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事務次官会見記録(平成14年1月)


INDEX


・ 事務次官会見記録(1月28日)
 ・ アフガニスタン復興支援国際会議へのNGO参加問題


・ 事務次官臨時会見記録(1月24日)
 ・ アフガニスタン復興支援国際会議へのNGO参加問題


・ 事務次官会見記録(1月21日)
 ・ アフガニスタン復興支援国際会議


・ 事務次官会見記録(1月7日)
 ・ 日仏次官級協議
 ・ 不審船の調査




事務次官会見記録 (平成14年1月28日(月) 14:45~ 於会見室)

・ アフガニスタン復興支援国際会議へのNGO参加問題

(事務次官)定例会見を繰り上げたことで皆様にご迷惑をおかけして、申し訳ない。その点について、まずお詫び申し上げる。
 先程の大臣との会議等でおわかりのように、今後のNGOのアフガン復興支援、さらにはそれを越えた大きな紛争予防、さらには対途上国支援という中で、やはりNGOとの協調関係、連絡の緊密化を図っていくという点について大臣から会議で指示があった通り、われわれもそれを踏まえて対応していくということである。今度の一連のNGOの問題をめぐって、特に20日の会合の参加問題等について、一部に不手際があり、その過程で関係者にご迷惑をおかけした。事務方の責任者として、これについては改めてお詫び申し上げる。自分から冒頭申し上げることは以上である。

(問)結局この問題で、鈴木宗男議員の関与はあったのか、なかったのか。その点について、大臣と意見は一致しているのか。

(事務次官)基本的には、NGOの参加問題、今後のNGOとの協調・協力関係といったようなことについての関係者の認識が共有化されているわけなので、私共としては(関与が)あったのか、なかったのかといったようなことについて、今後ガタガタ根掘り葉掘りするよりも、もう少し前向きな形で対応していきたい。

(問)先週の「(関与は)一切なかった」という発言は訂正なさるのか。

(事務次官)それは先週の時点での話で、訂正するとか、訂正しないという次元ではなくて、今後認識が共有されたことを踏まえて、前向きに対応していきたいと思っている。

(問)「認識が共有された」というところがわからないが、どのように認識が共有されたのか、今回の一連のごたごたも含めて説明していただきたい。

(事務次官)先程の会議で、大臣から冒頭に考え方が示されて、われわれとしても全くその通りであるということで、これが認識の共有化である。今後そういった認識を踏まえて、アフガンの復興支援がこれから実施の段階に入っていくので、実施の段階で出来る限り前向きに対応していくということである。もちろん、先程申し上げたように、信頼関係というのは非常に重要で、特にアフガンというのは大きな戦闘行動は終わったものの、依然としてカブールには治安維持部隊等が展開しており、カブールの外においては非常に状況等が不透明なところもあるので、そういったところで今後いろいろなNGOが活躍、活動する際に、やはり私共と連絡を密にして、意見交換、信頼関係を作った上でやっていただくのが非常にいいということである。他方、われわれとしては、そういった地域できめ細かい援助、支援をしていくためには、NGOの参画というのはどうしても必要であると考えている。

(問)田中大臣と、この問題について「過去のことはなしにして、前向きに将来のアフガンの復興におけるNGOの役割を支援していこう」ということで一致されたということであるか。

(事務次官)一言で言えばそういうことである。

(問)それは大臣と直接お話し合いをされたのか。

(事務次官)関係者全員が集まったところで今日(会議を)やったわけである。

(問)先程の大臣の話の中で、「過去のことは一切なしにしましょう」という話は大臣からなかったし、大臣はむしろ「事実関係を国民の前に明らかにしなければなりません」とおっしゃったと思うが、その点についても次官や幹部の方は認識が一致されたわけであるか。

(事務次官)ご承知のように、私共も国会で申し上げているように、NGOの数を絞り込むという必要があったこと、それからその過程においては、アフガンにおける実績とかいろいろな団体の活動に関する評価ということで数を絞ったわけで、参加したいというご希望は非常に多数あった中で、結果として12(団体)が参加したということ、これが事実である。その背景等について、関係者の推測と言うか、そこのところにいろいろな食い違いがあったことは確かであるが、そこについて基本的には圧力があったのか、なかったのかという話は、そこにいくら時間を使ってもなかなか結論が出てこないであろう。そういうことであるならば、やはりもう少し前向きな共通の認識を作って、その共通の認識に基づいて今後前向きな対応をしていこうと。アフガン復興支援会合の基本的な成果は、わが国にとっても大きいわけである。そういったことを踏まえれば、今後、今の大臣の共通の認識に基づいて前向きの対応をしていくという方がより建設的ではないかというのが関係者の判断である。

(問)共通の認識というのはジャパン・プラットフォームも含まれた上での認識であるか。

(事務次官)これは政府関係者である。大臣の認識を、少なくとも副大臣、政務官、省員まで含めて外務省関係者の共通の認識である。これを踏まえて今後対応していくということである。

(問)圧力があったのか、なかったのかということについて根掘り葉掘りしないということであるが、これは第三者があることなので、そことの関係でやはり明らかにしないというのは納得がいかないと思うが。

(事務次官)私共としては、全ての関係者、これはご承知のように、今度のアフガン復興支援会合に参加を希望されて参加できなかったNGOはもっと沢山あるわけである。そういう方々とも、今後よく意見を交換しながら、今のような認識に基づいて今後の対応を考えていくということである。ジャパン・プラットフォームの傘下の多くのNGOは今度の会合に出席しているわけである。ジャパン・プラットフォームに限って言えば、ピース・ウィンズが出席できなかった。ピース・ウィンズの方は、22日の閉会式のオブザーバー参加については、「今後とも政府と意思疎通を図りながら信頼関係を持って参加したい」ということだったのでご参加いただいたわけであるが、そういう過程で、それから今後もいろいろな過程で、いろいろ話し合いをしながら、出来る限り日本のNGOの活躍の場を広げていきたいと考えている。

(問)大臣の先程の会議も、この会見を前倒しされたのも、15時からの予算委員会の前にバタバタと事態を収拾させるような印象があるが、まず会見を前倒しされた理由を伺いたい。そして、次官としては、鈴木委員からの圧力はなかったという認識にお変わりはないということでよろしいか。

(事務次官)会見を前倒しした事情等についていろいろな推測をされるのはご自由であるが、今いろいろ非常に問題になっていることについて、大臣と省内の意思統一が図られたという事実があった以上、これは出来るだけ早くわれわれとしても公表すべきであると考えたから、会見を前倒ししたということである。また、自分は、特定の政治家から具体的な圧力があったから一部の団体が参加できなかったという報告は受けていない。

(問)その点で言えば、そこはいくら詰めても、大臣と次官の間でも認識の一致は得られないままだということで変わらないということか。だから先のことを考えようということか。

