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事務次官会見記録 (平成13年9月17日(月) 17:15~ 於会見室)(問)今日小泉首相が、今回のテロ事件の米国の報復措置に対する支援を念頭に、新しい法律が必要かどうかを含めて検討することを与党に指示したが、この発言をどう受け止めていらっしゃるか。また、今後外務省としてどのような対応の検討が必要とお考えか。
(事務次官)基本的には、米国がどういう時点でどういう対応するかについて、まだはっきりしていないので、それに対してどういう協力、支援をするかについて具体論を言うのは、まだ時期尚早だと思う。他方、いろいろなことが可能になるように、相当幅広い検討は行っている。ただ、今検討の段階なので、そういった法的な面も当然チェックしているわけであるが、今具体的な成案ないし結論を得ているわけではないので、コメントするのは差し控えたいと思う。
(問)今米国が想定しているようなアフガニスタン周辺での軍事行動の後方支援として自衛隊が何かをやるときに、周辺事態法というのはその枠内に対応できる法律ということになるのか。
(事務次官)アフガニスタンの周辺で、ということも、われわれは具体的に議論しているわけではなく、アフガニスタンの周辺だから周辺事態法というわけでもない。だから、アフガニスタンの周辺で米国が行動するということを決めてかかること自体、どうかなと思う。
(問)ニューヨークの邦人の安否についていろいろ情報が飛び交っているようであるが、把握している正確な情報を教えていただきたい。
(事務次官)私どもがかねてから領事移住部を通じてご報告していたのは、ワールド・トレード・センターに勤務している日系企業の駐在員、さらにはその現地職員で日本国籍を有している方、それから外国系企業に勤めておられて日本国籍を有している方、それからハイジャックされた飛行機に乗っておられるということが乗客名簿等からわかった方についての安否確認の現状である。今のところ、ワールド・トレード・センターの企業の関係者22名、プラス航空機関係2名ということで、こちらからご報告申し上げている。現時点でわかっている限り、少なくともそういうことである。特に外国企業にお勤めの方で日本国籍を有しているという方については、今のところ非常にわかりにくい。確認作業が遅れている国ないし企業があり、そこからの情報がないわけである。一部の新聞では今相当大きな数字が報道されているが、あれは米国に今滞在していると考えられる邦人であって、ご家族と連絡のついていない方である。「うちの家族が米国にいるが、なかなか連絡がつかない」というような問い合わせは、実は300件とか400件とかあった。それをどんどん潰していって、未だに米国に行っていると思われるがなかなか連絡がつかないという方の数が70名ないし80名だったのだと思う。それが一部の報道では、「今度の事件による行方不明者」という形で報道されているということではないかと思う。この70名ないし80名の方が、米国に実際におられるのか、ないしはニューヨークにおられるのか、その辺も未だ不明である。
(問)わからないことはわからないと思うが、見極めの問題として、7、80名とされる方がワールド・トレード・センター以外にいる蓋然性についてどのようにお考えか。
(事務次官)それはわからない。ワールド・トレード・センターにたまたま旅行者等があの朝の時間にどれぐらい行っておられたかというのも、非常にわかりにくいし、他方、観光旅行社等の話によれば、そういったケースはあまりないということである。したがって、われわれとしては、あそこに入っている日本企業の事業所、独立でやっておられる事業所、それから外国企業に勤務されている日本国籍を有している方を中心に確認作業を行っている。わが方に対する「自分の知り合いないし家族が米国に行っているがなかなか連絡がつかない」という問い合わせと、この事件を直線的に結び付ける要素もない。そこもわからないということである。
(問)湾岸戦争の時とはケースが厳密には同一ではないことを承知で敢えてお伺いするが、先日の13日に国連安保理で今回のテロ事件に対して「テロは国際社会の平和と安全を脅かすものである」ということと、「国連憲章の下であらゆる手段を取る用意がある」という決議が出されたが、湾岸戦争の時に多国籍軍がイラクに対して武力行使をする際に出された決議と同様、今回の決議というのが個別的自衛権あるいは集団的自衛権を超えた多国籍軍の武力行使というものを容認するような決議と捉えていらっしゃるか。
