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事務次官会見記録(平成14年3月)


INDEX


・ 事務次官会見記録(3月25日付)
 ・ 北朝鮮による日本人拉致疑惑および日朝関係


・ 事務次官会見記録(3月18日付)
 ・ 鈴木議員自民党離党を受けての今後の対応(人事上の措置、文書、秘密指示の扱い等について)
 ・ 北朝鮮拉致疑惑(安倍官房副長官の発言等)


・ 事務次官会見記録(3月11日付)
 ・ 小泉総理より次官への指示
 ・ 鈴木議員の証人喚問関連
(1)北方領土、ロシア関連
(2)ケニア関連
 ・ 人事
 ・ 松尾元室長の公判
 ・ 北朝鮮による日本人拉致疑惑


・ 事務次官会見記録(3月4日付)
 ・ 調査報告書関連
 ・ 鈴木議員のコンゴ人秘書問題




事務次官会見記録 (平成14年3月25日(月) 17:15~ 於:会見室)

・ 北朝鮮による日本人拉致疑惑および日朝関係

(問)いわゆる「(拉致されたとされる日本人のうち)1人生存、2人死亡」情報に関する外務省の公式な見解を教えていただきたい。

(事務次官)23日に報道があったが、結論を申し上げれば、今までいかなる形でも、北朝鮮側から外務省に対して、報道されたようなことが伝えられたことはない。

(問)すでに大臣談話も出ているが、朝鮮赤十字会が行方不明者の捜索調査を再開するということを発表したことを受けて、今後の日朝間の対話の促進についてどのようにお考えか。

(事務次官)まずは、これは北朝鮮の朝鮮赤十字会の発表が放送を通じて伝えられたわけであるが、日本赤十字社からは、朝鮮赤十字会に対して行方不明者調査再開についての事実の確認を求めると同時に、日朝赤十字会談の適当な開催時期についての提案を求めることを内容とする書簡を送付した旨の連絡を受けている。北朝鮮との関係においては、昨年来外務省より、拉致問題をはじめとする諸懸案について北朝鮮の前向きな対応をあらゆる機会を通じて申し入れてきた経緯がある。そのようなやりとりの中で、北朝鮮側より、例えば本年2月の杉嶋元日経記者の解放といったような具体的な動きが出てきたと考えることもできるかと思う。いろいろ明確な情勢分析を行うにはまだ材料が足りないので、あまり予断を持って分析結果を出すという段階ではない。
 ただ、今回の発表については、先日の大臣談話でも述べた通り、わが国政府が昨年来調査再開を強く求めてきたことに応じた1つの前向きな動きと認識することもできるかと思う。同時に、小泉総理もおっしゃっていたが、今後の北朝鮮側の対応というのを十分見極める必要があると考えているところである。いずれにしても、政府としては、また外務省としては、拉致問題の解決に向けて実際的な結果につながるよう、あらゆる機会を通じて粘り強く交渉していくという考えである。

(問)今日、南北対話の再開という動きもあったが、こうした動きというのは一連の日朝関係と関係があるとご覧になっているか。

(事務次官)そこまで結論的な分析を述べるのはまだ時期尚早だろうとは思う。いずれにしても南北間の対話というのが少しでも進む具体的な動きがあるということは、われわれとしても歓迎するところであり、注目している。

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事務次官会見記録 (平成14年3月18日(月) 17:00~ 於:会見室)

・ 鈴木議員自民党離党を受けての今後の対応(人事上の措置、文書、秘密指示の扱い等について)

(事務次官)鈴木議員の自由民主党離党表明との関連で今朝大臣からもお話があったが、自分からも一言申し上げたいと思う。北方四島住民支援、さらには在京コンゴ民主共和国大使館等をめぐる問題で、外務省が国民の信頼を裏切ったことは極めて遺憾である。国民の皆様に深くお詫び申し上げる次第である。この関連で、先日鈴木議員が離党を決断し、表明された。われわれ外務省としても、園部参与の調査報告書、さらには国会における質疑を通じて、外務省が特定の政治家との関係で異常と申すか、不正常な事態を許していたということについては、外務省として責任を痛感して、組織として深刻にこれを反省せねばならないと認識している。園部報告書でも指摘されているが、当時の関係幹部の責任は極めて思いと考えられる。そこで、それらの方々については、きちんとした調査をした上で、その結果を踏まえて、できる限り早くその責任を問うとともに、適切な人事上の措置を取ることが必要であると考えている。当時の幹部には、現在本省におられる方も、在外の赴任されている方もいる。在外におられる方に関しては、近日中に一時帰国を命じて、改めて話を聴く予定にしている。その調査結果を踏まえて、できる限り今月中を目途として、取るべき措置についての結論を出したいと考えているところである。以上の点については、大臣からの指示もあり、今朝、臨時幹部会を開き、幹部をはじめ省内にも周知徹底する。繰り返しになるが、異常な事態を招いて、それを許していたということについて、外務省として、組織として極めて深い反省と責任を感じている。
 第2番目に申し上げたいのは、これもマスコミ等でいろいろと論じられている国会への外務省からの文書提出に関してである。外務省として、これまで秘密指定を解除した上で国会に提出した文書は、国会の国政調査権に誠実に対応するという考えに基づいたものであり、国会の委員会等の指示により、慎重な検討を外務省の中で行い、真摯に対応した結果提出したものである。すでに外部に流出していたものについては、国会の強い要請に基づいて行った調査報告書の信頼性といった観点からも必要不可欠と思われた関連文書を提出したものである。決して何らかの意図をもって秘密指定の解除を行ったということではない。本日の臨時幹部会においても、文書の秘密指定、さらにはその秘密指定の解除について基本的な考え方を周知徹底する措置を取った。それは、そもそも文書の秘密指定については、秘密保全の必要性を踏まえつつも情報公開の要請に応えるため、秘密指定は必要最小限にとどめるものとする。さらに、国会議員からの秘密指定文書の提出要求についても、その文書の秘密保全の必要性という点と、透明性を高める、情報開示の要請に応えるという観点のバランスを図る必要があるということである。さらに、外務省における手続きとしても、政治レベルの決裁を含めて、省内の意思決定のプロセスをもう1度明確にするということで省内に徹底した。以上である。

