外務省 English リンクページ よくある質問集 検索 サイトマップ
外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
トップページ 報道・広報 記者会見
記者会見

事務次官会見記録(平成15年12月)


INDEX


・ 事務次官会見記録(12月22日付)
 ・ 六者会合
 ・ 日韓FTA
 ・ 復活折衝


・ 事務次官会見記録(12月15日付)
 ・ フセイン元大統領の拘束
 ・ 六者会合


・ 事務次官会見記録(12月8日付)
 ・ イラクでの襲撃事件
 ・ 北朝鮮問題


・ 事務次官会見記録(12月1日付)
 ・ イラクの襲撃事件




事務次官会見記録 (平成15年12月22日(月)17:30~ :於芝会見室)

・六者会合

(問)6カ国協議なんですが、改めまして次回の年明けの日本として早期開催を求め、大体どのぐらいの時期を目指しているのかということと、年内開催が見送られた大きな理由の一つに共同文書をめぐる認識の違いというのがあったと思うのですが、今、文書作りについての日本のスタンスというのを説明して頂けますでしょうか。

(事務次官)2つの質問は関連していると思います。六者会合の第2回目の開催に向けてのこれまでの努力は、六者会合の2回目の会合は実質的な成果を書いたもので示せることが望ましいという基本的な考えに立って、中国が中心となっていろいろな調整を行ってきたということであろうと思います。この問題は根本に北朝鮮の核兵器開発問題があることは御承知のとおりですし、94年の枠組み合意の時からの問題の本質であるわけです。それをどう解決していくかということを見失わずに、日本としては米国、韓国とも十分に協議をしつついろいろな対処方針を考えてきたということです。残念ながら年内の第2回目の会合は見送りになる状況ですが、我々としては出来るだけ早く開催を望み、またそのための努力をするというのが基本的な姿勢です。今、申しましたような文書作りということで、もちろん完全な文書の完成を見た上で会議を行うかどうか、会議の開催にこぎ着けられるかどうかを論じ始めますとなかなか事前の準備は出来ない、出来上がらないということがこれまでもありましたし、これからもあろうかと思います。我々としては第2回目の会合に、もちろん成果を期待しますが、前提条件といいますか、厳密な意味での完璧な文書が出来ないと会議も開催できないといった姿勢では対話もなかなか進まないのではないかと考えます。従って、次回の会合は前提条件なく、早期の開催を望んでいくというのが基本的な姿勢です。

(問)よその国はそういう考え方でほとんど足並みを揃えつつあるのでしょうか。

(事務次官)よその国についてはその国に聞いて頂くのが一番適当だと思います。公開の場で明らかにしていることから言いますと、皆様御承知のとおりのことですが、米国は前提条件は付けないということを明らかにしています。

(問)最も熱心な中国はいかがですか。

(事務次官)中国にお聞き頂くのが一番いいと思います。

目次へ戻る

・日韓FTA

(問)今日、日韓FTAの初会合がありましたが、もし内容をお聞きになっているようであれば御感想などを。

(事務次官)実はまだ報告を得ておりません。FTA(自由貿易協定)とEPA(経済連携協定)、日本の場合にはEPAの側面が、特にアジア諸国との間では非常に強いと思いますが、こういった世界の現在の流れの中において、日本として、我々の国益を踏まえた上で速やかな締結、交渉を進めることが必要だと基本的に思っていますし、韓国との間の交渉が先鞭を付けることを期待しています。