(事務次官)それは多国籍軍の行動なのか、米国の自衛の行動なのか、そこもまだはっきりしない。ただ、ご承知のように、湾岸戦争の時にはいろいろな種類の決議があり、最終的ないわゆる空爆及びデザート・ストーム(作戦)については国連憲章があって、それは「express its readiness」ではなくて、actionをエンドース」したということでactionが始まったわけである。今度の話と、湾岸戦争の時のようないわゆる伝統的な戦争、外国の軍隊の侵攻を押し戻すために武力をもって押し戻すというのは、ちょっと違うのだろうと思う。だから、どういったステップなり、どういった形での対応が考えられるのかということをよく見ながら考えるべき話だと思う。湾岸戦争のスタイルというものを念頭に置いて、いろいろな国連の決議の出方等を議論されるのは、必ずしも正確ではないかなと思う。もちろん、(テロは)国際社会の平和と安全、民主主義、人権に対する挑戦であり、基本的な考え方において国際社会が対応すべき問題であるが、対応の仕方が湾岸戦争の時と本当に同一の軌道にあるということではないので、事物の性質から、具体的にどういった形でどういうステップで物事が取られていくかについては、あまり前例にとらわれるということはない方がいいのではないかと思う。
(問)政府内には、パキスタンを間接的に支援するために経済制裁を解除したらどうかという意見があるようであるが、次官はどのようにお考えか。
(事務次官)ご承知のように、インド及びパキスタンに対しては、核実験に伴って、制裁というのは正確な言葉ではないが、一部の人道的援助を除いた新たなる支援を凍結するという措置を取っていることは確かである。したがって、今後、例えば事態の展開に伴い、難民という問題が出てきて、それに伴って今申し上げたような関係国に対して経済的な支援ということが必要となってくれば、今日本が取っている措置との整合性といった問題は理論的には出てくると思う。したがって、そういった状況が来れば、そういった状況が実際に来てからでは遅いが、そういったことが想定されるのであれば、そういった点を検討するということは理論的にはあり得る。ただ、ご承知のように、今いろいろな対応策をまとめて検討している。まだ何ら成案を得ていない。そういった観点から、今のご質問に対して具体的にどうする、こうする、ということは言えない。自分は、理論的なものの考え方の流れを申し上げただけである。
(問)先程「旅行関係者によるとそういったケースはあまりない」とおっしゃったが、多少なりともあるのか。
(事務次官)そういったケースとは。
(問)そちらがそういう言い方をしたが、要はニューヨークにいたかということである。
(事務次官)ニューヨークにいたのか、その辺についての今言われている70名ないし80名という数字は、主としてわが方に寄せられた照会であって、「自分の知っている人が米国に行っているが連絡が取れない」というようなケースが多く、したがってその方が今ニューヨークにいるのか、それ以外のところにいるのか、その辺もわからないわけである。だから、況やそれがワールド・トレード・センターの今回の事件とどういう関係があるのかについては、さらにわからない。「米国に行っているが連絡が取れない」というケースである。したがって、それをワールド・トレード・センターの今回の事件に直線的に結び付けるような情報も、実はあまりないということである。
(問)7、80名の目的や職業の内訳は大体はわかるのか。
(報道課長)報道課より補足する。本件については、別途後から領事移住部の方から貼り出しをさせていただく予定なので、細かい点はその時にまたお尋ねいただきたい。
(問)米国のテロに対する報復措置に日本が協力するのかどうかという問題については、「協力しないと米国から批判される」とか様々な議論がある。基本的な考え方ということになるが、米国が今検討している報復措置と、それに日本は協力するのかどうかという問題について次官のお考えを伺いたい。
(事務次官)ご承知のように、これは累次の総理等の意見表明からも明らかなように、許されてはならないことであり、民主主義、人道、国際社会の平和と安定に対する大変な脅威であることは確かである。言うまでもなく、わが同胞もその被害に遭っている。そういった点から、こういったものに対して断固として対応していくのは、単に米国だけの問題ではなく、国際社会の問題である。米国の報復ということではなく、これは国際社会のレスポンス、対応だということがまず第1点。ただ、具体的には一義的に相当なところで米国がいろいろ動くと思うので、われわれとしてはそれに対して支持、支援していくのは当然だと思う。その支持、支援の対応については、どういったアクションが一番効果的であるかということを踏まえて決まっていくわけなので、そういったアクションが決まっていくに従って、わが国の協力や支援というのがはっきりしてくると思う。ただ、他方、物事が決まってからいろいろ対応するのでは時間的な余裕もないので、いろいろな可能性を想定して体制の整備、準備というのは当然やるべきであり、そのための検討は今急遽関係者を集めてやっている。もちろんこれは外務省だけではなくて、官邸を中心として国内関係各省で検討が続けられている。先程から申し上げているように、最終的に日本として「こういうふうに対応する」「こういう準備を整える」という点をまとめて発表する段階にはまだ至っていない。
