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記者会見

事務次官会見記録(平成16年9月)


INDEX


・ 事務次官会見記録(9月27日付)
 ・ 内閣改造
 ・ 川口前外務大臣の総理大臣補佐官就任
 ・ 日朝実務者協議


・ 事務次官会見記録(9月13日付)
 ・ 北朝鮮における大規模爆発
 ・ 六者会合開催の見通し
 ・ 日米地位協定
 ・ 新在京中国大使の表敬
 ・ 拉致問題
 ・ BSE問題


・ 事務次官会見記録(9月6日付)
 ・ 第2回対中東文化交流・対話ミッションの派遣
 ・ 普天間における米軍ヘリ墜落事件
 ・ 李登輝前総統の訪日
 ・ 脱北者駆け込み事案
 ・ 在ギリシャ日本大使館入居ビルへの爆破予告
 ・ 北オセチア共和国学校占拠事件




事務次官会見記録 (平成16年9月27日(月)17:10~ 於:会見室)

・内閣改造

(問)外務大臣が町村外務大臣になりましたが、それについての感想を聞かせてください。

(事務次官)まず、川口前外務大臣におかれては大変な業績を残されました。外務省改革について本当に陣頭指揮され、日本の外務省を立て直すといいますか、改革に邁進されました。それと共にいろいろな国際社会が抱えている問題について、日本が先頭に立って能動的に外交を行うという姿勢を自ら全エネルギーを傾注して努められたと思います。更に川口前大臣のモットーとしている「国民と共にある外交」ということで、何度も週末を使ってタウンミーティングを行われたり、いろいろなご努力、ご指導のお陰で、外務省省員の緊張感、志気、そういうものが非常に高いものとなっていると思います。そういう状況で新しい町村大臣をお迎えします。ご承知の通り、町村外務大臣は、平成10年から平成11年の秋まで、外務政務次官を務められましたので、我々としては、もう一度お帰り頂くというような気持ちも持っています。省内のことについては、よくご存知でおられ、また、先程の記者会見を拝見しましたが、能動的、積極的な外交を行うということを述べておられました。我々としては、誠に人を得たという感じを省内では持っていると感じられます。今の国際社会において本当にいろいろなことを考えてみますと、貧困、開発といった経済問題から、テロ、大量破壊兵器の問題であったり、中東和平といった安全保障、国際政治に関わるような問題、更には、我々の身近な朝鮮半島の問題、ロシア、中国との関係であったり、東アジアのコミュニティ作りであったり、いろいろな問題、課題が我々を待ち受けております。国連改革の問題もそうです。そういった国際社会が抱える課題について、日本が、いわゆるその先頭集団の中に入って外交を行ってきたわけですが、益々もって知恵を出し、汗をかき、新大臣のもとで外務省全体としてさらなる努力を続けていくという気持ちを新たにする機会でもあります。まだ、大臣と十分に話をする機会がありませんが、いろいろな打ち合わせをして進めていきたいと思います。

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・川口前外務大臣の総理大臣補佐官就任

(問)川口前外務大臣は、官邸に入って外交を担当されるということですが、外務省との関係、どのように外交を進めていくのかイメージはどうなるのでしょうか。

(事務次官)その点については、我々も、今日の今日のことですので、具体的に詳細な姿が描かれているということでは無いと思います。官邸において、外交に関わる仕事をされるということで、我々としては非常に心強く感じております。正に今まで一緒に同じ目的意識を持って努力をしたわけですので、今度とも期待をしています。我々の心づもりとしましては、外務省からも十分に外務省の持っている情報を提供しまして、意思疎通を良くして、それぞれの役割が良く果たせるように努力するということが、まず頭に思い浮かぶことです。

(問)大臣が民間人から政治家に代わるということについて、何かご感想なり、意味なり意義なりをどうお感じでしょうか。

(事務次官)私個人としては特段感じることはありません。川口前外務大臣は、本当に全身全霊をつぎ込んで外務大臣を務められました。省内におきましても、その姿には感銘を受けるという空気が非常に強かったと思います。もちろん、今度お迎えする町村外務大臣、政治家としてキャリアもあり、実力もある方ですので、色合いの違いとスタイルにおいて、政治家としてのスタイルというものを我々としては当然期待をしていますが、比較して、どちらがどうということではありません。