(問)テレビ朝日の世論調査では、内部文書の公開について67.4%の人が「外務省が都合の良い情報のみを公開している疑いがある」という疑念を抱いている。今の次官のご説明で、公平、公正に内部文書を出していると理解してもらえると思うか。

(事務次官)理解されていないとすれば、自分自身も大変残念に思う。確かに調査報告書を作成し、公表するに至って、いろいろ真剣に園部参与もお考えになったのだろうと思う。われわれとしても、秘密指定を解除するといったようなことについては十分な検討を行ったわけであるが、やはり事態、問題の深刻さということを考えれば、総理からの指示もあったが、正確に事実を出すというのが外務省としての基本方針である。その際、外務省は隠蔽体質が抜けないといったような批判もあったが、われわれとしてはこの際、精一杯調査をして、その結果を公表するという姿勢で臨んだわけである。さらに、園部報告は、何度も申し上げている通り、行政府、行政機関による調査である。その後、国会における調査が主な舞台となり、国会における審議、質疑が報告書を踏まえた上で行われたわけである。その段階においては、われわれ外務省としては、国会の国政調査権の行使に誠実に対応するということが行政府としての責任であり、役割であるというふうに思う。いろいろな資料要求があった。出せるもの、出せないものがあった。しかしその際に、外務省として何かを隠蔽するとか、隠そうとか、身内を守ろうとか、そういった考えはない。国会における調査というものは国民が注視しているものであるし、国会の役割としても国政調査権を行使するというのは重要な役割である。先程申したように、行政府としてそれにできる限りの協力をするというのが、先ほどの議論における責任であり、求められる役割であるということで、正当な手続きを踏みつつ、資料要求にはお応えし、対応していく。それが、ご指摘の1つの世論調査で全てのことを判断することは適当ではないかとも思うし、また他方においては「外務省は資料を出しすぎではないか」というようなご批判も一部にはある。われわれとしては、そもそも調査報告書を作成した時から一貫した方針で、事実については資料のあるものは可能な限り出すということで動いている。何らかの政治的意図を持って外務省が資料を隠すとか、質問に答えないというようなことはしないということを貫いてきたつもりである。

(問)今日の幹部会で指示した内容について説明されたが、情報公開と秘密の保持とのバランスもおっしゃったし、外務省の事務手続き、意思決定のプロセスをもう1度明確にするよう省内に徹底して欲しいということであるが、これは具体的にどういうプロセスでどうしろということか。それから、原則論としてはその前段でおっしゃっていたように「可能な限り情報公開していく」と今も繰り返しおっしゃったが、そういう姿勢で臨んでくれということを幹部の方々にも言ったという趣旨であるか。

(事務次官)資料の開示については、情報公開法の手続きもあれば、または国会からの資料提出要求の手続きもある。国会からの資料要求に対する手続きというのは、従来から決まっている。秘密文書の指定を解除するということについても手続きが決まっているわけである。したがって、その手続きを念のため再確認するということが第1点。それから、重要なものについては、同じ外務省で一緒に仕事をしていただいている政治レベルの指導層の方にも相談をし、また御指示もしていただくということが必要である。これも念を押して、幹部に徹底した。

(問)国会からの資料要求の手続きというのは、簡単に言うとどうなっているのか。

(事務次官)資料要求というのは官房に一括して集められて、それから主管局にそれが伝達され、主管局の中で決裁を得て、また官房に戻し、さらに主管局以外の関係幹部の決裁を得、場合によっては大臣まで上げるというのが通常の手続きである。

(問)最終的に何人に絞り込まれるかは別として、今の時点でどれぐらいの方に責任の有無について確認する必要があるのか。また、課長以上いったようなレベルはどうであるか。さらに、内容として、単なる人事異動なのか、国家公務員法上の処分のようなところまで行く可能性があるのか。

