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記者会見

事務次官会見記録(平成15年1月)


INDEX


・ 事務次官会見記録(1月27日付)
 ・ イラク問題(国連安保理の報告)
 ・ 北朝鮮(脱北者、韓国大統領特使、IAEA理事会)


・ 事務次官会見記録(1月20日付)
 ・ 北朝鮮(アーミテージ国務副長官の発言、脱北者日本人妻)
 ・ イラク問題


・ 事務次官会見記録(1月6日付)
 ・ 冒頭
 ・ 尖閣諸島に関する中国大使からの申し入れ
 ・ 北朝鮮
 ・ 日ロ関係
 ・ イラク




事務次官会見記録 (平成15年1月27日(月) 17:00~ 於会見室)

・イラク問題(国連安保理の報告)

(問)今夜開かれる国連の安保理について、UNMOVICの報告がなされますけれども、今日、全体のイラクの大量破壊兵器を巡る一連の事態の中で、今日の報告ではどういうふうに位置付けるべきなのかとお考えなのか、あと今後の見通しについてはどういうふうに。

(次官)安保理決議1441に基づいて、UNMOVICとIAEAによる査察が精力的に行われてきているわけですが、その決議1441で定められていた日が今日ということで、報告書が提出されることになっています。これは御承知のとおりです。UNMOVICのブリックス委員長もIAEAのエルバラダイ事務局長も、これまでの査察について申告書の問題にしてもイラクから十分な協力が得られたとは考えられないという見解も表明されています。更には、両者の立場からすれば査察には更なる時間が必要であるということも言われています。1月27日という日付は安保理の決議で決められていたわけですので、この時点での報告というものがなされるわけです。その内容についてはまだ、我々として、承知するところではありませんので、それが明らかになるというところまでは何ら評価は出来ません。これは事実の問題としてそういうことだろうと思います。これを見て、安保理でいろいろな協議、審議が行われるというところまでは決まっているわけですが、どういう内容になるかということについては、まさに報告書を見た上で安保理において検討されるということであろうと思います。1月27日というのが、何か、いわゆるデッドラインかどうかということについては、そうではないと、それはこの時点における報告書であると、そういう位置付けであろうと思います。安全保障理事会においてもそういう観点からこの報告書に基づいた協議が行われて、今後の方向付けというものがなされるか、なされないかということで、我々としても注目をしています。

(問)今の関連ですが、安保理で協議が行われて今後の方向付けがなされるということは1441にも書いてあることだと思いますが、中身が分からない段階ですが、イラクが十分に協力をしていないということについては、エルバラダイ事務局長とブリックス委員長ですか、が言明していますし、アメリカもその点については度々言及しているところだと思います。そういう中でアメリカの、アメリカに限りませんが、アメリカなどによる軍事行動に関してはどのように予想され、またはこれがあるとしたらどのように評価されるのでしょうか。

(次官)あるかないかという前に、繰り返しになりますけれども報告書が出るわけですので、それをまず精査するということから作業が始まるのだろうと思います。今後の安保理の方向付けなり、今後の査察の方向付けなり、いろいろなことが、各国で、検討した上で国際社会としての対応、安保理としての対応を検討していくということになろうと思いますので、その先のことについて申し上げるのはまだ時期尚早だと思います。

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・北朝鮮(脱北者、韓国大統領特使、IAEA理事会)

(問)今日の午前中の衆議院予算委員会で、いわゆる脱北者の問題について、これまで数十人単位で保護してきたという、事実上政府としては初めて認めたという形になっておりますが、この時期、政府がこういった事実を認めるという方針転換をした背景、理由についてお聞かせください。

(次官)方針転換というほどのことではないかもしれません。国会において質問があって、そういうお答えをしたということで、その点についてはそういう判断が現場であったのであろうと思います。特段の方針転換ということではありません。やはり脱北者の問題、取り扱いについては、我々としては御本人及び関係者の身柄の安全確保ということが非常に重要な、考慮すべき要素です。従って、それを害するようなことについては公表は差し控えさせてもらいたいという基本方針、基本的な姿勢については、これまでどおりということで、是非この点は御理解いただきたいと思います。

