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記者会見

事務次官会見記録(平成15年8月)


INDEX


・ 事務次官会見記録(8月25日付)
 ・ 6者協議
 ・ 万景峰号
 ・ イラク情勢


・ 事務次官会見記録(8月4日付)
 ・ 北朝鮮情勢(6者協議、拉致被害者家族の帰国)
 ・ 日米地位協定




事務次官会見記録 (平成15年8月25日(月) 18:00~ 於:芝会見室)

・6者協議

(問)6カ国協議についてなんですが、中国の外務次官が今日、自民党の野中元幹事長との会談をした際に、拉致問題を取り上げることについて交渉がやりにくくならないかと懸念しているということで否定的な考えを示されていますが、そういった中国側の考えについてどのようにお考えなのかということと、それを踏まえて日本はどうするのかということをお聞きしたいのですが。

(事務次官)拉致問題の6者協議における取り扱いについては、既に中国を含めて関係国には説明をしています。中国の理解も得られていると思います。すなわち、我々としては当然のことですが、北朝鮮の問題を包括的に解決していくという視点に立った場合、6者協議というのは多くの参加者もありますから、核開発の問題が中心の議題になるということはそうですが、拉致の問題も日本としては取り上げるということです。具体的な詳細な議論は当然2国間で詰めを行ったりする必要があるわけですが、6者協議においてあたかもそういう問題がないかの如く扱うということは、我々としては到底出来ないところであるということは説明をした上で、十分な理解と場合によっては支持ということも得てと考えています。ホスト国の中国としてこの会合を成果のあるものにするという観点から心配する向きはあろうかと思いますが、今も申しましたような我々の基本的な考え方については理解も得られていると私どもは理解しています。従って、今の御質問のようなやり取りによって我々の対処方針が変わるということはありません。

(問)くどいのですが、理解を得られているとこちらとしては考えているのにもかかわらず、この協議の前日なり前前日になって、あえてそういうことをおっしゃられたという中国側の意図についてはどのようにお考えでしょうか。

(事務次官)それはホスト国としてはいろいろ心配になる向きはあるでしょう。改めてというか、念を押すということもあるかもしれません。何れにせよ、日本側の考え方、この問題についての対処方針については先般の中国外交部長の訪日の際に大臣から説明しているところですし、その方針に変更はありません。

(問)6者協議の中で、核放棄の一方で北朝鮮の安全保障というのが一つの焦点になってくると思うのですが、アメリカが北朝鮮に行う不可侵ですとかそういうことについて、日本政府の中に一定の時期まで、これ以上のことに踏み込んでくれるなと、あるいは核の傘、抑止力ですとか、あるいは日米安保条約との関係ですとか、そういうことで外務省の中でいろいろ議論があったように聞きますが、現時点での日本の立場、外務省の整理というのはどういうことなるのでしょうか。

(事務次官)当然、いろいろ政策を検討する際に省内でも話し合いを行いますが、特にこの問題について何かいろいろな意見があった、異なる意見があったということはありません。それは全くありません。北朝鮮としては自らの安全に対する脅威を彼等なりに感じているということがおそらくあるのでしょう。従って、安全保障を求める、さもなくば核の抑止力に頼らざるを得ないという議論をしていますが、我々から見た場合にはそういう心配は無用だろうと思います。これは北朝鮮から見た安全保障の問題と、更にはもう一つ、この地域全体の安全の問題、という角度からも見る必要は当然あるわけです。北朝鮮が核兵器を開発するということ自体がこの地域、及び世界にとっての重大な問題ですので、そういった観点からも北朝鮮に対する安全保障の問題ということについては考える必要があろうと思います。当然のことながら、例えば日本と米国の間では、日米安全保障体制というのがあるわけで、それは日本の安全と共にこの地域の平和と安全のために一定の効果をあげているものです。こういったものが害される、まかり間違ってもそういうことはないというのが大前提であるということにおいては、皆の考えが一致しているところです。それに悪影響を与えるようなことは誰も考えていないということです。

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・万景峰号

(問)万景峰号が上陸したわけですが、外務省としての考え方はいかがでしょうか。

(事務次官)外務省としての考え方というか、これは日本政府全体として対応してきたわけです。私も今日、朝からテレビでライブの状況も含めていろいろ報道を見ています。いろいろな思いがあると思います。我々政府としては、従来から申していますように、日本の法律に従ったきちんとした対応をするということに尽きると思います。それは現に、現場において行われているということと思います。例えばPSCについての発表はこれからあると報じられているところですが、そういった法執行をきちんとやっていくということがあるべきことであり、それが行われていると思います。

