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(問)首脳会談の目的として、両国の基本方針等事前に打ち合わせたことを改めて確認するというのは分かるが、具体的な事柄についての協議にはかなり時間がかかりそうか、それとも比較的簡単に話がまとまることになるのか。
(報道官)今後ペルー政府とMRTA側との直接的な対話が始まる場合、ある程度具体的な局面を想定して両国が考え方をすり合わせておく必要がある。そういう意味で、来る日秘首脳会談は、この事件全体が重要な時期にさしかかっているという意味で、非常に重要なものであると考えている。実際にどの程度の時間がかかるかどうかは分からないが、決められた首脳会談の時間の中で両国の首脳が非常に意義のある、良い会談を行うものと信じている。
(問)両首脳は現地時間31日に公式あるいは非公式な会合をされるかも知れないということも言われているが、具体的に決まっているか。
(報道官)今固まっているのは2月1日午前中の首脳会談とそれに続く共同記者会見である。その後、クレティエン首相が両国首脳を昼食会にお招きするということである。これらが決まったところであり、その他のことについては、現地に行ってその場での対応ということになると思う。
(報道官)在留邦人についての影響については、特に報告は受けていない。いずれにせよ、インドネシアと日本との関係は非常に重要であり、これがどのような意味合いをもつものか、注意深く見守っているところである。
(報道官)在留邦人についての影響については、特に報告は受けていない。いずれにせよ、インドネシアと日本との関係は非常に重要であり、これがどのような意味合いをもつものか、注意深く見守っているところである。
(報道官)本日の記者会見で既に官房長官が述べられているように、総理大臣は国会の承認が得られれば、トロントに於いてフジモリ大統領と首脳会談を行うことを考えている。国会の了承が得られれば、総理一行は1月31日東京を出発し、2月2日帰国する日程で準備が進められている。
トロントでは、フジモリ大統領との首脳会談の他に、共同記者会見を行うことを検討している。
在ペルー大使公邸占拠事件
〇質疑応答
(問)今この時期に(フジモリ大統領と)会うことの意義如何。
(報道官)官房長官も説明しているが、事件発生から既に一ヶ月半近くが経過した。その間、最近になって保証人委員会の構成メンバーの会合が開催され、ペルー政府とMRTA側との話し合いを前に、極めて重要な時期にさしかかっている。日頃から電話等によって頻繁に連絡、意見交換をしているが、このような時に両国の首脳が現実に会って両国の共通の基本方針を改めて確認することは意義がある。又、こうした機会を通じ、この基本方針に基づいた早期解放を如何に図って行くかという事について協議をすることの意義は大きいと考える。
(問)フジモリ大統領は保証人委員会のメンバーを(トロントへ)同行させるようだが、この意味合い如何。
(報道官)ペル-政府側は、MRTA側との直接対話自体は、対話者即ちペルー政府の代表とMRTA側代表との間で行う、保証人の役割は、そこから将来得られる合意等を保証していくためのものであると説明してきている。保証人は直接対話に参加しなくとも、全体のプロセスに非常に大きな役割を持っている。従って、そのような観点から、フジモリ大統領としては、保証人委員会のメンバーにもトロントに行ってもらいたいと考えていると理解している。
(問)米国務省のバーンズ報道官が、今回の会談について米国政府は支持すると表明しているようだが、これは精神的な支持にとどまるのか、それとも米国政府として何らかの具体的なサポートをしてくれるのか。
(報道官)これまでG7、P8の枠組みにおいて、テロには譲歩せず、しかしこの問題の平和的解決を求めるといった連帯感が表明されてきている。米国もG7、P8のメンバーとして、その連帯を強く表明してきている。今般、日秘両国首脳会談が行われるのに際し、米国がこの会談を支持していること自体非常に心強いことである。いずれにせよこれは日秘両国首脳間の協議であり、他の国がこの協議に対して具体的な意見を言うというようなことは想定されていない。
ペルー大使公邸占拠事件について、3つの点をお話しする。
在ペルー大使公邸占拠事件
〇質疑応答
(問)今日の会談に寺田顧問も出席したようだが、これについての政府としての見解如何。
(報道官)まだ詳しい報告は受けていないが、いずれにせよ、保証人委員会の構成メンバーとなる方々と寺田顧問との間で、この事件の平和的解決に向けての協議が行われたこと自体に意義があると考えている。
(問)昨日の発砲事件である意味で、ピークに達した緊張関係は山を越したというふうに見ていいか。
(報道官)現地の状況が今後どのようになるかということについて、我々東京にいる者が予想することは不可能であるが、いずれにせよ橋本総理大臣はフジモリ大統領に対して直接電話で、警備当局の警備の強化の必要性は理解できるが、やはり不測の事態が起こらないような十分な配慮が必要であるということを言われた。そういったことは、我々としてはフジモリ大統領も理解していることと考えている。
(問)今日、直接交渉に向けての準備会合が開かれたようであるが、寺田顧問が参加した形の会合はこれからも引き続き行われると見ているのか。或いは、それについては何かペルー側から話があったのか。
(報道官)先ほど申し上げたように、まだ詳しい報告が入ってきていないのでその点はよくわからない。保証人委員会の構成員になる方々は話し合いをしているが、ペルー政府とMRTA側との対話が開始されていないのは事実である。従って、対話が開始されるまでの間、一般的に言って関係者の間の意見交換はこれまでどおり頻繁に行われると予想される。しかし、それがシステマティックに行われることになるのかどうかについては、まだ我々として報告は受けていない。