(事務次官)ご理解いただけるかと思うが、正にご質問の冒頭に言われた通り、それは調査をやってみないと、今から予断を与えたり持つようなことはできない。いろいろな調査を行って、ヒアリングを行う対象の人たちというのは省内と在外合わせてやるわけであるが、これも調査の進展具合によって今から何人とか言うことは実は不可能である。「20人」という数字が出たりしているが、それも実は調査の進捗に応じて変わるものである。在外から20人呼び戻すというのは少し多すぎるかなというような感じを自分は漠然と持っているが、全体として在外と省内合わせて何人になるのか、20人ぐらいになるか、それも調査の進展具合によって変わってくるということで、あまり何人という数字の予断を与えることはできないと思う。ましてや処分対象ということについて、別に数値目標を持っているわけではないし、調査の関係によって、かつその処分の内容についても、それも調査の一環ということを申し上げるしか現時点においてはできない。いろいろお知りになりたいと思うが、それは調査結果がまとまった段階で明らかにされるということでご理解をいただきたい。

(問)そのポイントは鈴木議員との異常な関係を助長したかどうかということか。

(事務次官)特定の政治家との異常な事態を許した、招いたという観点からの聴取である。

(問)今日の幹部会で基本的な考えを周知徹底されたということについて、1番目に「情報公開の要請に応えるために秘密指定を最小限にする」というご説明があったが、これは情報公開法のことをおっしゃっているのか。

(事務次官)情報公開ということに限らず、開かれた外務省ということもあるので、全体的な姿勢として、何でも何でも「秘」の判子を押すという風土は止めようというのが基本的な考えである。もちろんその結果として情報公開法の実施であったり、それこそ皆様(マスコミ)との関係であったりといったところで、もう少し開かれた外務省にしたい。他方、やはり外交であるし、行政であるので、秘密保全の重要性ということは重要であるので、不正常な形で秘の情報ないしは文書が流れるというようなことは行政組織としてあってはならないことであるし、国家公務員としてそういうことは許されないわけである。その点についても、身を引き締めるというか、そういう姿勢で臨むということが必要である。

(問)次官に思い違いと勘違いがあると思うが、情報公開法の開示、不開示の判断基準と、秘密指定をどうするかという問題は全く関係がないが。

(事務次官)今申したように、情報公開法の世界もあれば、それからプレスとの関係の世界もある。これは情報公開法とは違う世界である。

(問)これは違う世界のことをおっしゃっているのか。それとも情報公開法のことをおっしゃっているのか。

(事務次官)全体として秘密指定ということについて、もう少し開かれた外務省ということを念頭に置いた姿勢を取るべきだということである。

(問)情報公開法と秘密指定をどうするかというのは全く関係ないであろう。

(事務次官)(関係)ない。情報公開法については、正に情報公開法の手続きがあって進む話である。それとは別に、ややもすれば「秘」の判子が簡単に押されるということについて、そうすると今度の国会の資料提出にしてもそれこそ秘密指定解除という措置が必要になるわけなので、そもそも秘密指定ということに関して、「情報公開」と言うと言葉が情報公開法と混同するかもしれないが、極端な行きすぎた秘密主義は良くないという根本の考え方を述べた。

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・ 北朝鮮拉致疑惑(安倍官房副長官の発言等)

(問)今日の参院予算委員会で、拉致問題に関連して安倍官房副長官が「かつて外務省は拉致問題の解決に冷たかった」という趣旨のご発言をされているが、次官としてどのようにお考えになっているか。また、こういう発言を今日官房副長官がなさっているが、外務省として今後どのように対応されるか。

(事務次官)官房副長官の発言は自分は聞いていないので、その発言内容についてコメントするのは適当でないと思う。外務省としてはこれまでの日朝正常化交渉の中においてもこれを取り上げてきて、日朝の正常な関係、関係の改善という目的の達成のためには拉致問題の解決が避けては通れない問題であるということは重々先方に伝えてきているところである。それから、単に北朝鮮に伝えるのみならず、例えば米国に対しても十分日本の立場を伝えている。自分も個人的にかつて1年少し前までは、日米韓の三ヶ国協議というのに直接従事していた。何度も日米韓のTCOGという協議をやっていたが、その際にも日本の考えを十分説明をし、また米国等と何らかの協力ができるならばそれもしていただきたいというようなことも話してきた。ただ、基本的にこれは日本人の生命に関わる問題であり、また日本の主権の問題であるので、日本自身がこの問題に正面から取り組むことが必要であるということで、北朝鮮との関係においても可能な限り、機会がある限りこの問題を提起して、先程申したように避けては通れない問題であるということで前向きの対応を求めてきたということである。もちろん、そういう接触の中には公開されたものもあれば、そうでないものもある。日本政府ないしは外務省として、この問題を横に置いてきたとか、脇に置いたとかいうことはない。