(問)今回の入港が、ちょうど27日からの6者協議の直前のタイミングだったことについては、どのように注目していますか。

(事務次官)これは我々が考えるよりも、向こうがどう考えているかということですので、いろいろ推測、憶測、感想はありますが、それは北朝鮮の方が考えて決めることだと思いますので、あれこれ言うという類のことではないと思います。きっと、いろいろな事情があるのでしょう。

(問)北朝鮮は、かねてから日本の北朝鮮の船に対する法執行について反発してきた経緯があると思うのですが、今回、万景峰号に対しても法執行を厳しく行っていることで、6者協議の場で北朝鮮の対応に与える影響などは考えていらっしゃいますか。

(事務次官)6者協議の場に北朝鮮がそういう問題を持ち出すかどうかは先方が決めることですから、我々として予測の範囲も更に超えるということだろうと思います。いずれにしても、日本としては国際的にも当然のことであり、日本の法律上も当然のことであり、日本の国民感情ということから見ても当然と言えば当然のことを行っているということですので、何かこれに対して取りただされるということではないと思います。万景峰号の問題は従来からいろいろな問題が言われてきたわけですが、今回、きちんとした法執行を行うことは、当然と言えば当然だろうと思います。

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・イラク情勢

(問)イラクですが、バグダッドの国連事務所に爆弾テロがあって、被害者がいろいろ出たのですが、日本のイラク復興支援に与える影響についてはどのようにお考えなのでしょうか。

(事務次官)当然、日本のイラク復興支援に対してイラクの治安情勢が関わってくるということがあります。我々としては基本的に、イラクという国が中東の地域にあって、それが安定的な、しかも一体性を保った国家として存続するということが中東地域全体の安定にとって必要であろうと思いますし、中東地域の安定は日本の国益にとっても非常に重要なことだろうと思います。日本としても、そういった日本独自の観点からも、やはりイラクが民主的で安定した国家として形を整えていくということに努力をすべきであるという立場です。そういった中で、現在の状況で日本としてどういうことを、今後どういうタイミングでやっていくかということについては当然、現地の治安情勢といったことも検討していかなければならない。その上で、やはり日本としてイラクの新しい国の安定に向けての努力を惜しむということがあってはならないというのが基本的な立場であろうと思います。

(問)国連での新決議に向けての動きについてはどう思っていらっしいますか。

(事務次官)いろいろ非公式な場において意見交換が行われているようです。事態は、国連の事務所が襲われたことに加えて、デメロ特別代表が殺害されたということで、国連の観点から見ても非常に深刻な状況にあろうことは、ニューヨークにおいても共有されている認識だろうと思います。他方において、国連の関与ということは今後とも重要であるという認識も国連の中において共有されているようです。そういうところで、広く国際的な参画を得た貢献、国連の役割といったことをどうやって実現していくかについて、いろいろな意見交換、知恵を出し合っているという状況であります。具体的に、それではどういうアイデアで安保理決議が出来ていくかについては、現在の段階においてはまだ、何かペーパーがあるとかいうことではありません。問題意識は持った上で話し合いを非公式に続けているという状況のようです。

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事務次官会見記録 (平成15年8月4日(月) 17:00~ 於:芝会見室)

・北朝鮮情勢(6者協議、拉致被害者家族の帰国)

(問)北朝鮮の外務省スポークスマンが、近く北京で6者協議が開催されると言っていますが、日本としてはどういうふうに受け止めているのですか。

(事務次官)北朝鮮の外務省スポークスマンの談話については朝鮮中央通信でも報道されています。もちろん我々としては、北朝鮮の核問題に関していわゆる多者協議が開催される方向にあることについてはこれを歓迎しています。今後とも、米国と韓国と特に緊密な連携を図りつつ対処していきたいと考えています。

(問)この6者の中に日本が含まれている、つまり北朝鮮側から通知というのはあったのでしょうか。

(事務次官)これまで5者、6者という議論がありましたから、当然、日本が6者に入っていることは明らかなことです。北朝鮮と我々との間のコミュニケーションについては詳らかにすることは控えますが、北朝鮮が多者協議、6者協議について前向きであるという話は伝わってきていました。