(問)日本側としては、そういった会合があった場合には寺田顧問を参加させてもらいたいという要請はしているのか。
(報道官)我々としては、一般的にペルー政府側、また関係国・関係機関等、ありとあらゆる機会を通じて情報交換、意見交換をしている。従って、こういう機会に日本側も協議の場に招請されるということであれば、日本政府として進んでこの協議に入っていく。
(問)もう少し積極的に、日本側から「入れてもらいたい」という要請まではしていないのか。
(報道官)保証人委員会のメンバーに日本がなるのではないので、現実に保証人委員会が設置され、ペルー政府とMRTA側との直接対話が始まった場合、日本政府の代表がその場にいることはできない。従って、実際上どのような形になるかは別にして、引き続き日本としては保証人委員会の構成員となる方々と頻繁に意見交換、情報交換をしていく考えである。
(問)先ほど、状況は落ち着きつつあるということと、それから橋本総理が直接フジモリ大統領に伝えたことは十分理解されているという報道官のお話があった。ということは、電話での会談を初め日本側から度重なって要請した十分な配慮は現場での警察の行動にも反映されつつあると考えるか。
(報道官)そこまで言えるかどうかはわからないが、いずれにせよ、不測の事態が公邸の内外で起きるということは是非避けたいと強く思っている。その考え方は橋本総理大臣のみならず様々なレベルで先方に伝わっており、先方もこれを理解していると考える。保証人委員会の設置及びペルー政府とMRTA側との直接の話し合いが開始されるまでの間、(まだまだ時間がありそうだが)実際にどのような警備状況等になるかわからないが、不測の事態が起こらないよう現場の警備当局においても十分な配慮をして頂けるよう望むものである。
(問)話し合いの開始までに時間がかかるということであるが、それはペルー側からそういう話が入っているということか。
(報道官)これはパレルモ教育相が現地時間1月27日に話し合いの用意が整ったと述べているが、MRTA側の反応が不明瞭であるということから、現実の問題としてしばらく時間がかかると我々として予想せざるを得ないと考えているということである。
(問)昨年わが国政府は日向参事官を派遣するなどこの地域に対し具体的な努力をしたと思うが、今回、サハヌーン共同特別代表の就任に当たり、改めて何か具体的な支援を行う考えがあるか。
(報道官)具体的な貢献策については今、検討中である。以前記者会見で、この問題について説明した時に比べて、ザイールにいる難民の数は減ってきているものの、いまだに2、30万人の難民が残留しているとみられている。国境付近ではトラブルも発生しているようであり、われわれとしては何とかしてこの問題が平和的な解決をみることを期待する。サハヌーン共同特別代表の任命を契機にわれわれとしてもこの地域の情勢に引き続き関心をもっていく所存である。
(問)総理の電話会談での呼びかけに対し、大統領はどのような反応だったか。
(報道官)橋本総理とフジモリ大統領はいろいろな形で頻繁に連絡を取っておられるが、その個々の会談の内容について披露することは差し控えさせて頂きたいと思う。このようなことはいろんなレベルでも申し上げていることであり、日本側の意図、考え方はフジモリ大統領はじめペルー側に十分に伝わっているものと理解している。
(問)ペルー国家警察の今朝以来の動きについては、ペルー政府よりどういう事情があると説明を受けているか、あるいは日本としてはどんな事情があると考えるか。
(報道官)公邸周辺の警備の強化についての必要性は理解するところだが、今回、MRTA側が発砲したということもあるので、不測の事態が生じることがないよう、ペルー警備当局にも十分配慮して頂きたい。
(問)警備強化の動きはどういう理由からか。
(報道官)これは直接対話について、例えばパレルモ教育大臣は対話開始に必要な準備は整ったということを言っている。そうした直接対話に向けて、公邸周辺の警備の強化がなされてきていることについては、われわれとしてもその必要性は理解しているというところである。
(問)確認だが、特殊部隊が公邸前でああいう行進をしたのは、周辺の静けさを作るために必要だったということか。
(報道官)そういうことではなくて、将来のペルー政府とMRTA側との直接対話に向けてのいろいろなプロセスが行われる過程において、大使公邸周辺の警備が強化されているということであり、そのこと自体は理解するものである。しかし、不測の事態が生じるということは避けなければいけないことであり、その辺のところについては警備当局にも十分配慮して頂きたいということである。
(問)ペルー政府からこれまでの特殊部隊の動きが静かな環境に必要であるとの説明があったのか。
(報道官)ペルー政府とMRTA側との間の直接交渉開始に向けてのプロセスが進む中で、大使公邸周辺における警備の強化が必要であるということであり、そのこと自体はわれわれとしても理解するところである。自分(報道官)が申し上げた、「静かな」というのは、実際にペルー政府とMRTA側の話し合いが始まる場合には、静かな環境が必要であり、そういうことについては政府としては環境整備のために現地警備当局が十分配慮することを望むものである。
(問)その直接対話と警備強化の関係をもう少し詳しく説明してほしい。
(報道官)直接対話については、既にパレルモ教育大臣が何度となく言っているが、MRTA側の同意が得られるならば、恐らくは大使公邸から離れた、しかし近所の家屋で行われるであろう。そういうことになると、MRTA側は自分たちの安全が確保された所で話し合いが行われることを望むであろうし、またペルー警備当局としてはMRTA側の対話者が公邸外に出ることによって、何か不測の事態が生じるということは絶対に避けたいと思っていることは明らかである。そうした関連で、直接対話が開始される時に、大使公邸周辺の警備が強化されるということそれ自体はよく理解できるということである。