目次へ戻る

・復活折衝

(問)今日の復活折衝で在外公館の警備員の強化というのが盛り込まれましたが、今後、在外公館の警備強化の問題についてどのように取り組んでいらっしゃるのでしょうか。

(事務次官)今回の予算については、今年度の予備費による措置も含め、財政当局には多大の配慮を頂けたと思います。他方において、在外公館の警備の予算が復活折衝の最後の重要な項目になるというのは、今の我々が直面している国際的な状況を象徴的に表している面があるかなという感じが致します。在外公館の警備の問題ということよりももっと広くとりますと、我々としては本年1年を振り返れば、大量破壊兵器の拡散の問題、テロリズムの問題ということで国際社会がその脅威を現実のものとして感じる、一般市民の方々も感じるという国際情勢であったと言わざるを得ないと思います。そういう中で、我々の同僚が最前線で情報収集、各国との協力という仕事をしているわけですので、外交に対する後方支援といった意味でもいろいろな支援を我々本省の方で提供することが責任であるということを今年は非常に身に染みて痛切に感じた年でした。そういうことで、予算の折衝、機構・定員の要求においても、警護、警備を重点とさせて頂きました。警備に万全、これで大丈夫という完璧なものはありませんが、出来る限りの努力を今後とも続けていく決意を改めてしたというのが今感じていることです。具体的な措置としては在外公館に対する警備員が、人数から言うと倍増以上の配置が認められることになりましたので、今まで例えば24時間の警備体制、人の配置がなかった公館にもそういった手当が出来ることになります。

目次へ戻る



事務次官会見記録 (平成15年12月15日(月)17:00~ :於芝会見室)

・フセイン元大統領の拘束

(問)サダム・フセインが捕まりましたが、その影響についてどのような印象とか認識を持っていらっしゃいますでしょうか。

(事務次官)影響についてはまだいろいろなことを考え、また今後の状況を見ていく必要があると思います。とりあえずは昨日、外務大臣談話にて我々の見方、評価を発表させて頂きました。御関心はおそらく今後のイラクの治安状況に対する影響は如何ということかと推察します。これも各社が既にいろいろ報道されているところで、私どもも特段異なった見方をしているわけではありません。もちろんサダム・フセインが拘束されたことで、一方においてはそれなりの治安の改善に向けての効果は期待できると思います。しかしそれが全てではない。治安が悪い原因、要素が全て除去されるわけではない思います。私は個人的には、「慎重な期待」という言い方をしますが、治安の改善についてのある種のきっかけになるという期待を持っております。更に、昨日、テレビ報道を見ていて、私が関心がありましたのは、イラク国民、一般の市民がこれをどのように受け止めるかということです。テレビの画面においては、バグダッド市内において、この事態を非常に喜んでいる、歓迎している一般市民の様子が写されておりました。他方、ティクリット、サダム・フセインの元々の勢力地域ではそういった様子ではないことも写されておりました。おそらくはイラク国民の多くの人がこれまでの恐怖と圧政から逃れられるという感じを抱いているのではないかと思います。そういった空気がこれからのイラクの国家としての再建、復興にプラスの面のエネルギーとして国民の努力が結集される流れが出来ることになれば、それは非常に前向きな流れになるだろうと思います。そういったこともこれから注目して見ていきたいと思っております。

(問)フセイン元大統領の拘束について、自衛隊派遣だけではなくて、文民派遣という可能性についても良い影響が出るのではないかという、その辺りについてはどう思われますか。

(事務次官)先ほど申しましたように、これがどういう結果をもたらすかということについては、まだ評価はしておりませんし、おそらく世界中の誰もまだ評価は出来ないのだろうと思います。従って、具体的なことについて今のような新しい展開を云々するという状況ではまだないと思います。

(問)それに関連してですが、今回フセインが捕まったことを受けて、イラク大使館をその後改めて体制を強化するとか、危機管理を強化するとか、そういう御指示を出されていますか。

(事務次官)昨日の今日ですから、昨日の夜からこの時間までにそういうことを指示したということはありません。

(問)米軍の装甲車が大使館を守っている。これは米軍に日本側から要請されたということでしょうか。

(事務次官)そうです。

目次へ戻る

・六者会合

(問)六者協議ですが、六者協議はこれまで参加各国の調整は難航し、年内開催の見通しが事実上なくなったとの観測も出ております。今後、来年に向けての開催の見通しと、日本政府としてどのような姿勢で次回開催に向けて努力していくのか、この点についてお聞かせください。