(事務次官)この事態が発生した頃というのは、18日、19日の準備段階のぎりぎりのところでいろいろごたごたやっていて、関係者のいろいろな発言についてのきちんとした文書による記録だとか、そういったものがあるわけではないので、いろいろな方がこういった発言があったということを言っておられるわけであるが、残念ながら「本当にこうだな」という確証のようなものはなかなかないわけである。そういう中で、この辺のところをずっと長時間かけて議論していくより、アフガンの会合の大きな成果を踏まえて、これからより前向きな対応をしていくことの方がより重要ではないかということで、この点については大臣と自分の間に何ら認識の相違はない。

(問)鈴木議員は「お上を批判する者を国の会議に呼ぶわけにはいかない」と言っているわけであるが、こういう考えについて次官はどのようにお考えか。

(事務次官)そもそも鈴木委員長がそういうことを言われたかどうかということについては、自分は承知していないが、第三者の発言についての伝聞について意見を述べるというのは自分の好むところではないので、今の点についてのコメントは自分としては差し控えさせていただく。

(問)本人がテレビで言っているが。

(事務次官)自分はそのテレビを見ていない。そこは鈴木委員長に聞かれたらいかがかと思うが、一般的に前から申し上げているように、「政府を批判するから(批判を)する団体を会議に出さない」などということはわれわれは言ったことはないわけである。やはり、アフガンの復興支援というものをやるべき時には、アフガンでのある程度の実績が必要である。「知らないところだけど、これから飛び込みます」というだけでは、そう簡単なところではない。したがって、アフガンにおける実績というのは非常に重要である。もう一つは、先程申し上げたように、アフガンでいろいろやっていく時に、「政府に対して自分たちがどこでどういう活動をするかは言わない」というようなこと、言うなれば信頼関係を前提にしない活動というのは、正直言って私共としても危険だと思うし、仮にそういった状況の下でその団体にいろいろな事故等が起こった時に、われわれとしては邦人保護という義務があるので、そういったことを踏まえて信頼関係を持ってやっていただきたい。ご承知のように、NGOというのはそれぞれのいろいろな考え方に基づいて活動しているところなので、その活動の元にある考え方とか思想、信条を基にわれわれが出す、出さないと言っているということではなくて、やはりああいうところで活動していく時には信頼関係というものが本当に必要であり、そういった点についてどうもそういった信頼関係が損なわれたというふうに担当者たちが思ったことも事実であって、そういう場合にはやはり数を絞るプロセスの中では、どうしてもそういった人、そういった団体というのは、従来から実績も多くて、連絡等も密にして、いい成果を挙げているものよりは、プライオリティが下がるということにならざるを得ないと思う。

(問)今の点は少しおかしいと思うが、大西氏の方は宮原課長からの正式通告として20日の午前1時15分に、「政府に非協力的なので出せない。これは正式通告である」という連絡を受けたと説明されているが、今の次官の説明では、「政府を批判するから出さないと言ったことはない」と言うことであるが。

(事務次官)政府の方針と違う団体を出さないというようなことでは、そもそもこれはNGOの参画問題であるから、そこは基本的にはない。要するに、前から申し上げているように、多くの中から限られた数のNGOにご出席いただくという状況の下で、従来から実績があり、われわれとの連絡関係等について種々の問題がなかったところというものが当然のことながら出ているわけで、ジャパン・プラットフォーム参加のその他の団体についてはご承知の通り出ているわけであるから、そういう意味で「政府を批判したから出さない」と担当課長が言ったと伝えられる点については、他方担当課長は「そんなことは言っていない」ということであるから、この辺はいくらやってもどこまで有用なものであるのか、それよりももう少しきちっと認識を統一して、今後前向きな方向で対応していこうという結論に至ったということである。

(問)そういうふうに、事実関係を本当にこういうことであるという確証がないとの説明、文書も残ってないし、そういうご説明をされるのであれば、特定の政治家からNGOの参加に関し圧力があったか、なかったかについても、外務省としては言明できないということであろう。何が本当であるか確証がもてないといわれるのであるならば、そういうことではないか。

(事務次官)自分としては、やはり担当の部局からそういう報告を受けて、それをベースに判断しているわけであるから、それが間違いだと言われればやむを得ないが、やはりそういう形で動いている。且つ、政治家からの圧力があったかなかったのかについても文書がない。こういったことにいちいち文書を作ってやっていく話ではないし、ご承知のように、事態というのは、もし今のご質問に出た時間が正しければ、会議の登録が終わった後の話である。夜中なので。前の晩に締め切っているはずなので。だから、そういったような事態で通告するというのもおかしな話であるし、たぶん締め切りは19日の夕刻だったと思うが、その日の夜更けにそういった通告があるとかないとかいう話についても、われわれの聞いている話とは少し違うし、そこをいちいち全部そのために多大なエネルギーを使って、実際に何時にどういった電話会談が行われたのかということをやっても結論は出ないであろうというのが現在の考え方である。

(問)ジャパン・プラットフォームの方の大西氏には、事務方のトップとして何かお話をされたのか。

(事務次官)まだしていない。

(問)今後はどうされるお考えか。

(事務次官)今後、大臣の今の意向を踏まえて、できるだけ多くのNGOの方と意見交換していきたいと思う。従来から、今度の話とは直接関係ないが、例えば沖縄サミットのシェルパとして、NGOセンターというのを作ったのは自分であるし、その過程で日本のNGOのみならず、世界中のNGOとの対話というのはずっとやってきたわけで、沖縄サミットの際にも、総理とNGOの会談等をずっとやってきた。自分もNGOとの対話というのは従来からやってきたので、今日本にある全ての団体とそういった形でお話することはできないが、従来からNGOの方々とわれわれの意見交換というのは、少なくとも今の本省幹部の中では自分は今まで1番やってきているのではないか。ただ、沖縄のような状況と違って、アフガニスタンの現地で活動してもらうためには、やはり「あなた方の言うことは信用できない」と言われた団体と組んでいくことは若干怖いという感じを現場が持つのは当然だと思う。国連のブラヒミ特使にしても、「やはりアフガンで活動しているNGOについては国連としても把握したい。どういったNGOがどういった場所で活動しているかということについては、治安維持部隊の展開という意味からも、やはり非常に重要だ」と。他方、「そういったことは政府には関係のないことだ」というようなことを言われれば、やはりそういった団体については「少し待ってほしい」と言わざるを得ないということだと思う。

(問)今のお話を聞くと、先程次官は「不手際についてお詫びする」という言葉があったが、その一方で「今回信頼関係を損ねた」という説明があった。それでは、一旦ピース・ウィンズを出さないと判断したこと自体が不適切であったとお認めになっているのか。