(問)テレビでしか見ていないが、MRTAの安全を守るというよりも、もっと物騒な感じがするのだが。
(報道官)自分(報道官)が申し上げたのは、そういう警備強化の必要性は分かるけれども、将来、不測の事態が生じることがないようペルー警備当局にも十分配慮して頂きたいということである。
(問)大統領の警備に対する掌握度や指示が十分伝わっているかどうか懸念の声もあるようだが、その辺はどうか。
(報道官)われわれは何度も申し上げているように、ペルー政府に全幅の信頼を置いてやっている。橋本総理大臣とフジモリ大統領との間の対話、他のレベルでの対話は緊密に行われている。ただ、現場において、先般、赤十字国際委員会と現地警備当局との間で若干の意思の疎通に欠けるところがあったこともある。従って、現場において不測の事態が生じないためにも、やはりいろいろ配慮して頂きたいというのが政府の希望である。
(報道官)時期的な目途については、2月中にオルブライト国務長官が訪日する希望を有しているということで、それを基礎としてアメリカ側と今後調整していく所存である。いずれにせよ、過去において日本政府もアメリカ政府も何度も述べているように、日米関係は両国にとって最も重要な二国間関係であり、オルブライト新国務長官が訪日の希望を有していることを歓迎するものである。両国の間には二国間関係、朝鮮半島情勢、アジア・太平洋地域の問題、その他国際政治・経済の問題、コモン・アジェンダの問題といろいろ話し合うべき問題がある。これまでの日米外相会談の良き伝統に沿って実りある会談が行われるものと確信している。
現地時間26日未明、ホセ・リーバス・ロドリゲス氏が医療上の理由から公邸から解放されたという動きがあった。このことは、70余名の人質の健康状態について、日本赤十字国際委員会が、引き続ききちんとした管理を行っていることの証左と考える。この機会に、ここ数日間の動きについて、まとめて簡単に日本政府の立場を申し上げたいと思う。
在ペルー大使公邸占拠事件
〇質疑応答
(問)人質の方々の健康管理についてだが、赤十字による健康管理が出来ていると言われたが、それはどういうことか。
(報道官)ICRCは、人質の健康状態が悪化した時には人道的な観点からMRTA側と話をしてその方々の解放を実現してきている。そのように人質の方々各々の健康管理を実施しているという意味で申し上げた。
(問)逆に管理がうまくいっていなくて、健康状態が悪化しているとはとらえていないか。
(報道官)この事件が発生したのが、昨年12月17日で人質の拘束期間が非常に長くなってきている。そして人質の方々の中には、お年寄りとは申し上げないが、自分(報道官)と同年齢の方々が多く、また、精神的疲労も重なっていると思う。したがって、いかなる意味でも人質の方々が極めて健康であるとは自分としてはとても考えられない。そういった状況にあっても、出来得る限りの健康管理を赤十字国際委員会が行い、特に問題が生じてきた場合には大事に至る前にMRTA側と話をして、きちんと解放している。そういう意味で赤十字国際委員会の活動振りを我々は高く評価しているという意味で申し上げた。
(問)今回の解放についてだが、赤十字側の管理が出来ていると言ってもMRTA側から医療団を公邸内に入れるようにとの要請があって初めてこのような形になったが、もしも国際赤十字側がしっかりやっていれば、MRTA側から要請がなくても未然に防ぐことが出来たのではないか。
(報道官)それはどうであろうか。今回の解放の経緯については詳しく承知していないが、人質が医師がいない時に急に容態が悪くなるというようなことは有り得る話で、日頃から赤十字の医師が診ていれば、決して病気にならないということではない。
(問)今日解放された方の容態如何。
(報道官)その点に関する情報は未だ得ていない。
(問)命に別状はないのか。
(報道官)特に変わった情報を得ているわけではない。
(問)事件が長引いていることにより人質の中で健康状態が悪化してきている方が出ているが、これは保証人委員会の設置に向けてどういった影響を与えるか。
(報道官)人質の拘束期間が長くなってきており、出来るだけ早く保証人委員会が設置の運びとなって、両者の直接の話し合いが開始されることを望む。ペルー政府とMRTA側との間で直接の話し合いを開始していただく潮時が来ているという感じである。日本は直接の当事者ではないが、日本政府はペルー政府の対応に全幅の信頼を置いており、その点について何ら変わることはないが、やはり、何と言っても人質の方々の拘束期間が長く続いている。他方、直接の対話が始まったからといっても早急に解決出来るとはなかなか期待できない。いずれにせよ話し合い自体は出来るだけ早く始めていただきたいというのが、日本政府の立場である。
(問)赤十字国際委員会に対して日本政府として何らかの援助・支援をする予定はあるのか。
(報道官)赤十字国際委員会とは頻繁に連絡を取り合っている。赤十字国際委員会から具体的に要望がある場合には出来る限りの協力をする所存である。ちなみに数日前になるが、ミニグ代表が日本の人質の方々と話をした。また、日赤の鈴木医師が公邸内に入った。これらのことは赤十字国際委員会でも日本人の人質の方々のことを考慮していただいている証左と考えている。
(問)今日解放された方の健康状態について事前に情報は入っていなかったのか。
(報道官)この人の釈放の経緯については、報道の情報以外詳しいことは承知していない。ただ、毎日赤十字国際委員会は公邸に入っているので、全体的に見て健康管理はうまくいっていると聞いてきている。おそらくは急病というか急に何らかの症状が現れたのではないかと個人的に推測するが、具体的情報はない。