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・日朝実務者協議

(問)昨日まで行われた日朝実務者協議の評価をお願いします。

(事務次官)評価というと非常に大きい質問ですけれども、まず一番関心のある拉致についての安否調査というものについては、はっきり申し上げて、北朝鮮側からは、我々が出していた質問項目を参考にして、情報の提供が行われ、それなりに努力をしたというような説明をしていたとのことですが、しかしながら、その説明を裏付けるような具体的な証拠や資料の提示ということはありませんでした。また調査も包括的というよりは、未だ途中経過にとどまっているという点については、やはり十分なものとは言えないと思います。今後、速やかに更なる調査結果、また具体的な資料が提供されるということを通じて、この真相究明のプロセスを進めていくということが重要であると思います。そういった観点から、10月中、遅くとも11月の半ばまでには次回の実務者協議を開催するよう当方からは提案しました。先方はこれを持ち帰って検討するということです。我々としては迅速な調査の進展ということと、その結果のわが方への提示ということを今後とも強く働き掛けていくということが重要であると思います。今回、先方から説明がありました調査結果については、まずは関係者、ご家族の方にお伝えするという段取りが必要ですので、これを現在進めているところです。また、拉致の問題以外にも、ミサイルの問題であったり、六者会合に先方の参加を促すといったような話もありました。実務者協議そのものについては、日朝平壌宣言のフォローアップ、日朝首脳会談のフォローということですので、こういったチャンネル、すなわち日本から北朝鮮に対していろいろな申し入れをするチャンネルが存在するということは、今の北朝鮮と他の国際社会との関係を考えた場合に、日本がこういうチャンネルを持っているということは意味のあることではないかと思います。今回、拉致問題については、今述べたように不十分な途中経過、報告でしたが、こういったチャンネルを今後とも活用していくということが必要だと思っております。

(問)そのチャンネルを実務者というよりも、更に上のレベルの他の形で行うこともあるのでしょうか。

(事務次官)今のところはそういうことは双方から出ていません。この実務者協議が立ち上がった背景、経緯から言いましても、今年5月22日の小泉総理の訪朝、日朝首脳会談以降、結果として拉致被害者のご家族5名の帰国が実現しましたし、また曽我ひとみさん家族のジャカルタでの再会及び来日がありました。また、そのフォローアップとして実務者協議という場が設けられているわけです。もともと首脳会議で合意されて設けられたこの実務者協議のチャンネルというものを改めるというよりは、首脳会談でエンドースされた実務者協議の場を活用し、有効にしなければならないと思います。北朝鮮にとりましても、金正日国防委員長・総書記がエンドースしたチャンネルであると、それだけの重みが北朝鮮国内でもあろうと思います。

(問)北朝鮮との関係で、町村新大臣が先ほどの会見で、経済制裁も政策ツールとして考えるというような趣旨の発言をしていましたが、次官はこの経済制裁についてどうお考えですか。

(事務次官)町村新大臣の記者会見の趣旨が、今述べられたような趣旨だったかどうか、私はあまり予断を持たないのですが、重要なことは今述べたように北朝鮮側に働き掛けたり、照会したりするプロセスが存在するのですから、そのプロセスを切ってしまうということではなく、そういうことはしないで、北朝鮮に対して調査の迅速な進展とかその結果の通報といったことについて強く働き掛けることによって、安否不明の拉致被害者の方々に関する真相究明を進めていくということであろうと思います。そういった真相究明のために、経済制裁を行うことが北朝鮮側の前向きな対応を引き出す上で、最も効果的な方法であるか否かということが論点になるだろうと思います。この点については、町村新大臣のお考えもあるでしょうから、我々としても慎重に今後検討していく必要があると思います。

(問)この実務者協議で照会したりするプロセスというのは、ずっと続き得るものなのでしょうか。経済制裁の話が出る理由としては、北朝鮮にもう少しアクションを取れということを迫るという上でのツールとして持ち上がっているものだと思うのですが、その辺りはいかがでしょうか。