(事務次官)不手際というのは、大臣をはじめ全ての関係者に十分納得のいくような事前の説明をした上で措置を取ったということではないので、そういった面では非常に不手際であったということである。ただ、判断は、ああいう判断をしてしまったわけである。その過程で、実際問題、不参加を決めてからもいろいろな善意の仲介者とか、ピース・ウィンズ自身とも関係者が話をして、「今後ともやはり政府と協力してやっていきたいから」という話があったので、22日の会合には出ていただいたということである。

(問)先程のお詫びというのはピース・ウィンズへのお詫びではなくて、田中大臣へのお詫びだったのか。

(事務次官)要するに、その過程が混乱していたこともあって、種々いろいろな憶測を呼んだり、十分な関係者への説明がなされていなかったことについては不手際であったと思う。

(問)先程「特定の政治家から圧力がかかったことはない」とおっしゃったが、24日朝の大臣とのやりとりの中でも、鈴木宗男氏の名前は出てこなかったということでよろしいのか。変更はないのか。

(事務次官)全然違うコンテクストでは出ているが、この問題ではない。そこは自分の方からではなくて、大臣の方からその辺についての言及はあったが、これは全然違う話である。

(問)鈴木議員の関与に関する先週の大臣の国会答弁は、修正することになるのか。また、大臣が報道機関の前で涙を見せるという異例の事態になったが、そのことについて次官のご感想を伺いたい。

(事務次官)修正かどうかということについては、自分は言うべき立場ではない。これは院内で起こったことなので、自分が今この行政府の立場としてどうこうという話ではないと思う。大臣の記者会見の状況というのは、あれはぶら下がりであるが、自分として特にコメントする立場にない。

(問)ある有力自民党議員は、今朝テレビで次官のことを「次官は外務次官ではなくて、鈴木議員の秘書官だ」と言っていたが、それに対する何か反論はあるか。

(事務次官)自分は外務次官であって、鈴木議員の秘書官ではない。これは明らかなことである。

(問)先程「政府の言うことは信用できないと言う団体は怖いという認識は当然だ」とおっしゃったが、ピース・ウィンズという団体、あるいは大西氏は常々「政府のやることは信用できない」ということを言い続けているのか。それとも、1つの新聞に出たインタビュー記事のあの1行からそう言うのか。

(事務次官)あの新聞(記事)が出た後、ご承知のように、「ああいうことを言ったら今後いろいろ信頼関係の面から見て協力しにくいから、何とか釈明があっていいのではないか」というような話は、関係者から大西氏には話したようである。基本的にはあの記事、あのラインというのが、参加問題でいい方向には働かないなと皆が考えるのは当然ではないだろうか。沢山ある中で、実績もあり、信頼関係もきちんとしている団体が多くある中で、何でああいうことを言う必要があるのかというふうに善意に思って注意した人がいるのは当然であろう。

(問)実際ピース・ウィンズにどういう説明を外務省が当時していたのかというまた別の問題があると思うが、それはどのように把握しているのか。

(事務次官)自分の方に上がってきた時には、「まず数を絞らなくてはいけない。いろいろな団体について出せというご意見をいろいろな方からいただいているが、相当絞り込まなくてはいけない」ということで、「こういうリストでやります」という話が上がってきて、自分は「結構でしょう」ということで了承しただけである。

(問)それをどういうふうにピース・ウィンズに当時釈明したのか。

(事務次官)ピース・ウィンズについては、ご承知のように、去年の秋の外交部会等から各部会の議員等からいろいろな議論があって、且つ先程申し上げたように「アフガンのことを何も知っていない」とか「お上の言うことは信用できない」といったことを新聞の紙上で発言されているわけであるから、多くの団体の中から非常に限られた数(を選ぶ)という過程の中においては、そういうことをパブリックに言っておられる団体を敢えて選ぶ必要はないと。「ほかにも出たいところは沢山ある」ということを聞いて、それはそうだと思う。外交部会でも、この団体においては、多くの議員を前にしていろいろな議論が行われてきたわけである。

(問)そういう説明をピース・ウィンズにしたのか。

(事務次官)それは自分が聞いた報告である。

(問)自分が聞いているのは、ピース・ウィンズに当時どういうふうに説明をしたのかということである。

(事務次官)それは「信頼関係といった点で、いろいろ問題があるので」ということを言ったと報告を受けている。

(問)よく言われているが、NGOは外務省の下請け機関であって、外務省の中にNGOを軽く見るような体質があるのではないかという有識者の論調がある。この点については次官はどのようにお考えか。

(事務次官)そういう見解があるとすれば、それは間違いである。今度の件ではないが、沖縄サミットの首脳声明を見ていただければわかるように、頭のところにNG Oという言葉ではないが、「civil society groupとの協力」という章があるが、それは私共が書いたものであって、今後のいろいろな外交や紛争予防、復興支援、また途上国における病気の問題、保健衛生等の分野で、NGOと協力していくことの重要性というのは前からわかっている。だから、ジャパン・プラットフォームもわれわれとしていろいろやったわけで、且つ外務省もそのジャパン・プラットフォームに参画して、支援してやっているわけで、NGO軽視というようなことはない。その問題と、今度の限られたスロットにいくつかを選ぶ際にどういう判断をしたかというのは、別の話である。あたかも「今度の会議にNGOが全然参加できなかった」、「外務省はNGO軽視で、NGOを全部切った」というようなご意見もテレビや新聞の一部で出ているが、それは全くの間違いであって、全部で60程のNGOが出ている中で、基本的にはアフガンのNGOを優先的に入れたわけであるが、アフガンのNGOに加えて日本のNGOの参加数というのは、他の国と比べても全然遜色ない。そういった意味で、NGOを排除するというようなことではないし、NGOを軽視したとかいうことではない。日本のNGOの参加数を絞っていくプロセスの中でいろいろな意見の衝突があったということである。

(問)先程「根掘り葉掘りしても、それに時間を費やすのはどうか」ということであったが、これは大臣も同じような見解に至ったのか。また、国会でそういった圧力の問題について真偽を確認したいという意見がかなりあるが、それについてのご見解を伺いたい。

(事務次官)今後も前向きに協力してやっていきましょうということなので、大臣はそういうことだと自分は推測するが、基本的にはこれは大臣に聞いていただくのが1番いいと思う。自分は大臣から「これでいきましょう」という指示を受けただけで、その指示についてはわれわれとしては当然だと思っている。国会での動きについては、自分はコメントする立場にはない。

(問)次官のところに事務方からNGOのリストが上がってきたのは、木曜日であろう。

(事務次官)木曜日だったと思う。

(問)そうすると、「お上の云々」という朝日新聞の記事が出たのは18日の朝刊であるが、時系列的に説明が違うのではないか。

(事務次官)18日木曜日であろう。

(問)18日の金曜日である。

(事務次官)失礼、金曜日である。あの新聞の記事はもう出ていたのだと思う。あの時には。

(問)新聞の記事が出た後にリストが上がってきて、説明を受けられたということであるか。

(事務次官)そうである。あの記事は見た。「これです」という感じで見た。

(問)今回この程度で終わったが、鈴木議員が北方領土問題にまで口出しして、日本の国益を損ねる懸念があると思うが、その点はいかがであるか。そういう心配を国民はかなり持っていると思うが。