(事務次官)御承知のとおり、第2回目の六者会合を早期に開催することが望ましいとの姿勢で日本も米国も中国もいろいろな努力をしてきました。ここに至り、年内と申しましてもそれ程日数があるわけではありませんので、年内の開催が困難になったということは申し上げられると思います。これまでのいろいろなやりとりで、どのようなやりとりがあり、何が問題であったかということは、これは当然のことながら申し上げることは出来ません。それなりにそれぞれの国が努力をしたということは言えると思います。それでは年内という一つの区切りを越えていつかという予測があろうかと思いますが、これについては出来るだけ早くという方向でまた努力が続けられると申し上げる以外はないと思います。それ程悲観的になっているわけではありません。年内というところで区切りますと、クリスマスもあり、新年があるとか、いろいろな日程等があったりします。年内で実現しなかったからと言って物事が急に、何かそれによって悪化するといったことではありません。引き続き開催のための努力についての熱意は失われていないと言えると思いますし、日本としてもそういった熱意は失っているものではありません。また努力はしていきます。

(問)全ての国が努力しているとおっしゃいましたが、それは北朝鮮も含む全ての国ということですか。

(事務次官)そう言ってもいいと思いますが、方向は異なるところはあります。北朝鮮としても六者会合を開かないという姿勢で対応しているわけではない。彼らなりに自分たちに有利な形で開きたいということだろうと思います。

(問)もう一点、今の関連になりますが、結局ここまで各国が努力しながらなかなかまとまらなかったのは、核放棄プロセスと安全の保証を共同声明にどう盛り込むかという問題が十分に考えられるわけで、これを更に乗り越えるためには文書そのものにこだわらないで、みんな揃って六者協議に座った方がいいのではないかという話もアメリカ辺りから出ているようですが、文書の扱いについては今後、どのように取り上げていったらいいと考えていますか。

(事務次官)それもいろいろな話し合いの中で考えられていくのだろう思います。それは御指摘のとおり会合することに意味があるという考え方は一つあると思いますし、会合する以上は何らかの次に向けての成果が欲しいという考え方もあるでしょう。そういった状況、そういった考えがある中で、何らかの前進とまで言えなくても、少なくとも現状を悪くするような会合というのは避けるべきだろうという考え方もあると思います。これまでやってきたそれぞれの調整努力というのは、第2回の六者会合に向けての今後の調整に決してマイナスではなく、むしろ今後の調整努力の基礎にもなる、継続した調整が行われていくべき要素を持っていると考えて頂いて結構だと思います。

(問)六者が遠のいたことで、拉致問題を巡る日朝の交渉についても機会が遠のいたのではないかと思うのですが、これについてはどのように。

(事務次官)拉致問題に関しては、繰り返し申しておりますが、8月の六者会合の際に北朝鮮の方から平壌宣言に沿って解決すべく話し合っていく問題として言及があったわけです。従って我々としては、それでは日本と北朝鮮の間で話しをしましょうということを北京において申し入れをしている状況がずっとそのまま続いているということです。今、六者会合が年を越すからということで、そのこと自体によって何か2国間の問題に変化が生ずるということではないと思います。そもそも我々としては北朝鮮に対して8月以来ずっと、北朝鮮から話しがあった、拉致問題についての協議をやりましょうと言っているわけです。それは今後とも、そういう話は粘り強くやるということだろうと思います。

目次へ戻る



事務次官会見記録 (平成15年12月8日(月)17:00~ :於芝会見室)

・イラクでの襲撃事件

(問)土曜日に2人の外務省葬が行われたことを踏まえて、今後どのような教訓を今回の事件から汲み取るかということもあると思うのですが、今振り返られて、外務省としての安全対策というものをどのように総括していらっしゃいますでしょうか。

(事務次官)2人の悲しい、残酷な殺害事件は我々にいろいろな思いをさせるものです。外交は最前線において危険な状況があるわけです。今度のバグダッドの場合には、そういった状況において大使館の館員及び出張者が最前線で外交の使命を果たすという使命感と責任感において活動していたと思います。それに対し、やはり安全面でのインフラ、いろいろな備え、措置をとることは当然必要なことであり、そういう認識の下においていろいろな措置を講じてはおりました。そういった措置を講じるに至っては、我々東京サイドでのいろいろな考え方と、現地の状況を踏まえた意見がありました。いろいろな情報のやり取り、意見の交換を通じて我々としては最善と思う措置を講じてきたとは考えておりますが、しかし現実にこういう結果になったわけですので、それは更なる措置を講じ、同じような事件の再発を是非とも防ぐことが我々に課された大きな課題であるというのが基本的な認識です。その場合に、我々として当然警備の強化がありますが、具体的な内容については事柄の性格上明らかにすることは出来ません。もう一つは、大使館の業務内容についての十分な検討が必要であろうと思います。他方において大使館に求められている、期待される役割、機能もあるわけですので、安全と、そういった役割といった点でバランスをとる必要がありますが、当面は私はやはり安全ということに重点を置くことが必要だと考えております。

