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記者会見

事務次官会見記録(平成15年5月)


INDEX


・ 事務次官会見記録(5月26日付)
 ・ 日米首脳会談(北朝鮮関連)
 ・ 「多国間協議受け入れ」の北朝鮮スポークスマン談話
 ・ 拉致問題
 ・ G8首脳会合
 ・ 中東和平


・ 事務次官会見記録(5月19日付)
 ・ アチェ問題に関する当事者間の対話
 ・ イスラエル・パレスチナ間の信頼醸成のための会議
 ・ 北朝鮮への経済制裁
 ・ 茂木副大臣の中東訪問


・ 事務次官会見記録(5月12日付)
 ・ 王毅中国次官の来日
 ・ イラク復興支援




事務次官会見記録 (平成15年5月26日(月) 17:00~ 於:芝会見室)

・日米首脳会談(北朝鮮関連)

(問)先頃の日米首脳会談なんですが、会談の中で小泉総理が北朝鮮政策で、対話と圧力が必要だというふうにおっしゃったと思うのですが、これは従来の政府の対話による平和的解決という方針を修正した新たな政府の方針ということでしょうか。

(事務次官)そういうことでは必ずしもありません。従来から、特に核開発の問題については日米とも外交的、平和的解決を目指すということについては一致していたわけですし、今回もその点については改めて両首脳間で一致をしているところです。そういった平和的解決という文脈の中で、更にはイラクとは北朝鮮とは対応が違うということを確認されていますが、そういった文脈の中で一定の圧力が必要であるということを総理から述べられたと理解しております。従来から北朝鮮に対しては国際社会の責任ある一員として行動することを求め、そういうふうに北朝鮮が行動を改めることによって北朝鮮も利益を得ることができるであろうということを申しており、そういった働きかけをしてきているわけですので、その点では従来とは変わっていません。更に最近、報道で日本政府の取締が取り上げられています。実際、具体的な取締が行われています。麻薬の問題であるとか、更にはいろいろな機微な機械類の不正な取引についての取締といったことです。これはいわば、法治国家としては当然の法執行ですので、この点を改めて厳しく厳格に行うということは申しておりますが、これも基本的には従来から我々もそういうふうに考えているところであり、今回、方針を転換したとは私は理解していません。

(問)違法行為の取締というのは従来もやっていたということですが、この圧力というのは具体的にどういった取り組みというのを考えていますか。

(事務次官)具体的な中身について、両首脳の間で話しが行われたとは私は聞いていませんが、圧力というのは非常に広い意味だろうと思います。政治的な圧力というのもありましょうし、例えば今回の両首脳の記者会見といったものも北朝鮮は圧力と感じるかもしれません。安保理事会の動きというのもあるでしょう。国際世論というのもあるでしょう。更には今申しましたような取締というのも圧力と感じるかもしれません。更に、両首脳が今回も意見の一致を見たところであるような更なる措置、追加的な措置といったものも北朝鮮の今後の行動によっては必要となってくるということです。具体的には使用済み燃料棒の再処理といった行動に対してはやはりきちんとした対応をする。それがまた圧力としての意味を持つと理解します。広く、状況、出方によって対応が具体的には決まっていくと思っています。また、繰り返しになりますが、基本的には圧力というのはあくまでも平和的な解決の一環としての圧力ということについても忘れてはならないと思っています。

(問)今の重なる質問で、同じ答になるかもしれませんが、従来は対話と抑止という表現だったと思うのですが、「対話と抑止」と「対話と圧力」、これはどう違うのでしょうか。

(事務次官)総理がどういうおつもりで話をされたかということを私は直接は聞いておりませんが、一般的には、「抑止」というのはまさに抑止、相手方の行動を制約するといいますか、抑制しようというのが「抑止」でしょうし、「圧力」というのは、もう一つ相手に行動の是正を求めるとか、こちらの期待を込めた措置ということが入ってくるのではないでしょうか。

(問)今日、大臣が韓国の外交通商部長官に電話をされまして、日米首脳会談でこういうことがあったという報告をお話しされて、しばらく前に米韓の話し合いというものがあったのですが、盧武鉉さんが来られるにあたって、日韓の立場の温度差ということも言われますが、その辺についてはどんなふうに現時点で認識されますか。