(事務次官)かねてから北方領土の問題について鈴木議員が関心を持っておられることはその通りだと思う。それから、国会議員が日本のそういう国益に関する問題について、いろいろな意見を持たれるということは当然のことではないだろうか。

(問)意見を述べるならいいが、変な影響力を行使するというのは問題だと思う。

(事務次官)変な影響力とはどういうことであるか。

(問)今回のようなことである。

(事務次官)今回のことは、北方領土とは関係ないのではないか。

(問)関係ないが、よくない介入をしたということである。

(事務次官)そこは決めつけておられるが、介入ということを言われる根拠はあるのか。

(問)状況的にそうではないか。「大西氏が言っていることは嘘だ」、「大臣が言っていることは嘘だ」とおっしゃるであろうが。

(事務次官)そういうふうに決めつけて議論をされるのであれば、自分としては何をかいわんやという、それだけの話である。

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事務次官臨時会見記録 (平成14年1月24日(木) 16:15~ 於会見室)

・ アフガニスタン復興支援国際会議へのNGO参加問題

(事務次官)各社からの強い要望があったので、こういった形で記者会見をさせていただく。
 今週日曜日のNGO会合、月、火のアフガン復興支援会議に関するNGOの参加問題について、新聞、テレビ等で各種の報道がされている。この点について自分は月曜日の記者会見でも基本的なわれわれの考え方をご説明したが、もう1回改めてご説明させていただく。
 ご承知のように、アフガンの復興支援におけるNGOの役割、就中アフガンのNGOの役割というのは非常に重要であるということから、今会議の共同議長国である4カ国で合意して、ご承知のように20日の日曜日にNGOと関係者のセッションを持ったわけである。全体的にアフガンのNGOといろいろな人たちの意思疎通を図るという目的であったために、また会議の運営上、全体のNGOの参加の数をある程度絞らざるを得なかったという事情を踏まえて、私共で各NGOの一般的評価、当該分野での活動状況その他を踏まえて、ある程度絞り込みをした結果、参加希望を持たれたすべてのNGOが参加できなかったという事実はある。そして、かかる判断、措置を取ったのは、外務省のこの分野で具体的に調査をしたり、活動をしたり、今度の会議を実際に運営しようとしている現場の人たちの意見を踏まえて行ったわけである。基本的に、その判断は日本のNGOについては、外務省が行ったということである。新聞紙上等で一部の政治家から自分に対して圧力があって、参加を云々といったような報道もなされているが、これは全くの誤りである。自分は、その一部に報道されている政治家とこういった問題について一切話したことはない。もちろん、この問題に関連して新聞報道が双方の名前を挙げて報道しているので、本日や昨日、当該政治家と話したことはあるが、この参加をめぐって、自分をはじめ外務省の現場の人間も、そういった形での接触を持ったことは一切ない。したがって、そういった点を自分から大臣にご報告したという事実もない。本日早朝、こういった点を改めて、自分から具体的な名前を挙げて、大臣にご報告したという事実もない。この点に関しては、たまたまそこが国会答弁の打ち合わせの場であったために約10名程度の外務省職員も同席していたので、自分の言っている通りであるということはご確認いただいてもよろしいかと思う。

(問)次官と鈴木宗男議員との間ではそういったことは一切なかったということは了解するが、先日の中東二課長のブリーフの中で、参加できなかったNGOに関して新聞報道等があるが、それに関して「いろいろな政治家から意見が来た」ということであった。圧力とか関与という表現は抽象的なので、外務省側にどういった意見が来たのか。その中で、名前が出ているので敢えてお伺いしたいが、鈴木宗男氏からどういう形でのご意見があったのか。

(事務次官)こういったNGOとの会合等がある時に、「こういったNGOを出せ」というようなご意見というのはよくある。これは非常に通常のことである。先程申し上げたように、いろいろな評価を踏まえて選考を行ったということもあるので、いろいろな方と意見交換をしていたと思う。ただ、具体的に中東二課長がどういった方とどういった団体について話し合ったかというのは中東二課長に聞いていただくべき話だと思う。自分は、そういった現場の判断を踏まえて「こういうリストで行きます」という話については、「いいだろう」と言う立場であって、正直なところ個々のNGOの活動等については自分も承知していないので、それについて「これがいい」とか「これが悪い」とかいう立場にはないということである。それから、関係者に聞いたところ、この問題について今ご指摘の具体的な政治家から具体的な申し入れ、要望等があったというふうには理解していない。そうは聞いていない。

(問)申し入れ、要望等、一切何も接触はなかったということか。アドバイスなり、ご意見なりもなかったのか。

(事務次官)そのセレクションのプロセスでは全くなかったと思う。過去において、ご承知のように、外交部会で多くの先生方を含んだ多くの外交部会のメンバーから、当該NGOについてのいろいろなご意見があったことは皆様ご承知のとおりだと思うが、これは昨年の11月だと思う。今度の選考プロセスでそういったことが行われたとは承知していない。

(問)NGO側の会見では、政府高官からの電話として、鈴木宗男氏の名前が出た上で「けしからん」と「参加させるべきではない」というような意見があったと伺ったが、これはどういうことであるか。

(事務次官)これは自分も承知していないが、それはそういった会見をされたNGOに確認されるのがいいと思う。その政府高官というのは自分であるか。

(問)「政府高官」となっているだけである。

(事務次官)自分は、この話について、今問題にされているグループ、ピースウィンズ・ジャパンと1度も話したこともなければ、面識もない。

(問)重ねて質問するが、「外務省高官」という表現でNGOは会見していたが、外務省側のどなたもそうした電話はしていないということであるか。

(事務次官)いろいろな過程で直接担当している人たちは、当然のことながらピースウィンズ・ジャパンとコンタクトをしていたわけであるから、その過程での細かいやりとりについては自分も承知していないが、そういった形での理由付をしたとは理解していない。自分が聞いている限りにおいては、月曜日の記者会見でも申し上げたように、「外務省と一緒にやってきたのに、その信頼関係を損なうような言動があったというのが最大の理由である」というふうに説明を聞いている。

(問)そうすると、NGO側の会見は間違いだということであるか。

(事務次官)自分は、自分の聞いていない発言について正しかったのか、間違えたのかと言う立場にはない。これは全ての原則だと思うが、第三者がクオートしている発言について当人に確認しないで自分(次官)が間違いだとか、正しいとか言う立場にないので、自分は聞かれてもそれは答えようがない。