(事務次官)未来永劫にということを私は言っているのでありません。それはまさに相手側の出方というものを見ながら、分析しながらやっていくということが必要です。今から何か結果を予断するようなことは言いません。いずれにせよ、現時点において大事なことは、北朝鮮が更なる調査をするという姿勢を示していますが、この実務者協議をもって、迫っていくということをやめてしまっていいかどうかということになると、このプロセスをここで断絶するのはいかがなものかなという感じは私は持ちます。

(問)その意味では、10月中、遅くとも11月半ばまでと言われている次回の協議というのは、その将来の道を決める判断材料となる、次の態度を見極めたいという気持ちをお持ちですか。

(事務次官)先方の代表は、日本からの申し入れを持ち帰って検討しますということでしたから、今の段階で申し上げられるのは、その反応を我々としてはしばらく待ち、それを見るということが大事なことですので、その先のことについて、今、推測、憶測を呼ぶようなことを私が言うことは適当ではないと思います。

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事務次官会見記録 (平成16年9月13日(月)17:00~ 於:会見室)

・北朝鮮における大規模爆発

(問)北朝鮮の北部で大きな爆発があったようですが、今現在、どのような情報が入っていますでしょうか。

(事務次官)この件につきましては、事実関係を把握するような、特段の報道以外の情報は現段階ではありません。引き続き情報収集に努めているところです。昨日、報道が出てから、当然、外務省においても情報収集活動を行いました。国内において、通常の核実験の場合に察知されるような地震波が当該時期には観測されていないことは申し上げられます。そのようなことからしても、また、その他の情報からしても核実験が行われたということは想定し難いのではないかという感じは持っています。それでは、何があったのかということについて、特段、我が国として情報を得ているということは現段階ではありません。

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・六者会合開催の見通し

(問)北朝鮮を巡る六者会合なのですが、韓国での核実験が発覚し、北朝鮮も態度を硬化させている部分もありますが、現在六者会合の見通しというのはどのようになっているのでしょうか。

(事務次官)ご承知の通り、前回6月の六者会合で、第4回目は9月中に開くという合意がなされた経緯があります。その合意に基づいて、ホスト国の中国を中心に日程を調整する努力、作業が行われてきたところです。現在もその努力は行われている状況です。他方においてご承知の通り、北朝鮮の方からは米国の敵視政策を理由とし、前回の六者会合において提案があった米国の新提案についても一顧だに値しないと声明を出したという経緯があります。また、ここにきて韓国のウラン濃縮、プルトニウム抽出についての最近の発表を一つの口実として、北朝鮮の外務省のスポークスマンが消極的な姿勢を述べたというような流れがあります。そのようなことを総合的に判断すると、これは北朝鮮においては外交上の駆け引きかもしれません、また、六者会合への出席をするシナリオということかもしれません。いずれにしても消極的な姿勢が伝えられています。こういった状況において、先日、日本は米国、韓国との協議を行い、6月の合意通り9月中の六者会合の開催を求めていくということを確認しました。また、中国政府に対しても努力を続けて欲しいという立場をとっているところです。それでは、見通しは如何という御質問かと思いますが、北朝鮮が状況を正しく判断して、六者会合についての合意を守るようになって欲しいと思いますが、現在のところ、北朝鮮からは今述べましたような声明の発表が行われてきているという状況です。我々としては、努力致しますし、引き続き9月の開催を求めていくという姿勢には変わりありません。

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・日米地位協定

(問)朝日新聞が沖縄タイムズと共同で沖縄県民に対する意識調査を行ったのですが、今回の米軍ヘリ事故に関連して、地位協定を改善すべきだという意見が全体の84%を占め、運用の改善でいいという意見(6%)を上回っていました。このような結果についてどのように思われますでしょうか。