(事務次官)まさに盧武鉉大統領が訪日されて、小泉総理と話をされるということで、いわば輪が完結するということになろうかと思います。これまでのところの評価としては、私は日韓、米韓、日米というところで北朝鮮の問題については、非常に首脳レベルで歩調の合った対応が示されていると思います。特に盧武鉉大統領の訪米の前には、この3カ国の間で温度差が見えるのではないかという予想もあったかと思います。また、それに亀裂を生じせしめようという意図を持った北朝鮮側からの論調といったものも見られたとの観測もありました。しかし、やはり核兵器の問題に対しては非常に毅然とした対応をする、核兵器計画の撤廃を求めるという点においては、明確なメッセージがこれまで出ていると私は考えます。

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・「多国間協議受け入れ」の北朝鮮スポークスマン談話

(問)北朝鮮が土曜日に、多国間協議、例の米朝協議を行い続けて、米国側が提起する多国間協議を行える立場だというような発言をしていますが、このことについてはどのように受け止めていますか。

(事務次官)24日の北朝鮮の外務省スポークスマンの談話についてのお尋ねだと思いますが、今御指摘のような内容です。これまでも北朝鮮は協議の形式にはこだわらないということを明らかにしたことがあるのは御承知のとおりです。大事なのは米国の対北朝鮮政策であるということを今回も述べています。そういった意味では特段新しいということではないと思いますが、しかし1カ月という時期を見て、また日米首脳会談の直後という時期において改めて、条件付きではありますが多国間協議に応じる可能性というのを打ち出したといいますか言及しているという点については、解釈の仕方によっては一定の柔軟性を示そうとする意図なのかもしれません。これはいろいろな見方があり得ると思います。断定はしませんがそういう可能性も排除はされないと考えますので、そういう意味では我々としてもある程度の注目はしていると申し上げられると思います。

(問)一定の柔軟性というのは日韓参加に柔軟という趣旨ですか。

(事務次官)はい。そういうことです。

(問)柔軟性を示し始めたかもしれないという理由についてはどのように分析しておられますか。

(事務次官)北朝鮮は、元々は米朝の直接対話一本槍だったわけですが、北京の3者協議が出来る前には協議の形式にはこだわらないということを言っていたわけです。それ自体はその時に言っていたわけですから、今回、柔軟性を示したというふうに敢えて考えない見方も出来るかと思います。他方、多少繰り返しになりますが、この際改めて繰り返して、多国間協議の可能性に言及したということ、北京協議の前に1回言っただけでおしまいというわけではなく、再び繰り返してこのタイミングで言ったということについては、それは一定の多国間協議に対する柔軟性を示すものかもしれないということです。

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・拉致問題

(問)G8の外相会談で、議長サマリーにも出ましたし、大臣自身からも発言があったということですが、拉致という言葉を今回大臣がおっしゃって、サマリーにも、英語で言えばabductionという言葉が入っているわけですが、従来日本政府は、拉致の問題については日朝の間にある特別な人道上の問題というふうに捉えていて、国際会議の場では、なかなかああいう明示した形で持ち出さなかったような気がするのですが、これは、拉致という問題をこれからは一種の国際問題だと訴えていくという方針に、外務省側がシフトしたという理解でよろしいでしょうか。

(事務次官)シフトということでは、特別ありません。従来も国連の人権委員会といった場では提起してきたわけです。関連決議ができたのはつい最近ですが、問題としてはいろいろな場で提起をしていました。そういう中でやはり去年の小泉総理の訪朝以来、この拉致事件を巡る北朝鮮側の対応、国際的な関心の高まりといったこともあります。もちろん北朝鮮問題そのもの自体についてのG8諸国政府の関心の高まりというものもあろうかと思います。この問題が国際的な一種の圧力として北朝鮮に働くということの効果というものもあろうかと思います。タイミングとしては、この機会に拉致の問題でG8の足並みが揃う、同じ意見をG8として発するということは非常に意味のあることだと思います。