事務次官臨時会見記録 (平成13年9月12日(水) 02:10~ 於会見室)(事務次官)米国における一連のテロにつき、私どもとしては本日10時30分に対策本部を設置し、オペレーションルームの発動を開始した。同時に、米国においてもニュー・ヨーク総領事館で河村総領事をヘッドとして現地対策本部、ワシントンにおいても柳井大使をヘッドに現地対策本部を立ち上げた。
ニュー・ヨーク総領事館においては先程、領事移住部長から報告したように、在留邦人の安否確認に全力を集中している。但し、マンハッタンは今完全に封鎖されている。マンハッタンに入る橋を全部閉鎖しているため、マンハッタンの中に入ることは出来ない。他方、館員等を派遣し事故現場等の状況を把握しているが、残念ながら携帯電話はほとんど通じない状況で、総領事館のみとの連絡である。先程、河村総領事がニュー・ヨーク市警副本部長に面会し、邦人の安否、安全確保に最善を尽くすように求めた。市内は、マンハッタンから出る人でかなり大混乱している模様で、なかなか状況把握が困難であるが、先程領事移住部長から申し上げたような状況が一番新しいものである。
ワシントンで日本時間12日1時30分、先程約40分程前に在米大使館の対策本部がホワイトハウスのシチュエーション・ルーム、日本で言うオペレーション・ルームとコンタクトをし、アジア担当大統領特別補佐官に総理から大統領へのメッセージを重ねて伝達した。但し、ワシントン市内における被害の状況というのは、オペレーション、ホワイトハウスのオペレーション・ルームもペンタゴンが攻撃を受けたと言うこと以外の情報については未確認のものが多すぎると言うことで、未だに確認出来ていない。
ワシントンの市内からご承知のように、エヴァキュエイトと言うか、待避している人が多くこれも混乱している。また、各省庁が必要最小限のオペレーションの人数以外を退避させているので色々な関連情報を各省庁にコンタクトし入手することは今、ほぼ不可能である。今入って来た情報で、柳井大使がこの会見の直前にグロスマン米国国務省政治担当国務次官と連絡が付いた。ご承知の通り、パウエル国務長官が、ペルーのリマに行っておられていたわけであるが、すぐ帰国するということ、それから、国務省ではアーミテージ副長官とグロスマン政治担当次官が残って指揮を執っている。大統領はもうフロリダを離れている。チェイニー副大統領が政府全体の指揮を今執っていてうまく行っている。柳井大使から総理のメッセージに加えて、大使からも深甚なる見舞いの言葉を送った。それから、ニュー・ヨークのトレード・センター・ビルにはたくさんの日系企業が入っているので、安否の確認につき情報を最大限頂きたいと、ハイジャック、特にハイジャック関係の情報とそれから、乗客名簿等についての提供方について協力を求めている。
先方は、以上に対し明白に行方不明の飛行機は全部で3機である。ペンタゴンの爆発は飛行機の突入と思われる。国務省での爆発事件というのは誤報という点につき、確認されている。先程、ワシントンの在住邦人について安全が全て確認されたということが日本大使館筋として報道されているが、ワシントンで邦人関係者の被害乃至事故があったという情報が無いというのが正確なところである。邦人関係者の全員の安否を確認したということは出来ていない。ここも、やはり携帯電話の不通等々で連絡が取れないという状況である。先程、領事移住部長の方からも申し上げたが、ボストン総領事館からは今、ボストン発ロス行き等のフライトの乗客名簿の入手に努めている状況であるが、これも未だ航空会社等から提供されていない。以上である。質疑応答
(問)事前情報は全くなかったのか。
(事務次官)それは米国の軍事施設等について、テロの可能性有りというアラートは先週出されていると理解している。米国の事前情報に基づくアラートについては、自分(次官)の理解として正しければ、先程在京米国大使館が臨時代理大使の名前で情報についての声明を出していると思う。自分(次官)の方もそういった話は聞いている。
(問)4,5日前に日本でやるかもしれないという情報があったが。