(問)一人が解放されたわけだが、このことについて外務省の考え如何。
(報道官)一人ではあるが人質が解放されたことは喜ばしいことである。他方まだ70余名の方々が人質になっていること、また拘束時間が長くなっていること等を考えると何とかペルー政府とMRTA側の直接的な話し合いを出来るだけ早く始めていただき、少しでも人質になっている方々の気持ちが晴れることを祈っている。
(問)今回健康状態が悪いということでゲリラ側の方から医療団を入れるようにということで、その結果このような解放に繋がったわけであり、ある意味では紳士的との見方もできると思うが、今回のゲリラ側の対応についてどうお考えか。
(報道官)MRTA側が不法な手段によって未だに70余名の人質を拘束していることがそもそも問題である。MRTA側は一人ではなく本来人質の全員を早急に自ら解放するべきである。
(問)警備強化の動きとして、ヘリの旋回とか、装甲車の動きなどあるが、日本政府として警備強化の動きが赤十字国際委員会の動きに悪影響を与えているのではないかとの懸念は持っているのか。
(報道官)赤十字国際委員会は公邸内において人道的な活動を行っている。わが国としてはそれを高く評価するものである。また他方、公邸外の警備はペルー政府が行っている。従って、現場の警備当局と赤十字国際委員会との間の意志の疎通というものが常に良いものであることを願っている。警備強化の過程で、赤十字国際委員会の方々が、活動を中止せざるを得なかった事態があるという事は我々も承知している。大使公邸内外で、不測の事態が生じ、この事件の平和的な解決が阻害されることがあってはならないというわが国の基本的立場はペル-側に伝わっているし、ペル-側も同じ認識であるとの答えを得ている。いずれにせよ、政府側とMRTA側との直接的な話し合いが早期に開始されることによって、現場レベルでの赤十字側と警備当局の間の意志の疎通が良くなることを期待する。
(問)本日解放された人以外の健康状態如何。
(報道官)我々も頻繁に赤十字国際委員会の方々と意見交換、情報交換をしている。我々が今まで聞いているのは、人質、特に日本人の人質については、今すぐに治療を必要とするような問題はないとの説明を受けている。勿論そのことが精神的な意味で人質が常に気を楽にしているという事ではない。従って、少しでも人質の気を楽にしていただくよう色々な措置を現地でとっていることはご案内の通りである。
(問)本日解放されたリーバス氏が具合が悪くなったのは、日本時間の今朝銃声が聞こえた事と関係するのか。
(報道官)銃声についてはその後赤十字国際委員会より、それによって怪我をした人はいないとの説明があった。今度のホセ・リーバス氏の解放はその銃声が聞こえた後数時間たっての事である。同氏は健康上の問題で解放されたという事以外の情報は受けていない。あくまで個人的な推測で、根拠はないが、銃声とリーバス・ロドリゲス氏の釈放を直接結びつけるような説明を我々が聞いているという事はない。
(2)事件そのものについては、特に報告すべき点は無い。
(問)武装グループ側が何か無線を流したようだが、どうか。
(報道官)指摘の点が保証人委員会設立関連であるなら、フジモリ大統領は邦人プレス・インタビュー及びボリビア大統領との共同記者会見において、MRTA収監者の釈放はしない旨述べており、他方、現地報道によると、MRTA側はあくまで仲間の釈放を求める旨述べており、この点を巡るペルー政府側とMRTA側との隔たりは大きいものがある。
いずれにせよ、保証人委員会設置のための合意に関連し、MRTA側のこの要求は一つの重要な課題になっている。MRTA側がこの要求に固執したままでいるのか、柔軟な対応を示していくのかどうか、我々としては事態の推移を見守って参りたい。
(問)現段階ではMRTA側があくまでも仲間の釈放を求め、保証人委員会設置交渉は長引くと認識しているのか。
(報道官)これは、まさにペルー政府側とMRTA側の対応の一つの重要な面であり、軽々に判断すべきではないと思う。
しかし、これまで記者会見の席で説明しているように、保証人委員会が設置されたとしても、ペルー政府側とMRTA側との話し合いが急速に進んで事態が進展していくとはなかなか思えない。形式的な意味で、MRTA収監者の釈放を議題に入れるか否かではなく、実際上、この問題そのものについてペルー政府側の基本方針とMRTA側の要求が対立しているということである。事態はなかなか難しいが、一喜一憂することなく事態を見守っていきたい。
(問)保証人委員会の設置に向け、MRTA側に軟化の兆しは出てきそうか。
(報道官)MRTA側は保証人委員会設置についてのペルー政府提案の第3点目の議題につき、提案通りにして欲しい旨外部に明らかにし、他方、フジモリ大統領はボリビア大統領との共同記者会見において、議題の中に釈放問題を入れることには反対はしないが、絶対釈放しない旨述べている。
従って、表面的には両者の主張は一見して近寄っているようにも見えるが、根底にある問題そのものでは対立がある。
(問)公邸周辺で赤十字国際委員会が白線を引き、一方で公邸周辺の警備が強化されているが、どう見るか。
(報道官)警備の強化については、将来ペルー政府とMRTA側との間で直接の対話が実施される場合、話し合いのために静かな環境が必要とされることは明らかであり、その一環として大使公邸周辺の警備が強化されたとしても、何ら不思議はない。
他方、赤十字国際委員会としては、自分たちが公邸の中で仕事をしている間は、警備当局の動きがあるのは都合が良くないということで、この間、警備当局には(線内に)入って頂きたくないということである。この点、赤十字国際委員会と警備当局との間で合意ができていると理解している。警備についても関係者間で理解が深まっている。
(問)これはペルー政府と赤十字国際委員会との合意か。
