事務次官会見記録 (平成15年6月30日(月)16:30~ :於芝会見室)
ミャンマー情勢
(事務次官)私の方からミャンマー情勢について報告を申し上げます。ミャンマー政府が5月30日にアウン・サン・スー・チー女史他、国民民主連盟(NLD)の関係者を拘束して以来1カ月が経過しようとしています。この間、我が国は直接ミャンマー政府に対しまして、事態の速やかな解決を間断なく求めてきましたが、今日に至るまでその実現の見通しがたっていない現状は極めて遺憾であります。ミャンマー政府がスー・チー女史の即時解放、NLDによる政治活動の自由の回復及び事態の全容についての説明を行うことが急務であり、更にミャンマーが民主化及び国民和解に向けて具体的な取り組みを開始することが極めて重要であると考えます。この観点から、我が国は国連やASEAN諸国を含め、国際社会とも協力しつつ、引き続き最大限の外交努力を行っていく所存であります。
(問)ミャンマーですが、引き続き最大限の努力をしていくと。これは、具体的には何ありますでしょうか。
(事務次官)まず、ミャンマーと日本との2国間において、一義的には、現地の宮本大使と先方政府との間で種々の接触を行うということを試みていますが、そもそもスー・チー女史の所在について、我々の方からミャンマー政府に説明を求めているにも関わらず、明確な回答がないというのが現状ですので、この点も含めて確認、説明を求めるというのがまず一つあります。ミャンマー側からも、何らかの対応、説明が我が方にあってしかるべきである、また、そういうことを期待しているというのが現在のところです。それから、国連。先般、日本にも来られましたラザリ特使の役割を我々は重視をしていますし、また、ラザリ特使自身も日本と協力してミャンマーの事態の打開に努力したいという考えであります。ラザリ特使は、日本の後ASEAN諸国にも行っていますが、ASEAN諸国との間では、例えば先般、インドネシアのメガワティ大統領が来日された時に川口大臣と先方のハッサン・ウィラユダ外務大臣との間でこのミャンマー問題についても今後、連携をしていきましょうという話し合いが行われております。ミャンマーがこういった国際社会の懸念というものを真剣に受け止めるよう、我々として国連やASEAN諸国等とも連携をして努力をしていきたいということです。
(問)先週の報道で、日本政府にとっては6月30日はスー・チー女史の解放にとって一つの目安、ちょうど1カ月になるということですが、拘留によって何か日本の態勢がミャンマーに対して厳しくなるということはありませんか。
(事務次官)ちょうど1カ月になりますが、そういう観点から私は先程冒頭に発言したような見解を改めて申し上げたということです。ミャンマーとの関係においても、先程申し上げたように、我々としてはミャンマー側に早期の事態打開を求めていますし、現在もそれを続けているところです。ミャンマー側から事態打開のための動きがある、ないしは我々に対するきちんとした説明が早期になされることを求め、またそれを期待しているところです。
(問)特に今日、一つの節目で、何か厳しくなるとかいうことはないですか。
(事務次官)1カ月という、いわば人工的な日を限って何か新しい決定を行ったことはありません。引き続きミャンマーに対して事態の解決、是正を求めていくということです。それを改めて申し上げたということです。
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日米韓局長級会議
(問)2日にもワシントンで開催が予定されている日米韓局長級会議ですが、北朝鮮に多国間協議に出席を促すために、何らかの提案というものを日米韓の側から行っていくという考えについて、どういうふうにお話を進めていかれるのか教えて頂けますでしょうか。
(事務次官)現在、北朝鮮との間で多国間の協議を進めるために外交努力を行っているわけですが、まだその見通しが出来ているわけではありません。我々としては、今後ともその外交努力を続ける、更には北朝鮮の対応振りを注視しているというのが現状です。そういう中で、北朝鮮の核兵器問題の平和的、外交的解決に資するための日米韓の協議も切れ目なく行っているところであり、7月2日頃にもワシントンで局長クラスの非公式な意見交換が出来ればという方向で現在、調整をしています。ただ、具体的な協議内容については、今この段階で申し上げることは控えさせて頂きたいと思います。いろいろな外交努力を行うにあたっての緊密な意見交換ということで理解頂きたいと思います。
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中東和平
(問)中東なんですが、イスラエル、パレスチナ相互に動きがありまして、官房長官会見でもお伺いしたのですが、これについてどういうふうに評価していらっしゃるかということと、例えばイスラエル側に軍縮のような形で日本政府として何か働き掛けをするのでしょうか。