(問)協議の日程というのは、何月何日という確たるものがないにしても概ねどういう見通しを持っていらっしゃいますか。

(事務次官)今日の北朝鮮外務省スポークスマンの談話では、「近く」という表現が使われていると承知していますが、具体的な時期についてはまだ打ち合わせはされていないというのが現状であろうと思います。したがって、予断をすることはどうかという感じは持っています。時期もそうですし、具体的に例えばどういうランクのレベルにするかとか、いろいろなことがまだあるかと思います。よく、最後の瞬間まで固まらない、何が起こるか分からないということが外交では言われるところですので、細かいところが詰まる、詰めていくことがやはり重要な面もあろうかと思います。今予断を持って「いつ」と申し上げるのは、ためらいを感じるのが正直なところです。

(問)日本としてはこの協議の場でどういった問題を取り上げようと思いますか。

(事務次官)基本的には核の問題、これがこの地域の安全保障に関わるということが多者協議の基本的な考え方だろうと思います。従って核の問題が中心となるということは、これは北朝鮮側も当然考えていることであろうと思います。その際に我々としては検証可能な形での最終的な核計画の撤廃を求めていくことが中心になります。その他の議題については、当然日本には日本の関心事項もありますし、韓国にも韓国の関心事項があります。北朝鮮には北朝鮮の関心事項があります。例えば不可侵の問題も言われているわけですが、そういったいろいろな問題をどのように取り上げていくかということについては、我々としても特に韓国、米国とよく打ち合わせをする必要があるということです。まさに具体的な日程といったものと共に、こちらの対処方針または考え方を打ち合わせていく必要があろうと思います。今の段階で議題等について確たるものを持っているわけではありません。ただ、皆さんお考えになれば大体想像がつくと思います。

(問)拉致問題についてはもちろん関係国とは協議を行うのでしょうが、日本側の基本的な姿勢としてはどうなのでしょうか。

(事務次官)拉致問題はもちろん日本にとっては極めて重要な、北朝鮮との間に横たわる問題ですので、基本的には日本としてこの最終的な解決を強く求めていくことについては当然変わりはありません。それは平壌宣言の時から一貫してそうです。最終的な解決といったものについては、日本と北朝鮮の間で詳細を詰めるということが当然必要となってくると思いますが、もちろん国際社会の関心というものもあります。地域の問題としての、朝鮮半島、北朝鮮の問題という観点からも、これを無視して通過することは出来ない問題だろうと考えます。具体的に6者協議においてどういう取り上げ方をされるかについてはこれからの話ですので、今明確なことを申し上げることは出来ませんが、基本的に日本として北朝鮮との関係において拉致問題が非常に重大な問題であるということは当然踏まえた対応振りを考えていくことになろうと思います。

(問)関連ですが、安倍官房副長官が講演で、日朝国交正常化交渉の前提条件として5人の家族の帰国を挙げていましたが、これは政府の考え方か、それとも個人でよろしいのでしょうか。

(事務次官)その真偽が必ずしもよく分かりませんが、もちろん我々としても5人の家族の方々の帰国が出来るだけ早期に実現するというのは、プライオリティを持って考えているところです。従ってそれを今までも、又、これからも取り組んでいくということです。国交正常化交渉の再開の問題ということになりますと、これはいろいろな側面があります。もちろん拉致の問題もありますが、この6者協議との関係というものも出てきます。そういった中で全体として考えていく必要があると思います。これは交渉事ですので、拉致の問題についてもいろいろなやりとりがあり得るわけで、今の段階で何かを何の前提にするといったことというより、我々としての目的である拉致問題の解決、その中でも5人の家族の方々の早期の帰国を実現することのために何が一番有効かつ良い方法かということを探求していく姿勢です。今から何かを決めてかかるといった考えを持っているわけではありません。

(問)事前の3者の日米韓、伝えるところよると、今月半ばぐらいに正式なものを東京でやって、その前に事前の非公式な折衝をワシントンにおいてやるというのが流れているのですが、この辺はどうなるのでしょうか。