(問)安倍官房副長官の発言は誤解だという認識か。

(事務次官)安倍官房副長官の発言というのが正確にどういうことだったのかわからないので、自分はコメントのしようがない。

(問)要するに「拉致された人が10人いるが、それよりも日朝正常化の方が大事だ」という発言を槙田氏がされたということを安倍官房副長官が述べていた。

(事務次官)そういう発言があったというような認識についてはまだ確認ができていない。

(問)外務省として、その発言の有無も含めて、改めて調査をする予定か。

(事務次官)それは必要に応じて調べるということは考えている。現に、そういうことは当時の記録を調べたりしたが、そういう事実は確認されていない。

(問)記録は一応調べられたのか。

(事務次官)記録は調べた。ただ、どこの場での発言なのかというような問題もあり、全てのことについてそれこそ克明にメモを取っていたということでもないので、全て100%明確であるというところまでは自分は言う自信はないが、現在まで調べたところではその事実は確認されていない。

(問)安倍官房副長官がおっしゃるには、外務省の中、アジア局の中には正にそういったようなムードがあったということである。つまり、拉致された者よりも日朝関係を正常化させたいというムードがあったことは事実だということである。槙田氏の発言のあるなしは別として、実際にそういった日朝正常化交渉を優先するようなムードがあるとお感じになっているか。

(事務次官)それはむしろお考えいただきたいと思うが、やはり日朝国交を正常化するとか、日本と北朝鮮の関係を改善するためには、日本の国民の支持というものがなければできないわけである。拉致問題を脇に置いて日本国民が正常化を大歓迎するかというようなことをお考えいただければ、われわれ外務省においてもそういう問題意識は持っているので、そのことだけを取っても、また避けては通れない問題であるということだけを取っても、これは日本国民の生命の問題であるし、日本の主権にも関わる問題であるので、やはり外交の基本というところを同僚が軽く感じているというようなことはないと自分は信じている。自分自身はそういった認識を持ったことはことはない。

(問)ただ、官房副長官という立場の人がそうい発言をなさって、極めて重大な関心を呼んでいるわけである。だから、発言されたとされる槙田氏に次官なりどなたかが直接話を伺うということはされるか。

(事務次官)対応についてはアジア大洋州局に指示を出した。

(問)しかし、そういう中途半端なところが批判を受けているわけであって、やるのかどうかというところはやはりはっきりさせないとまずいのではないか。

(事務次官)中途半端ということはないと思う。きちんとした対応をするように指示はしてある。ただ、今ここで結論はどうかと言われれば、先程申し上げたような状況だということである。

(問)北朝鮮に拉致されたといわれる有本さんの関係で、北東アジア課長が北京で北朝鮮政府と接触したとの由だが、どういったことを北朝鮮側に言ったのか。

(事務次官)いつもお答えしているとおりだが、拉致問題を我々としても重大な問題として、色々な機会を捉えて前向きな対応を求めているが、個別具体的な接触については、申し上げるのは適当ではない。

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事務次官会見記録 (平成14年3月11日(月) 19:00~ 於:会見室)

・ 小泉総理より次官への指示

(問)今日午前中次官会議の前に総理から呼ばれて総理官邸にいらっしゃったようであるが、そこでどんな話があったのか。

(事務次官)総理から3点について指示があった。激励も含めてのことだろうと思う。第1点目は、外務省の改革を引き続き全力を挙げて進めることという点である。第2点目が、国会での対応等において、外務省において過去誤ったことというのは素直に反省して、その反省の上に立って改善策をきちんと行うべきだということ、それからそういう姿勢で国会答弁等の対応をやって欲しいということである。第3点目が、今後の人事について、改革の方向に沿って考えてもらいたいという話であった。自分の方からは、「3点ともわれわれとしても真剣に受け止めて、考えてきているところでありますが、尚一層努力をいたします」ということを申し上げた。

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・鈴木議員の証人喚問関連

(1)北方領土、ロシア関連

(問)今日の証人喚問で、鈴木議員が北方領土問題について「国の面子から返還を主張しているに過ぎない」と発言している外務省の内部文書が明らかになったが、それについて2つ伺いたい。何故このような重要な文書を4日の調査報告書に記載しなかったのか。また、秘密指定解除になっているのであれば報道陣にも公開すべきだと思うが、その点についてどうお考えか。

(事務次官)第1点目については、あの調査は、園部参与に全てお任せして、その調査をお願いしたので、その調査の過程でどのように取り扱われたかということについては自分は存じない。ただ、調査の重点が4島支援に関わる事実関係、入札の経緯等についての事実関係を中心に行われたということが関係あるかもしれない。第2点目についてはいろいろこれからも考えるべき点があろうかと思うが、具体的には国会議員からの資料要求というのが確か週末にあり、国会からの資料提出要求ということで、それを通じて皆様方にも明らかになるであろうと考えた次第である。ただ、ご指摘の点は承る。

(問)公開されるということか。

(事務次官)今後の問題として承りたい。

(問)先程も内部文書での鈴木議員の発言は「わが国は領土返還要求を打ち切って、4島との経済交流を進めるべきであると考える」ということであるが、この文書の鈴木議員の発言を読まれた時の次官の所感を伺いたい。また、このようなことを平成7年の段階でおっしゃっているが、この後も鈴木議員は総理特使を務められる等、ロシア外交に重要な役割を果たしている。鈴木議員がこのような発言をされながら、ロシア外交に重要な役割を果たしているという点に関して、外務省としてはどのような判断でこれを見てきたのか。

