事務次官会見記録 (平成16年5月24日(月)17:40~ :於会見室)
北朝鮮
(問)日朝首脳会談を踏まえての今後のことですが、国交正常化交渉の再開にあたっては核問題、拉致問題、いろいろありますでしょうが、どういった要素を考慮をして再開のタイミングを日本側として図っていくお考えですか。
(事務次官)具体的な時期が現在決まっているということはありません。北朝鮮側とは今後調整していくということですので、諸般のことを考えて我々としての考えをまとめていくことになろうと思います。総理自身が記者会見において、正常化交渉の再開に向けて事務当局間でよく協議することになると言われていますので、そのとおりです。我々としては協議を行うにあたっていろいろなことを考えていきたいと思います。
(問)今の時点でまだそういう条件は整っていないということでしょうか。
(事務次官)条件がというよりも、我々として検討していく、その上で協議をするということです。何か決まった条件があるということではありません。今、そういうことを決めているということではありません。
(問)政府、与党の中には10人の安否調査について明確な答えが出ない限りは国交正常化交渉に入らない、それが条件だと言っている声がありますが、この辺については如何ですか。
(事務次官)そういう声、意見があるということでしょうが、安否不明者の調査については、(金正日委員長が)白紙に戻して直ちに調査を行うという指示を出すということですので、これは直ちにやってもらわなければ困ります。そういうことで、こちらとしても早急な調査を求めていくということです。他方、交渉の再開については、今申しましたとおり、総理が再開については協議を行いますと言われていますので、それは調整をしていくということです。御承知のとおり、交渉の再開は正常化の実現とは全く別のことですので、交渉が再開されればその場において拉致問題、その他の日朝間の問題について、これを取り上げて解決を求めていくということになるわけです。そういうことで、包括的な諸問題の解決が達成出来ないと正常化には至らない、正常化交渉の場においてはいろいろな問題を取り上げていくということです。
(問)10人の不明者の安否調査に関して、日本側はどういう形で関与していくのですか。
(事務次官)これもいろいろ考える必要があろうと思います。北朝鮮側の出方、対応を見ながら、こちらとしては一番有効で効果的な方法で対応していくということですので、今の段階でこうだということを決めてかかる、申し上げるということは必ずしも適当ではないと思います。
(問)金正日さんが再調査を約束されたということですが、これはいつぐらいまでに結果というものがもたらされると期待されていますか。
(事務次官)出来るだけ早くということです。それは白紙に戻してということですから、それはそれで、従来、決着済みであるということをもう一度逆転し、白紙から再調査するということですから、しかも徹底的な調査をしてもらう、そういうことをするということを約束されたわけですから、是非それを求めていきます。時間的な点についてはそういった点も踏まえて出来るだけ早くということです。こちらとしては常に督促と申しますか、時間的な要素も考えて先方に求ていくということになろうと思います。
(問)ジェンキンスさんの身柄についてですが、総理が、日本に来た場合、身の安全を保証されたという部分もありますが、その事実関係と、アメリカから日本に身柄の引渡が要請された場合のジェンキンスさんの法的な立場というものについて伺いたいのですが。
(事務次官)御承知のとおり、総理はジェンキンスさん及び御家族の帰国実現に向けて御本人たちと1時間にわたって話をされ、また説得に努められたわけです。その中での具体的なやり取りについては、御本人たちとの関係もありますので明らかにするのは差し控えたいと思います。米国との関係については、これまでも種々の話し合い、連絡を取ってきています。まだ具体的に引渡要請があったということはありませんので、この段階で種々のことを申し述べることは控えたいと思います。是非御理解頂きたいと思いますのは、我々としても御家族が一緒に生活出来る日が一日も早く来るようにと願っており、そのための努力をする所存であり、総理自身がそのためにも努力をされたわけです。今後のことについて、そういった御本人たちにとって望まれるような結果というものを我々としても実現したいと思いますので、そのためには今のような段階で種々申し上げるというのは必ずしもプラスにはならないのではないかと考えますので、具体的な話は控えさせて頂きたいと思います。
(問)総理は経済制裁を発動しないと言われましたが、日本政府としては現在北朝鮮が平壌宣言を遵守しているという認識でいらっしゃいますか。