(問)今の問題に関連して、日本に帰って来られた方に対する支援の枠組みというようなものについて真剣に考えるべきではないかというような答弁を安倍副長官はされているのですが、これまでに数十人帰国されている中で、そのような支援の枠組みが必要な現状とか現実というようなものが、現にあるのでしょうか。

(次官)この点もなかなか、個別の事情ですので、個別に対応してきています。例えば、先般、成功しませんでしたが、多数の脱北者の試みがありましたが、現在までのところは、対応はいろいろな方々の協力を得てやってきていますが、やはり多数ということになりますとそれにも限界があるというのが現実の問題としてあります。というような問題意識で、総合的に検討するという姿勢を、今日、予算委員会で示されたのであろうと思います。

(問)重ねてになるのですが、今のお答えですと、安倍副長官の答弁は日本国籍を持たない脱北者の方についても日本政府として対策を講じるべきであるという答弁だったというふうに次官は受け止められているというふうに考えてよろしいのでしょうか。

(次官)私は、実際の質問を正確に承知しているわけではありません。従って安倍副長官の答弁が、厳密に日本国籍の人に限るのかどうかということについて、私は、申し訳ありませんが存じませんけれども、基本的には日本人の配偶者ということを念頭において答弁されたのではないかと思います。それは議事録を見れば分かることです。

(問)脱北者問題に関して、いろいろな方の御協力を得ているけれども、多数となるとそれにも限界があるというようなことを先程おっしゃいましたけれども、多数の脱北者が、例えば日本に保護を求めた場合は受け入れに限界があるということでしょうか。

(次官)限界と言いますか、現在のところ、これは安倍副長官も言っておられましたけれども、受け入れと言いますか、そういう方々が日本に戻ってこられた時の生活の再開であったり、いろいろなことで不便があるわけです。それを支援するということについては、どういうものが必要かということについては、これは外務省だけの問題ではありませんけれども、いろいろな知恵を出して考える必要があろうということです。

(問)この脱北者問題に関連して、本日の一部の報道で、先日、中国当局に拘束された韓国籍の北朝鮮日本人妻の問題に関連して、外務省当局がいわゆる韓国籍のところ側に、1000万円近いお金を日本政府から振り込むことに決断していたという報道がございますが、この点について、どういうことがあったのですか。

(次官)報道されているような決断があったというような事実はありません。

(問)北朝鮮問題なんですが、韓国の大統領特使が平壌入りしているようですが、これに対する日本政府の、期待を含めどのように御覧になっているのか。

(次官)林東源特使ですが、本日から金大中大統領特使として、北朝鮮を訪問されると承知しています。これは韓国としての、北朝鮮の核問題の平和的解決に向けての努力の一環として、我々としても歓迎していますし、有益な結果をもたらすということに期待もしています。何れにせよ、我が国も、米国もそうですが、韓国とも緊密に協議し、連携をしながら北朝鮮の核問題を平和的に解決したいと考えていますので、韓国とも連携しながら、こういった外交努力というものを応援していきたいと考えています。

(問)この問題に関連してですが、IAEAの緊急理事会が韓国の要請に基づいて、3日の予定で、また順延されるのかという状況のようですが、日本政府としてはウィーンではどのような交渉なり、方向性を展開されているのでしょうか。

(次官)ウィーンのIAEAにおいて、関係国と精力的な意見交換、協議、調整を行ってきています。高須大使が非常に活発に各国に協力を呼び掛けたりしていまして、事務局長、更には議長、現在クウェートが議長国ですが、緊密な連携を取っています。問題が北朝鮮によるNPTからの脱退という問題ですので、これはやはり国際社会における核不拡散体制全体に対する問題というのがウィーンにおける雰囲気です。従ってIAEAにおいてこの問題をしっかり捉えて、IAEAとしての役割を果たすということが重要であると我々は考えていますので、ウィーンにおける外交活動というのも非常に重視をしています。問題がNPTからの脱退ということになりますと、IAEAで緊急理事会を開いてこの問題を取り上げるというのは、当然と言えば当然のことだろうと思います。ただ、その際に北朝鮮の核問題の解決努力というのが、ロシアの動きであったり、今度の韓国の特使派遣であったり、いろいろな努力が払われているわけですので、そういった動きも見ながら、何が建設的な、生産的なIAEAとしての行動かという点についても意見調整をしているところです。我々の立場は、IAEAとしてきちんとした明確なメッセージを北朝鮮に送るということが重要ですので、そういった各国による努力も見つつ、IAEAとして一致した立場を打ち出すという方向で、各国の調整の中心的な役割を果たすというのが現在までの我々の外交的な努力です。2月3日が、一旦、次の緊急理事会の日取りとして流れてきましたが、御承知のとおり韓国の方から林東源特使の訪朝という外交努力も踏まえてほしいという話がありました。現在のところ、そういう方向でいきますか、各国が現在調整中ですので、日取りについて正式な決定がされたというところまでは至っていないというのが現段階です。