(問)ちょっと具体的にお聞きしたいのですが、例えば警備を連れていなかったこととか、あるいは防弾チョッキを着ていなかったこと、あの時の安全状況、いろいろな情報を総合して、車でティクリットへ行くのが適当だったかどうか、この辺はどういう基準で判断をされたのか、あるいはその点をとって不十分なところはなかったのかどうか、その辺はどのようにお考えでしょうか。

(事務次官)あの環境に置かれて一番良いと考えた手段で行動したと基本的には考えております。その上でより詳細と申しますか、この事情というものについては、それは当然、我々としてはその状況を調べる必要があろうと思いますし、現にそれは行っているところです。

(問)当時、大使館においてあのような場合にどのような警備、対応をとる基準やルールなど、それに基づいて行動されていたのでしょうか。それとも現地にいる2人にその点は任されていたということでしょうか。

(事務次官)先程申しましたように、警備及び行動については本省と現地との間で常にやり取り、意見交換、情報交換をやっておりますし、その上での行動であったということです。個別の、何月何日、どこへ行く時にどうするかについて、必ずしも一つ一つ打ち合わせをしたわけではありませんが、いろいろな行動を行うにあたっての手順、やり方については打ち合わせをしていたということです。それ以上の個別のことについて申し上げることは差し控えさせて頂きたいと思いますが、バグダッドは非常に危険なところですし、現在もバグダッドには我々の大使館員が勤務をしているわけですので、そういう人たちの安全を現在考えなければなりません。また、バグダッドに限らず外交の最前線においては日夜、それこそ24時間警戒を怠らずに勤務している我々の同僚もいるわけです。そういうところとは常時連絡をとりながら対応をしているということです。

(問)重ねてもう一つだけお聞きします。ただ結果的に2人が亡くなられたという痛ましいことになったわけで、それを踏まえた上で、どこが不十分だったのか、あるいはどこを補うべきなのかという点はいかがでしょうか。

(事務次官)それは大いに検証せねばならない。我々としてはそれは当然反省すべき点はあろうかと思いますので、そういった作業というのは具体的にやろうと思います。

(問)亡くなられた2人の遺志を受け継ぐとか、遺志を踏まえてというとられ方が葬儀の間でもあるわけなんですが、外務省としてお二方の遺志というのをどういうふうにお考えになって理解されているかというのを改めてお聞きしたいのですが。

(事務次官)お二人に代わって代弁するという意味ではありませんが、私が彼らとの日頃の連絡、報告といったものを通じて考えますのは、やはりイラクの人々が安定した生活、安心の出来る生活、今日よりも明日の方が良い生活になるという希望を持った日々を送れるように日本として日本らしい方法で貢献したいという気持ち、真心が私には伝わってきております。それが一般市民の物資協力であるとか、学校設備の改修であるとか、医療、病院関係についての支援であるとか、そういった面において日本として努力することに関わる作業をやりたいという気持ちであったかと思います。日本の気持ちを伝えたいと私も追悼式でも申しましたが、そういった気持ちが2人にはあったのではなかろうかと思います。ただ翻って考えますと、彼らがそこまで私に個人的に言ったわけではありませんが、イラクが安定した国家として再建される、イラクの人々が安定した生活を営むことが出来るようになることは、もちろんそれがあの地域全体の安定にも繋がることを外交官として強く考えていたと思います。それが引いては国際社会のために必要なことであり、日本の利益にもなることも考えていたのではないかと思います。やり方、方法については、私が感じますのは、彼らはやはり日本の外交官、日本人としてイラクの人たちに接してその社会に溶け込もうとしていたという印象を非常に受けております。