(事務次官)まだそのような具体的なことは決まっていません。いろいろ推測はあるようですが、我々として具体的に、段取りを来週とか再来週とか決めているわけではありません。おそらく今日の北朝鮮側の発表の談話にもありましたが、まずは6者協議というものがどういう形でいつ頃開かれるかということを見極めること、そのための外交努力が先行すると思います。当然、これまで日米韓においてはいろいろな意見交換をやってきており、関心が一致しているわけですので、お互いにそう驚くような新しいアイデアを持っているわけではありません。後は具体的な場面、状況においてどういうふうにお互い対応していくかという詰めのような話だろうと思いますので、その詰めをやる段取りについて、今の段階で詰まっているということはありません。追って相談していきます。

(問)細かいのですみませんが、事前の交渉というものは必要なのでしょうか。正式な交渉の前に、会議や協議の前に非公式な?

(事務次官)交渉といっていいかどうか疑問はありますが、いずれにしても、何月何日どこにおいてどういうレベルで何について話をするかということは、ある程度の打ち合わせが必要だろうと思います。これまで中国が米朝の間を仲介して、3者協議が先行するかしないかといったことを含めていろいろ調整をやってきたわけです。その調整の結果、6者協議をやるというところまではきたわけですが、それで全てが既に決まっているかと言えば、先程の話のようにまだタイミングについては決まっていないわけです。それなりのやり取りはあるということになろうと思います。

(問)今回6者が決定した背景、これまで米朝直接協議を拒否してきたアメリカが非公式な形での2者を6者の枠の中で行うという中国側の説得に応じた感じだというような解説がありますが、この点については日本政府としてどのように受け止めていらっしゃいますか。

(事務次官)米国は従来から、多者協議を行えばその場においてお互いに問題を提起したり意見交換をすることが出来るということは言ってきたわけです。今回そういう点について北朝鮮側がどういう姿勢を取ったのかということについては、私は詳らかには存じません。ただ、北朝鮮の外務省スポークスマンの談話には、6者会談の枠組みの中で朝米が接触する、そして双方の立場を明らかにして議論するということは可能だという認識を示しています。我々としては、米国から受けている連絡はありますが、従来から言っていること以上に私から付け加えるものはありません。すなわち、6者協議、多者協議があればその枠内でいろいろな話の仕方があるだろうといったことを米国は従来から言っているということ以上に、今回特別な合意があったといったことを私から付け加えるようなことはありません。

(問)当初6月にハワイでやったTCOGの時もそうでしたが、4月に米中朝3カ国で行われた協議を評価した上で日韓が参加する。つまり最初に想定していたのは、5ということだったのですが、ロシアが入って6になったということはどう評価されますか。そして日本にとってそれはプラスなのかマイナスなのか、プラスでもマイナスでもないのか。

(事務次官)元々3者協議が北京で開かれた際にも、実質問題を話し合うためには日本と韓国の参加が不可欠であるという認識は、米国を含めた日米韓3カ国の間に確固たるものがあったと言えます。これは3カ国の間の首脳会談などでも確認されたところですが、その時においてもロシアの参加を排除するとか望ましくないとかいったことは、我々の念頭にはなかったわけです。当時の記憶を掘り起こして頂ければ、5者でも6者でも異存はないということでした。韓国もそうだと思います。米国もそうだと思います。その心というのは、平和的解決、外交的解決に資するためには日米韓を含む多者協議の実現が必要である。それを実現させるために北朝鮮側においてロシアの参加を望む、ないしはそれに異存がないということであれば、我々としても全く異存はないという立場だったわけです。今回の経緯から言っても、中国がいろいろな仲介をやっている過程を踏まえて北朝鮮がロシアの参加を望んだものと、経緯、流れから私は推測、判断をします。翻って考えてみますと、朝鮮半島の安全保障の問題というのは、やはりこの地域の安全保障の問題ですので、直接の利害関係を持つ関係国が建設的な形で参画して、地域的な話が出来るということがあれば、それはそれで極めて建設的な結果をもたらし得る枠組みだろうと思います。昨年の平壌宣言においても安全保障の問題に関しては、我々としも、当時は6者協議の信頼醸成ということを将来の課題として念頭においていたわけです。そういった意味でも今度6者協議が実現するということであれば、我々としてもこれは歓迎するところです。