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事務次官会見記録 (平成15年1月20日(月) 17:00~ 於会見室)

・北朝鮮(アーミテージ国務副長官の発言、脱北者日本人妻等)

(問)先日の北朝鮮問題に関するアーミテージ副長官の発言について幾つかちょっとお伺いをしたいのですが、まず北朝鮮の核開発計画の放棄を前提に不侵攻を文書化する用意があるという表明をされて、それを日本側も評価するというふうにしていますけれども、このアメリカの方針の中で北が先日行ったNPTの脱退表明を撤回させるというようなことはどういう位置付けになっていると考えたらよろしいのでしょうか。

(次官)そこの具体的なところはアメリカ政府に御質問をしていただかないと、私としては答える立場にはないと思いますが、アーミテージ副長官の記者会見を私なりに解釈しますと、従来からアメリカの考え方というのはアメリカの政府の方々がいろいろな発言をされてきたわけです。ブッシュ大統領は平和的解決、外交的手段による解決ということを一貫して言ってきていましたし、パウエル国務長官は、この前のTCOGの時の共同声明にも表れているような対話の用意があるという発言もされてきているわけです。それから一貫して、まずは北朝鮮による核兵器開発計画の放棄が必要であるということも言ってきているわけです。私の見方では、アーミテージ国務副長官の発言は敢えて記者団の前に現れてそういう発言をされたということはこれまでの米国政府の見解、立場表明というものをここで整理をして、明確なものとして説明をすると、またそれが北朝鮮を含めた国際社会に対する説明であり、メッセージになるというような考えがあったのではないかと思います。今、質問で触れられました不可侵の問題の点について、これも御承知のとおりパウエル国務長官が少し前に、不可侵の条約ということは応じられないけれども、違う形でのやり方というのを考えるのが外交だ、といった趣旨のことを発言されたと思います。その延長線上で、より具体的な姿勢を示したというのがアーミテージ副長官の、声明であったり書簡であったりということが考えられるという発言です。何れにせよ、北朝鮮の核開発計画の放棄ということが必要であるということは前提と言いますか、明確なわけですので、NPTからの脱退という問題との関連というのも、その観点から考えられるだろうと思います。

(問)考えられるというのは、条件は一つであるということですか。

(次官)条件かどうかという、その辺のところはアーミテージ副長官に聞いてもらいたいですけれども、核開発計画を放棄せねばならないということが基本にあるということです。NPTというのは、もちろん核を保有しないという条約ですから、その点での考えられ得る条件かどうかといったことについては、私は答える立場にはありません。

(問)それに関してもう一点だけですが、これも同じくアーミテージさんの発言で、北朝鮮の核問題の解決を前提に、ウランの問題とか、あるいは化学兵器とか他の大量兵器も含んだ包括的な枠組みというものを作る公式への発表、表明していて、その中でKEDOの枠組みの中で火力発電所というような可能性も示唆しているのですが、アメリカのそういう作業を、今後、日本としてどういうふうに関わっていくことになるでしょうか。