(事務次官)今の御質問で端折られましたが、日朝平壌宣言を遵守している限りにおいて発動しないということを総理は記者会見でも述べられたわけです。これまでも小泉総理自身が国会の場でも答えられていましたが、例えば核の問題などについて日朝平壌宣言に北朝鮮が従っていないという事実はあるわけです。そういったことも踏まえ、制裁の議論も日本国内でも行われてきたわけですが、政府としては核の問題については六者会合のプロセスもあり、現段階では制裁を行う考えはないということを従来から言ってきたわけです。御承知のとおり、日朝平壌宣言を遵守する限りは制裁を発動しないということですから、それは基本的な方針としては従来の政府の考えを変えるものではありません。また、大事なことは今度の首脳会談において日朝平壌宣言の履行が必要であるということが改めて確認されたわけです。従って今後、日朝平壌宣言に書かれている例えば互いの安全を脅かす行動をとらないとか、国際法を遵守するとか、そういったことに反して事態を悪化させるようなことが北朝鮮側からもたらされるということがあれば、当然制裁措置を含めて適切な対応をとることもあり得るわけです。
(問)今回、金正日総書記の方から平壌宣言の履行という確認をされたということですが、そうしますとIAEAの査察再開とか、NPTへの復帰とか、具体的な措置が必要かと思うのですが、その点については如何ですか。
(事務次官)まさにそういうことを我々としては求めていくわけです。日朝平壌宣言の履行が重要であるということを今度の会談でも合意したわけですから、いわばそれをテコにして、我々としては日朝平壌宣言に書かれているような国際法への遵守を求めていくことになります。
(問)そうすると北朝鮮側から行動がない場合は制裁措置の発動もあり得るということでしょうか。
(事務次官)それは従来の方針と変わりません。
(問)食糧支援について伺いますが、北朝鮮側の報道ではコメ25万トンという言い方がされているようですが、合意は食糧だと思うのですが、その点、確認させて頂きたいと思います。
(事務次官)全くそのとおりです。わが国の報道においても、コメ、コメという報道がありますが、私が知る限りにおいては日本政府当局者からコメ支援ということが話されたことは一度もないと思います。これは報道する際にも是非御留意頂きたいと思います。
(問)これはどういう食糧を想定されているのですか。
(事務次官)具体的なことについては国際機関とも協議をしながら行う、決定するというのが通例です。食糧の場合にはWFPが重要な役割を果たすと思います。ちなみに本年に入り米国と豪州が食糧支援を行っています。米国の場合には食糧支援の大宗はトウモロコシです。その他、グリーンピースとか、食用油等というのはありますが、大部分が穀物ではトウモロコシということです。本年の1月と5月に食糧支援を決定した豪州の場合は小麦粉です。
(問)今回、総理が食糧支援をやると北朝鮮側に伝えたわけですが、その理由は何ですか。というのも、これまで国際機関は北朝鮮に対する食糧アピールを世界的にやってきたと思うのですが、日本は応えてこなかったのですよね。
(事務次官)総理が記者会見で答えられていること以上に私が付け加えることはありません。これまでも国会の答弁とか、記者会見の記録を調べて頂ければ分かりますが、政府として人道支援については人道上の考慮に加え、種々の要素を総合的に勘案しつつ検討すべき問題だという認識を表明してきています。ただ、その基本的な認識の上に立って、これまでのような日朝間の問題を考えた場合に、国民、世論の支持が得られるであろうかという判断もあったかと思いますが、日本としては食糧支援はしばらくの間、行ってきませんでした。その以前には行っていたこともあります。更には、先般の龍川の列車爆発事故の時にはまさに人道上の考慮等を加え、国際社会の一員として人道的な支援を行ったところです。今回、まさに総合的な判断として国際社会の一員として国際機関からのアピールに対応するという判断を総理がされたということだろうと思います。
(問)日本政府が人道支援に慎重になった理由として、国民世論の反発というのは大きかったと思いますが、今回の首脳会談を受けて国民世論が人道支援に対して軟化したと思われますか。
(事務次官)その辺は総理が判断されたと思います。
(問)次官はどう思いますか。
(事務次官)私は総理の判断を承ったということです。
(問)25万トン、1000万ドル相当の医薬品ということですが、この数字が出てきた根拠、基準というのはどこにあるのでしょうか。
(事務次官)国際社会に対するアピールということで、根拠というのが適当かどうか分かりませんが、WFP、FAOが昨年10月にもアピールを出しました。また、今年1月にはWFPからの援助計画ということで50万トンの食糧援助が必要であるとしています。昨年の数字を申しますと、韓国が約50万トン、米国が約10万トンという食糧援助を行っているということです。そういったことを総合的に判断されたということも一つの背景にあろうと思います。