(問)この間の与党内の自衛隊の派遣を巡る論議などを伺っていますと、2人の遺志を受け継いでということと自衛隊派遣というのを転換させたような指摘あるいは意見などもあるわけですが、次官としてはそういうことも含めて2人の遺志というふうにお考えですか。

(事務次官)自衛隊については、自衛隊は別にあそこに戦いにいくわけではありません。まさに自衛隊も人道復興支援ということで、これまた日本らしい貢献ですので、私は別に奥大使とか井ノ上書記官とこの件について直接議論をしたわけではありませんが、私の気持ちとしてはそういった自衛隊の活動が持っている日本らしい貢献の側面を十分に理解はしていたと思います。奥大使はかつて総合外交政策局で国連政策課長でもありました。おそらく国連の、例えば東ティモールにおける活動、それに連なる日本の自衛隊の現地における貢献が、現地の人々とうまく溶け合った日本らしい貢献に繋がったということなどが、それは私の想像にとどまるものですが、脳裏にあったのかもしれません。

目次へ戻る

・北朝鮮問題

(問)6カ国協議なんですが、NPTに北朝鮮がまず復帰すべきだという意見と、ニューヨークタイムズもNPTというものをいっそ無視して新しい体制を築くんだという2つの意見が報道されていますが、日本政府としてはNPTと北朝鮮の関係をどうすべきだという考え方なんでしょうか。

(事務次官)私はニューヨークタイムズの記事を読んでおりませんし、その記事に載っていると今言われていました2つの考えについてコメントするのは如何かと思います。要するに重要なことは、北朝鮮による核開発計画というのが朝鮮半島及びこの地域の安全保障にとって大きな問題であり、かつ国際的な核不拡散体制に対する重大なる挑戦であり違反であるという問題を解決するために我々としては国際的な努力を行っているということです。もちろん基本的に国際的な核不拡散体制という秩序はNPT体制によって維持されてきているものですから、NPTに従うことが一義的には重要なことであろうということです。

目次へ戻る



事務次官会見記録 (平成15年12月1日(月) 17:00~ 於:会見室)

・イラクの襲撃事件

(問)イラクの事件について、事件の発生当時の状況、その後解明は進めておられると思うのですが、現時点までで分かっていることを出来る限り詳しく教えて頂けますか。発生の時間帯、銃撃の模様等。

(事務次官)事実関係についてはまだいろいろ不明なことが多くあります。一つの結論を導くような状況ではありません。これは今までも明らかにしているとおり、日曜日の夜中、私が連絡を受けたのは午前1時過ぎだったと思いますが、バグダッドの日本大使館から堂道中東局長に連絡があり、続いて直ちに関係各位が外務省に終結したわけです。現地の大使館からいろいろ情報を入手して送るように指示し、刻々情報を入手したという状況で、それに伴い、直ちに大臣に連絡し、緊急対策本部を設置したということです。やはり当初は身元の確認もすぐ出来たわけではありませんでした。これも御承知のとおりです。ましてや犯人像とか、事件の背景といったことについては不明な状況で事態が進んできているということです。その時の状況については、先程申しましたような断定的な判断が出来るような段階にはきていません。犯行の動機とか、犯人像であるといったことについては、いろいろな推測は出来ますが予断は出来ないというのが現在の段階です。

(問)被弾した車のすぐ後ろを米軍の車両が通っていたという目撃情報もあったり、薬莢が現場に残っていないなど不自然な点もあるという情報もありますが、その点はそうした情報は入っていますでしょうか。

(事務次官)報道では承知していますが、それ以上のものを今の段階では存じません。

(問)今、2人の遺体というのはどのような状況になっていて、今日、御家族が現地に向かわれたと思うのですが、その辺の日程とか、どういうふうなところで再会されて、日本にいつ頃帰ってこられるのでしょうか。

