事務次官会見記録(平成14年2月25日(月) 17:30~ 於会見室)
北方四島事業の入札関連
(問)北方四島支援事業に関して国会で問題になった内部調査について、総理からは「10日間」というぼんやりとした期限の設定があったが、具体的にいつ頃までと考えていらっしゃるか。また、そこでの問題点を新事業の見直しにどう反映させていくかということについてどうお考えか。
(事務次官)この調査は、元最高裁判所判事の園部参与が行っている。極めて精力的と申すか、週末も使って現在(調査が)行われている。関係書類の精査や、関係者からの聴き取りという形で行われている。その調査は非常に詳細かつ膨大にわたるものなので、時間が限られている中で全力を尽くして現在行われている。いつ完了するかという目処であるが、これはもちろん園部参与の調査の進行具合によるわけであるが、迅速性、スピードが重要ということは十分に認識されていると思う。総理からは「10日以内、10日前後に完了するように」という指示もあったので、それを念頭に置いて現在進めているところである。10日間ということを目処に作業を進めていただいているということである。北方四島支援(事業)の改善という点であるが、これは正に現在行われている調査結果を踏まえて、いかなる改善を図るべきかということについて検討する所存である。
(問)今週中という意識ではいらっしゃるのか。
(事務次官)それは10日間の目処というのがあるので、その範囲内でやりたいということである。それでは具体的に何日かということについては、調査の進捗具合による。先程申し上げたように、非常に膨大な作業であるので、スピードも大事であるが、例えばヒアリングにしてもいろいろな人から詳細な話を聴くということが必要なので、今の段階で「何日までに終わる」ということを明確に申し上げることはできないが、少なくとも10日間という期限は守ると言うことである。
(問)今日の衆院予算委員会で、欧州局長の答弁で、例のムネオハウスの入札について、これは一般競争入札でやることになっていたにも拘わらず、実態は随意契約と言ってもいいものであった。さらに、予定価格で落札されていたことが明らかになったわけであるが、共産党等は「あまりにも入札経過が不明朗である」という指摘をしている。次官としては、調査を進めている段階ではあると思うが、この入札についてどのような印象を持っていらっしゃるか。
(事務次官)その点は、今正におっしゃった通り、現在行われている調査の結果を待つべきだと思う。自分がここで予断を与えるようなことを申し上げることは適当ではないと思う。
(問)「調査は膨大」とおっしゃったが、北方四島に対する人道支援事業というだけでもいくつもあると思う。できる限り全てについて調査をするということではあるとは思うが、一方で今1番指摘されている「友好の家」の問題があるわけで、期限を考えて核心部分だけ先に出して、残りは引き続き調査するということもあり得るということか。
(事務次官)それは正に調査の進捗状況によると思う。いわゆる「ムネオハウス」だけを取っても作業は大変な量である。したがって、先程申したように、本当に寝食を忘れて今やっていただいているので、全力を尽くしてできる限りのことをやっていただくということだろうと思う。
(問)今回これだけ問題が大きくなったのは、恐らく共産党が外務省の内部文書を示したことも大きかったと思う。外務省は、秘密が出たということは内部の問題として内部で追及なさるのか。それとも、今回こういうものが出たということは非常に公益性があったということでこれについては不問とされるのか。
(事務次官)今ご指摘の2つの点があるが、文書の管理ということについては、それはそれとして大きな関心を持っている。それとは別に、大臣が「同じ文書が外務省にも存在する」ということを言われて、今正にいろいろな調査をやっているわけである。文書管理の問題はその問題として、決して忘れているということではない。
(問)今回の件については問題があるというご認識なのか。
(事務次官)一般的に内部の文書が正当な手続きではなく出たということであれば、その点については、そういうことが2度と起こらないようにということを考えるということは当然必要であるし、大きな関心を持っている。
(問)問題となっている文書のうちの1つは、鈴木議員と外務省の職員とのやりとりを記したもので、この内容が事実かどうかを確認しようと思えば、鈴木議員の言い分というか、意見の確認ということは欠かせないと思う。これは外務省として行うお考えか。
(事務次官)現在園部参与に調査をやっていただいているわけであり、われわれ外務省としては、参与による調査に全面的にご協力する立場である。具体的にいかなる調査方法を取られるかということも含めて、それは園部参与のお考えによるので、われわれとして何らコメントをするということはないと思う。