(問)医薬品については。
(事務次官)医薬品については、2004年、OCHA(国連人道問題調整事務所)からの非食糧援助のアピールがあります。昨年11月に発表されていますが、そういったものも勘案したということが背景にあります。
(問)先程、コメではなく食糧だということでしたが、コメに対してのこだわりというのがあるのでしょうか。
(事務次官)どこにですか。誰にこだわりがあるのですか。
(問)コメ支援ではない、食糧支援だという言い方で、総理もそういうふうに食糧支援と言っていますが、これまでは日本はコメ支援をずっとやってきたわけです、何回か。コメ支援と言われることに対する政府としての何かこだわりというか。
(事務次官)我々は国際機関とこれから具体的な品目については話し合いをして、何が一番適当かということを決定します。コメ、コメという報道がありますので、それに対して我々は「食糧」ということを言っているということを申し上げているわけです。
(問)確認ですが、国交正常化交渉に入るタイミングが、今回、金正日総書記が約束したとりあえず回答がなければ入らないという理解でよろしいでしょうか。
(事務次官)その点は事務当局間で協議を行うということを、総理が言明されていますから、そういう手続きが踏まれるものと思います。
(問)必ずしもそういう応えがあるとか、前提条件というのは決まっていないという理解でよろしいですか。
(事務次官)はい。
(問)曽我さんとジェンキンスさん及び娘さん2人の再会についてですが、現時点で準備作業はどこまで進んでいますか。
(事務次官)これは平壌でのいろいろな話し合いから出てきたことですので、もちろん出来るだけ早く再会の機会を作ることが重要です。もう一つ、しかし考えなければならないのは、御本人たちの御意向、どこでいつというのが、御本人たちにとって気持ちの上でも一番受け入れられやすいか、また物理的にもどうかといったようなことを考えなければならないと思いますので、御本人たちの御意向を重視して決めていく必要があろうと思います。
(問)まだ時期とか、あるいは具体的な場所の選定とか、そういうのはまだ見えてきていないのですか。
(事務次官)まだそういった結論めいたものが出ているということはありません。
(問)北京ということを会談の中で話したようですが、必ずしもそこにこだわるものではないと。
(事務次官)第三国、例えば北京ということだったと私は理解しています。
(問)確認ですが、ジェンキンス氏が日本に入国した場合、米国側がジェンキンス氏の身柄を拘束するというのはどの法に基づいた、根拠は一体何かというのを確認させてください。
(事務次官)それは米国の軍法上というのがまず基本にあると思います。
(問)日米地位協定ということでよろしいですか。
(事務次官)日米地位協定も関係するということはあり得ると思います。
(問)必ずしも犯罪人引渡条約ではないのですか。
(事務次官)いろいろな要素があります。犯罪人引渡条約も関係あるかもしれません。今、そういったことについて私が予断を与えるようなことは是非差し控えたいと思いますので、そこは御理解を願います。
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事務次官会見記録 (平成16年5月17日(月)17:35~ :於会見室)
イラク情勢(統治評議会議長の暗殺、サマーワ情勢)
(問)先程、バグダッドで統治評議会の議長が巻き込まれて死亡する爆発があったと聞いていますが、事実関係と治安の現状についての認識をお聞かせください。
(事務次官)報道でも出ていますが、バグダッドで17日の朝、自動車爆弾の爆発があり、イッザディーン・サーリム統治評議会議長が死亡したと承知しています。我々日本政府としては、このような残虐な行為は許し難く、深い憤りを覚えます。そしてこれを強く非難するものです。今回亡くなられたサーリム統治評議会議長に心から哀悼の意を表すると共に、御遺族の方々に対し衷心よりお見舞い申し上げます。バグダッドにおいては、こういった事件が散発しています。6月30日の統治権移譲を前にいろいろな動きがあります。そういった動きの中での、一つの痛ましい事件であると思います。他方、政治プロセスについてはブラヒミ事務総長特別顧問がイラクにおいて非常に精力的な活動を行っている、暫定政府への政権移譲を含め、種々の話し合いを続けているということで、我々としてはこういった卑劣な事件にもかかわらず政治プロセスが進むことを期待し、またブラヒミ特別顧問をはじめとする努力を支援していきたいと考えます。