(事務次官)その記録1つだけを取って、しかもご本人のお考えもあるであろうから、われわれとして断定的な評価をするというのが正しいのかどうか。そこは、鈴木議員の今後の国会等におけるご説明というのも伺う必要があろうかと思う。鈴木議員がロシアとの関係、領土問題について非常にご熱心に動いておられたということも事実であるし、いろいろなお考え、発言もされてきたわけであるから、その記録1つだけを取って判断するというのは、今直ちに自分としては適当かどうかやや戸惑うところがある。

(問)しかし、その後いかに要求があったとは言え、証人喚問の場で野党議員が質問に使うタイミングでこの文書の秘密指定を解くという判断をされたからには、「1つの文書だけを取って」とおっしゃるが、その文書が持つ意味合いというのは十分理解された上でのことだったのではないか。

(事務次官)われわれの今の姿勢というのは、事実関係と真実を明らかにするということについては何らのためらいもすべきではないという基本的な姿勢である。国会からの資料提出要求というのがあれば、それに誠実に対応していくというのが基本姿勢である。今後も、これからも国会審議でいろいろな質疑が行われ、その際われわれとしても誠実に適切に対応していきたいというふうに思う。

(問)1956年の日ソ共同宣言の確認をテコに、歯舞、色丹の2島の引き渡しの問題と、国後、択捉の2島の帰属の問題を同時並行して協議するという今の外務省の交渉方針のいわば路線を敷いたのが鈴木議員ならびに当時の東郷欧亜局長だと思うが、今回のようなことが明らかになることで、こうした今の外務省の方針の軌道修正を行うお考えはあるか。

(事務次官)「交渉の方針」とおっしゃったが、交渉の方針については、「4島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する」という方針は一貫して変わっていない。これは一貫したものである。その点について、まず確認をしておく必要があろうかと思う。並行協議という場合にも、実は2島だけということではない。正に4島であるからこそ並行協議ということである。しからばどうして歯舞、色丹と、択捉、国後とを並行で同時にやるのかというご疑問かと思うが、われわれの立場からすると、歯舞、色丹については「現実の引き渡し」ということが56年の共同宣言に明記され ているわけである。他方、択捉、国後については帰属の問題というか、基本的な問題について日ソ間、日露間で意見、立場が異なるということである。交渉の進捗具合というのが歯舞、色丹と、択捉、国後では、これまでの56年以降の経緯において異なったところがあるということである。それを踏まえて「並行協議」と俗に名付けられているわけである。基本的なわが国の立場としては、「歯舞、色丹も、択捉、国後もわが国の固有の領土であり、その返還を求めている」、「帰属の問題を解決して平和条約を締結する」ということについては、何ら変更が今まで加えられたことはないし、これからもない。

(問)今日鈴木議員が証人喚問で、例のムネオハウスの「根室管内」という発言に関連して、「領土返還運動の原点の地である根室に対する配慮は外務省の共通認識である」というお話をされていた。今まで支援事業に関する発注をする時に、根室ないし地元業者への配慮を外務省としてされていたことがことがあるのか。また、こういう問題になって、今後その点を改められるか。

(事務次官)申し訳ないが、その当時にどういう認識をしていたのかという点については、自分は現在承知していない。それから、鈴木議員の方が、地元である根室が返還運動に重要な役割を果たしているという認識をお持ちになるというのは、これは鈴木議員の認識であり、外務省としてそれに応えなければならないというわけではないが、当時どういう認識であったかということについては調べてみる必要がある。

(問)今日明らかになった文書のことであるが、ああいう発言を仮にロシア側にでもしていたら大変な問題だと思う。鈴木氏がどういうふうにロシア外交に関わっていたかということを、外務省はもう1回調べ直すようなお考えはないのか。

(事務次官)いろいろな調査をやっている。4島支援についての調査もそうであるし、大臣がすでに明らかにしている日露青年交流委員会の事業についての調査もするし、いろいろな調査の中で浮かび上がってくるというか、ご質問の点については明らかにされてくるだろうと思う。

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(2)ケニア関連

(問)99年官房副長官としての鈴木氏のケニア訪問以前で、大統領との会談や、その際にソンドゥ・ミリウ発電やODAに関する話が出たかということについて、先程国会で西田経協局長が調査中ということで答弁されているが、それ以降何か新しいことがわかったか。

(事務次官)自分もその答弁を聞いていないが、とりあえず判明したところを申し上げる。91年7月の外務政務次官としてのケニア訪問というのがあったが、今の時点で、当時の鈴木外務政務次官がモイ大統領と会談したという記録がある。経済協力についても話題になっているが、具体的にソンドゥ・ミリウ水力発電計画についてのやりとりが行われたとの記録、記述はない。それから、次に92年12月の選挙視察団長としてのケニア訪問に関してであるが、現時点での調査結果を申し上げると、鈴木団長がコスゲイ外務次官を表敬したという記録がある。その記録において、その際個別の経済協力案件についてのやりとりが行われたということはない。尚、その機会にモイ大統領と鈴木視察団長が会談したかどうかということについては国会でも質問があったと思うが、現在確認中であるが、外務省の中に記録および関係者から聴き取ったところでは、鈴木議員がモイ大統領と会談したという事実は確認されていない。以上である。