(事務次官)全ての国の米軍のファシリティー、米国のファシリティーに対するアラートだと理解している。
(問)日本だけではないのか。
(事務次官)日本という特定というよりは、外国における米国の施設に対する脅威ということで出されたものと理解している。
(問)それはどういうテログループを想定していたのか。
(事務次官)それは承知していない。
(問)今回のテロも旅客機のハイジャックという手法がとられているが、日本国内におけるそういったハイジャック防止等については何かあるか。
(事務次官)それは官邸の危機対策本部でやっていると思う。
(問)ニュー・ヨーク総領事館の方々は、これからどういう風に動かれるのか、ニュー・ヨークのマンハッタンにとどまるのか。
(事務次官)それしかないと思う。今、邦人の安全状況の確認にニュー・ヨーク総領事館及び我が方国連代表部職員動員してやっている。ただし、国連代表部の方はたまたま国連ビルの中に代表部があるために、国連の指示により代表部より撤退した。
(問)ニュー・ヨーク総領事館に合流したということか。
(事務次官)一部のものは合流していると思う。
(問)ビルに突っ込んだパイロットと管制官のやりとりというものは全くなかったのか。
(事務次官)承知していない。
(問)これは中東のグループと見られるのか。
(事務次官)先程、官邸で福田官房長官の方からも会見で申し上げたと思うが、一時PFLPという噂が流れたが、PFLP自身は否定している。
事務次官会見記録 (平成13年9月10日(月) 17:00~ 於会見室)(事務次官)9月10日付で、目黒孝敏前バハレーン大使を参与に任命し、査察を担当してもらうこととした。この査察の期間中、大使の名称を与える。また、併せて佐々木高久前ナイジェリア大使を査察担当大使に任命した。査察担当大使3名体制ということで、現在の時野谷査察担当大使も加わり、合計3名となる。ご承知のように、従来外務省査察担当大使というのは上級職のみを当ててきたが、目黒大使は外務省語学研修員試験により入省、アラビア語を専門とし、アラブ諸国等の勤務が長い。そういう意味から、査察制度の改善という点も踏まえ、上級職だけで査察使を務めるという制度をまず変えて、人格識見に基づいて査察使を任命する形にすることとした。
大臣のニューヨークでの日程(金大中大統領表敬)
(問)大臣がニューヨークに行く際に金大中大統領に表敬するという話があるが、今どうような状態になっているか。
(事務次官)具体的に大臣のニューヨークにおける日程の詳細はまだ固まっておらず、現在調整中だと思うが、金大中大統領自身はニューヨークには限られた予定で、実質1日半もおられないのではないか。先方の首脳の日程の詳細等は発表がないのでよくわからないが、かなり日程が限られているということは確かである。かつその中で、ご承知のように、二国間会談をずっとやっていくということではなくて、大統領自身はラウンドテーブル等を主催するわけなので、そういった観点から時間的には非常に厳しいものと理解している。
(問)ちょっと挨拶、という形も難しいのか。
(事務次官)大臣も同じラウンドテーブルに出るので、そういった形での挨拶というのは当然のことながらあると思う。同じ会議場にいるわけなので。ただ、二国間会談というか、別途の表敬という形に果たしてできるかどうか、時間的にはかなりタイトで、先方も難しいという感じである。
ホテル代水増し請求事件
(問)ホテル代の水増し請求事件で、大臣が「被害金額を外務省の中で分担して返済すべきだ」というお考えを示されているが、これについてどうお考えか。
(事務次官)ホテル代の水増しを外務省が負担するということは、大臣は言っていないと思う。われわれが今考えなければいけないと思っているのは、各課が歓送迎会や忘年会等に使うためにホテルに若干置いていたと思われるいわゆるプール金の話であって、それと今般の浅川課長補佐及びホテルの関係者が詐取したAPECに関わる費用の問題というのは全然別のものである。これは現在捜査中の問題ではあるが、仮に浅川課長補佐ないしホテル関係者が有罪となれば、当然これは有罪になった人たちの対応することである。これは通常の常識ではないか。
(問)浅川課長補佐がホテル・ニュー・オータニにプールしていたお金で、結果的にかもしれないが、上司を含めた外務省の複数の方がニュー・オータニにただで泊まっていたということが各社で報道されているが、これについて内部調査をされるおつもりはあるか。