(次官)今言われたいろいろな点は、いろいろなことが一つにまとめて考えるのはなかなか難しいのですが、例えばウランの濃縮計画というのは先程申しました核兵器開発計画の放棄という中に入っている問題でしょうし、通常兵器の問題というのは核の問題とは違う、今までの「合意された枠組み」には対象となっていなかったものであります。ただ、御承知のとおりブッシュ大統領が、昨年、明らかにしていた、いわゆる「大胆なアプローチ」というものの中には通常兵器の問題も入っているわけですし、人権の問題と、経済体制の問題といったことも入っていたわけです。北朝鮮がそういう広範な問題について改革を進めていくということであるならば、米国としても「大胆なアプローチ」、「ボールド・アプローチ」を行う用意があるということを表明していたところにウランの濃縮計画の問題が出てきて、そのアプローチを貫くことが出来なくなったというのがその経緯だろうと思います。従って、非常に大きな枠で米朝関係を考えた場合に、まずは核開発計画の放棄というのがあって、それで話し合いが進めば、最終的な姿としてはその「大胆なアプローチ」ということに至る可能性があるという絵を描かれたのであろうと思います。

(問)火力発電所の現実性とか可能性という意味では、日本としてはいかがですか。

(次官)それはいろいろあるアイデアの中の一つでしょうから、今具体的に火力発電所について、何か積算をしているとか、どういうことが言えるかということを具体的に考えているわけではありません。ただ、将来の一つのアイデアとして述べられたのであろうと思います。

(問)北朝鮮の不可侵の文書化というアーミテージさんの発言について、昨日大臣もおっしゃられていましたけれども、改めて日本政府としてどういう評価をしているのかというのをお聞きしたいのと共に、こうした考え方をどの様な形で北朝鮮側に、日本政府として働きかけていくのかというところをお聞きしたいのですが。

(次官)まず評価については先程申しましたとおりですが、米国からの立場として議会が条約という形のものであれば、承認するということはまずは考えられないだろうということをアーミテージ副長官は言っておられることです。私、実際アーミテージ副長官の考えを説明する立場にありませんが、そういうことを言っておられます。それではどういう形があり得るかということで、より具体的な、一歩踏み込んだ公式の声明であるとか書簡であるといったようなことを可能性として示唆したというのが、一つの北朝鮮に対するメッセージであろうと思います。より具体的なことに言及したということで、それに対して北朝鮮がどういう反応をするかということは、これからの反応を待つ 必要があります。メッセージとしてはそれで伝わっているのだろうと思います。日本としてはそのような具体的に踏み込んだ示唆をされたということ、検討の用意があるという意向を米国が示したということは、それは対話、外交的な解決に対する柔軟な姿勢の一端を示したものとして評価をしているわけです。

(問)主として先週表面化したというか、ニュースになったことで、かつて北朝鮮に渡り、向こうで生活が苦しくて、中国へ国境を超えて脱出した日本人の問題というものがありますが、個別のケースについては、おそらく答えられないとおっしゃるでしょうから聞くつもりはありませんが、今後も今の北朝鮮の経済状況とか政治状況を考えると、そうした人が大量に、または一定の程度発生することがかなり予想されますが、これは外務省だけで出来る問題ではないでしょうが、こういう人が繰り返し出てくる自体を想定した時に、例えば帰還のプログラムを検討するとか、取り敢えず外務省としてどういうふうに、この問題が出てきた時に対応していくというお考えをお持ちですか。

(次官)お尋ねの問題は、実は非常になかなか機微で困難な問題です。我々の立場からしますと、特に日本の国籍を有しておられる方については、外務省としても邦人保護の責任があるわけですので、その観点からすればまさに身柄の安全確保ということを最優先にして、これを扱うということです。その場合に、状況によっていろいろ難しい状況というものもありますし、我々としていろいろ工夫をしておかねばならないという状況もあります。一般的と申しましても、具体的なところに入って御説明するのは御容赦を頂きたいと思いますが、何と言っても我々は身柄の安全ということを、邦人保護の観点から最優先するということです。その場合に、場所が中国の国境を超えたところにあれば、中国の主権の下にある場所ですので、その点についても当然の配慮はせねばならないということです。他方、いろいろな要素がありまして、非常に困難な立場に置かれた個人の救出と、人道的な面というのもありますし、邦人保護という当然の責務もありますので、その辺を常に念頭に置いていろいろな措置を取るということに尽きるということだと思います。基本的にこれを難民の問題として国際的な仕組みの枠で扱うということが本来望ましいだろうと私も思います。我々もこれまでその様な方向で、それなりの努力をしたこともあります。ただ、なかなか我々の思うとおりにはいかないということも事実で、そういう難しい環境の中で、とにかく身柄の安全確保ということを優先して、邦人保護の責任を果たすということでいろいろやってきているというのが現状です。