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・G8首脳会合

(問)サミット、首脳会合の方に対してなんですが、最近首脳レベルのマルチの会合が増えているわけですが、その中でG8の首脳会合が日本外交にとって持つ意味というものを改めて伺いたいのと、もう一つ、テーマが、サミットの議題には例えば安全保障ですとか地域情勢ですとか開発とか、いろいろ大まかなくくりとしては既に言われているわけなんですが、日米、日中を経て、今度首脳会議に至るこの一連のプロセスの中で、日本外交として最も重視されている政策アジェンダは何かということと、それをどう一連のプロセスを通じて訴えていきたいか、あるいはどういう政策を掲げて全うしていきたいのか、お聞かせください。

(事務次官)非常に広範な問題ですので、どこまでカバー出来るか分かりませんが、G8サミットというものが日本にとって重要だということは、一つは世界の主要国の首脳が集まり、そこに参加するというその基本的な事実をもってしても重要性があると思います。敢えて、特に日本にとってはどうかということを言われますと、一つは、そもそもG8サミット、G7サミットというのは経済サミットから始まった経緯があり、今でもやはり世界経済のマネージメントないしは動向といったことについての自由な意見交換が重要でありますから、それこそ軍事力を持って政策を遂行することをやらない日本、いわゆるシビリアン・パワーとしての日本にとってG8会議が占める意義というのは他の国と比べても、高いものと感ずるところがあろうかと思います。安保理の常任理事国でない日本としては、特に重要といったような見方もあるかもしれませんし、それも当たっているかもしれませんが、基本的には戦後の日本を考えてみた場合に、シビリアン・パワーとして世界の中で貢献をし、更に我が国の国益を増進するという観点からG8サミットが占める重要性というのは大きかったのだろうと思います。今回、いろいろ注目点はあろうかと思いますが、サミットのそれぞれの会合の進め方は、ホスト国、いわゆるホストのパーソナリティないしはホストが示してくるアジェンダに非常に左右されるというところはあろうと思います。最近また非常に顕著な傾向になっていますのは、事務方といいますか官僚が準備万端整えて、紙をたくさん出すといったスタイルでは駄目だということで、首脳が自由に話しをする機会と捉えようというスタイルが、元々はそうだったと思うのですが、また最近そういう傾向が強くなっていると思います。従って今回も何が出てくるか、どういうことになるかというのは、実はエビアンで首脳が会われてから明らかになってくるという側面があると思います。もちろん、マクロ経済であったり、国際情勢、北朝鮮、イラク、中東和平といったところも重要でしょう。それから開発問題ということで、これは従来から申しておりますような、昨年のヨハネスブルグ・サミットから今年3月の関西におきます水フォーラム、それからエビアン・サミットを経て9月のTICADIIIといった流れの中で、日本とフランスが共通の問題意識を持ってアフリカの開発問題にあたるというアジェンダもあります。これが今回、日本としては事前に時間をかけて準備をオた一種の戦略目標を持ったアジェンダと言えるかと思います。そうは申しましても、イラク問題がG8の国々の間に投げかけた問題は完全に払拭されたわけではありませんので、安保理決議が先週出来ましたが、それを経た上でエビアンにおいてG8の首脳たちがどういう問題を取り上げ、どういう率直な意見交換をし、何をまとめるかということは、G8の結束と言いますか米欧間の結束と言いますか、そういった観点からも注目されると思います。日本としては、これは小泉総理がどう考えられるかは別ですが、米欧間の協調といったことがここでもう一度明らかに固まるということがあれば、それは非常に結構なことだと思いまして、私はその点から一つ注目をしております。

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・中東和平

(問)中東和平ですが、イスラエルがロードマップの受け入れを決めたことについての政府の受け止めと、今後、中東和平に日本としてどのように関わっていくとお考えなのかということをお聞きしたいのですが。