(報道官)警備当局だが、政府と理解して頂いて結構である。
(問)大使公邸内に警察官が投石し、これに対し日本側がペルー政府に懸念表明をし、今度はそれに対しフジモリ大統領が不快感を示したとの報道があるが、どう見ているか。
(報道官)(本件については)少し言葉が踊っている感じがする。
まず投石については、フジモリ大統領自身が邦人プレスに対しペルー政府として挑発戦略は取っておらず、かかる行動は単発の行動であった旨述べている。我が方は、大使公邸内外で不測の事態が生じ、この事件の平和的解決に向けての真剣な努力が阻害されることがあってはならないとの基本的な考え方を持っており、ペルー側に確認した経緯がある。その際、ペルー側も同様の基本認識を示している。
フジモリ大統領の不快感表明だが、それがフジモリ大統領の邦人プレスへのインタビューにおける発言を指すとすれば、自分(報道官)も当該インタビューを深く読んでみたが、そのような「不快感」をそのインタビューから読み取ることは、いかなる意味でも出来なかった。不快感を表明したという一部報道は、その報道機関の一方的解釈ではないかと思う。
またこのインタビュー以外でも、我が国政府に対し、ペルー政府が不快感を表明したとの事実は無い。昨日行われたフジモリ大統領と橋本総理の電話会談でも、両国政府の緊密な連携が確認されたところである。
(問)フジモリ大統領がボリビアを訪問し、ボリビアで収監中のMRTAメンバーを釈放しないこと、公邸に人質となっているボリビア大使のことでMRTA側と取引しないことについてボリビア政府と改めて合意し、確認したが、この点についてどう思うか。
(報道官)フジモリ大統領はボリビアの大統領との共同記者会見において、まず現在も人質となっている関係者に対し心からの連帯の意志を表明する旨述べた。そうした気持ちをフジモリ大統領が持っていること、及び、平和的に解決していくとの意志が確認されている。この点において前日に行われた邦人プレス・インタビューと今回の共同会見の内容に齟齬があるところはない。
いずれにせよ、ボリビア政府とペルー政府との間の連帯が改めて確認されたことは重要である。
現地時間1月22日フジモリ大統領は邦人プレスとの会見を行い、改めて本人質事件の平和的解決に対するペルー政府の真剣な努力について説明を行われた。その中でフジモリ大統領は収監中のMRTAメンバーの釈放はない旨を明らかにしている。保証人委員会設置を巡る全ての事項についてペルー政府とMRTAメンバーとの間で合意が成立するに至っていないが、合意に向けてのプロセスは継続中である。
在ペルー大使公邸占拠事件
〇質疑応答
(問)合意に向けたプロセスの中で一番重要な課題如何。
(報道官)フジモリ大統領の邦人プレスとの会見の内容を十分に読ませて頂いた。これはMRTA側もペルー政府側も双方十分にわかっている点ではあると思うが、収監中のMRTAメンバーの釈放ということがやはり両者の間の大きな隔たりとなっている。
(問)開催場所が決まらないのは先に言われたことが原因か、それとも場所そのものが決まらないのか。
(報道官)その辺りはつまびらかにしないが、前からお話申し上げているように、たとえ保証人委員会が設置され、話し合いが始まったとしても、そこにおけるペルー政府とMRTA側との話し合いが急速に進むということはなかなか予想し難い。設置そのものプラスその後のことを考えた場合、やはり今どうしても大きなポイントになっているのはMRTAのメンバーの釈放であると考えざるを得ない。
(問)MRTAメンバーの釈放ということで隔たりがあっても、保証人委員会の設置が進められているのか。
(報道官)その辺りのところは推測を交えてお話するのは適当でないと思うが、ご記憶のように昨年の末にパレルモ教育相とMRTA側の直接対話が始まった。しかし、その後いろいろな事によって膠着状態が続いた。(従って今では)単に直接対話を再開するということではない(と思われる)。保証人委員会の設置等を巡ってペルー政府側が包括的な提案を出し、またMRTA側もそれに対して回答をしてきたいうことであり、やはりこの問題の全体の解決ということを巡って大きく隔たりがあることが(双方の側に)十分に感じられており、そのためになかなか事態の進展に結びつく動きが出てきてない。
(報道官)現地時間1月22日午前1時、即ち日本時間午後3時頃、公邸付近で数発の銃声が聞こえた旨、公邸付近に詰めている現地対策本部員より現地対策本部に連絡があった。状況確認のため、現場に別途2名を現地対策本部より派遣したところ、現地時間午前2時(日本時間午後4時)同本部員より現場は平常に戻っており、特に動きはないとの報告があった旨現地対策本部から本省に連絡が入っている。
先ほど午後3時から当省において第4回の関連企業に対する説明会が開かれた。同説明会においては、堀村中南米局審議官より、1月7日の第3回説明会以降の現地の状況について説明を行い、引き続き、斎藤領事移住部長が公邸内の生活環境についての説明を行った。
在ペルー大使公邸占拠事件
〇質疑応答
(問)斎藤領事移住部長は現地での生活ぶりについてどのように説明したのか。
(報道官)ご承知のように、現地においても企業、家族の方々に対する説明を行っている。現地における説明会が頻繁に行われているので、当地においてはそれをいわば確認する形で行っている。例えば、ミニグ赤十字国際委員会ペルー代表が日本人の人質の方々と懇談をしたということ、日赤の鈴木医師が公邸に入ったということ、日本の音楽の放送がされたということ、人質の健康状態については、赤十字国際委員会が引き続き管理しているということなどである。
(問)人質の健康状態について懸念する旨の説明はなかったのか。企業側から外務省に対する要望はなかったか。