(事務次官)この世論調査についても報告を受けました。この調査結果は、やはり今回の事故に対する沖縄県民の強い気持ちを示すものであり、また、沖縄における米軍基地問題についての県民の強い気持ちを表現したものと受け止めています。米軍ヘリコプター事故の現場での対応についても調査結果が出ていますが、この点については、「事故現場における協力に関する特別分科委員会」という場を設けました。この場で改善を図っていく仕組みができましたので、日米間で話し合っていくということになります。また、日米地位協定の問題について、こういった世論調査に出ている地元の方々のご意見、お気持ちといったことについては、重く受け止めるべきだろうと思います。政府としては、日米地位協定の運用改善というものを機敏に且つ効果的に行っていくための方策を検討していくことになろうかと思います。

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・新在京中国大使の表敬

(問)先程、中国の王毅新大使が表敬されましたが、その中で、日中間の懸案である靖国問題と東シナ海のガス田開発問題について具体的な言及はあったのでしょうか。

(事務次官)今日は、着任表敬です。まだ、信任状も捧呈されていない段階での表敬ですが、旧知の仲でもありますので、今後協力し合っていきましょうということを話したことが主たる会話の内容です。それに際し、王毅大使の方から、抱負として述べられたことは、既にお伝えした通りです。個別の案件について、今日、深い話しをしたということではありません。靖国問題について個別に論じたということはありません。一般的に言って、日本と中国の関係は今や切っても切れない共通の利益があるという関係です。そういった関係を単に日中関係ということに留めることなく、この地域全体、更には、国際社会全体の為の日中関係といったものに協力関係を発展させていきたいということで意見が一致しました。

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・拉致問題

(問)9月17日で総理の最初の訪朝から2年ですが、実務者協議を9月にも開くようにという要望は伝えていると思うのですが、現状を踏まえて拉致問題についてお聞かせください。

(事務次官)ご指摘のとおり、実務者協議は9月中に開催するということで、日本側からは先方に申し入れてあります。先方もこれを検討するという状況が続いています。ただ具体的に9月の何日ということについては、まだ先方からも提示がありません。これが現在の実状です。更に、拉致問題、特に安否不明者の問題について、先方から今までのところ新しい情報が入ったということはありません。ただ先方からは真摯に調査を続けているという感触が伝えられて来ていますが、実務者協議が開催されればその際に伝えられるということを我々としては期待しております。

(問)真摯に調査しているという感触が伝わっているというのはどういうところからでしょうか。

(事務次官)私が、感触が伝えられて来ていると申し上げたのは、先方がそういうことを言っているということです。

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・BSE問題

(問)米国との間の牛肉輸入再開についての問題ですが、日本では国内の検査基準の見直しに向けて追求を進めていく中で、先日米国大統領が遊説先で、日本に対して輸入再開を説得することは米国の利益にかなうという発言をされたりして、今後の首脳会談に向けて米国の圧力が強まっていると取れるような部分もあるのですが、それに対してどうお考えですか。

(事務次官)「圧力」と考えるかどうかというのはこちらの受け止め方の問題もあろうかと思いますが、確かに10日オハイオ州において、質問に答えてブッシュ大統領が今言及されたような趣旨を述べました。実はこのやりとりは、日本のBSEの問題だけではなく、カナダとの関係の問題がまず第一番にあったり、BSE問題全体という絡みで出てきた日本への言及であったと承知しています。いずれにしても、現状は、ご承知の通り日本側において、我々の日本国内の食の安全に関する措置についての検討が進んでいるわけです。先週9日、食品安全委員会において、プリオン専門調査会の取り纏めた中間取り纏めが了承されました。これを踏まえて、日本の関係省庁が国内のBSE対策に関する措置の見直しを現在行っているということです。これを日米間との関連で申し上げると、日米間においては、こういった日本におけるBSE対策の見直しを踏まえて、牛肉貿易再開について話し合うということになっています。ご承知の通り、日米間の再開の問題については、本年の夏に目途をつけようというのが、以前から日米間で話し合われてきたところです。これから、我が国における対策を踏まえ、日米間の牛肉貿易再開問題について話し合っていくことになります。当然、双方が納得できるような形で結論を出す必要があろうかと思います。ブッシュ大統領がオハイオ州で質問に答えて触れたということをどう捉えるかという問題はあろうかと思いますが、いずれにしても米側の関心が高まっているということは当然のことかもしれません。そういった状況にあると思います。具体的な日米間のやりとりについては、まだこれからの話です。