目次へ戻る
議員との接触等
(問)先週末大臣が人事について発表されたたが、その前に鈴木宗男議員から外務省の複数の幹部に電話による働きかけがあったという報道がある。まず、次官のところにそのような電話はあったか。若しくは、ほかの幹部の方にそういう働きかけがあったかどうかを次官として把握されているか。
(事務次官)事実であるが、人事についての働きかけということは一切ない。自分自身についても、一部報道されたような具体的な人事で働きかけとか圧力といったような話は一切ない。自分自身、鈴木議員と電話でお話ししたということはない。
(問)ほかの幹部の方についてはどうであるか。
(事務次官)ほかの幹部についても自分はそれなりに照会をしたが、そういうことは一切ない。
(問)今朝大臣の方から幹部に、政治家との接触について注意があったようであるが、具体的にどのような注意であったのか。
(事務次官)今朝というか、政治家との接触というものについて、この数日間というよりも、以前から国民の誤解を招くようなことは避けるべきである、現在の外務省が置かれた状況を考えれば、慎重にも慎重で、「李下に冠を正さず」ということは、以前から大臣から言われたところである。また、先程申したような、あたかも鈴木議員から人事について働きかけがあったというような報道もあるが、それは事実に反する。そういう状況で特別に誤解を招くような行動は慎むべきだということは、実は自分からも幹部には伝えた。
(問)確認であるが、先程鈴木議員から電話があったこと自体は事実だという意味で「事実だが」とおっしゃったのか。
(事務次官)それはない。
(問)電話自体がなかったということか。
(事務次官)人事の圧力ということで電話がかかってきたということはない。
(問)幹部と鈴木議員との接触を差し控えるようにということを申し合わされているということであるか。
(事務次官)申し合わせというよりも、これは当然で、鈴木議員というよりも一般的に、現在の状況、特に現在調査が行われているわけであるので、無用の誤解というか、われわれはその調査を極めて信頼の置ける公正なものにしたいと全省員が思っているわけであるので、まかり間違っても誤解を受けるような行動は慎んでもらうという意識は申し合わせというよりも、外務省の幹部たる者当然心得うべきことであると皆が思っていると思う。それを確認したということはある。
(問)次官の方から確認されたということか。
(事務次官)自分の方からも確認したし、皆異口同音にそういうふうな認識でいるということである。
(問)それはいつであるか。
(事務次官)それは、自分が次官になってからもそうであるし、以前からもそうであると思う。
(問)先程、鈴木議員からの「具体的な人事の働きかけ、圧力はない」とおっしゃったが、内容は異なるが鈴木議員から電話等が幹部にかかってきているのか。
(事務次官)先程申し上げたように、自分は一切お話ししていない。
(問)幹部の方にも、電話自体がないということでよろしいか。
(事務次官)自分は、全員についていつまで遡ってないのか、ということについては必ずしも承知しないこともあるかもしれないが、ここ数日間についてはそういうことはない。
(問)ないのか。
(事務次官)ない。
目次へ戻る
事務次官会見記録 【新旧次官交代】(平成14年2月19日(火) 16:30~ 於会見室)
冒頭発言
(野上前次官)6ヶ月半弱という短い期間であったが、就任以来近隣諸国との関係、それから9.11.、それに対する対応策と、そして今度のある意味ではその集大成であるブッシュ大統領の訪日ということを事務方のトップとしてやらせて頂き、政策面、内容面ではかなり中身が濃い6ヶ月間を過ごさせて頂いた。勿論その過程で、不祥事の問題であるとかアフガン復興会議以降のゴタゴタとか、非常に残念ではあるが、難しい、非常に自分で考えても難しい時期であったが、その中で政策の面で新しいこともできたし、そういった意味では、非常に満足とまではいかないが、何かしたという感じはしている。
今後の外務省改革の問題については、竹内新事務次官に前面に立ってやってもらいたいと思う。外務省改革はやらねばいけないし、当然省員もついてきてくれるし、やれると思う。そういった意味で、竹内新事務次官に最大限頑張ってもらって、新しい外務省を作ってもらいたい。