(報道官)今回特に具体的な問題について関心が示されたというわけではなかった。人質の健康状況や、保証人委員会設置などの動きについては、企業の方々も現地などより相当の情報を得られているように見受けられた。
(問)保証人委員会の動き、今後の見通しについてはどのような説明がされたのか。
(報道官)今回は1月7日以降の状況ということで、特に2回にわたって示された保証人委員会の設置等についてのペルー政府の提案、それに対するMRTA側の反応振り、この問題についてまだ双方の間で合意が得られていない、といった点についての説明が行われた。
(問)堀村中南米局審議官はいつ帰国したのか。
(報道官)記憶していない。
(問)各種報道で、またペルー政府側からも今月中にも話し合いが始まるのではないかといわれているようであるが、これについての考え如何。
(報道官)いろいろと報道されているということは我々も承知している。我々として理解しているところは、保証人委員会設置などに向けたプロセスが現在続いているということである。そのプロセスにおいて、ペルー政府がこの人質事件解決のために真剣な努力を継続しているということである。日本政府としては、このプロセスが実を結び、事態が具体的な進展を見せることを期待している。
(問)現地からの通信社の報道で、公邸を囲んでいる警官隊が公邸に向けて石を投げている写真出ていたが、そのような事実は確認されているか。
(報道官)その報道について自分は承知していない。
(問)この投石はゲリラ側を挑発するための行為ではないかという解釈がされていたが、危険ではないか。
(報道官)具体的にどのような状況であったかについて答えることはできないが、先ほどの発砲事件もあるし、何かの動きがあり、それが公邸内に悪い影響が出てはいけないので、我々は常にそういったことについて神経をとがらせている。ただ、ペルー警察側が特異の動きを示しているとは、我々は理解していない。また、今度の発砲事件というものが如何なるものであるか、先ほど申し上げた以上にお知らせする材料は持っていないが、いずれにせよ、保証人委員会設置に向けてのプロセスが進んでいる一方、人質の拘束期間が長く続いていることもあり、ともかく当事者の方々が冷静に対処して頂くことを望んでいる。
(問)人質の人命第一と、ペルー政府に全幅の信頼という大前提が齟齬を来たしそうな場合には、日本政府はどういう対応をし、決断は現地とこちらのどちらが行うのか。
(報道官)昨年12月17日の事件発生以来、日本とペルー政府とは緊密な体制の下にこの問題に当たってきている。以前にもこの場で説明させて頂いた経緯があるかと思うが、日本政府とペルー政府の一体感というものは崩れていない。従って、仮定の質問だとは思うが、そのようなことは全く想定されておらず、これまでの一体感というものが今後とも継続するよう我々としては強く望むし、そのように全力を尽くしている。いずれにせよ、現在は大変重要なプロセスが進んでいるので、何か不測の事態が生ずることによって、このプロセスがまた頓挫してしまうというようなことがないように強く期待するものである。
(問)保証人委員会設置に向けたプロセスが進んでいるとのことであるが、これは実質的な交渉議題の中身においても進んでいるという認識であるのか、ただ単に場所の話であるのか。
(報道官)個々具体的なことについてお話しすることは差し控えさせて頂きたいと思うが、保証人委員会等の設置について具体的な提案というものがペルー政府から出され、MRTA側からも回答があったわけである。御質問の点も含め、まだ両者の間に合意ができあがっていないことは事実である。合意ができあがり、保証人委員会が実際に設置され、事態が進展を見せることが期待されるが、それ即ち保証人委員会の場で行われる話し合いが早急にまとまるということとは別の問題である。我々としてはやはり事態について一喜一憂ということは避け、ともかく現在の当面の課題である保証人委員会の設置というものについて合意が得られていくことを望む。
在ペルー大使公邸占拠事件
〇質疑応答
(問)ミニグ国際赤十字代表がかなり長時間公邸に入った模様だが、これに対する見解如何。
(報道官)ミニグ代表が入ったことそのものについて、われわれとしてコメントすることは避けたいと思う。いずれにせよ今一番重要なことは保証人委員会設置にかかわるペルー政府提案がいかに実現の運びとなり、事態が具体的に進展に向かうかである。そこに向けてのプロセスが継続中であり、わが国としては、ペルー政府がこの事件解決に対し引き続き真剣な努力をしていることを十分承知しており、事態の推移を見守っているところである。
(問)一部の報道では、在ペルー大使館にセンデロ・ルミノソから脅迫があったとのことであるが事実関係如何。
(報道官)報道のような脅迫電話があるかないかを含めて、この種の個人の安全にかかわる問題については、一切コメントしないというのがわが方の基本的立場である。
現地時間1月18日、MRTAは、保証人委員会等に関するペルー政府提案に対する回答をメディアとの無線交信を通じて行った。その回答において、MRTAは保証人委員会に在ペルー・カナダ大使を加えることに同意しつつ、政府との対話において全てのテーマを取り上げるよう強く求めた。このため、直接交渉の開始については予断を許さない状況にある。日本政府としては、保証人委員会をはじめ話し合いの枠組みについての合意が出来るだけ早く成立し、実質的な交渉の早期開始を通じ、事態が具体的な進展を見せることを期待している。
また、現地ラジオ放送「ラジオ・アメリカ」周波数FM94.3の協力を得て、現地時間1月19日午後3時から15分程度、毎日、人質になっておられる方々に向けて、音楽及びラジオ体操が放送されることになった。なお、音楽については当初1週間程度は以下の3曲である。「コンドルは飛んでいく」(スペイン語の歌詞入り)、「上を向いて歩こう」(歌詞なし)、「春一番」(歌詞なし)。こういった曲は、リラックスできる曲、明るい曲といった観点から選曲されたものである。