(事務次官)われわれは、そういったことを調査するためのある程度の心証が得られれば、当然する。ただ、いろいろ各社書いておられるが、噂、伝聞も「2、3名」という話から「5年間に約20名」という話まで、非常に各社の報道にもばらつきがあり、具体的に何を調査するのか、誰を調査するのかということについては非常に難しい状況にある。さらにもっと難しいのは、浅川補佐が詐取したと言われるものは今捜査対象になっており、われわれとしては全くそういった情報にアクセスがないということである。どういった形でそういった問題をわれわれとして調査するかいろいろ考えているが、正直なところ、その部分については完全に捜査の対象になっており、なかなか起訴以前にはそういった問題についての、特にそういったことに関わる資料にはアクセスがないという非常に難しい状況がある。したがって、今のところ、今すぐにいろいろなことをせよと言われても、第一にいろいろな噂があることは耳にしているが、噂でいろいろなことをやるというわけにもいかない。第二は、具体的なエヴィデンスへのアクセスがないという点で、非常に難しいことは確かである。別にやらないとか逃げているというのではなくて、現実的な難しさをご説明しているわけである。
(問)噂などでも、ある程度具体的な名前が耳に入った場合には、何か対応するということにはならないのか。
(事務次官)20数名と言われても本当に困る。どういう20数名なのか。
次官就任1ヶ月の感想
(問)次官が就任して1ヶ月になるが、そのご感想を伺いたい。
(事務次官)1ヶ月になるか、という感じである。要するに、いろいろあった。8月10日に辞令をもらって、13日が総理の靖国参拝、という感じで走ってきた。そう言えば1ヶ月であるな、というのが実感である。若干疲れた。
(問)大臣との関係について何かご感想はあるか。
(事務次官)感想を言ったところで別に・・・、という感じである。
日米外相会談(戦後処理、中韓両国との首脳会談)
(問)日米外相会談で、日米間のいわゆる戦時賠償問題について両外相は「平和条約で決着済み」ということであるが、この問題についてどう受け止めていらっしゃるか。また、今後の政府の対応はどうか。
(事務次官)基本的には、サンフランシスコ平和条約により請求権というのはなくなったわけであるから、この問題については法的には決着済みだということである。ただ、米国側でもいろいろな国内法によって、簡単に言えばそれをひっくり返そうというような法案などもいろいろ出ており、例えばサンフランシスコ平和条約により請求権が停止されたことについてさらに国内的に立法で米国の立場を変えるというような案も出ているやに承知している。そういった意味では、この問題については、米側ともきちんと話しながら、政府間では全く立場は違わないが、そういったいろいろな立法の動きなどがあるので、これについては注意深く見守っていくということだと思う。そういった国内法によってサンフランシスコ平和条約の内容をひっくり返すというのは、われわれとしては法的には無理だと思うが、そういうことをやろうということを提案している米国の議員もいるので、これについてはよく見ていく必要があると思っている。
(問)日米外相会談で、外相は中韓両国との首脳会談をできるだけ早く行うことで米側と合意しているが、この点について外相からの指示はあるのか。
(事務次官)APECとか、ASEAN+3とか、今後秋に小泉総理が出席するいろいろなマルチの外交日程があるので、そういった点も念頭において、われわれとしては中韓双方との対話を続けていくつもりである。他方、先方の感じ、先方の事情その他があるので、別に「どこまで、何をどうこう」という話ではなくて、そういった点できちんと相手の感じなども見ながら、先週福田官房長官も「相手の気持ちその他もあるので、機が熟する必要がある」と発言しているように、われわれとしても「何日までに会談をしなければいけない」という形で焦って走り回っているということではない。他方、間断なき関係者間での対話、情報収集はいろいろやっている。
事務次官会見記録 (平成13年9月3日(月) 17:00~ 於会見室)(問)大臣が外務省の改革に向けて、いくつか非常に具体的なアイデアを持たれているようであり、そのうちのいくつかはすでに事務次官に打診されているようであるが、特に人事面での改革について次官自身はどのようなお考えか。
(事務次官)人事面での改革については、ご承知のように、外務省機能改革会議の提言がある。そういった点を着実に実施していくということであるが、具体的にはどういうポイントであるか。
(問)具体的に言うと、例えば現在の外務省の顧問の在り方について見直しをした方がいいのではないかということである。例えば、ある程度期限を設けた方がいいのではないかというようなことを(大臣は)お考えのようであるが、その点については如何か。