(竹内新次官)本日、川口外務大臣より事務次官の辞令を頂いた。その際、大臣よりも、まずは次官のトップ・プライオリティーとして、外務省改革に取り組んで欲しい、出来るだけ早く具体的な成果を出すべきである、という方針であった。私も、大変な危機意識をもって本日を迎えた。外務省の責任は非常に重いものである。国民の信頼はこれ以上落ちようがない程落ちているというのが基本的な認識である。これに対応するにあたり、色々なことをやらねばならない。大臣は骨太の10の改革というのを打ち出した。我々事務当局として、私が先頭に立ってこれを実行していくことが急務であると考えている。
外務省に対する批判、信頼の低下ということを考えてみると、私は二つの側面があると思う。一つは外務省の不祥事等の再発を防止し、適切な制度導入、改革するという、組織、制度の面での改革である。これは第三者のお知恵、指導、ご鞭撻、色々頂いて進めてきているところであるが、未だこれからやらねばならないことがある。もう一つの側面からの批判は、外務省の体質というか、外務省の省員個人個人の態度、姿勢、仕事のやり方に対する批判である。骨太の改革方針の中でも、誤ったエリート意識とか、お客様指向とかという表現で、この点が盛り込まれているかと思う。国民に奉仕する公務員という原点に立ち返って、日本の国益の増進のために、公務員としてあるべき姿を自覚しながら努力をしていくということが、今一番問われていることだと思う。その省員個人個人の意識改革というのは、実は第三者の御意見や教えや、そういったもので変わるものではない。これは、外務省の人々、私を含めて全員が個人の人間として、一人の公務員として自ら省みて、改めるところは改めると、自らで自らをきれいにするということが必要であると思う。そういった意識の上で、省員が一丸となって、川口大臣の強い御決意、強いリーダーシップの下で、是非とも出来るだけ早く国民の信頼を回復し、日本外交を強靱なものにするということが、国民に対し我々が現在置かれている責任であるというふうに、それは強く感じている。要は、目に見える変化をスピーディーに成果を挙げるということであろうと思う。全力を尽くす所存である。
目次へ戻る
質疑応答
(問)野上前次官に伺う。小泉総理に辞意を申し出られて、その際に「事務方のトップとして責任を取ります」とおっしゃったと聞いているが、責任の取り方というのが、次官としての役職を解かれることだけでなく、外務省から離れられると受け止めた国民も少なくないと思う。前次官のお考えというのは、次官の職をお辞めになることが責任の取り方ということか。
(野上前次官)それは、次官の職を外れるということであって、そういうお話であったわけなので、次官を退いたということである。国家公務員を辞めるのに該当する行為を行ったということはないと理解している。
(問)ご自身でそういうこともされなかったということであろう。もちろん、強制的に何か処分があったわけではないが、辞意を申し出られた時には次官としての職務を退かれるという意味であったのか。
(野上前次官)そうである。それは、自分で言うのは何であるが、非常に大きなことではないだろうか。非常に重い決断ではないだろうか。
(問)2番目に挙げられた意識の問題についてであるが、これは制度に手を付けたり、強制的に何かをやることによってすぐ目に見える結果が出たり、スピーディーな結果が出るとは思えない。2つ挙げられた側面のうちの2つ目については、具体的にどのような方策によって、省員たちに意識の変革を求めようとお考えか。
(竹内新次官)おっしゃる通り、変革というのは、直ちに目に見える成果があるというようなことではないと思う。それだけに、1番大事なことは、個人個人が皆、気構えとして、もう1度これを機会に振り返って、自ら反省するということが1番実は大事なことである。非常に情緒的に聞こえるが、実はそれなくしてはできないことだと思う。われわれが初めて外務省に入った時の気持ちと気構えというのがある。全省員それぞれにあったと思う。それは、やはり公務員としての原点の気構えだと思う。もう1度それに返って欲しいということを今日、省員の皆に自分は申し上げた。それから、制度的な面でもやはりそういう個人の意識を変えるのに役立つことはあろうかと思う。いろいろ行政サービスの向上といったようなことは、やはり意識改革と制度の面で両輪として行わねばできないことである。制度を変えることによって意識も変えることができるかもしれない。しかし、意識の問題というのは、やはりあくまで意識の内面の問題であるので、皆で本当にそれぞれ考えていただくということが是非とも必要であり、これは大臣なり自分なりが省員にこれからも強く繰り返し訴え続けていくというのが1番重要なことであろうと思う。
(問)野上前次官に伺う。2点確認したいことがある。まず、例のNGOの問題で、(1月)21日の朝の電話と、24日朝の勉強会で、田中前外相に鈴木宗男議員の名前を出したのか、出さなかったのか。また、NGOの参加の問題で、鈴木議員の圧力があって不参加を決定したのか。