(問)94年11月当時については、西田局長は「詳細を確認中」とおっしゃっているが、それはまだ確認中であるか。

(事務次官)そこについては日程の詳細等確認中の段階である。

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・ 人事

(問)いつ頃、どういう規模で人事異動を行うのか。総理はこの間「大がかり」と発言しているが、どうお考えか。

(事務次官)人事の話というのはいろいろ憶測が飛び交うので、また公平、公正な人事ということが極めて重要であるので、あまり憶測を呼ぶようなことを申し上げるのは適当でないと思う。われわれとしては、改革の方向ということで申せば10の改革の中にも書いてあるし、先般大臣が発表もしたが、例えば外部からの採用という点については、この夏までに10名を目標として局長、部長、審議官等以上を外部から採用するということを明確にしている。それも1つの大きな柱であると考えている。時期については、それぞれの部署によって現在抱えている案件というのもある。国会開会中であるという事情もあるし、サミットというのもある。
 ただ、現在の外務省の置かれた状況に鑑みれば、刷新ということと改革に沿ってということを考えると、できるだけ早く人事についての異動を行いたいということである。

(問)今国会中もあり得るということでよろしいか。

(事務次官)在外の大使等というのもあり、今まで少し滞っていたところもあるので。人事であるので今具体的なことを申し上げるのは適当でないと思うが、国会開会中もそれはあり得る。

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・ 松尾元室長の公判

(問)明日、機密費流用事件で逮捕、起訴された松尾元室長の判決があるが、最終的に約5億円ほどの流用金が回収不能となって、国家に損失を与えたことになっている。現時点でこの問題はけりがついたと思われているか。

(事務次官)判決をきちんと読んでみないと申し上げられないところはあるが、事件そのものについては極めて厳粛に受け止めているわけであるし、そういう認識に基づいて昨年来種々の改善、体制上の改善策を考慮しているところであるので、判決を前にして改めて反省して、この事件を重く受け止めているという意識をさらに持って、2度とこういうことが再発しないように改善策について徹底して行っていくということである。

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・ 北朝鮮による日本人拉致疑惑

(問)警視庁が、ロンドンに留学していた有本恵子さんが新たに北朝鮮に連れ去られた疑いが強まったとして、明日捜査本部を設置するという報道があるが、事実関係をどのように把握されているか。

(事務次官)そういうことであれば、警視庁の方でしかるべく発表をされると思う。専らわれわれとしては、事実関係等については警察の方の調査を知らされる立場であるので、そういうことであれば、しかるべく通報ないしは通知があると思う。

(問)今後北朝鮮への対応について変化があるか。

(事務次官)拉致疑惑問題というのはこれまでもあるわけであるし、外務省のみならず、日本政府全体として、これを重大な人道上の問題としてこれまでも北朝鮮との間で取り上げてきており、国際的な関心も持たれているわけである。したがって、そういう日本国民の生命、身体に関わる重大な問題については、今後とも北朝鮮側との間で取り上げていくということには当然変わりはない。

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事務次官会見記録 (平成14年3月4日(月) 17:00~ 於:会見室)

・ 調査報告書関連

(問)報告書の総括で示されているように、「鈴木氏の意向を推し量って、実現する方向で動かざるを得ない雰囲気が省内に存在した」ということであるが、次官ご自身も局長時代からそういう雰囲気はお感じになっていたか。そうだとすれば、何故これまで正そうとされなかったのか。それとも、正そうとしてもできなかったのか。

(事務次官)自分個人についてのお尋ねかもしれないが、自分は1年間(本省に)いなかったので、その間の状況の悪化、深刻化は帰国して非常に感じたところである。1年前の状況は、そんなに多くいたわけではなかったが、自分の親しかった人たちから悩みを聞いたことも1回か2回あった。自分の立場は直接の担当ではなかったが、その時にはいろいろ話は聞いた。具体的なことは申し上げられないが、それなりに自分としては激励をし、さらには場合によっては動いたこともある。しかし、事態がさらに深刻化したということは、自分としても非常に残念に思う。今度の調査を行うに当たり、自分としては、是非ともこの機会に省内の呪縛というか、暗い空気を是非とも一掃したいという気持ちは人一倍強いものがある。省内に帰ってきてその状況を耳にしていたので、今回調査を行うに当たって、大臣の強いご決意にも非常に印象づけられたし、今後改革をやらねばならない外務省において、10の改革の1番目に挙げられている問題の是正を実現するということについては、徹底的にやりたいと自分自身は並々ならぬ決意で今回の調査を先頭に立ってと言うか、大臣のリーダーシップの下で事務当局としては精一杯の補佐をその際に行ったということで、努力をしたものである。

(問)今日の報告を受けて、小泉総理は「必要に応じて人事を刷新して欲しい」と述べており、川口外相は先程会見で「処分を検討する」と述べている。人事の問題と処分の問題と2つあると思うが、これからどのように取り組まれるのか。