(事務次官)今御質問の中東和平については外務大臣談話が出ていたと思いますが、当然、我々としては中東和平の進展を望むという立場からイスラエルがパレスチナに続きまして、原則受け入れたということは歓迎しております。ただ、このロードマップ、行程表はあくまでもロードマップですので、それぞれの段階、段階において交渉をまとめていきませんと、次の段階に移らないわけですから、まだまだ、目標や時刻表は出来たけれどもその通りに運行していくか、進展していくかは、これからの問題です。我々として出来ることはしますが、基本的に両当事者が自制と平和に対する勇気ある態度、指導力を発揮してこのロードマップに沿った進展が見られることを期待しています。

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事務次官会見記録 (平成15年5月19日(月) 17:00~ 於:芝会見室)

・アチェ問題に関する当事者間の対話

(事務次官)まず私の方から、今月の17、18日と東京において開かれましたアチェ問題に関する当事者間の対話について述べたいと思います。我が国は「平和の定着」外交イニシアティブの一環としてアチェ問題に関しても昨年12月に「アチェにおける和平・復興に関する準備会合」を東京において開催しました。その1週間後の「敵対行為の停止に関する枠組み合意(COHA)」の署名を後押ししたわけです。また、本年1月、インドネシア支援国会合、いわゆるCGIという会合ですが、その会合におきましても平和の確立を前提としてアチェの復興に対する支援の意図を表明しました。またCOHAの履行のためのモニタリング活動を支援する等の努力を行ってきました。更に今回の対話についても東京会合の共同議長国の一員として、米国、EU、世界銀行と共に、会議場の提供をはじめ側面的な支援を行ってきました。
 しかるに、昨日夜の外務大臣談話にあるとおり、今回の対話が目下の問題の解決に繋がることなく不調に終わったということは、このような支援を行ってきた我が国にとっても大変残念なことです。
 更に、19日現地時間午前0時に、大統領決定があり、「アチェ全域における非常軍政事態の宣言」が発表されましたが、我が国としても事態の進展を注意深く見守っているところであります。
 もとより、インドネシアの安定は同国のみならずアジア地域の平和と安定にとっても極めて重要です。目下の状況には深刻なものがありますが、我が国としてはこの問題がインドネシアの領土の一体性の下で平和的に解決されることを強く希望しており、引き続き問題解決のためにあらゆる側面的支援を行っていく所存です。

(問)今、お話になられたアチェの件ですが、今後また継続的に、日本としてこの和平の仲介の労をとるというようなことで、何か具体的な方策を伺いたいのですが。

(事務次官)現在の状況というのは非常に我々としても憂慮していますが、今直ちに何か我々として出来ることがあるかと言えば、それは現実の問題として、暫くは事態を見つめることであろうと思います。他方、我々はこれまでインドネシア政府及びGAM(独立アチェ運動)双方との対話、チャンネルというものもありますので、出来るだけ、もう一度双方が交渉、対話の席に着くことが当然望ましいわけで、そのための努力というのは今後とも探っていきたいと思います。ただ、現在の状況において具体的な考えがあるかというお尋ねであれば、それはありません。これから模索していくというところです。

(問)次官、今、大変残念であるとおっしゃいましたが、今回の交渉が決裂した理由としては、政府としては、インドネシア側、政府側か、GAMの側かどちらでしょうか。

(事務次官)これはどちらという明確な判断をすることは出来ないと思います。経緯的に申しますと、昨年の「敵対行為の停止に関する枠組み合意」が出来た後、インドネシア側からの話によりますと、GAMの停戦違反が続発したと。例えば特別自治ということではなく、やはり分離・独立を主張したとか、更には強制的な徴税を住民たちに課したとか、更に合意事項の重要な部分である武器の収納、武装解除後の収納ということも行われない状況が続いたということです。事態は双方の間の衝突ということで悪化していたわけですが、今回の争点というか大きな論点としては、やはりGAMが独立という考えを放棄するか否かという点、そして特別自治という地位を受けるか否かということでした。これはインドネシアの領土の一体性の問題と関わるわけです。日本政府としては一貫して他の欧米諸国と同様に、インドネシア領土の一体性を支持してきているところです。更には武器の格納、収納といったことが大きな論点であって、これらについて話し合いが行われてきたと理解しています。