(問)一方、サマーワで先日、オランダ兵と武装勢力の銃撃戦ということも起きていますが、これによってサマーワの近辺は非戦闘地域であるという政府の認識に変化はないでしょうか。
(事務次官)そういった認識に変化はありません。サマーワを巡る治安状況についても基本的に大きな変化が生じているという認識はしていません。御承知のとおり、14日の夜から市内においてサドル師支持者と思われる集団とオランダ軍及びイラク治安当局との間で断続的に衝突が生じていますので、当然、我々としても現地情勢を注視している状況ではありますが、基本的な状況に大きな変化が生じたとは認識していません。サマーワは御承知のとおり、イラクの他の地域と比較しても比較的安定しています。昨日5月16日も、サマーワの総合病院に対する日本からの医療用品の供与式を現地で行ったりしています。もちろん、我々の現地における活動も安全に配慮しながら慎重な行動をとっているということもあります。
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北朝鮮情勢(人道支援、日朝首脳会談)
(問)北朝鮮への人道支援ですが、平壌宣言には正常化後に人道支援を行うとはっきり書いてありますが、平壌宣言に則って進めるということはあくまでも文言どおり正常化後にやるということを貫くのか、それとも、別に正常化前にやってはいけないと書いてあるわけではないので、前でも十分あり得るという原則なのか、その辺の解釈はどのようになっているのでしょうか。
(事務次官)人道支援については、現につい最近も龍川の爆発事故に関して行ったところです。従来からも、人道支援については国交正常化後の本格的な経済協力とは異なる扱いであることは政府として明らかにしてきています。ただ、具体的にいつ、どのような人道的支援を北朝鮮に行うかについては、わが国としての世論もあれば、立場もありますので、それはケース・バイ・ケースで判断するということできたわけです。先般の爆発事故に関しては国際社会の一員として日本の人道支援を行うということですので、この点について一般論で言えば、従来の方針から言っても正常化の前であっても人道支援はあり得るという立場で来ているところです。
(問)今度の日朝首脳会談に、被害者家族の帰国が実現すれば人道支援を行うという方針があると伝えられているのですが、これはやはり人道支援を再開するというか、また行う条件としては適当なものになり得るのでしょうか。
(事務次官)繰り返しになりますが、本格的な経済協力は国交正常化の後に実施されるものですので、今回の総理の訪朝でそういった経済協力を約束することはまずあり得ないということが第一点です。人道支援については、現時点では何ら決まっているものではありません。これは国際社会の反応を見つつ、ケース・バイ・ケースで考えていくということです。今、人道支援を決めているということはありません。
(問)総理が訪朝した段階で、その時に申し出をするという話はないということですか。
(事務次官)総理の訪朝の結果は、総理が話し合いをされて、その時の状況での判断を否定するわけではありません。可能性を否定するわけではありませんが、今、人道支援を決めているということはありません。
(問)北朝鮮の核開発についてですが、これは6者協議で基本的に扱うというのが各国の認識だろうと思うのですが、一方で平壌宣言に核の問題が書かれているということもある中で、日朝間でどういうことが核問題について話し合われるのかということについてはどう考えていますか。
(事務次官)日本として自らの安全保障を考える場合に、北朝鮮の核問題は日本自身にとっての問題ですので、日本としては日本の立場を考えて今までも主張しているわけです。その主張する場として六者会合というフォーラムがあり、もちろん地域、各国の協力を得て、この問題に端を発しているという点でこれまでのプロセスで中心的な役割を果たしてきていますが、もちろん日本として日本の考えを北朝鮮に伝えることは、その機会があれば極めて重要なことだろうと思います。まさに、言及されたとおり、日朝平壌宣言もそういった趣旨を踏まえて書かれているものと思いますので、日朝間においても核問題を取り上げることは当然です。その関連で言いますと、従来から日朝国交正常化に関する基本的な日本政府の方針として、正常化が行われる暁には日本を含む北東アジア地域の平和と安定に資するような形での正常化でなければならないということがあります。従って、正常化という二国間の観点からしても、核問題は避けて通れない問題であるという位置付けです。
(問)核の問題に何らかの前向きな発言が北朝鮮からされない限りは国交正常化交渉の再開に踏み切らないという解釈でいいですか。
(事務次官)その点は従来から申し上げています。包括的に問題を解決して平和と安定に資する形で正常化を行うことが御承知のとおりの従来からの基本的な方針です。