(事務次官)顧問の制度の在り方については、大臣にもいろいろ自分の考えを申し上げているし、大臣の考えもかなり伺っている。今の顧問制度に期限がないわけではない。「今の期限を具体的にもう少し短くしろ」ということだと理解するが、自分の考えもあり、大臣の考えも伺っているが、よく考えてみたいと思う。いずれにせよ、これは緊急を要する案件ではないので、少し考えてみたいと思う。
(問)今の顧問の方が一斉に辞められるようなお話というのはあるのか。
(事務次官)一部の顧問で、辞意を持っている方はいると思う。それから、他の状況、今の顧問の中で、今後の進路の関係で顧問を辞められる可能性がある方もいる。ただ、今のところ一斉に辞意を持っているという話は聞いていない。
(問)顧問の任期は「ないわけではない」ということであるが、何年であるか。
(事務次官)一応、内規では10年である。
(問)次官の経験者の方々は、大体米国や英国等の主要国の大使になられるが、これもやめたらどうかという意見がある。つまり、次官をもって外務省の職員を離れるべきであるということであるが、この点についてはどうお考えか。
(事務次官)自分に直接関係ある話である。大臣がそういう考えを持っているという話は聞いているが、それについて「この仕事が終わったら辞めなさい」という話は自分は聞いていない。まだ定年まで5年ぐらいある。この仕事をあと5年続けろという意味なのか、それとも途中で辞めてあと路頭に迷えという話なのか、それは大臣の感触を伺ってみないとわからない。
(問)顧問や大使の人事の制度について大臣と意見交換をされていらっしゃるというのは、そういうことについて近々大臣と事務方と協議された上で、何か新しい指針のようなものを示すべく模索されている過程のことなのか。
(事務次官)顧問の件は、いずれにせよ、川島前次官の顧問就任の問題をめぐって非常に関心が集まってしまったわけであるが、他方、先程申し上げたように、この問題は喫緊の課題ということでは必ずしもないわけである。そういった意味から、考えなければいけないということで自分もいろいろな考えを申し上げているし、大臣の考えも伺っている。ただ、それについては早急に結論を出すという性質の問題では必ずしもないと思う。日常の政策遂行等に特に支障が出ているわけではないので。もちろん、引き継ぎ問題等はあったが、それについてはもう大臣の考えも非常にはっきりわかっており、引き継ぎ等に支障があるという前提の上で大臣は判断をされているわけである。それ以上、その他の顧問との関係については、特に通常の業務に支障があるということではないので、今よく考えているところである。大使人事の件については、次官を終わったら大使になってはいけないという理由は自分はまだ大臣から直接聞いていないが、やはり本省の指揮命令体系というのは基本的には、大臣、副大臣、政務官、それに事務方としては事務次官が責任を持っているわけで、在外の大使は、たとえ年次が上であっても、本省からの指揮、訓令等に従って動いているので、年次が高い者が在外にいるから本省の仕事がやりにくいということでは必ずしもないはずである。年次の高い者が在外に出るのはおかしいということであるが、他方、在外の大使というのは長い経験を踏まえて主要国で活動する必要があるので、本省で事務次官等のいろいろな経験をして、それが主要国、非常に重要な国における外交活動に資するものであれば、それは前職が次官であったから在外の大使になるべきではないというのは、仕事の性質が違うし、組織的にもはっきりしている。在外の大使というのは、本省の次官ないし主要なポストを経て、国内の政策決定等についてある程度の経験を積んだ者が務めた方がいいポストということがあるので、そういったところにそういった経験者を充てるのは適材適所という観点から必要だと思う。
大臣の私的懇談会
(問)大臣が外交政策についていわゆる私的懇談会を発足させたいという方針を示してい るが、これについて次官はどうお考えであるか。
(事務次官)大臣はいろいろな方から話を聞いて、かついろいろな外交関係のことについていろいろな人と議論をして考えていくということなので、われわれとしては歓迎している。
(問)官邸の方でも、総理が外交政策についての懇談会を持たれるので、懇談会が2つ政府部内にあるという異例の状況になると思うが、この間の調整はどうなるのか。
(事務次官)それぞれいろいろな有識者から意見を聞いて、今後のいろいろな外交を進めるために考えていく上での参考にしようということで、大臣自身がいろいろな意見を聞かれ、総理自身がいろいろな意見を聞かれるということであり、別にわが国の政策を決定するわけではないので、その間で調整する必要はないと思う。
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