(問)北朝鮮の核の問題に戻りますが、この問題が安保理に付託された場合の対応について、アーミテージ国務副長官も日本政府とP5かつ日韓の枠組みについて議論しているとおっしゃっていますけれども、これの日本政府の関与の仕方について、現状、どういうお考えを持っておられますか。

(次官)北朝鮮の核問題が安保理に付託されるか、されるとすればそれは何時かということがまずあろうかと思いますが、まず北朝鮮がNPTから脱退の通告をしたということ、それからIAEAの前回の決議の内容から見ても、IAEAにおいてこの北朝鮮の脱退問題が取り上げられるというのは当然であろうと思います。エルバラダイ事務局長が前回の決議の際に北朝鮮の対応を見て安保理の付託も考えられるということを言っておられましたので、安保理に付託されるとすれば、それはIAEAの方から付託されるという流れが考えられるわけです。そのためには、IAEAにおける、まず理事会という手続が取られ、そこで決議が出来ましたらそれに則って処理される。その決議が安保理への報告ということを内容とするものであればこれに付託されると、こういう手続になるだろうと思います。IAEAの場合には、P5とか、非常任、常任理事国といったようなことはありませんので、いろいろな協議、非公式協議で理事国、みんなそれぞれの立場で参画をしておりますが、安全保障理事会の場合には、慣行と言いますか、制度的にP5がそれなりのルートを作って協議を深めるというのが通例です。そこで我々日本も、それから韓国も、自分たちの地域の安全保障の問題ということで、安全保障理事会で物事が審議、協議され、何らかの決定がされるという場合には、直接の関係者としての我々の立場、意見というのを反映させるべく努力をする、これまた当然のことだろうと思います。それをどの様な形で実現するかということから出てきているアイデアが、いわゆるP5+2というものですが、これは別に何か制度的に公式なものとして設けるといった類のものではないと思います。いろいろな問題が安保理で議論されます時に関係者が非公式な会議に参加するということはあり得るわけです。そういったことで、日本とか韓国としては直接の関係者としての立場を反映させる機会を、ないしはそのフォーラムを持つことが必要だということで努力をしていくべきだと考えています。これについてP5の国がどういう対応をするかということについてはまだ特段の動きがあるわけではありませんので、P5+2というのはこれからのアイデアであり、我々はアメリカとは相談をしております。とにかく極めて前向きな姿勢を取っていこうと思っています。

(問)ちょっと冒頭の質問を敷衍する形になりますが、一連の今の御発言を伺っていると、今、アメリカが言っているような新しい枠組みについて、詰めた協議を日本が行ってやっていくということは、安保理付託の件とか、あるいは北の出方がまだはっきりわからない中で時期が早いというお考えということでしょうか。

(次官)安保理とかいうこともさることながら、今はそれはいろいろなアイデア、いろいろな構想、いろいろな考え方があるということです。何れにせよ平和的な解決ということの実現のためにみんなが知恵を出し合っているというので、最終的な考え方もみんなが一致するアイデアが具体的にあるというわけではないと思うのです。これは現実にないと思います。ロシアはロシアで北朝鮮にロシュコフ次官を派遣していろいろな努力をしております。やはりみんなが現在いろいろな知恵を出そうとしているというのが現状だろうと思います。そういう中で一つ、現段階で大事なことは北朝鮮と我々の間で、やはり平和的解決について話し合いを行うというきっかけを作るとか、雰囲気を作ると、そいういうことが大事なことであろうと思います。最終的なメカニズムとか解決策ということも大事ですが、その前にまず対話の糸口と言いますか、きっかけを作るということが大事で、今は対話のきっかけのための努力とそれからいろいろな構想、考え方というのがいろいろ混ざり合って表明されているということだろうと思います。今のところでお答えになるかどうか、最終的な構想ということで、何か一つに固まった答があるということではありません。みんなでいろいろ相談して、知恵を出し合っていくという状況です。