(事務次官)御指摘のとおり現地時間の29日に、パレスチナ武装組織のハマスとイスラム聖戦が対イスラエル攻撃を3カ月停止する旨を宣言しました。加えて、PLO主流派のファタハも同様の宣言を行ったということです。更に、この日の夜にはイスラエル軍がガザ地区北部のベイト・ハヌーンから撤退を完了したと承知しています。このような動きは、我々としては暴力の停止と、更には「ロードマップ」の実施に向けた前向きな動きとして歓迎しています。ただ、今後の情勢については引き続き注意と関心をもって見ていく必要があろうと考えており、日本政府としてはすべての当事者が暴力を停止し、暴力の悪循環といったものが断ち切られることが確保されるために、最大限の努力が行なわれることを期待し、またそれを求めて参ります。イスラエル軍がガザから撤退するということ、これも前向きな動きと我々は考えていますので、当然のことながらこういった我々の気持ちについてはイスラエル政府にも然るべくお伝えします。当然、パレスチナ側に対しても我々の立場といったものを伝えて、物事、事態が好転する方向に進むよう促進をしていきたいと考えます。
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イラン
(問)イランの関係なんですが、イギリスの新聞で、アザデガン油田の開発を巡って、アメリカの政府が日本政府に対して計画から撤退するように圧力をかけているという報道がなされていますが、これについての事実関係はどうなのか。
(事務次官)御承知のとおり、アザデガン油田の開発に関しましては確か2000年末頃から日本とイランの間で交渉が進められてきています。これは基本的に民間の交渉です。この油田の交渉の件ということに限らず、最近のイランを巡る種々の問題については、当然のことながら米国との間で随時、情報の交換、連絡、意見交換といったことを行ってきていますが、その個別の具体的な内容については申し上げることは必ずしも適当ではないと思います。ある報道では、今月18日、プノンペンにおけるARFの際の日米外相会談でこのアザデガン油田の問題が取り上げられたという報道がありましたが、この会談においてパウエル国務長官の方からアザデガン油田について言及したという事実はありません。ただ、イランの現在の問題の一つというのは、御承知のとおりIAEAの理事会において既に取り上げられている原子力開発に関わる問題です。この問題は、日本もIAEAの理事会のメンバーですので、当然十分にフォローし、ウィーンにおける理事会の会合においては積極的な参加をしています。日本にとりましては、御承知のとおり、核不拡散体制の維持、強化といったことは非常に重要な外交目標ですので、イランの原子力開発の問題ということについても当然、そういった立場から十分フォローし、注意をしています。先般、お知らせしたとおり、茂木副大臣より在京のイラン大使にも我が国の立場について既に申し入れを行ったところです。
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事務次官会見記録 (平成15年6月23日(月) 17:00~ 於会見室)
北朝鮮情勢(KEDO、安保理議長声明)
(問)KEDOなんですが、アメリカの方は7月にも停止したいという意向を示しているのでしょうか。
(事務次官)KEDOの今後のあり方については、この前のいわゆるTCOGにおいても、多少話はありました。しかし、これから協議を続けていこうということであり、何らかの方向性が出ているということは、現時点ではありません。KEDOは理事会でこういうことを決めることになりますが、理事会のメンバーというのは日米韓以外にEUもあり、きちんと相談をしていくという手続きも必要です。現在のところ何らかの方向性が出ているということはありません。
(問)KEDOの問題では、日本の立場はどうなんでしょうか。
(事務次官)これからの理事会で協議を行っていくということです。今のところ、我々としてこうであるべきだという結論を持っているということではありません。種々検討をしております。もちろん、これからの北朝鮮の核問題を巡る動きということもあり得るわけです。いろいろな要素を考えていく必要があろうと思います。
(問)国連の安全保障理事会でアメリカが北朝鮮非難の議長声明というのを、かなり積極的に推進しているように見えますが、日本政府としてこの動きをどう見ていらっしゃるのか、あるいはアメリカが議長声明を求めることを日本政府として支持されるのかどうか、コメントをお聞かせください。
(事務次官)現在、外交努力として5者協議の開催を日米韓ともに求めています。その間、北朝鮮の方からは報道を通じての反応が出てきているという状況において、安全保障理事会での話し合いが事務的に行われているというのが現状です。2月にIAEAから安全保障理事会に報告がなされたわけですので、当然、安全保障理事会としては、これについて何らかの対応をすることが求められていると我々は認識しています。他方、今申しましたような外交努力が行われていることとの関係で、どういうタイミングがいいのか、またどういう内容がいいのかということについては、現在、いろいろな話し合いが行われているところです。我々としても、まさにこういう話し合いが行われているという動きの中で、北朝鮮側の出方ということも勘案していく必要があろうと考えております。まさにそういうことを、このような動きの中で、我々は現在、安保理事会のメンバーではありませんが、各国といろいろな意見交換、協議を行っているところです。