(問)北朝鮮側の最近の公式の論評で、6者協議に至るまでの経緯として、幾つか提案があって、3者協議、4者協議、5者協議、3の後に5と。この提案というのがその文面には北朝鮮が提案したのか、それとも関係国が提案したのかといったことは定かではないのですが、一時期日本をはずした4者協議ということを検討していた時期というのはあったのでしょうか。そういう情報というのは把握されていますか。

(事務次官)報道はありました。しかし我々に対して4者協議をやるべきだという議論は聞いたことはありません。

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・日米地位協定

(問)日米地位協定の協議なんですが、今回、当初の45日間というのはまとまらなかったわけですが、日本側はぎりぎり法務・警察当局と調整されて妥協案というのも出されたようですが、今回、まとまらなかったということで更に次の協議再開に向けて日本側が新たな妥協案をまとめる余地というのは全くないとお考えなのかどうかということと、当初の1ラウンド目というのは45日という米側の意向があったわけですが、次は、日程が決まっていないようですが、日本政府内の調整というのはどのぐらいの時間の範囲内でこれをやるべきだというふうにお考えでしょうか。

(事務次官)確かにおっしゃるとおり、45日という日程がありました。これは6月18日の日米合同委員会において45日以内の交渉妥結ということを目標にして、お互いに努力をしましょうということで双方が一致していたということです。そういった努力目標の中で4回の折衝を行ったわけですが、残念ながら隔たりは埋められなかったというのが交渉結果です。これは45日を超えたから交渉は決裂したということではなく、努力目標が達成できなかったということと私は理解をしています。ただ問題は、従来から申していますとおり、日本においては日本の法制度の問題がありますので、我々として出来ることと出来ないこととがあります。これは、直接的には法執行機関の立場というか、立場以上の制度面での制約ということがあろうと思います。ことこの状況に至って、先般の折衝の最後に日米間で話し合ったのは、今回の協議ではそれぞれの立場について理解は深まったけれども、今後それぞれの提案について更に検討を行うということで、本国政府に報告して、取り進め方について更にお互い検討していきましょうということです。それでは、今後の検討の見通し如何というお尋ねかと思いますが、それは今の段階で予断できるものではありません。交渉が終わったばかりであり、次回の交渉の日程について具体的なことが決まっているわけではありません。それなりにここでじっくりと検討するということが必要だということもあります。従って、今後、日本に限らず米国の方もそうですが、具体的にどういう歩み寄りの提案が出来るかといったことについてはまさにこれから双方が考えるという段階、状況です。次回、どういうことが出来るかということについては私は回答をもっていません。

(問)この問題はそもそも95年の合同委員会合意での運用改定について日本側が起訴前の身柄引渡というのをその際勝ち取ったわけですが、米側がその年から主張している米兵容疑者の人権保護の問題、これはなかなか解決できないということで問題にしてきたわけですが、今回はまとまらなかったのですが、米軍基地が日本で存在するという状況は変わらないわけですし、もしこういう協議をやっている間、結論が出ない間に不幸にして同じような事件が発生した場合に、米側はそもそも95年の合意を問題にしているという経緯からしても、あの時にまとまった好意的考慮を払うという項目が、きちんとそれは払われるという見通しを持っている、あるいは今回の協議の中でそれが確実にそうすると、協議中であっても、そういう公約を米側から取り付けているのか、そこはどうでしょう。

(事務次官)今回の協議でまとまらなかったからといって、95年の合同委員会合意が破棄されたとか反故になったということではありません。そもそもそういう問題は協議の対象ではなかったということです。米国が将来具体的な事案が起こった場合にどういう対応を、拘禁の移転について取ってくるかということについては、これはいろいろなケースによると思います。いろいろな事件の犯罪内容といったことによるのは従来どおりであろうと思いますが、我々としては95年の合同委員会合意の誠実な履行を求めていくという立場において変わりはありません。

(問)米側にそれは確認は、交渉の中で取っていらっしゃいますか。

(事務次官)先程も申しましたように、そもそも95年の合同委員会合意、すなわち起訴前の拘禁の移転について好意的考慮を払う払わないといったような問題は今回の協議の対象ではなかったということです。あくまでも取り調べの際の手続きといったことについての協議が行われたということですので、確認を取るも取らないも、そもそも95年の合同委員会合意というのは存在しているという前提で話をしてきたということです。今後とも我々としてはそういう前提で物事を考え、交渉していきたいと考えているところです。

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