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事務次官会見記録 (平成16年9月6日(月)17:00~ 於:会見室)

・第2回対中東文化交流・対話ミッションの派遣

(事務次官)第2回対中東文化交流・対話ミッションの派遣についてお伝えします。昨年9月に第1回ミッションをサウジアラビア、イラン、シリア、エジプトに派遣した経緯がありますが、我が国と中東諸国との様々なことについての対話を図るということから、第2回対中東文化交流・対話ミッションを9月9から18日まで、今回はヨルダンとイランに派遣します。このミッションは我が国の各界で活躍する有識者等で構成され、各訪問国の相手国の有識者・文化人・芸術家等と意見交換を行う他、シンポジウムを開催し、今後の我が国と中東地域との文化交流のあり方について、高いレベルでの意見交換を行う予定です。詳細については別途記事資料を参照願います。

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・普天間における米軍ヘリ墜落事件

(問)今、国会でも揉めているようなのですが、今回の米軍普天間飛行場のヘリが墜落した事件について在日米軍に地位協定違反があったかなかったかということについての外務省の見解と過去在日米軍が地位協定を違反したことは全く無いということなのかどうかについてお伺いします。

(事務次官)今回の事故の取り扱いについては、今までも申し上げていることだと思いますが、日米地位協定違反ということで取り上げられているものではないと理解しています。もちろん運用については、現場における双方の協力について改善すべき点があろうかという点で、現場における協力に関する特別分科会を設けることにしました。先週、そのための準備会合を行ったところです。これは繰り返しになりますが、現場における協力のあり方について改善を行う予定です。さらに、事故の原因究明及び再発防止ということについては、合同委員会の下での事故に関する分科会において、今後更に協議をしていくということです。なお、過去に日米地位協定違反の事例があったのか無かったのかという質問については、にわかのご質問ですので、一つも無かったということを申し上げる自信は、この場ではありません。

(問)沖北特別委員会の中では沖縄県警と米軍の間で、県警側が了解していないことが現場の管理とか検証においてあったという指摘に基づいて質問がされているようですが、つまり外務省として、今回の事故の事実関係を現段階の把握している限りでは、沖縄県警側も地位協定に違反があったとの認識を持っているという事実は聞いたことはない、そういう指摘はないということですか。

(事務次官)国会での今の審議を詳細にフォローしているわけではないので、質問の回答にならないかもしれませんが、結論から申しますと、日米地位協定の運用においては、現場における対応とか協力とかについては改善の余地があるだろうという認識は持っていますが、日米地位協定に違反したという認識は、今のところ持っていません。

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・李登輝前総統の訪日

(問)台湾の李登輝前総統のビザ発給問題ですが、年内中の訪日を希望されていると思いますが、それに対して、日本政府は発給しない方針だと言われていますが、その事実関係とどういう条件になれば発給するのか教えて頂けますでしょうか。

(事務次官)李登輝氏の訪日について種々報道がありますが、我々の方に査証の申請があったとか、訪問について政府に対して申し出があったということはありません。従来からそうですが、仮に査証申請があれば、その時に適切な判断をするということです。それにつきるということが現時点のところです。

(問)仮に年内に観光目的として査証の発給を正式に要求するようなことがあれば、それは検討の余地があるということなのでしょうか。

(事務次官)我々としては、仮に申請があれば、その時に判断をするということです。

(問)李登輝前総統についての確認なのですが、次官の答は、政府に対して、外務省に対してそういう申請があったということは聞いていないということでした。方針を出すか出さないか、方針を決めたとか決めていないとかに対して言及されたということではないですね。

(事務次官)方針に関しては、まだ申請も何もありませんので、今、何も言うことはできません。従って、繰り返しなりますが、仮に申請があれば、その段階で政府としての判断をするということです。