(問)次官のご説明はよくわかったが、田中大臣が何故これ程までに「次官が鈴木宗男氏の名前を出した」とおっしゃるのか。大臣は、昨日か一昨日、(民主党の)菅幹事長に「事務次官が言うことを聞かない」ということを国会の記者のいる前ではっきり言っている。どういうふうに今後大臣と意見を調整されるのか。

(事務次官)自分も実は、今日の国会の答弁を聞いてちょっと驚いた。数時間前にお会いして、お話しして、そこで一切話されていないことが、先程「こういう形で報告がありました」という答弁があって、えっという感じであった。何かの行き違い、勘違いではないかと思うが、自分自身としては少し狐につままれたような感じである。

(問)朝の国会の打ち合わせで、いわゆるNGO出席問題について何か話題になったことはあったのか。

(事務次官)ない。

(問)官邸に先程次官が行かれた時に、記者にいろいろ質問されてお答えになったようであるが、鈴木宗男氏に関することを聞かれただけだということであるか。朝の国会答弁の(打ち合わせの)席でもやりとりはどういうことだったのか。

(事務次官)これは、「自分のところに来るより鈴木宗男さんのところに毎日行ってるんでしょう」ということを言われて、「そんなことはありません。今年になってから1度も会っていない」という感じでやりとりがあったことは事実であるが、これはNGO問題とは全然関係ないコンテクストだと思う。それだけである。あとは、昨日の打ち上げに何故出られなかったのかとか。自分は、昨日は本当に残念ながら、外務省の先輩の葬儀の葬儀委員長をずっとやっていて、その後官邸の定例ブリーフがあって、本省にいなかったので、申し訳ないが出られなかった。今朝のやりとりはいろいろな人が出ているので、敢えてああだこうだと言う必要はないと思う。

(問)次官の「(その話は)出ていない」というお話はわかったし、ほかの方も「そういうふうに言っていない」と言われているが、今朝官邸でも次官は「何故大臣がそういう発言をしたかということを大臣に聞いてみなければいけない」という発言をされているが、これから大臣とそういう話をされるのか。

(事務次官)それはしなければいけないと思う。やはり自分も正直言って驚いているので。ただ、いろいろな新聞、テレビ等でそういうラインが流れているので、そういう感じを持たれたのではないか。自分の口から申し上げたということではないにしても、そういことが新聞報道等で毎日のように出ているので、それといろいろ錯覚されてああいうことになったのではないかと思う。でも、これは大臣に聞いてみないとわからない。これは自分の推測である。それ以上のことは申し上げる立場にはない。

(問)新聞報道等で名前が出ているが、鈴木宗男議員について次官はどのようなお考えをお持ちなのか。彼の存在意義、位置付けをどのようにお考えになっているか。

(事務次官)私は、鈴木委員とは湾岸戦争の頃から知り合いなので、個人的には極めてよく存じ上げているし、外務委員会の筆頭理事もされていたし、経協特委の委員長でもあるので、仕事の上でのコンタクトは非常に多いということで、外務省とのいろいろなことも考えていただいているし、外務省で鈴木委員と面識のある者は本当にたくさんいるのではないか。だから、今の「どういうふうに考えておられるか」というのはどういう意味かよくわからないが、自分は非常に昔からよく存じ上げている国会議員である。

(問)結局言われている当該政治家から次官を含め、外務省幹部、外務省職員とはこの件に関して一切コンタクトはなかったと断言されていると判断してよろしいか。

(事務次官)はい。要するに、先程申し上げたように、この問題が新聞等にいろいろ名前が挙がって書かれ始めてからのコンタクトはある。それ以前にはない。鈴木委員もそのころは日本におられなかったはずである。

(問)そうすると、NGO側は全く事実に反する説明をメディアにしたということになるかもしれないが。

(事務次官)先程申し上げたように、NGO側がどういう説明をされたのかについては、自分は詳細を知る立場にないのでこれについてはコメント申し上げないが、少なくともこの一連のプロセスについて、そういった形で特定の国会議員から具体的な形でどうしろこうしろという接触はなかったというふうに理解している。

(問)そうすると、NGOの言っていることの真偽はともかく、われわれが客観的に見て、かなり主張にズレがあるが、このズレをどう埋めるのか。まして、あの団体に対してはたくさん公費が出ているわけであろう。その点についてはどうお考えであるか。

(事務次官)ちょっと誤解があるので申し上げるが、公費が出ているのはジャパン・プラットフォームである。ジャパン・プラットフォームというのは、連絡協議機関であって、ここで言うNGOではない。したがって、ジャパン・プラットフォームとしてはこの会議には参加していない。ジャパン・プラットフォームというのは外務省も入っているわけで、経団連も入り、個人の有識者も入っているわけである。こういった活動の支援を行っていることは確かである。ただ、ここで言っているのは、ジャパン・プラットフォームの1つのメンバーである特定のNGOということである。私共は、ジャパン・プラットフォームに参加している他のNGO等については、今度も出ていただいて、当該のNGOについて当初参加を見合わせてほしいという連絡をした理由としては、先程申し上げたように、「従来から協調、協力関係をやっていたのに信頼関係を損なうような言動があったことだ」ということでご連絡したはずである。

(問)先程、NGOの会見で出たのは、具体的に幹部でいうと中東局長か中東第二課長に限られてしまうが、そのお二方には確認したのか。

(事務次官)これは、今日部会等でも重家中東アフリカ局長が出て、「そういうことはありませんでした」と述べていたと承知している。

(問)働きかけはなかったのか。

(事務次官)そうである。

(問)一つ可能性としては、具体的に代議士から働きかけがなくても、担当している人がNGOに説明するときに代議士の名前を出したという可能性も理論的にはあるが、そこは如何か。

(事務次官)そこは私がどういうオケージョンで誰がどう言ったかということを確認する必要もないし、それについては、「そうである」、「そういうことはない」とかは言いにくい質問である。

(問)これから説明した人には確認されないのか。

(事務次官)それについては聞いている。そうしたところ、やはり信頼関係を損なう言動、「外務省は何もわかっていない」「お上の言うことは信用しない」とか言われれば、信頼を損なう言動があったと言わざるを得ないということで説明を聞いている。

(問)次官から大臣への報告、或いはやりとり等、そこでも鈴木宗男さんを含めて、特定の政治家、或いは一般的な政治家の働きかけがあったのか、或いは働きかけに限らず意見があったのか、そういうやりとりは一切なかったのか。大臣から質問があっても次官からそういうお答えはなかったのか。

(事務次官)ない。大臣からの質問もなかった。私が申し上げたのは、「全部が出られるわけではないので、絞り込みをやらざるを得ない。今から新しい事をするとちょっといろいろがたがたするでしょうね」ということは申し上げた。これは21日の午前のことである。

(問)鈴木議員自身は、意見を言ってはいけないのだったら、もう政治活動は出来ないという言い方をして、ある程度意見を言ったようにとれる発言をされたが、そうなると今度は外務省とNGO側の論争になりかねない状況である。もう一度再確認であるが、一連のプロセスで特定の議員から働きかけがなかったという認識でよろしいのか。