(問)TCOGから現在に至るまでの間に、日本政府としてアメリカに対してもう少し動きを慎重にすべきではないかとか、そういう意見具申というか申し入れのようなものはされているのですか。
(事務次官)申し入れというわけではありませんが、今申しましたような、要するに一緒に考えていきましょうという話はしております。これは日常的に、頻繁に、毎日のように情報交換、意見交換をやっております。ニューヨークにおいてもそうですし、ワシントンにおいても、東京においても然り、ということです。
(問)外務省としては、アメリカが議長声明をかなり本気で求めるというふうに、今分析していらっしゃるのですか。
(事務次官)必ずしもそういうわけではありません。これはアメリカの方に質問して頂くのが一番いいかと思いますが、米国においても、今私が申しましたような問題意識を持って、関係国に相談を求めている、意見を聞いている、こういう状況だろうと思います。
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尖閣諸島
(問)尖閣諸島の問題なんですが、中国、香港の活動家13名が領海内に入ったということがありましたが、その後の現状はどうなっているかということと、政府としての対応をお聞かせください。
(事務次官)御承知の事実関係があろうかと思いますが、香港の活動団体、「保釣行動委員会」という団体が組織した活動家15名が乗船した船が23日の午前11時半頃尖閣諸島魚釣島北西の我が国の領海に入り、抗議行動を行ったとの報告を受けております。その時に日本の海上保安庁の巡視船が阻止をして、取り囲んだ状況になったと聞いております。午後2時頃領海を出て、中国方面に向けて航行している、その後も海上保安庁の巡視船がこの船に対する追尾、監視を継続しているという報告を受けております。なおその間、22日から23日にかけて関連情報を得ましたので、我々としましては、中国政府と香港特別行政区の政府に対して、在外公館等を通じまして抗議船の渡航中止に向け、関係者を説得するよう申し入れを行っていたということもあります。
(問)申し入れに対しての答えと言いますか、先方の反応はどういうものでしょうか。
(事務次官)その時は、まだ承知をしておらず、我々から話を聞いて、初めて聞いたという反応がありました。又、事実関係を調べるといった話はありました。
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イラク(フセインの車爆破)
(問)サダム・フセインの車列をミサイル攻撃しまして、死んだのではないかという話が出ているのですが、それについては何か話しは出ていらっしゃいますでしょうか。
(事務次官)確かオブザーバーの報道ということであったと承知はしますが、その報道以上のことについては承知をしておりません。また、報道で、アメリカの当局においてそういう事実は確認していない、と報じていることは承知しておりますが、それ以上のものはありません。
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事務次官会見記録 (平成15年6月16日(月) 17:00~ 於芝会見室)
沖縄での婦女暴行事件
(問)沖縄の米兵の問題で、日米合同委員会が開かれていると思うのですが、今どんな状況ですか。
(事務次官)御指摘のとおり先程来、4時過ぎからだと聞いておりますが、日米合同委員会が開催されています。婦女暴行容疑の件については逮捕状が発出されたことを受けて、この合同委員会において米側に対して被疑者の拘禁の移転を日本側から要請したということですが、米側がその場でどのようなことを述べたかということについては、まだ報告を受けていません。過去の例から見れば、おそらくは米側としてはワシントンにも報告して、指示を仰ぐということになるのではないかと思いますが、それはあくまでも私の推測です。我々としては今回の容疑の凶悪性ということに鑑みまして、米側が早期に拘束を移転するということを期待しています。
(問)この同じ件ですが、外務省としては沖縄県側の方に、どのような形で通報されたのでしょうか。県の方に事件発生について通報がなかったというような話があるのですが。
(事務次官)そのような話は存じませんが、元々これは捜査当局が真っ先に取り上げていることでして、我々も捜査当局から連絡を受けて承知したというのが、そもそも我々が承知した最初です。沖縄においては沖縄の県警の方が捜査を行っているということですので、今の御質問については私よく分かりません。
(問)合同委員会、どなたが行っていらっしゃったのですか。
(事務次官)北米局長か北米局審議官かと思いますが、承知しておりません。後ほど連絡をさせていただきます。