(問)今の対話の糸口の中で、日朝の一つのチャンネルがあるのですが、これは現状、何か糸口が見いだせそうな状況にあるのでしょうか。

(次官)我々は日本としてのユニークな役割もあり得るというふうには考えております。具体的なことを申し上げるのは差し控えさせて頂きますが、日本は米国の同盟国である一方、北朝鮮とは平壌宣言で正常化交渉をやりましょうということを合意した立場ですので、やはりそれなりの役割というのは果たすべきであり、当然のことと考えてそれなりの努力をしています。

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・イラク問題

(問)イラク情勢ですが、IAEAがUNMOVICの関係者、事務局長らが入って、バグダッドでイラク側と協議したりとか、それから空弾頭が核兵器搭載可能の、幾つか見つかったりですとか、それからまた科学者の自宅から核兵器関連と見られるような資料が新たに見つかったとか、いろいろ動きがあるようですが、27日の安保理の報告期限を控えて、現時点でのイラク情勢というのはどう分析されていますか。

(次官)ご指摘のとおり、1月27日に査察の報告が安保理に対して行われる予定です。その前にブリックス委員長及びエルバラダイ事務局長がイラクを訪問して協議を行う。そこでいろいろイラクと査察の問題について話し合いが行われるだろうと思いますので、27日の安保理への報告というのもそういった協議というのを踏まえたものになると思います。そこで、安保理においてその報告を受けて、その後についていろいろ話し合いが行われていくと、方向性が出てくるということですので、実はその後、いろいろな可能性が報じられていますしまた推測されていますが、それは、今の段階で予断することは私は困難だろうと思います。まさに安保理において審議がされるというのが今までの安保理の決議で決められていることですので、その1月27日以降の段階において安保理がどの様にこの問題を捉えて方向付けをしていくのかというのは、安保理から27日までの間の査察の活動にもよりますし、UNMOVICとIAEAからの安保理への報告の内容によっても変わってくると思います。今の段階で安保理の結論ないしは方向性というのを予断するのは尚早であろうと思います。何れにせよ我々としては、それから国際社会としては、イラクが査察に全面的な協力をして、査察が十分に進行する、その結果について1月27日に報告が行われるということを期待しております。その後更に査察が必要であるという考えも既に表明されているところですので、その後のことについてはまさに安保理で審議されるということです。

(問)化学兵器の空弾頭ですとか、見つかった文書などについて、日本政府としては決定的な証拠、安保理決議違反とは判断していないという言い方でよろしいですか。

(次官)それは日本政府が判断する判断しないということではなくて、これこそまさに1月27日の安保理の報告までに、おそらく査察団、調査団の方で分析をして、その報告書の中で明らかにされるだろうと思います。ですから我々として現物を見て、我々調査しているわけでもありませんので、そのことについて何らかの考えを述べる、これは無理なことだろうと思います。

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事務次官会見記録 (平成15年1月6日(月) 17:00~ 於会見室)

・冒頭

(次官)新年おめでとうございます。よろしくお願いします。新年冒頭からいろいろな外交課題が山積しています。今年も非常に日本外交は、いろいろなことが試される年になると思います。外務省改革についても、昨年の行動計画を踏まえて出来るものからタイムリミットを付けて、着実に実行していきたいと思います。例えば、本日付で危機管理調整室を設置しました。これからも着実に改革を進めていきたいと思っています。また、改革の成果をあげると同時に、いつも申していることですが、外務省員一人一人が切磋琢磨して政策構想力を高めて全力を傾注して、且つ外務省の中でいろいろな意見を自由に戦わしながら風通しを良くして、いろいろな問題に当たっていきたいと思っています。

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・尖閣諸島に関する中国大使からの申し入れ

(問)先程、中国の大使がいらっしゃいまして、1月1日の読売新聞の報道に事実上端を発した形になっている尖閣諸島民有地借り上げのことについて、次官に抗議の意思を伝えられたということですが、それに対する対応を「貼り出し」で先程発表されました。ここ数日間、ああいう中国側が反発するような抗議が続いているのですが、今後これについては日本側としてはどういうふうに事態を打開、又は鎮静化させていくのでしょうか。