(事務次官)先程申し上げたように、昨年の11月頃の外交部会において、特定のNGOの問題及び外務省の関与の仕方等に関して、外交部会で多く議論されて、そういった場合に外交部会の多くの先生方からいろいろな意見が表明されたことは事実である。但し、今回のNGOセレクションプロセスで直接そういったコンタクトがあった、という形ではなかったということは申し上げられる。

(問)田中大臣の方は結論として、私(大臣)が次官に言って、取り次ぎが出来るようになったということであるが、その事実関係如何。

(事務次官)「なんとかしなさい」という指示で、私は関係者と話した。こんなことでアフガン会議についての日本国内における受け止め方とか、そういったイメージの観点でおかしなことだから、ご承知の通り、21日のセッションにはNGOの参加の機会がなかったので、22日のクロージングの時にオブザーバーで参加してもらったら如何かという私の意見を関係者に伝えて、そういった形で関係者もピース・ウィンズと連絡をとって、結果としてそのセッションに出て頂いた。大臣から「なんとかしなさい」と言われて、私は関係者といろいろお話をしたことは確かである。その過程で、いろいろなことは委員の先生方ともお話ししている。だから、それだけの話である。

(問)確認だが、事前に何とかしなさいと電話か何かで言われ、参加させたわけだが、その時の大臣とのやりとりでも、鈴木議員の名前は全然出ていないのか。

(事務次官)出ていない。自分(次官)は出していないということである。それは非常に簡単で、こういったNGO参加問題でバタバタするのはよくないので、次官の職を賭して何とかしなさいということを言われ、職を賭すという話でもないだろうが、何とかするということで、何とかしたわけである。

(問)その時に、大臣からも鈴木議員の名前は出なかったのか。

(事務次官)そこは大臣のご発言なので、大臣にご確認いただいた方がいいと思う。

(問)その時の21日午前中の電話のやりとりについて、大臣の22日の閣議後の会見では、その時に次官から、政治家の関与もあり、簡単ではない、絶対に無理だと言ったと発言があるが事実か。

(事務次官)あまり大臣との電話のやりとりを申し上げるわけにはいかないが、大変であり、そう簡単ではないとは申し上げたが、結果としては参加できるようになったわけである。

(問)2団体の参加を認められない判断をした時に、大臣に報告しなかったのは、その必要なしと次官が判断したからか。

(事務次官)そんなことはない。こういう団体が出る、という報告が来て、自分(次官)が決裁したわけである。ただ、それはジャパン・プラットフォームではない。

(問)ピース・ウィンズか。

(事務次官)そうである。

(問)結局、事前に参加させないと判断して、相応の理由があって参加させないということだった訳だが、それが大臣が「職を賭してとまで」と言うと、なぜ簡単に参加できるようになるのか。

(事務次官)正直言って、職を賭してというような類の話ではないし、いろいろな評価はあるが、そんなことでせっかくの大きなアフガンの復興支援会議に、アフガンの将来がどうあるべきかといったことよりも、メディアの話の中心がその話に相当いっていたので、これはちょっと本末転倒であるというのが正直な感想である。

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事務次官会見記録 (平成14年1月21日(月) 17:00~ 於会見室)

・ アフガニスタン復興支援国際会議

(事務次官)アフガンの会議のこれまでの状況については、貼り出しで要点だけは出ていると思う。詳細については、夕方7時以降にまたブリーフがあると思うので、その際に説明させていただきたいと思う。

(問)復興会議の日本の支援についてであるが、2年半で5億ドル、1年で2.5億ドルということであるが。

(事務次官)最大限2.5億ドルである。

(問)世銀ベースでいうと2割には届いていないと思うが、これについてはどう評価されるか。

(事務次官)世銀、ADB、UNDP等の試算は49億ドルというのは、彼ら自身もこれがファイナルな数字であるということでは必ずしもないわけで、そういった点から、そもそも私共が前から申し上げているのは、「全体がこれだけで、それの何パーセント」ということより、日本が何の目的で、どういうことをしていくのか、そのために必要な資金が十分あるのかというような点から積み上げていった話である。「世銀の数字ありき、それ掛ける20(パーセント)」というアプローチではないということは、再三ご説明してきたところだと思う。そういった点を考えれば、2.5年、これはご承知のように暫定政府が継続する期間であり、その間に5億ドル、これはかなり大きな数字だと思うが、その中でも本来であればこういった復興等については、時が経つに従って資金需要というのは増えるのだろうと思うが、アフガンの今の状況を鑑みて最大限2.5億ドルを前倒しでやるということを考えている。「世銀のレポートであるところ掛ける20(パーセント)」というアプローチというのは、私共は取らないということで考えている。

(問)お金の出し方であるが、二国間でやるのか、信託基金でやるのか。

(事務次官)私共は、これは基本的に二国間援助ということで考えている。

(問)昨日のNGO会議に出席した日本とアフガンと欧米のNGOが今日、本会議の中身を傍聴できないということで、NGO向けのブリーフィングの時にモニターの設置、若しくは代表者を会議に傍聴させてほしいという要請をしたそうであるが、それに対して外務省はどのように対応されているのか。

(事務次官)外務省がどうこうというよりは、それは共同議長団で決めた話だと思う。あくまで本日の会議は政府間協議なので、そのためにNGOセッションというのを前の日にやった。ただ、明日のセッションには、またNGOの代表の方も参加すると理解している。

(問)それは前からの予定通りということか。

(事務次官)そうだと思う。だから、本日の会議は政府間の関係者の会議であり、昨日はNGOの会議であり、明日はNGOもジョインできるという形である。
 これは日本が云々というよりは、日、米、EU、サウジの議長団が参加国等々と諮りながら決めてきたことである。

(問)日本の拠出金は総理が表明されたが、今の時点でわかっている範囲で各国がどのような状況なのか教えていただきたい。

(事務次官)それは、本日が終わったところでの詳細なブリーフに委ねたほうがいいとは思うが、例えば米国は2.96億ドル、EUが最大限で5億ドルである。ただ、EUの場合には、EUプラスEUのメンバー国、それの細かいブレークダウン等は自分は承知していない。ご承知のように、EUの援助というのは、コミッションがやる援助と、メンバー国がやる援助があるので、それの仕分けがどうなっているかについては私共は承知していない。大きなところではそのようになっていると思う。詳細についてはブリーフでやるはずなので、今日1日が終わったところで、詳細な数字については資料ベースでご報告できると思う。