(事務次官)これも御承知のとおり、御遺体は米軍の協力によりクウェートに到着しております。今現在は安置されている状況だろうと思います。一方において、田中外務大臣政務官及び御家族の方々がクウェートに行かれるという予定です。その後の日程等についてはまだ調整をしなければならない点が残されています。御家族の方々の御意向を確かめた上で決めて頂かなければならないようなこともあるようです。そういった状況において、この点は是非御理解を頂きたいと思いますが、御家族の方々は突然の深い悲しみに襲われて、そういった状況におられるわけですので、我々としても御家族の方々のお気持ちに最大限の配慮をすべきであり、いろいろなことに関してその御意思を尊重するということが基本的に今一番必要なことではないかと思っています。ましてや御家族の方々のプライバシーを我々としても大事にしてあげたいという気持ちを持っていますので、これからの段取り等についてもそういった心構えで御家族の方々と相談していくことが必要なことです。

(問)お二人は、当初は4月にORHAとの仕事の連絡調整役ということでバグダッドに派遣されて、その後CPAとの連絡調整役をされていたようですが、外務省首脳として2人を派遣してこういう事態を招いたわけなんですが、そのことについての責任についてはどういうふうに。

(事務次官)ORHAとの関係ですが、我々日本政府としてはORHAの情報を入手し、ORHAに対しても日本の立場を伝えることがバグダッドにおける日本大使館の非常に重要な仕事となりました。そういうことで在英大使館の参事官には長期出張を依頼し、外務大臣の指示の下で、日本の外務省の職員として長期に出張してもらいました。実態としても、バグダッドにおける外交活動においてはORHA、後にはCPAとの関係で非常に緊密な人脈を作り、日本の復興支援政策の立案のために情報収集、更には日本の考えを注入することで大きな活躍をされたわけです。当然、最前線においては、危険が伴う任務でしたので、我々としても安全の確保については出来る限りのことをしてきたつもりではあります。現地における安全のための手段について、本省とバグダッドの大使館の間で非常に緊密な連絡をとって、いろいろな改善措置をしてきました。バグダッドという、現在においては非常に特殊な状況において何が最善かということで打ち合わせを重ねてきたところですが、結果として今回のこのような事態が生じたことについては、もちろん我々としても思いを致すところはあります。非常に残念でなりません。

(問)今、イラクの日本大使館はかなりの少人数になっていると思いますが、今日の対策本部会議で人員増員といったことを含めたものも議題になったようですが、今後外務省として現地の職員を雇用するとかいろいろな対応が考えられると思いますが、それについては対応はどうなっているのでしょうか。

(事務次官)その点は、結論から言いますと、これから検討をする課題であると思います。今のところは、今回の事件の処理に全力を尽くしているところです。もちろん、大使館の活動に大きな役割が期待されるところですが、それは今後、考えていきたいと思っていまして、具体的なことを今決めているということはありません。

(問)警護を付けないで移動していたことについて、今の時点で次官はどういうふうにお考えですか。

(事務次官)私はまだその点について予断を持っていません。これは一般論として聞いて頂きたいので誤解なきようにお願いしたいと思いますが、警護について非常に重い(heavy)と言いますか、いわゆるコンボイを組んで移動するというのが一つの方法だろうと思います。軍隊がそういうことをやっているわけです。但し、軍隊だからといって攻撃を受けないというわけではないわけです。むしろ目立つということで危険が高まるという要素も一般論としてはあり得るわけです。片方において、日本の場合には警護のための組織というのはありません。そういった中で、むしろ目立たない形で活動するというのが最大の安全策であるという考え方もあります。そういった2つの考え方については、いろいろな状況によってどちらを採用するかということが考えられるのであろうと思います。今回の場合、その点で現場において具体的にどういう判断をしたかということについては、今の段階では、承知していません。現段階においては承知していませんが、果たして警護員を1~2名付けたということで今回の事件が未然に防ぎ得たか。抑止力という点で、敵を抑止するという観点であれば、ヘヴィなコンボイという警護でないと意味がないかもしれません。そういったいろいろな憶測、推測は出来ますが、先程から申しておりますとおり、まだ事実関係についていろいろ調べるべきところがありますので、予断を持った判断をすることは避けたいと思います。

目次へ戻る



BACK /FORWARD / 目次

外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
外務省