(問)米側の回答は今日中に得られそうですか。
(事務次官)それはわかりません。今申しましたとおり、これまでの例から言いますとおそらくは本国に報告するということになるのではないかと思われます。
(問)沖縄には新藤政務官もいらして、遺憾の意を表明されているということですが、県内では遺憾の意を政府は繰り返すのではなくて、地位協定改定に向けて行動を起こしてほしいという声が上がっていますが、この点についてはいかがでしょうか。
(事務次官)地位協定の観点からしますと、こういった犯罪者の拘禁の移転ということについては、平成7年に日米合同委員会合意というものができています。まさに地位協定を、運用上補完するものとして合意ができているわけですので、それに従った措置を求めるというのがこの件についの、我々としての考え方です。もちろん翻って、このような事件が度々繰り返されるということについては極めて遺憾なことです。この点は本日も川口大臣よりベーカー大使に強く申し入れをしていますし、去る12日、ベーカー大使から私に対し、今伝えられているようなことが事実であるならば極めて遺憾であるという通報がありました時に、私の方からも、我々としてこういったことが度々繰り返されるということは極めて遺憾を通り越した気持ちを持っている、再発防止ということで本当に真剣に取り組んもらう必要があることを強く申し入れた経緯もあります。
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日韓米三国調整グループ会合(TCOG)
(問)ホノルルで開かれましたTCOGですが、発表された共同プレス発表の中では、北朝鮮が状況を悪化させないことを求めると。状況を悪化させた場合には首脳間の合意に基づく3国調整が必要になるだろうというような書き方にとどまっていて、その発表の中に更なる措置とか、そういう部分が盛り込まれなかったのですが、その点についてはどのようなお考えでしょうか。
(事務次官)その点はまさに我々として、北朝鮮に対しては情勢を更に悪化させるようなことを行わないように強く一貫して求めているところですし、そこに強いメッセージがまずあるわけです。情勢を更にエスカレートさせるような行動に北朝鮮が仮に出た場合に、具体的にどういう措置をとるかということについては、それはまさに相手の行動の内容、状況によるわけですので、それはその時に緊密に連携をするということを今合意しておけば十分だろうと思います。基本的にそのような遺憾な状況になった場合には、一層の措置をとるとか、厳しい措置をとるということについては既に3カ国の首脳の間で原則的に合意されているわけですので、その合意されている下における具体的な措置というのは、その状況において検討して相談もするということをTCOGとしては明らかにしたと考えています。大事なことは、やはり首脳レベルで、基本的なところで意見の一致を見ているというのが根底にあるということです。
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事務次官会見記録 (平成15年6月9日(月) 17:00~ 於会見室)
ミャンマー(スー・チー女史の拘束)
(事務次官)まず私からミャンマー情勢について一言申し上げたいことがあります。ミャンマーについては、スー・チー女史他が拘留されている状況につき、現状を強く懸念しております。同女史他の自由な政治活動の速やかな回復を含め、一刻も早い解決を求めるというのが我が国の立場であります。5日にこの趣旨の大臣談話を発出しました。また、現地の宮本大使より、先方閣僚レベルに対しても様々な働きかけを行ってきています。例えば、この6月6日には、治安・警察を担当しているティン・フライン内務大臣に、宮本大使からこのようなわが国の立場を直接伝えています。更に明日、アジア局の審議官レベルでもわが国の懸念を直接先方に現地において伝える予定です。
また、このような外交努力の一環として、スー・チー女史の即時釈放等を求めるわが国の立場を繰り返す趣旨の川口大臣発ウィン・アウン外務大臣宛の書簡も発出しています。なお、わが国はラザリ国連事務総長特使の活動を従来より支持していまして、わが国他国際社会の働きかけにもかかわらず、ラザリ特使のスー・チー女史との面会が現段階において実現していない現状を遺憾に考えています。今後とも、我々としてはスー・チー女史の釈放を含め事態が正常化されるための外交努力を続ける考えです。
(問)関連なんですが、在京のミャンマー大使館の大使を外務省の方にお呼びして、直接話を申し入れるというような具体的な動きはないのでしょうか。
(事務次官)在京の大使館にもやっているとは思いますが、その点については具体的には存じません。事態が現地で起こっている問題ですので、宮本大使が非常に精力的に現地で働きかけを行っているというのが主な活動です。
(問)関連で、確かアメリカのバウチャー報道官だったと思うのですが、今後の状況次第ではミャンマーに対する経済的な圧力を強める可能性もあり得ると。そういうような発言があったと思うのですが、日本政府としては現在、ODA等も含めて、そういったことを今後検討する可能性というのはあるのでしょうか。