(事務次官)小泉総理にご報告した時には、小泉総理からは「行政府として精一杯の調査をした結果であるな」ということと共に、「是非外務省の改革を迅速に進めてもらいたい」という改めて指示があった。その際に「人事も含めて」というご発言があった。ご質問の点は人事および処分という具体的なこれからの措置についてであろうと思うが、今回の報告書というのは人事とか処分を念頭に置いて調査を行ったというものではない。この調査自体は、国会の予算委員会から求められたものであり、総理からの指示に基づいて鈴木議員の関与というものを中心として、外務省としてどのように対応してきたかということを、事実関係を中心にできる限りの調査を行ったわけである。園部参与がヒアリングを行い、また書類を精査された過程において印象づけられたこととして、報告書の総括のところで外務省の異常なというか、異例なというか、そのような状況について、非常に強くお感じになったところが示されているわけである。大臣はそれを受けて、人事なり処分ということになると、これはこの調査とは別の角度からと申すか、一方的な判断というのは公平ではないであろうし、自分はまだ大臣と相談したわけではないが、人事という観点から検討が行われて、その上で判断され、措置をされるということだろうと思う。したがって、今回の調査報告書に書かれているからその調査の過程で人事異動なり処分といったものが具体的に、自動的に決められるということではなく、正にこの調査を踏まえて、必要に応じた措置を行うということが大臣の意向であろうと思う。人事の話は言うまでもないが、大臣がお決めになることであり、私共ももちろんご相談に与り、補佐もし、また意見を述べることもあるが、あくまでも大臣のご意向で決められることになろうと思う。

(問)「別の観点からそういった検討が必要であろう」と今おっしゃられたが、そうなると処分が出るまでにこれからまだ若干時間をかけて精査していく必要があるということか。

(事務次官)この報告書は、繰り返しになるが、正に調査目的というのが人事を念頭に置いた調査目的ではなかったわけなので、その過程でいろいろな問題というのを参与がお感じになったということである。人事ということを念頭に置いた検討というのはそれはそれなりに慎重かつ公平、公正にやらねばならないと思う。だから、それが具体的にどれだけの時間がかかるかということについては、自分は今の段階では申し上げられない。と言うか、まだ具体的にどれだけかかるだろうという計算ができないという意味で、申し上げられない。

(問)先程次官は「並々ならぬ決意である」とか「暗い雰囲気を一掃したかった」とおっしゃったが、今回国会で焦点になっていたのは内部文書が出たいわゆる「ムネオハウス」であったが、今日の調査では桟橋の問題でも自発的にかなり機微な内容の文書を開示された上で発表された。それもやはりそのような次官のお気持ちの反映と受け止めてよろしいか。

(事務次官)それは自分の気持ちというよりは、園部参与が客観的な立場から、客観的な目から資料を精査され、ヒアリングを行われ、その結果新たな問題として桟橋の改修工事という点が判明したということであるので、それは人事の問題とか、自分の先程申し上げた決意と言うよりは、園部参与の真相究明にかける並々ならぬご努力ということの結果であろうと思う。

(問)その文書を出すには当然外務省内でも諮る必要があると思うが、そこは如何であるか。

(事務次官)この調査に当たっての大臣の強い方針、ご決意は「隠すことはしない」「わかったことは全て出す」「重要なことは全て出す」「今わかることは全て出す」というお考えである。透明性という言葉もキーワードとして大臣が使っているし、私共事務当局も、この際北方四島の問題のみならず、ケニアについてもコンゴについても徹底的に、自分は「1000本ノック」というあだ名をどこかでいただいているが、正にそのような姿勢で調査が行われ、それは明らかにするということである。

(問)今回秘密情報を開示されたわけであるが、そうした観点から透明性、公平性を図るために、今後文書管理規則をどのように改正されるなり見直されるのか。

(事務次官)それは大事な点であろうと思う。2つのポイントがあると思う。1つには行政の透明性ということで、今申したような姿勢で国民の前にできるだけ可能な限りの情報を提供するということ。もう1つはやはり、行政機関が政策決定を行ったり、いろいろな業務を行うに際して、特に外交に関わる業務を扱う場合、これは外務省に限らずほかの省庁でも外国と関わる業務というのはあるので、その際に情報の開示という問題には常に秘密保全ということが当然要求されるわけである。したがって、そのバランスをどう取るかということで、従来は、かつては秘密保全ということにそのバランスの重点がより置かれていたと思うが、今の開かれた社会においては、情報公開というのが社会の求めるところであるという認識はわれわれも持っているつもりである。ただ、そう申した上で、公務員として、行政機関の一員として、国家公務員として守るべき秘密、保全すべき文書というものについての管理ということについて、当然規律、規則を重視するということが求められると思う。いかなる理由であれ、いかなる気持ちであれ、公務員である以上、国家公務員法は守るべきである。そこのところを忘れてもらっては困る。今回の調査、われわれは公務員としてこの際改めて、われわれが行ってきた業務について全て洗いざらい調査をした。透明性、情報公開の必要性ということと、それから秘密保全というバランスを考えた結果、今回の場合には情報を公開するということを国民が求め、またわれわれとしても必要であると考えてこういう措置に至っている。秘密保全規則の見直しという先程のお尋ねであるが、それは現在、今自分が申したような観点から、見直しをしてもらっている。具体的にいつどういうことになるかということについては、自分はまだ報告を受けていないが、現在作業を行っているところである。