(問)大臣と民主党の菅直人幹事長が、NGOが参加できなかったことを話して、大臣がNGOの参加について「出す」ということを話しているが。

(事務次官)報道では自分の名前が出ているようである。ただ、この問題については、関係者の間で円満な解決が図られていると理解している。

(問)(NGOが)出席するということであるか。

(事務次官)そういうことになるのではないか。これは自分というよりは、会議の関係者と関係のNGOとの間で話し合いが進んでいると理解している。

(問)そのNGOの関係者の出席についてであるが、今朝の新聞では「本来外務省から申請を受け付けると言われていたのにも拘わらず、自民党の有力議員の反対があったから」ということで出席できなくなったということであるが、事実関係はどうであるか。

(事務次官)それは(記事を)書いた方に聞いていただいたほうがいいと思う。ご承知のように、全てのNGOが出られるわけではない。その中で、ある程度数を絞り込まなくてはならない。その絞り込む過程において、いろいろなコミュニケーションの行き違い等があって、必ずしも全ての人たちが満足できる結果には、少なくとも昨日の時点ではなっていなかった。そういった事態を踏まえて、関係者の間で今日はいろいろ誤解を解くべく努力が行われて、その結果恐らく明日はそういうことではないと思う。ご承知のように、本日の会議についてはNGO参加はないわけなので、明日の参加問題に関して関係者の間で円満な話し合いが行われていると理解している。

(問)個別のことを言うと、当該NGOの代表が日本の新聞のインタビューを受けた件についての不満が、外務省に自民党の議員から伝えられたということはあったのか。

(事務次官)そういうことで報道されているようであるが、それは私共が考えているラインではない。私共がかねてより申し上げているのは、全部(のNGO)が出られるわけではないので、数を絞り込んでいく中でいろいろな誤解があったり、一部に批判があったりして、そういった団体が当初のセレクションから漏れていたとしてもそれはあまり不思議なことではないということである。ただ、いろいろな誤解等については、関係者間でその後じっくり話し合ってみたところ、多分円満な解決が図られるであろうということである。自分は直接の当事者でないので、具体的に手続き等は承知していないが、ちゃんとなっているのではないか。

(問)外務省として、「2団体の出席は困ります」と言っているわけではないのか。

(事務次官)今申し上げているように、これは外務省だけの話ではないので。

(問)とりあえず外務省ではどうなのか。

(事務次官)外務省としては、いろいろな誤解等、NGO側においても批判を受けるような言動があったとすれば、それについては十分説明してもらい、状況も理解し、先程申し上げたように、関係者間でいろいろ話をして、明日は何とかうまくいくのではないかと申し上げているわけである。

(問)当初の数を絞り込んだ過程において、絞り込む判断は外務省がされたという理解でよろしいか。

(事務次官)そうである。

(問)昨日の段階では、出席できなかったNGOに対しては、「信頼関係の問題で出席を受け付けないと判断した」ということであったが、それが今日になって突然話し合いですぐに信頼関係が回復して円満な解決になるというのはどういったことなのか。

(事務次官)これは先程から申し上げているように、いろいろな新聞の報道もあったし、かつ信頼関係について言えば、正直なところ、アフガンの会議を一所懸命やっている人たちが「あなたたちはアフガンのことなんて何も知らない」などと言われれば、それは怒るであろう。だから、そういった点も踏まえて、誤解が双方にあったとすれば、話し合いによってそうした誤解を解消するということである。急転直下だったかのように言われたが、こんな話は少し時間をかけて座って話せばすぐわかる話である。話し合いをして、自分も最終的な結果は知らないが、多分明日については、そういう誤解や行き違いや意思疎通を欠いた点等についてはそれなりに努力が行われてきたので、何とかなるのではないかという感じである。

(問)新聞記事が出た日から数えると、昨日の時点ではその話し合いが間に合わなかったということであるか。

(事務次官)週末でもあり、これだけの規模の会議をオーガナイズするということは、関係者から見れば大変なことである。このためだけに皆が走り回っているわけではない。先程の数字だとか日本のスピーチだとか内容だとかそれこそレセプションだとか、いろいろなことが全部あるわけなので、その過程でいろいろな意思疎通を欠いた点とか、行き違いがあった点、それはわれわれの方だけの問題では必ずしもなくて、先程申し上げたように、「外務省はアフガンのことは何もわかっていない」と言われればそれは関係者は怒るであろう。だから、そういった点を踏まえて意思疎通が図られているということである。従来から、アフガンについてはNGOとの関係は非常に円滑にいっているので、こういう英語で言うsnagという一時的なぎくしゃくというのは、こういった大きな会議の過程で出てくるというのは、残念ながらよくあることで、その絡んだ糸をほどけば問題ないと思う。われわれだけでアフガンの活動をやっているわけではないので、こういった関係者の方々の意思疎通を良くしなければならない。「自分たちだけでやっているんだ」と思われるとまた困る。これは皆でチームを組んで、協力しながらやっている。だから、あまり唯我独尊になっても困る。しかし、他方、こちらもカッとした若い者はたくさんいるんだと思う。「何もアフガンのことなんか知らない」と言われれば、これだけの会議をずっとやってきて、調査してきた者は、「自分ばかりが知っている顔をするな」という感情を持つのは仕方ないのではないか。

(問)「何も知らない」と今3回ぐらいおっしゃったが、記事にはどこにも「何もアフガンのことを知らない」とは書いてないではないか。

(事務次官)どの記事であるか。

(問)朝日新聞の記事である。

(事務次官)それだけではない。

(問)ほかに何の記事があるのか。

(事務次官)いろいろなところで、過去のいろいろな話であると思う。

(問)それはどこか具体的に挙げないとわからないのではないか。そういうものがあるのか。

(事務次官)アフガンの航空機の手配もできなかったとか、それは大西さんの話ではない。そういう話が全部ごっちゃになっていた。これは大西さんが朝日新聞のインタビューに出たことで、ということだけではない。彼が自分の言ったことでないという話までいろいろあったり、ごたごたになってりしていて、そういうことについて先程から申し上げているように、それが誤解であるかどうかということを話し合いの結果、意思疎通に欠いたとか、誤解があったとか、そういう話ではないか。

(問)だったら、18日に決定される前に大西さんと、これだけ信頼関係があった方だったら、お話をするべきだったのではないか。

(事務次官)していたと思う。

(問)それはしていたのか。

(事務次官)していた。

(問)今のご発言で、大西さんが言ってもいないことが朝日新聞に書いてあったということか。

(事務次官)そういうことではない。その記事だけが原因だと、そういうふうに言っていらっしゃる方もいるが、そういうことではない。いろいろな過程で、関係者と話し合いをしている過程で、やはり行き違いがあったり、意思疎通を欠いた点があり、そしてそれがああいう形になったということである。朝日新聞の記事が原因で取りやめたというのは、これはわれわれが言っているのではなくて、そちらサイドでいろいろ飛び交っている話ではないだろうか。