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・脱北者駆け込み事案

(問)北京の日本人学校の駆け込み事件ですが、現段階での対応と今後の見通しについて教えて頂けますでしょうか。

(事務次官)ご承知の通りだと思いますが、29名の方々が大使館の領事部において、いわば収容されてきたわけですが、5日未明にこの29名の方々は領事部より大使館の本館に移動しました。これは領事部内のスペースが物理的に手狭なことと、衛生環境、生活状況について適当ではないという判断があります。また、大使館本館に、より広いスペースを設ける準備ができ、例えば、簡易トイレ、シャワー等を設置することができましたので移動したということです。29名の方々の人定事項、各々の方々の意向といったことについての事情聴取を大使館において進めてきています。そういったことに基づいて、これから対応、段取りを進めていくことになります。出来る限り迅速に且つ人道的な配慮に基づいた措置を取りたいと考えているのが基本です。人定事項や意向の確認については、多数であるということに加えて、その裏付けといったことも必要ですので、それなりの時間がかかっています。今後、どの程度の時間がかかるとか、具体的にどのような措置が必要かといったことについては、まだ、この段階においては申し上げることは控えさせて頂きたいと思います。

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・在ギリシャ日本大使館入居ビルへの爆破予告

(問)アテネの日本大使館が入っているビルに爆破予告があったとのことですけれども、事実関係を。

(事務次官)ギリシャのアテネにある「アンテナ」というテレビ局に、日本大使館が入っているアテネタワービルに爆弾を仕掛け、現地時間午前10時、日本時間16時にその爆弾が爆発するという匿名の電話があったということです。この匿名の電話は現地時間の午前7時18分にあったそうです。そういった情報に基づき、現地の警察がアテネタワービルを捜索した結果、ビルの共有部分には不審物は見つからなかったということで、捜索は既に打ち切られたということです。

(問)大使館の職員は戻ったのですか。

(事務次官)大使館の職員は全員別館の領事部に一時退避を致しまして、現在、館員はビルの中にはいません。あと数時間様子を見ようということになっています。

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・北オセチア共和国学校占拠事件

(問)ロシアの学校占拠事件に関してですが、凄惨なテロが続いていることで、プーチン大統領の国内での政治的な立場が微妙になってきているという声も出てきているのですが、北方領土問題を含めて日露交渉を進める上で何か影響があると思われますか。

(事務次官)ロシア国内におけるプーチン大統領ないし政権の地位について、今、私がここで申し上げることではないと思いますが、一説には、テロに対する断固たる姿勢が広く国民からの支持を受けているということもあろうかと思います。他方、こういった大変な悲劇的な事件が起こったということについて、ロシア国内における思いというものはいろいろなものがあろうかと推測できます。日露関係ということからしますと、我々としては特段の影響があるとは見ておりません。むしろ、テロとの闘い、これは国際社会に共通する、今、極めて深刻な問題でありますが、日本もロシアも断固毅然たる対応をするという姿勢においては一致しているわけです。日本のみならず国際社会もそのような姿勢であろうかと思います。日本とロシアとの間でも、テロに対しての共通の立場というものが確認されたという点もあろうかと思います。具体的な日露間の関係について、この問題が影響するとは見ておりません。

(問)ただ、これだけ国内でのテロが頻発すると、内政重視にならざるを得ないと思うのですが、それでも特段影響はないということですか。

(事務次官)テロとの闘いということでは、国内重視というか、政権としての大きな課題があると言えると思いますが、それが直接我々との外交関係に影響を及ぼすことはないと我々としては考えております。

(問)その一方で、領土問題といいますか、自分たちの国の保全という観点では、北方領土とも共通する点があるのではないかと思うのですが。

(事務次官)日本とロシアの平和条約交渉の問題というのは、より広い観点から考えて見た場合に、ロシアにとってこれを解決することが自らの利益になると考えるか考えないかにポイントがあると思います。今回のテロの問題があるかないかに拘わらず、ロシアが日本との関係を改善する、根本的な問題を解決するということに、広い見地から利益を生み出すか否かというところにそもそも関わっていくべきと思います。もちろんチェチェンの問題であったり、テロの問題というものは大きな課題であろうと思いますが、アジア太平洋におけるロシアの戦略的利益を、ロシア政府としてどう考えるかという根本のところでの問題については、今回の事件によって影響されるものではないと思います。

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