(事務次官)現在の状況というのは今申しましたように、ミャンマー政府に対して、スー・チー女史の釈放を求め、事情を国際社会に対して説明すべきであるということを強く申し入れているところです。対ミャンマー政策全体ということになると、当然のことながら現在の状況においては何事もなかったかの如き政策を続けるというのは、如何なものかと現在は考えています。今後、どのような状況が展開するかということによって我々もいろいろ検討をしていくことになろうと思いますが、具体的にODAとかいったことについて現段階で云々するということは差し控えさせて頂きたいと思っています。
(問)確認ですが、何事もなかったかのような政策を続けるのは如何なものかというのは、現在の政策を続けるのは如何なものかということですか。
(事務次官)現状において、この今の時期において、「ビジネス・アズ・ユージュアル」と言いますか、何も起こっていないと想定するというのは現実に合致しないであろうということです。現在においてはミャンマー政府に対して事実関係を明らかにし、ただちに是正を求めるという措置をとっているところです。従って、その後の政策云々に関してはまだこれからのことですので、現在、具体的なことを云々するということは尚早であり、控えさせて頂きたいと思います。
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北朝鮮(万景峰号、核問題)
(問)北朝鮮ですが、万景峰号の入港取り止めという発表がありましたが、この事態をどういうふうに評価されるかということと、今後の北朝鮮の核問題を巡る多国間の交渉、日朝交渉に及ぼす影響がどのようになるとお考えか、この2点についてお答え頂けますでしょうか。
(事務次官)万景峰号の来訪を取り止めるというのは北朝鮮側における決定ですので、どういうことを考えて、今後の見通しをどういうふうに考えてそういう決定をしたかということについては、何らかの想像、推測はできますが、それは先方の判断ですので、私の口から申し上げることではないと思います。その他、核兵器問題といった、いわばこの地域全体の安全保障に関わる問題については、この万景峰号の問題それ自体が、我々の立場からすれば影響を与えるべきものではないと思いますが、それは先方の態度ですから、私の方からいろいろ推測しても、予断を持つということはできないと思います。
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スリランカ復興開発に関する東京会議
(問)今日から始まったスリランカの復興開発会議なんですが、冒頭のウィクラマシンハ首相の挨拶の中で、北東部の復興開発に責任を持つ暫定統治機構を作る必要があるというような御発言があったのですが、これに対する政府の受け止めはどうなんでしょうか。
(事務次官)ウィクラマシンハ首相が今日のスピーチの中において、まずは日本をはじめとする国際社会の努力に謝意を表明されましたし、今御指摘のLTTEとの間で意見が対立しています暫定行政機構問題についてのスリランカ政府としての前向きな姿勢というものを示されたと評価をしています。我々としては、この暫定行政機構問題をはじめとして、LTTEにおいて、和平及び北東部を含めた復興とか開発といった住民の生活の向上、福祉の向上といったことについて政府と更に交渉、話し合いを重ね、前向きな対応をするということを期待しています。今回の東京会合には残念ながらLTTEは参加していませんが、東京会議というものが一つの弾み、きっかけになり、LTTEが和平交渉の場に早期に戻ってくることに期待をしています。
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アーミテージ米国務副長官との戦略対話
(問)明日、アーミテージ国務副長官と戦略対話がありますが、日米韓首脳会談が一巡して、北朝鮮問題についての道は、足並み、共同歩調をとっていることを確認した中で、次官としては今回の協議というのをどう位置付けられているのかということと、イラク新法も含めて、このタイミングで次官の方からはどういう対話にしたいというふうに考えているか。
(事務次官)御承知のとおり戦略対話は中長期的な観点も含め、双方の関心事項について意見交換をするという場です。当然のことながら北朝鮮問題及びイラク問題は話題になると思います。北朝鮮について申しますと、一連の3カ国の間の首脳会談というものが完結したわけです。それを踏まえて、大所高所の話をしたいと思います。北朝鮮問題については御承知のとおり、引き続いて事務レベルによるTCOGが予定されていますので、その場においてより具体的な今後のやり方について意見交換、連携を図るということをやってもらいたいと思っています。イラクに関しては、特段、日米間で何かを今、話し合わなければならない問題があるわけではありません。いろいろな連絡、協調は常々やってきているわけです。もちろん新法についての新しい決定については、この時点で話せることはお話したいと思っています。