(問)結局会議直前に参加拒否という判断をして、会議当日に混乱を引きずっているという事態に関して、次官としてまずかったという認識はお持ちなのか。

(事務次官)関係していた人たちがものすごく忙しかったし、そういった意味で皆不眠不休でやっていて、相当いらいらしていた点もあると思うが、こういった形でごたごたしたことは残念だったとは思っている。ただ、今ここで誰が悪かったとか、何が原因だと言っても仕方ないので、意思疎通を欠いたり、コミュニケーションが悪くて誤解があった点があったとすれば、それについてはもう話し合いは行われているということである。

(問)そうすると、ジャパン・プラットフォームには外務省も参加されていると思うが、その方向を変える予定はないということか。

(事務次官)ジャパン・プラットフォームというのは、ご承知のように、個別の団体ではない。NGOの連絡協議組織であるわけであるから、ピース・ウィンズの代表である大西さんがジャパン・プラットフォームの連絡責任者も兼ねているということで、ピース・ウィンズというと大西さんが出てくるということである。

(問)ジャパン・プラットフォームという組織自体についてはどうか。

(事務次官)それは、従来からいろいろなところでわれわれは協力して、それは特にアフガンだけではなくて、昔ボスニアやいろいろなところで協力関係にあるわけである。だから、そこについては特に何も問題はないのではないか。

(問)今回の会議の参加国数と参加国際機関数の正式な数字をお知らせいただきたい。

(事務次官)今手元にないが、参加国数というのは、閣僚レベルでのということか。

(問)全てである。

(事務次官)それでは、ファクト・シートをお配りする。

(次官秘書官)今手元にある資料だと、61カ国、21機関になっている。これは、今日の午後の時点で貼り出しがされていると思う。

(事務次官)出席の都合が遅れたりしたので、実際蓋を開けてみたら、最終的には61ということである。3分の1以上が主要閣僚レベルであるが、在京大使館レベルで参加している国もある。これは今日締め切ったところの1番新しい数字である。

(問)大西さんの件については、お互いに意思疎通を図って、誤解は解けたであろうということであるが、それは外務省が誤解をしていたということであるか。

(事務次官)自分は実際に大西さんと具体的に話しているわけではないが、この問題について憂慮していらっしゃる方が大西さんを含めて集まって、いろいろ話し合った結果、コミュニケーションを欠いたり、一部に誤解を与えるようなことがあったり、そういったことを踏まえて「そうか」ということで、最終的には関係者には出てもらうということになると理解している。まだ最終的にどうなるかよくわからないが。

(問)国民に対しての誤解ということであるか。

(事務次官)相互に誤解していた点があったということである。

(問)その話は、ジャパン・プラットフォームと、ピース・ウィンズ・ジャパンの2団体のことについてということでよいのか。

(事務次官)先程申し上げたように、ジャパン・プラットフォームというのは各種団体の連絡協議機関なので、私共はピース・ウィンズというNGOと考えている。

(問)カルザイ首相のスピーチ等を聞かれての印象を伺いたい。

(事務次官)こういう会議の場が、ああいう人を作っていくと言うか、ああいう人に対して重みを付けていき、その重みでもって、暫定統治には相当これから紆余曲折があると思うが、そういう意味で、われわれも初めて目の当たりにしたわけであるが、こういった場を通じて政治的なクレディビリティーを与えていくことによって、彼自身も大きくなっていくし、大きくなった結果、アフガンの統治等の点についても期待に沿った形でやってくれるだろうと思う。これは増殖的というか、そういった観点から、こういった会議をやって良かったと思う。これは単に復興支援だけの話ではなくて、今後の暫定統治政府に重みを加えるということについても、われわれはそれなりにお手伝いができたという感じを持っている。

(問)緒方氏を政府代表に任命されて、2ヶ月間準備してきてこられたが、その準備期間、今日の会議を含めて、緒方氏の議長としてのご活躍についてどう評価されるか。

(事務次官)有り難いと思っている。かつ、日本にああいう方がいらっしゃるということは、日本として誇りに思うべきだと思う。やはり、前にも少し申し上げたと思うが、緒方代表にとっては、アフガンについて、やはりやり残したところがあるという感じを持っていらっしゃって、そういった意味からこういった形で再びアフガンの仕事ができることはご自分も非常に喜んでいらっしゃった。他方、この会議を国際的に意義あらしめる上でも、緒方代表の持っている「本当のもの」が出て、自分もいろいろな外国の代表と話していても、やはり「緒方さんが出てきたことは、本当に日本にとって良かったですね」と言われる。これは国際的なアセットなので、特にわれわれは感謝している。

(問)まだ会議は終わっていないが、今回の会議が日本の外交に与えた意味は何か。

(事務次官)それは終わってからゆっくり落ち着いて考えたらいいのではないか。下駄を履くまでいろいろわからないので。もう少し落ち着いて、考えて、今そんなことを言ってもはしゃいでいると言われるだけなので。少しよく反芻して、落ち着いて考えた方がいいと思う。ただ、かなり大きなプラスだったことは間違いない。

(問)大西さんたちの団体を断られた決定はどのレベルで、次官がお聞きになったのはいつか。

(事務次官)先週の後半ではないか。木曜日とか金曜日だったと思う。自分が聞いたのは多分木曜日だったと思う。

(問)検討しているという形だったのか。

(事務次官)このピース・ウィンズだけではないが。申請をお断りしたのは、それはそれなりのいろいろな事情があっての判断が、担当の人たちから上がってきたので、「そうですか」ということである。実際のスロットに対して、応募者が非常に多かったので、全ての方に参加いただくわけにはいかないということだと思うので、仕方がない。

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事務次官会見記録 (平成14年1月7日(月) 17:00~ 於会見室)

・ 日仏次官級協議

(事務次官)後で貼り出しで詳細を発表するが、1月10日にパリで第22回日仏次官級協議を行う。このため、自分は明後日から出張する。したがって、定例の懇談は今週はお休みさせていただく。同様の次官級協議というのは、英国、ドイツ等とも行っているが、今年は米国等ともやりたいと思っている。

(問)米国との協議については、今まで審議官級等のいろいろなレベルのものがあり、新たに定期的にやりたいという話は前から出ていたが、そういうことか。

(事務次官)できればと思っている。

(問)いつ頃か。

(事務次官)具体的には決まっていない。英、仏、独とやっていて、米国とやらないというのはおかしな話なので、できれば早い時期にやりたいと思う。

(問)次官御自身が出席されるのか。

(事務次官)そのつもりでやっている。ただ、まだ具体的な日程、場所等は決まっていない。

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・ 不審船の調査

(問)北朝鮮の船の臨検が行われているようであるが、どのように情報を受け止めていらっしゃるか。

(事務次官)今、海上保安庁、警察、税関、入管等が任意の立ち入り調査をしていると承知しているが、これは通常の検査であり、外務省として特にコメントするような状況ではないと思っている。まだ今(調査を)やっている最中だと思う。

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