〇質疑応答
(問)そのラジオはどこが主体的に行っているのか。日本が要請したものか。
(報道官)人質の方々の拘束期間が長くなってきていることから、精神面においてもできるだけ人質の方々の気持ちが楽にできるよう考えて行おうとなった次第である。本の差し入れなどもその一つであるが、そういった観点から赤十字国際委員会を通じて音楽といったものを放送することとなった。人質となっておられる方々の国籍なども勘案して最終的にこの3曲をまず当初1週間程度、毎日15分放送していこうということになり、それについてはラジオ・アメリカからの協力を得ることができたということである。
(問)つまり日本政府が主体になって行うということか。
(報道官)日本政府もペルー政府も赤十字国際委員会を通じて人質の方々の精神的な安心感を主点に考えている次第で、これは日本の人質のためだけのものではない。つまり日・ペルー政府双方による共同作業といったようなものである。また、ラジオ・アメリカの方から「自分のところでやらせもらう」ということになった。つまり、関係者が皆で「良いいことだからやりましょう」といってできあがったものである。
(問)人質の方からラジオを流してほしいと国際赤十字にリクエストがあったのか。
(報道官)直接コメントすることは難しい。いずれにせよ人質の方々のためにいろいろ考え、赤十字国際委員会が頻繁に人質の方々と会っている状況を参考に実現の可能性があるものということで今回音楽を流すという一つの措置になったものである。
(問)放送枠についての放送料金の支払い如何。
(報道官)ラジオ・アメリカの好意による無償ということである。
(問)人質の方はラジオを毎日聴いているのか。
(報道官)FM放送を聞いていると承知している。
(問)その点は確認しているのか。
(報道官)確認している。
現地時間17日、ペルー人1人が解放された。現地対策本部より赤十字国際委員会に確認したところでは、同人は健康上の理由で解放されたとの回答に接した。これは喜ばしいことである。日本時間17日、フジモリ大統領が、NHKを通じて、大使公邸占拠事件に対するペルー政府の取り組み方を、我が国国民に対し、親しくまた行き届いた説明をしたことを、日本政府として歓迎するものである。特に、フジモリ大統領が、人質の家族の方々と心配を分かち合ってきたこと、常に人命尊重を第一に解決策を見いだす努力をしてきたことを聞いて、関係者の方々はフジモリ大統領の真剣な努力を高く評価したことと思う。またフジモリ大統領はペルー政府と日本政府は緊密な協力関係についても説明されているが、日本政府としては、引き続き本事件の解決に対するフジモリ大統領の真剣な努力に全面的に協力していく所存である。
現地時間17日にパレルモ教育大臣が発表したMRTA声明文に対するペルー政府の補足説明によって、保証人委員会の役割、構成及び会合場所等に関するペルー政府の考えが包括的に示された。日本政府は、MRTAがこれに対して真摯な回答を示し、MRTAとペルー政府の話し合いが早期に開始され、事件の平和的解決に向けて事態が具体的な進展を見せることを期待する。
現地時間17日のペルー人1人の解放は、赤十字国際委員会が人質の健康管理に十分な責任を果たしている結果と受け止めており、日本政府としては、赤十字国際委員会の人道主義に基づく積極的な活動を高く評価するものである。
〇質疑応答
(問)パレルモ教育相の声明の中で、カナダ政府よりカナダ政府が保証人委員会に参加することの了承を受けたとあるが、この点につき、日本政府に対してカナダ政府から正式な連絡等あったのか。
(報道官)カナダ政府の保証人委員会への参加は、正式に決定されたとの報告を我々も受けている。
(問)それはペルー政府からか、カナダ政府からか。
(報道官)カナダ政府の決定はペルー政府にも日本政府にもそれぞれ報告されている。
(問)その決定を武装グループ側が改めて拒否する可能性もあると思うが。
(報道官)まず、MRTA側はグァテマラと欧州のある国という提案をし、それに対してペル-政府側はカナダを提案したものである。この問題(保証人委員会の構成)を含めて、現地時間の16日と17日にペルー政府が出した提案そのものについて、MRTA側の反応は示されていない。従って(MRTA側が)どのような反応を示し、(その回答が)いつになるかという事については見ていかなければならないと思う。ただ、カナダはOAS(米州機構)のメンバーとしてそもそも中南米諸国に対して積極的な外交を展開しているし、また、駐ペル-カナダ大使は最初の段階で人質となっておられた方であり、そういったところから見てMRTA側がどのように判断するか予断は許さないが、カナダだから特に具合が悪いと言ったような材料は今のところないように見受けられる。
(報道官)保証人委員会の設置については、ご案内のようにペルー政府とMRTA側との間でいまだに合意が得られていない。この合意が得られるならば、事態は新しい段階に入ることになる。日本政府としては、この合意に向けてペルー政府とMRTA側との間の話し合いが早期にまとまり、事件の平和的解決に向けて事態が具体的に進展を見せることを期待している。
外務省は1月22日(水)午後3時から、5階のレセプションホールにおいて、関連企業に対する第4回説明会を開催することとしている。
〇質疑応答
(問)事件発生からちょうど1カ月経ったが、コメント如何。