(次官)中国側からの申し入れというのは北京でも阿南大使に対して中国側からありました。本日重ねて、武大偉大使から私に面会の申し入れがあって、発表しましたような申し入れがありました。この件は御承知のとおり、日本には日本としてのきちんとした原則上の立場があります。これは領土問題ですので、原則というのが非常に重要です。日本としては尖閣諸島についての我々の領有権というものを基にして、これが安定的に維持されるということを念頭において措置をとったわけですので、これは我が国としてはいわば行うべきことを行うということです。ただ、本件が日中関係の大局にいわゆる影響を与えることは当然我々としても意図しているわけではありませんし、望んでいるわけではありませんので、冷静な対応を関係国や地域に望みたいということに尽きます。日中関係については、昨年国交正常化30周年を迎えました。いろいろ成熟した関係というのも積み重なってきています。ただ、近隣の両国ですので、やはり時にはいろいろな問題が起こるということがあります。しかし、歴史の流れとして日本と中国が友好的ということのみならず、協力的な相互関係を進めていくことは日本の国益にとっても非常に重要なことですし、この地域の周辺諸国にとっても利益となることだろうと思います。そういった立場から、本件に限りませんが、日中間の個別の問題が日中関係の大局に悪影響を与えないようにするということは必要であろうと思います。今回の件については日本としてはいわば当然の措置をとったということですが、冷静な対応ということを望んでいます。

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・北朝鮮

(問)北朝鮮問題ですが、6日からのIAEA緊急理事会並びに6、7日とTCOGがあるなかで、米国を中心に安全保障理事会で制裁措置などを打ち出すべきだという強硬意見もある中で、日本政府としてはこういった場を通じてどの様な対応策が必要だと、国際社会に対して求めていくお考えなのでしょうか。

(次官)安保理事会での制裁ということについては、少し云々するのは早いのではないかと思います。何れにしても本日、日本時間で夜の9時過ぎでしょうか、IAEAの特別理事会が開かれることになっています。おそらくそこで決議が採択されて、北朝鮮に対して是正を求めるといった呼びかけがなされると思われます。安保理にIAEAから報告するかどうかは、その決議によって決まるわけですので、今の段階でそれを予断するということは適当でないと思います。何れにしても、我々としては北朝鮮の核計画は廃棄されるべきである、寧辺の施設は凍結されるべきである、朝鮮半島の非核化が実現するということが日本自身にとっての安全保障からも必要であり、のみならずこの地域の安定のためには必要という考えです。この考えは日本のみならず中国、ロシアを含め近隣諸国が共有している認識ですし、国際社会が広くそういう認識を持っているわけですので、これを北朝鮮にあらゆる可能な手段で伝えることが重要です。これは日本が独自の伝え方をするということに、当然限らないわけですから、TCOGで日米韓で連携してメッセージを伝えるということもあります。また、先程も申しましたIAEAの理事会決議というのも国際社会のメッセージを伝える大きな強い方法なわけで、この決議案の作成には日本も中核となって作業を続けているところです。また、中・ロといった北朝鮮と国交を持っている国のメッセージも非常に重要であろうと思います。何れにしても、今の段階は米国の大統領も国務長官も言っておりますとおり、外交的手段を通じて平和的解決を図るというのがおよその国際社会のアプローチではないかと思います。我々日本としても、国際社会の一員、更には日本の安全保障に直接関わる問題に対する取り組みといった立場から、そうしたアプローチをとっていくということは当然です。

(問)北朝鮮への対応についてなんですが、アメリカと韓国の間にちょっとアプローチに違いがあるじゃないかという見方が広がっているように思うのですが、次官はどの様に見ていらっしゃいますか。