(野上前次官)これはもう何回も国会等でもお答えしているが、大臣との会話で、そういう具体的な議員の名前を出したとか出さないとか、そういった次元に問題がなってしまっていること自体、自分も非常はおかしな話だと思うが、自分が国会ではっきりと申し上げているように、そういったことはなかったということである。それから、第2点の特定のNGOの参加問題について鈴木議員の圧力があったとかなかったとか、圧力というのがどういう意味か、要するにいろいろな意味があると思う。担当者の念頭にいろいろな過去の経緯等があったことは事実だと思うが、具体的に「あのNGOを今回の会合に出すな」ということを担当者レベルに鈴木議員の方から話があったというふうには自分は報告を聞いていない。具体的に自分自身もこの問題で鈴木議員と話したこともない。
(問)竹内新次官に伺う。新聞等で、チェチェン問題でかつて鈴木宗男議員と自民党の外交部会で激論をされたことがあると報道されているが、現在はチェチェン問題についてどういうふうなお考えをお持ちであるかお聞かせいただきたい。
(竹内新次官)まず、自分が自民党の外交部会で、1999年の夏だったと思うが、ここにおいて鈴木議員と大激論を戦わせたというようなことは事実としてない。
ただ、チェチェン問題の対応について当時いろいろ省内等で意見交換、議論をして、例えばG8の外相会合の準備をするというようなことがあった。その際の対処方針というのは、実は自分は主管局長ではなかったが、はっきりと覚えているのは、やはりあくまでも当時の外務大臣、河野大臣がお決めになった。この点ははっきり言えると思う。現在のチェチェンに対する方針であるが、これは自分はまだ今日(次官に)なりたてで、土曜日にインドネシアから戻って来たばかりなので、正確なことを申し上げることはできないかもしれないが、平和的に問題が解決されることを日本としても希望
していると、簡単に言えばそういうことだろうと思う。日本としても、やはり関心を持って、平和的な解決を望んでいる。他方、テロに対しては断固たる措置を取るということが必要である。しかし、解決は平和的な解決が重要だと思う。
(問)竹内新次官に伺う。先程の国会審議でも取り上げられたが、鈴木宗男議員と外務省の特定の職員の方々が頻繁に接触し、1月24日の夜には会食などをされている。いい悪いの判断は別としても、そういう事実が指摘されている。これについて、次官はどのようにお考えか。
(竹内新次官)実は、まだその点については、自分は事実関係を詳細に承知していないので、あまりコメントはできないと思うが、川口外務大臣がやはり「誤解を招くようなことはすべきでない」と、そしてどなたかは「李下に冠を正さず」とおっしゃられたということは、自分自身としては肝に銘ずるところがあると思ってい
る。
(問)骨太方針の中にもあるが、政治家と役所の関係、具体的には特定の政治家による「不当な圧力」と言われるものをどう排除していくのか、現在考えていらっしゃることをお聞かせ願いたい。
(竹内新次官)これは骨太の方針の第1番目に掲げられていることであり、これから「変える会」のご意見も伺って、それから幅広くいろいろな方々のご意見も伺って、具体的なことを検討していくということだろうと思うので、それ以上のことは、これから具体的にどうするかということについては、ガイドライン以上のことは自分としては現段階では申し上げられないが、あの方針にも書いてあるが、もちろん適切なご意見というものは拝聴する。これは、外交は何も外務省1人でやっているわけではない。したがって、いろいろなご意見を拝聴するということは当然であるが、「不当な圧力」という言い方だったと思うが、これに対しては毅然たる態度を取る。これもまた当然のことだろうと思う。具体的にそれをどう確保していくのかというのは、これ
は大臣のご指示、ご指導の下、また省内のいろいろな実態も考え、各方面のご意見も聞いた上で、できるだけ早く考え方をまとめたいと思っている。
(問)野上次官も「外交はきちんとやっていく」ということで、外交機能不全という中で、努力をされてきた。奇しくも(新次官の)就任の日にブッシュ米大統領が来て離日された。今回のブッシュ大統領の訪問に関して、今後の日米関係も含めて、「悪の枢軸」という話も出ているが、とりわけ近隣諸国、特に日朝関係についてこれからどのように事務方のトップとして外交課題をまとめていかれるか。