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・イスラエル・パレスチナ間の信頼醸成のための会議

(問)中東和平の話なんですが、今日から信頼醸成会議が東京で始まりましたが、一方で、エルサレムで自爆テロが発生したり、それで大臣が非難談話を出されるという経緯もありましたし、一方でイスラエルの方はガザと西岸に対して全面封鎖を閣議で決めるというふうに、また対立が激化している様相もありますが、その現状をどう御覧になっているかということと、日本として中東和平にどういう貢献が出来るのか、役割があるのかと、今改めて伺いたいのですが。

(事務次官)我々としては、御承知のとおり川口大臣が先般も現地を訪問しまして、その際、一つにはパレスチナ自治政府のアッバース首相の下における新内閣の誕生ということを踏まえまして、パレスチナの改革が進展することを求めたわけです。更にはイスラエル側に対しても、そういうパレスチナの改革の進展ないしは新しい内閣の成立ということを踏まえて、和平の話し合い、ピース・プロセスというのを進めることを奨励したわけです。そういう流れの中でいわゆる中東和平プロセスのための行程表、いわゆるロードマップが明らかにされまして、それに従って話し合いが進むことを切望し、更には働きかけを外交チャンネルを通じて行ってきたところですので、現在の状況という点については遺憾なところが当然あるわけです。他方、今回イスラエルとパレスチナの間の信頼醸成のための会議が東京で開催出来ました。これは参加された方が現に言っておられたのを聞いておりましたら、イスラエルとパレスチナの対話というのは、外国、今回は日本ですが、こういったところで開催出来ることは非常に貴重な機会であるという趣旨でした。我々としては、ロードマップに沿った流れをいろいろなやり方で推し進めたいと思いますし、とにかく相互の信頼関係の増進ということが和平の基礎になるという考えに基づいて、地道ではありますが今回の信頼醸成のための会議といったようなものも行っていきたいと思います。

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・北朝鮮への経済制裁

(問)外為法の関係なんですが、現在、政府として日米2国間で、こういう状況になったら北朝鮮に対して制裁を実施するというようなことは具体的に検討されておりますか。

(事務次官)それは前にもお答えしたことであると思いますが、そういう話し合いをしているということはありません。現在、各国の中でいわゆる経済制裁を認めるという政策を表明している政府については、私も承知を致しません。これは日米間においてもそういう話合いを行っているという事実はありません。

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・茂木副大臣の中東訪問

(問)バグダッドを訪問されていた茂木副大臣が帰国されましたが、日本の支援に対するニーズというものを、今回の訪問で何か把握できたことというのはあるのでしょうか。

(事務次官)それは茂木副大臣自身から御説明があると思いますし、その方が適当だと思いますが、日本としてのやるべきこと、やれることを現地で肌で感じてこられました。私も短時間ですが今日、報告を頂きました。一口で申し上げて、茂木副大臣の印象としては、今回の戦争によってもたらされた被害というのもさることながら、やはりサダム・フセインの下でのいわゆる失われた20年間という時期におけるいろいろな国民生活に対する困難な状況、そういう問題に取り組む必要があるということでした。戦争の被害の修復もさることながらということです。むしろイラクの国民生活をきちんとした軌道に乗せるということの課題には大きなものがある、というような印象であったそうです。

(問)今のお話についてですが、今のイラクの復興についての範囲として、日本としてイラクの復興支援というときに、今回の戦争だけではなくてサダム・フセインの20年間の治世というものを対象として復興支援というものを組んでいくということになりますか。