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日米首脳電話会談
(問)今晩、小泉首相とブッシュ米大統領の電話会談が行われるように聞いてますが、日本側としてはどの辺に主眼を置いて説明されるのかということと、拉致被害者の曽我ひとみさんの旦那さんのジェンキンスさんの問題については何らかの協力要請というのはあるのでしょうか。
(事務次官)日米首脳電話会談についてはまだ決まっていません。調整をする必要があります。更に首脳会談の内容について事前に私が予想して申し上げることは適当でないと思いますので控えさせて頂きます。
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事務次官会見記録 (平成15年5月10日(月) 17:00~ 於:会見室)
米軍によるイラク人捕虜虐待事件
(問)米軍によるイラク人の虐待問題ですが、日本政府から幾つかのルートで米国に懸念の意を表したようですが、どういうルートで今までやってこられたのかということと、先方がどういうことを反応として述べられたのかということをお願いします。
(事務次官)この件については総理も記者団に対して遺憾の意を表明されており、また官房長官からも記者会見でそういった遺憾の意の表明の発言があったと思います。米国に対しては7日、外務本省において在京米国大使館に我が国の立場を伝えました。具体的には中東局の幹部から在京米国大使館の幹部に対して伝えたということです。遺憾の意の表明と、今後、米側において適切な措置がとられることを期待するということがその趣旨です。
(問)先方からは。
(事務次官)先方からは、本国政府に報告致しますという返事がありました。
(問)幹部というのはどの辺の。
(事務次官)公使レベルです。
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北朝鮮(六者会合作業部会、総理訪朝、日朝交渉)
(問)12日からの作業部会ですが、日本政府としてこの作業部会に期待されることというのは。
(事務次官)御承知のとおり、六者会合の準備のための作業部会ですので、そこで何かを決めることはそもそも期待されているわけではありません。ただ六者会合で、いわばフォーマルな協議形式で行っていますと、なかなか突っ込んだ議論がしにくいということもあります。これまでのいろいろな協議で問題点は明らかになってきているわけですので、そういった点についてお互い率直な意見交換をして、問題点を更に明確にして具体的な議論に入っていくことです。専門的な立場も加わると思いますが、より実質的な議論に入ることによって双方の考え方をお互いによく理解し合える状況が出来るようになること、それが六者会合の準備として意義があろうと思っています。従って、今回の作業部会において、そのような観点から北朝鮮の核問題について具体的、実質的に扱っていくに当たっての種々の問題点、例えば凍結であったり、平和利用の問題であったり、北朝鮮の方からはいわゆる補償ということについての問題提起もされているわけです。そういったいろいろな問題について具体的な議論が出来ることを期待しています。
(問)一部に、総理の訪朝について具体的に検討するように総理から外務省に指示があったという報道もありますが、事実関係はいかがでしょうか。
(事務次官)その点については総理御自身が今日、記者団の質問に対し述べられています。この段階で言えることは何もありませんと総理が述べられているわけですので、そのとおりということです。
(問)次官自身、総理が訪朝されるというアイデアについてはどう思われますか。
(事務次官)それを今申し述べることはいろいろな憶測を呼ぶと思いますので、差し控えさせて頂きます。その点についても総理御自身が今日の報道各社とのインタビューで、総理の訪朝を求める声は前から伺っていますが、日朝平壌宣言全体のことを考えて、日朝国交正常化のために何が必要かという点から考えなければいけない問題だと思います、と述べられています。私としてこれ以上付け加えることはありません。
(問)次回の日朝交渉について何らかの展望は今ありますか。
(事務次官)特にありません。
(問)一部で今週中にも日朝政府間協議がまた始まるのではないかと言われていますが、今週中に始まるということについて日程的にどうでしょうか。
(事務次官)それは今と同じ御質問ですか。
(問)日程について重きを置いて質問しました。
(事務次官)同じ質問だと思いますが、ありません。
(問)ということは今週にはないと考えてよろしいわけですか。
(事務次官)見通しとして何もついていませんということです。
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