(竹内新次官)日本の外交は非常に多岐にわたっている。やるべき課題、やるべき分野、いろいろある。今回のブッシュ大統領の訪日というのは、日米関係をさらに緊密なパートナーとするのに非常に有益だったと、まず印象として思っている。日米関係はやはり日本外交の基軸であるので、これなくしては他の分野での外交、他の地域との外交の基礎もおぼつかないということもあろうかと思う。アジアとの関係は言うまでもない。自分もインドネシアに赴任しており、そちらの方から過去1年間、日本の外交、アジアと日本の関係というのを見てきたところである。アジアにおいては、やはり中国の台頭というのは過大評価しても良くないし、過小評価しても良くない。現実を見つめて、日本にとって、中国との関係がいかなる関係が望ましいのか、またその望ましい関係にするためにどのような外交戦略、外交的手段を取っていくかということは、もうすでにこれまでもいろいろな議論が出されてきているところであるので、それを踏まえて進めていきたいと思う。朝鮮半島の状況であるが、自分もかつて北朝鮮問題を担当したことがある。個人的には、特に日米韓の協議というのを担当してきた。だから、韓国の考え方、米国の考え方、日本の立場というのを自分なりに理解をして、考えていきたいと思う。韓国においては、やはり包容政策の下、対話の促進というのがあるし、わが国も包容政策を支持し、また日本にとって北朝鮮との関係、国交正常化という課題がある。これは、人道的な問題の側面もあるし、その点も話をしていかなければいけないし、さらには安全保障上の観点というのがある。それから、何と言っても、過去の不正常な関係の清算ということがある。しかし、非常に身近な、地理的に近いところにある国であるので、片時も目が離せない状況であり、またできるだけ対話のチャネルをこちらとしてオープンにし、また先方にも対話を求めていくということが、日本の利益にとっても必要であると思っている。その他、話せばきりがないが、基本的なところはそういう感じである。
(問)今拉致問題に触れられなかったが、拉致問題についてどのようにお考えか。
(竹内新次官)今自分は「人道的な問題も含め」と申し上げたつもりである。
(問)野上前次官に伺う。結局次官をお辞めになることになった遠因は、田中元大臣だと思うが、今の時点で田中元大臣に対してどのようにお考えか。
(野上前次官)自分が就任した時の記者会見を覚えておられると思うが、あの時に言った事態、全部申し上げて、その通りになったと思っている。
(問)それは「難しい」ということであるか。
(野上前次官)自分としては、できる限りお話をして、政策問題等について議論して、外交をやりたかった。残念ながらそういう状況がなかなかなかったということではないかと思う。そういう意味で、これから竹内新次官にはきちんと日本のための外交をやっていただきたいと思う。
(問)明日、NGOの問題で参考人招致が行われるが、今回の問題がここまで拡大して大きくなってしまったことについて、前次官はどのようにお考えか。
(野上前次官)いろいろな経緯があったと思うが、いくつかここでNGO問題について申し上げたい。自分が沖縄サミットのシェルパ等でずっと準備している頃か
ら、本当にNGOとの関係というものは重要に考えてきて、いろいろな対話をしてきたわけである。ご承知のように、沖縄サミットのコミュニケにも、冒頭にNGOの問題を取り上げて、いろいろやったわけである。自分はあの頃からずっとcivil society group(CSG)という言葉を使ってきているが、そのCSGと政府との関係
というのは本当にきちんと考えていかなくてはいけないということ、最後の記者会見なので言いたいことを言わせていただくと、本当にずっとそれを考えてきた。実は湾岸戦争の頃からずっとつき合ってきて、考えてきて、それについていろいろな新聞にも、昔からつき合ってきているグループの人たちがいろいろなことを書いてくれて、自分は本当に嬉しく思っている。それを、やはり「言った」「言わない」という問題に矮小化されてしまって、本当の意味でのNGO、CSGと政府とのつき合い方という形での議論にならなかったということは非常に残念である。やはり、いろいろなグループがいる。いろいろな考え方のグループがいて、そういったグループと政府との関係が非常に難しいわけであるが、特定の議員の圧力でどうこうという感じの単純化した問題ではないと思う。ただ、残念ながら、今そういう形の議論になってしまって、本来考えるべき政府とCSGの関係というものが一切議論されていない。
これは非常に残念である。これは新しい川口大臣の骨太の10項目の中にも入っているので、これは本当にきち
んと考えて、政府とcivil society groupとのあるべき距離感、あるべき協力関係、それからあるべき補完関係は、きちんと考えることが必要だと思う。誰がどういったこういったという話の問題ではないと思う。
目次へ戻る
|