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事務次官会見記録 (平成15年6月2日(月) 17:00~ 於会見室)
ポーランドにおけるブッシュ大統領演説
(問)ブッシュ大統領の表明された大量破壊兵器の拡散防止構想なんですが、日本政府としての考え方と、一部の国とは既に協議は始めているということなんですが、それについてはどういうふうにお考えですか。
(事務次官)核兵器及び大量破壊兵器の問題につきましては、私は確か2月半ばの会見で申し上げたかと思いますが、やはり現在の国際社会が抱えている極めて大きな、重大な問題である、また、我々に対する、次の世代に対する重大な脅威を構成し得るものであるという基本認識です。そういう観点から、大量破壊兵器の拡散の問題に対しては、真剣に、かつ効果的な抑止、規制の方法を考え、作っていくべきであると基本的に考えています。そういう問題意識から、この度31日にブッシュ大統領がポーランドにおいてスピーチで触れたイニシアティブについて
は、基本的に賛同するものです。具体的なことにつきましては、まだまだこれからいろいろな相談をし、また意見を言っていく必要があろうと思います。我々に対しましても、ブッシュ大統領がスピーチを行う前、というかポーランドに出発する前にこの考え方についての通報がありましたし、打診もありました。これから詳細については、まだ米国自身もこれから詰めていく必要があるということですし、関係国と、いろいろな検討を重ねていくこととなろうと思いますが、基本的な趣旨については今申しましましたような考えに基づいて賛同するものです。また、作業には積極的に参加していきたいし、実際そうしていくべきであろうと考えています。
北朝鮮核問題
(問)一部報道で、産経新聞社の報道ですが、北朝鮮の核問題について話し合う協議が、従来の米中朝に加えて日韓も参加した形でマレーシアで開かれるという報道が週末ありましたが、これについては外務省はどのように受け止めておられますか。
(事務次官)いろいろな報道があります。今、特定の報道についてのお尋ねですが、結論から申しますと、5カ国協議についてマレーシアのクアラルンプールで開催するという方向で調整が行われているという事実はありません。
(問)関連してなんですが、米中首脳会談でも中国側が、北朝鮮は米朝は担保されれば日韓の参加も含めて応じるようなことを言っているというようなブリーフもあり、北朝鮮から日本に対して多国間協議の参加についてどのような形で今話が来ているのか、そこについてお答え頂けませんか。
(事務次官)日本にというよりは、今新しい動きとして、まさに今触れられました米中首脳会議において、北朝鮮が中国を通じて伝達をしたということがあります。これは米国のプレスブリーフィングで、私もトランス・クリプトを先程読んだばかりですが、多国間の協議を行うそのための代価として2国間の、米朝間の何らかの接触を求めるという考え方です。これをどう評価するかであろうと思います。米国においては、これは多少なりとも、少々の進展かもしれないということもブリーファーは言っていますが、いずれにせよブッシュ大統領の念頭にある、中国に対する首脳会談におけるインプットというものは、多国間協議、日本と韓国が参加した多国間協議ということです。ただ、たくさんの人が座っているテーブルにおいて、北朝鮮の人が米国の代表の目を見て話しをしてくればそれは耳を傾けるし、またそういう形で話しを聞くことは出来るというブリーフをされたそうですが、これはあくまでも多国間協議のテーブルということを前提とした立場を述べたという感じが致します。我々としても、問題は核兵器の問題、これはこの地域全体の安全保障に関わる問題ですから、当然のことながら我が国を含めた関係国がこの問題についての話し合いに関与していくことが重要かつ肝要なことであろうと考えています。また、我々としても従来から小泉総理も述べているように、核の問題、その他2国間の問題もありますので包括的な解決を求めていくという立場からしても、多国間協議が望ましい。また、北朝鮮にとっても国際的な孤立から抜け出すためには多国間協議に応ずるということが必要であると思います。
(問)その件に北朝鮮が言っているということについて、中国から日本に対して直接説明はなかったのでしょうか。
(事務次官)ブッシュ大統領に、エビアンにおいて伝えられたと言われるものは事前に日本に伝えられたということはありません。しかし中国との間では従来からいろいろな意見交換、情報交換をしています。今回伝えられたという北朝鮮の立場は、5月24日の北朝鮮の外務省スポークスマンの発言にも相通ずるものであろうと思います。中国側から北朝鮮の基本的な考え方については、従来から伝わってきています。しかし、今このブッシュ大統領との会談で胡錦濤主席から伝えられたものが事前に日本に通告があったということはありません。
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