(次官)まず、数日前、韓国が仲裁案を提案するという報道がありましたが、この点については韓国の当局者からは、これは全く憶測に基づく記事であるという説明を受けています。仲裁というのはそもそも、外交用語としてはどうもおかしいと思うのです。仲裁というのは調停と違って裁定して拘束力あるものを仲裁案というものですから、そもそもその報道に私は疑念を持っていましたが、今申しましたように、これは憶測に基づく記事であるという説明がありました。それはさておき、御質問の点について、私はそれ程違いがあるとは思わないです。両方とも、アメリカも韓国も外交的手段による平和的解決を希求するということを言っているわけですし、考えているわけです。また、アメリカの有力新聞の報道で、封じ込め策を米国政府が決定したということが報じられていました。その点についても、そういうような政策決定をしたことはないということをアメリカの方からは説明を受けています。何れにしても、本日からワシントンで行われるTCOGの場に於いて、まさにそういった問題についての意見交換、調整が行われるということですので、その結果を待ちたいと思います。ただ、私が印象として持っているのは余りアメリカと韓国のアプローチが違うということを強調しすぎるというのはいささか、如何なものかなという感じはしています。何れにしても、ワシントンでよく話し合って、そういう誤解がもしあるなら、まさに調整がなされるだろうと思います。

(問)米国と韓国からの説明というのは、次官が直接聞かれたこと、あるいは外交ルートでそういう説明を受けたのですか。

(次官)そうです。後者です。

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・日ロ関係

(問)小泉総理が9日からロシア訪問されますが、日ロの間には北朝鮮、イラク問題、二国間には領土問題、経済交流問題など課題が目白押しですが、今年の日ロ関係についてはどう展望されますか。

(次官)日ロの関係、広く言えばまだまだ拡大・進化させる余地が大きい二国間の関係だろうと思います。もちろん領土問題、平和条約の締結問題というのがずっとあるわけですが、例えば昨年の後半は、ロシアとしてはヨーロッパとの関係を、NATOとのロシアの間の理事会が設立されるということで、一つの段落を迎えたことが契機となったのでしょうか、極東アジア方面に対する関心を強く表明してきていると思われます。プーチン大統領が極東に行かれたということもありますし、また、朝鮮半島に対する関心ということも高まっています。そうしたロシアのアジアに対する関心の高まりということも背景として、それからロシア自身の経済であり、政治であり、その変革というのが進んでいくということも踏まえて、やはり日本とロシアの間での相互利益にかなう協力関係を強化していくというのが望ましいことではないかと思います。それが引いては平和条約締結交渉にも役立つ土壌作りと言いますか、基盤作りにもなり得ると考えていますので、本年は日ロ関係においては、いろいろな分野での交流を拡大し、深めるという年になると思います。御承知のとおり総理の今回の訪問の際には行動計画というものも作成、発表が予定されています。それが発表になって御覧頂ければと思いますが、今申したような考えに基づいて、広い分野での交流を深めるというための海図と言いますか、そういう表現を我々は使っていますが、行動計画を基礎にして二国間の関係を強化したいと思っています。

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・イラク

(問)イラクの情勢に関して、イラク攻撃が始まった際、あるいは終わった際の復興支援に関して、通常国会での法整備をしながらではないかという観点から意見が、与党の幹部から出ているのですが、この問題についての外務省の対応、どう考えているのですか。

(次官)その点については、今日、総理が年頭の記者会見でお答えになっていますので、特にそれに付け加えたり、それと異なったりということは全くありません。イラク問題の対処というのは、我々国際社会の責任ある一員としての対応、それから米国の同盟国としての立場というものもありますが、そういうことを踏まえて主体的に取り組んでいきたいということです。復興支援の新法ということについて、それは武力行使が行われた後の話ということですから、少しそれは、今、具体的に云々するというのは尚早ではなかろうかと思いますし、現実に確たることを、今、検討し得るということではないという状況だろうと思います。何れにしても、大事なことは現在行われている査察、これは粛々と年末年始も進んでいるようですし、イラク側から科学者のリスト、500名、600名のリストというのも提出されたわけですし、査察の結果の報告といったものが今月の下旬には安保理に報告されるという予定です。それに基づいて安保理でいろいろな協議がなされるということですので、今の段階で武力行使の後の状況について確たることを申し上げる、検討するというのは少し無理があろうというふうに思います。

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