スポーツの世界とはいえ、試合の雰囲気によっては日朝関係に影響を及ぼす可能性があるのですが、どのようにお考えですか。
(事務次官)スポーツマンシップに則って、正々堂々と全力を尽くして頑張っていただければと思っています。また、サポーターの皆様もスポーツマン精神で同じように応援していただければと思います。
(問)同じサッカーでも、昨年の中国でのアジアカップの際は、日本人サポーターへの野次等が問題視されたのですが。
(事務次官)日本のサポーターは、日韓共催のワールドカップの時も非常にフェアに応援していましたので、中国で見られたようなことは日本では起こらないと信じています。
(問)自民党の安倍幹事長代理が北朝鮮への経済制裁について、月内に制裁するという方針を発表されたことについてどうお考えですか。
(事務次官)安倍幹事長代理は政治家として、従来からの長い経験に基づく見識に基づいたご発言だろうと思っています。私共も北朝鮮の拉致問題に対する取り組み方について、どのように対応すべきか今真剣に検討しているところであり、具体的に今、次にこういう手を打つということを決めているわけではありません。ただ以前から述べているように、北朝鮮側の対応如何によっては、厳しい対応を取ることもあり得るという考えの下で、今考えているわけです。
(問)北朝鮮は日本の鑑定結果を非難しているわけですが、これに科学的に反論する準備や目処は。
(事務次官)別に目処が立っているわけではありませんが、これは関係各省庁において、所謂「備忘録」というものについて、十分科学的なあるいは専門的な見地から精査しており、やがてきちんとした形で反論はするつもりです。結論は非常にはっきりしているのですが。しかし、個々の様々な点について、先方が言っていることには我々として納得し得ないことがほとんどですから、それらについて反論しようと思っています。
(問)「NATURE」という科学雑誌の最近の号に、その鑑定をした吉井教授に取材した記事が載っており、その話によると、吉井教授は実験途中に油分や汗等が入ってしまう可能性は否定できないという趣旨の発言や、実験によって、ミトコンドリア、DNA分を取り去ったので、更に検証する分は残っていないと言っていますが、こうしたことは政府としても知っているのでしょうか。
(事務次官)その部分を把握している人は当然政府内にはいるのだろうと思いますが、結論として言えば、横田めぐみさんの遺骨といわれるものは、全く別の二人のものであるということは、吉井教授だと思いますが、明らかにされたわけです。そのことについては、今言われたような難しい問題はあるのかもしれませんが、そこは日本の最高権威として、明確な結論を出されたと理解しています。
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日中関係(次官級戦略対話、大臣の訪中)
(問)日中関係ですが、中国側から次官級の戦略対話の要請があったようですが、これに対して日本側としてどのように応じるのでしょうか。
(事務次官)これは去年の秋頃から、中国側から次官同士の対話をしたらどうかという話があったようであり、私もそのような考え方はいいのではないかと思っています。私は、中国との間では、トップから実務者に至るまでありとあらゆるチャンネルを通じての対話と協議というものを更にしていく必要があると考えており、特に、双方の誤解があることについては是非解消していかないといけないと思います。立場の違うことについては、違うということを正確に理解した上で、どう対応するかということをこれまた一緒になって議論していくべきだと思っています。そういう意味で、次官レベルでの対話、この対話をどのように称するかは別ですが、実施することは必要だと思っています。
(問)時期の目処は立っているのですか。また戦略対話というのは日米間で行っていますが、中国でやるとしたら、どういうものをイメージされるのでしょうか。
(事務次官)外交的に日中間で双方の関心事項は何でも取り上げるべきではないかと思っています。また、タイミングについてはなるべく早くすればどうかと思っています。タイミングの調整はこれから始めるところですが、できるだけ早く、別途アジア局長協議や外務大臣の訪中ということも検討の中に入っていますので、そういった流れの中でどう調整していくかがこれからの課題だと思っています。
(問)大臣訪中の具体的な話は。
(事務次官)これもまだ決まっていません。これも早い段階で行われることが望ましいのではないかと私は思っています。
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日露関係(北方領土返還要求全国大会、総理のロシア訪問)
(問)今日は「北方領土の日」で全国大会が開かれました。ただし、ロシアと日本の立場には大きな溝がありますが、今後どのようにこの溝を埋めていく考えですか。
(事務次官)1月の中旬に大臣が訪露し、いろいろと今後のスケジュール等が話し合われました。今後、貿易経済日露政府間委員会も、今月中だったと思いますが、開催され、また、ラブロフ外相が3月前半に訪日されるというプロセスがあり、そのような流れの中で、プーチン大統領の訪日が春頃実現すればいいなと思っています。その際に北方領土問題については、御指摘のように、日露両国間で立場の違いがあり、この立場の違いにどのように橋を架けていくのか、事務当局としても双方の意見交換を通じて考えていかなくてはならないと思っています。このように橋が架かりましたといえる段階には至っていないことは残念ですが、まだ時間がありますので精力的に協議を続けていきたいと思っています。
(問)外務大臣の挨拶の中で、必要があれば首相の訪露もと言われたのですが、これについてどのようにお考えですか。
(事務次官)日露間で物事を推進していくのであれば、もちろん今はプーチン大統領に訪日して頂きたいということで、これは去年から話を進めていることですが、これはこれで実現し、その上で更に総理に行って頂くという場面が物事を前進させる上で有益であるという見通しがあるのであれば、これはこれで、むしろお願いしなければならないと思っています。
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スーダンPKOへの参加
(問)昨日、逢沢副大臣がスーダンのPKOに関し、昨年末にスーダン訪問した知見に基づいてPKOに参加しない選択はないと発言していましたが、これについてはどうお考えですか。
(事務次官)逢沢副大臣は実際に現地を見て来られました。(スーダンでは)20年以上にわたる厳しい内戦が続いてきてようやく和平合意が成立し、近くPKOについても安保理決議が出るだろうと予測されている状況です。副大臣としては、自ら見て来られた経験からしても何らかの形で貢献すべきではないかと述べられたのではないかと思います。安保理決議でPKOがどういう機能を権限として与えられるのか、またその内容如何によって日本としてはどこまで貢献することがあり得るのか、日本としてはむいていないという内容になれば、残念ながらそれは出来ないということになるのでしょうが、こういったものも見極めてPKOの参加問題については、これから検討していくという段階だろうと思います。
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