(事務次官)それはまだ、これからいろいろ検討するところです。復興と言った場合に、戦災の被害と共に、実はいわゆる略奪行為による被害も、インフラとか行政のサービスの点では相当の被害を及ぼしているという話もありました。どのような点を中心にやっていくかということについては、これからおそらくは国際機関によるニーズ・アセスメントというものもあろうかと思います。ある段階では日本政府がいろいろな現地の調査を行うということも必要になろうかと思います。更には国際社会全体として支援にどういう形で取り組むかという相談の場が出てくることも期待されます。そうした中で日本としてやるべきこと、やれることといった問題を進めていくというプロセスになろうと思いますが、いずれにせよ現地の状況というのを直に見られた感じとしては、やはりスピード、タイミングといったものも重要であるという話もありました。出来るものから手を付けていくということになろうかと思います。補足になりますが、一方において、国連の安保理において決議の採択に向けての協議が現在も行われているところですし、それも踏まえての国際協調、復興支援のための国際協調の流れというものも出てくることを期待致します。我々として、人道面での支援について日本は行ってきたわけですが、それをもう少し広げた復興といったところからまずは手を付けるというのが当面の重点になると思います。おそらくは国際機関と連携しながら支援の形式をとるということが中心になろうと思います。タイミングの問題もありますので、出来ることから行いたいと考えております。

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事務次官会見記録 (平成15年5月12日(月) 17:00~ 於:芝会見室)

・王毅中国次官の来日

(問)中国の王毅次官が急遽来日されて、一連の会談をされていますが、次回の米中朝3カ国協議の開催について具体的な説明というのは外務省側にあったのでしょうか。次官はこれからでしょうが。

(事務次官)まだ一連の会談をやっている最中でして、現在進行形であり、聞いておりません。大臣との会見の際にはそういう話はなかったと聞いています。現在、田中外務審議官と会談中ということですので、聞いていません。

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・イラク復興支援

(問)イラクのORHAについてなんですが、構成している人物の入れ替えを含めていろいろ出ていますが、この動きについて米側から何か情報を得ていらっしゃるのかということと、その動きがあるとしたらそれをどういうふうに日本政府として見ているのかということについて。

(事務次官)いろいろな報道を見たり聞いたりしていますが、米国から特段の説明は私のところには入ってきていません。いずれにしてもアメリカの中における人事のことですので、いろいろな事情があるのかもしれませんが、それを敢えて推測するというのは控えたいと思います。

(問)同じイラク関係なんですが、先週、安保理決議案が出されまして、安保理での本格論議はこれからのようですが、この決議の見通し、戦前はいろいろ決議を巡って対立とかもあった経緯があるわけなんですが、復興に向けて今回の決議の見通しはどういうふうに見ていらっしゃいますか。

(事務次官)確か今日の段階では、まだ専門家の間での意見交換を安保理のメンバーの間で行っていると聞いていますが、各国ともまずは提案者から説明を受けるということを今行っている段階だろうと思います。我々もニューヨークの代表部が精力的に各国の姿勢や態度についての情報を集めたりしていますが、今のところの感じでは十分協議しようということで、頭から大問題だとかいうことではなく、むしろ建設的、現実的に安保理として協議をしようという雰囲気であろうと思います。6月3日にOFF(オイル・フォー・フード)の期限が来ますので、それを一つの期限として出来るだけ早く安保理としての制度を整えようという雰囲気はあるように感じられます。

(問)同じ決議案についてですが、国連の役割の位置付けですが、それについて日本政府としてどう評価しているかということと、決議案の採択に向けて日本政府が関与するために何か働きかけをする余地というのは、どこかあるのかについて。

(事務次官)決議のいろいろな要素について、我々の方からの意見を今まで非公式に伝えてきたということはあります。しかし、我々は安保理の正式な理事国ではありませんので、それなりの限界というのはありますが、大事なことは、これは従来から明らかにしているところですが、出来るだけ速やかにイラクの復興についての体制が整うということであり、更には政治プロセスが進展することであろうと思います。更に国連については、十分な関与が望ましいというのが我々の立場ですので、そういう点については米国、イギリスにはこれまでも伝えてきたところです。もちろん外務大臣のレベルでも各国とはその立場から意見交換をしてきたところです。国連の関与そのものについて、どういう結果がこの決議で出てくるかということについては、これはまさに御質問のポイントであると同時に、安保理の協議における一つの大きなポイントであろうと思います。いろいろな原則的な立場もありましょうし、他方、現実に現在のイラクにおける状況ということを踏まえれば、何が必要かという考慮もあると思います。そういったところで、まさに今週いろいろな相談、協議が行われていくということもありますので、我々としては現実と国連の権威や信頼といったものが両立していくことが重要であろうと思います。

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