(問)それは弾力的な運用をするということではなくて、むしろ内規等を変えていこうというお考えであるか。

(事務次官)今申したように、情報公開の必要性と、秘密保全というのは当然必要であるということのバランスを考えながら、作業をしていかなくてはならないということである。

(問)大臣が午前中の会見で、日露青年交流委員会の件について、大臣の方から自発的に調査するというというお話をされている。国会では、来た人が皆鈴木議員のところに行くとかいうようなことが指摘されているが、外務省としてはどのような問題点なり改善点なりを視野に入れてのご発言であるか。

(事務次官)これはおっしゃる通り、大臣の発言である。今までもマスコミ等で交流委員会の活動について指摘がされている。われわれとしても、日本とロシアの間の交流が極めて有意義であり、また必要であり、実績も上げてきているということは認識しているわけであるが、今外務省が問われているのは疑惑ないしは不信ということが言われている場合に、われわれの方からむしろ率先して調査を行って、その結果問題がなければそれでよろしいが、何らかの指摘されているような問題があるということであれば、それは改善せねばならない。むしろこの点については、われわれの内なる気持ちとして、人から言われて調査をするということではなく、信頼がこれ以上傷つかないように自ら進んで調査をしたいということが大事だろうと思う。

(問)支援事業について、与党の一部から「もう廃止すべきではないか」という議論も出ているが、これ程まで問題が出たこの事業について廃止すべきという議論についてどう思われるか。また、これは一体日本の対露外交においてどのような役割を果たしているのか。今回の調査報告書で出されたいろいろな問題点、結果をも含めた上でこの2点を伺いたい。

(事務次官)今回問題になったのは四島に対する支援の問題であるが、対露支援委員会が行っている事業は四島に対する支援に限ってはいない。ロシアはいわゆるODAの対象国となる国ではないので、ODA予算ということではない別の方式で、委員会を通じた支援ということをやってきたわけである。この事業の中には四島の支援もあるが、実はロシアの市場経済化のための協力というのが実は大きな事業として行われているわけである。ロシアの起業家たちの育成、研修といったようなことも7つのセンターを設けて行っているわけである。したがって、四島の今回の問題点をもって協力全体について判断をしてしまうということは、少し性急であろうと思う。支援委員会の行っている対露支援の事業そのものは、四島以外の部分については大きな成果を上げているというのがわれわれの総合的な評価である。それから、四島支援についても、今回明らかになったような問題というのはあるが、そもそもの発想というのは四島の人たちが電気、医療、施設等の貧困さで基礎的な生活にもいろいろ苦しんでおられるという状況について、人道的な配慮を日本が示すということが、われわれの願いである四島の帰属問題の解決のための環境整備として役立つであろうという基本認識で行われてきたところである。この基本認識自体は、従来も今も変わらない。ただ、今回明らかになったような問題点については、早急に改善せねばならないと思う。

(問)少なくとも2002年度予算に組み込まれている部分については、妙な形跡はないという確証は得られているのか。

(事務次官)それについては特段の問題点は出てきていない。

(問)お調べになったのか。

(事務次官)今回の調査というのは来年度の案件を調査の対象としていないので、園部参与が調査した結果、オンゴーイングというか、これからやる案件について問題はないという結論が出されたというわけではない。あくまでも報告書に書かれているプロジェクトを対象に調査を行ったので、2002年度に予定されていた、従来から来年度において行われるという案件について特段問題があるということは聞いていない。

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・ 鈴木議員のコンゴ人秘書問題

(問)ムルワカ氏の関与について伺うが、鈴木氏の意向もあって影響を与えていたという結論が出ている。このムルワカ氏が公務員パスポートを持っていたということで、要するにある外国の公務員の方が日本の国会議員の秘書ということを利用しながら、日本外交に影響を与えていたという懸念はないのか。

(事務次官)これは非常に複雑というか、わかりにくい状況である。いろいろ調査しても、公用旅券を持っていた形跡があるということと、それから彼がコンゴ民主共和国の国家機関、公務員であるということが全く一致しているのか、その辺は鈴木議員がどのように確認されて、自分の秘書として雇用されていたのかといったこともあるかと思うが、いずれにしても公用旅券を所持しているということと、国家機関であるということとが必ずしも一致しない場合があり得るということなので、彼が国家機関であって、それで国会議員の秘書をやって、外務省に出入りしていたと断ずることはできないと思う。少なくとも、彼と接触のあった中東アフリカ局の人たちは、ムルワカ氏がコンゴの国家公務員であるという認識は全くなかった。また、「自分は国家公務員だ」、「国家機関だ」ということでムルワカ氏が接触してきたわけでもない。

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