(報道官)政府は一貫してこの人質事件の平和的解決と人質全員の早期無事解放のため、最大の努力をしてきた。しかし、いまだに70余名の方々が大使公邸に人質となっておられることを遺憾に思う。今後ともペルー政府と緊密な連携、情報交換を行いつつ、フジモリ大統領のこの事件解決のための努力を全面的に支援していきたいと考えている。70余名の人質の健康状態については、赤十字国際委員会がしっかりとした管理を行っていると承知している。政府は、赤十字国際委員会の活動ぶりを高く評価する。他方、拘束期間が長引いていることもあって、人質の家族の方々のご心痛は察しても余りあるものがある。政府としては、引き続き関係企業・家族の方々と緊密な連絡をとっていく所存である。MRTA側が保証人委員会の設置提案を受け入れたことは、事件解決に向けての一歩前進ではあるが、ペルー政府とMRTA側との間の直接交渉はまだ再開されていない。政府としては、この直接交渉が実際に再開の運びとなり、事態が具体的に進展することを期待する。
(問)直接交渉が具体化される事態が進展するために、日本政府から側面支援として具体的にやれることはないか。
(報道官)この場においても、また、大臣、次官が機会あるごとにお伝えしているが、日本政府はペルー政府との間で緊密な連絡、情報交換を行っている。われわれとしては、あくまでも人質全員の無事の解放を願うものだが、同時に事態が進展していって、そして具体的に平和的な解決に結びつくことを願っており、われわれとしてなし得ることは、連絡と情報交換において色々とやっているということである。ただ申し訳ないが、その具体的な個々のことについて説明できない。
(問)例えば、保証人委員会のメンバーとして名前があがった国に日本政府としても参加を呼びかけるようなことはしないのか。
(報道官)一般的なことの繰り返しで恐縮だが、ペルー政府とは色々と連絡、情報交換を行っているが、個々の具体的なことについては、特にこれは今後の直接対話の再開に向けての非常に大きな課題となっていることでもあり、説明を控えさせて頂ければと思う。
(問)一部週刊誌に、外務大臣がペルー大使公邸に突入しようとしたマスコミを逮捕せよと言ったというが記事が載っているが、事実関係如何。
(報道官)ご指摘の点が、「週刊現代」に掲載された「池田外務大臣が大暴言、ゲリラに金を払った共同の記者を逮捕しろ」という記事であるとすれば、これは全く事実無根であり、今、兒玉報道課長が編集部に抗議に行っているところである。
(問)寺田現地対策本部顧問がフジモリ大統領と会ったとのことだが、内容は何か。
(報道官)本件については、既に決算委員会において総理より答弁があったと承知している。
寺田顧問より、総理のASEAN訪問につき説明があり、その際、ペルー政府の対応振りや我が国の基本的立場に対し、ASEAN各国首脳より全面的な支持の立場の表明がされたことをフジモリ大統領に伝達した。
フジモリ大統領よりは、交渉再開のための保証人委員会についてのMRTA側の回答につき、ペルー政府が検討中であるとの説明があった。
(問)日本政府への協力要請等はあるのか。
(報道官)一般的に、日本政府はペルー政府と緊密な連絡・情報交換を行っていて、ことある毎に、日本政府として、出来る限りの協力は行う旨伝えている。
ただ、個々具体的なことについては、説明を控えたい。
(問)次官会議で、在外公館の警備費の緊急支出が決定されたとのことだが、説明して欲しい。
(報道官)手元に資料が無いので、別途説明したい。
(報道官)2点ご説明する。ひとつはペルー関係である。ペルー政府側とMRTA側との直接対話は、依然として再開されていない状態が続いている。我が国としては引き続き事態の推移を注視している。
2点目は、先ほど発表した中東和平交渉ヘブロン合意についての外務大臣談話について追加的に説明する。今回の合意は、ヘブロンの複雑な事情を背景に労働党前政権が合意した暫定自治合意の中でその実施が遅れ、ネタニヤフ政権に引き継がれていたものであるが、昨年10月以来アメリカの仲介の下で交渉が行われ、今般双方が合意に達したものである。合意全文は未だ公表されていないが、そこにはヘブロン問題の他、今後の交渉の進め方に関する了解も含まれていると言われ、パレスチナの交渉を進めていく上で重要なステップである。この合意については今後イスラエル・パレスチナ双方で、それぞれ閣議にかけられる予定と聞いている。なお、イスラエルの閣内ではこの合意について、相当数の閣僚の反対があるようだが、この合意が承認されることを望む次第である。なお、この合意に至る前、先週この交渉が困難な局面に立ち至った段階で、池田大臣よりレビ・イスラエル外務大臣やクリストファー・アメリカ国務長官に対してメッセージを伝達した経緯がある。以上2点ご説明する。
〇質疑応答
(問)現地で13日パンドルフィ首相とパレルモ教育相が現地のマスコミに対して取材の自粛を求めたと言う報道があるが、本件について日本政府としてはどう考え、これから日本政府として新たな何らかなマスコミへの要請を用意されているのか否か。
(報道官)色々報道がリマからなされているのは承知しているが、現地対策本部にその確認を求めているが、事実関係は未だ把握していない状況である。従って、ペルー政府として、実際にどのような事をおこなおうとしているのか、この段階ではまだ把握出来ていない。
(問)官邸に外務省の幹部が入ったと聞くが、どういう方が入って何を説明されたのか。
(報道官)具体的に誰が説明に行ったか確認していないが、昨日総理大臣がアセアン訪問からから帰ってこられ、それまでの間の事について説明し、また今朝、高村政務次官等よりも説明した。その際質問されたことなどについて追加的に色々事務的に説明しに行ったということである。
(問)総理が公邸での記者のやり取りでこじれた糸を戻すのは時間がかかると言っているがそれはどう言うことか。
(報道官)こじれた糸と言うことについて総理大臣がどのような具体的なことを念頭に置いて言ったか解らないが、例えばペルー政府の示した三提案に対してMRTA側がまだ回答を寄せてきてない事は事実であり、その辺のことを評して言われたかも知れない。いずれにせよ今のところ、事態の進展が見られないが、我々としてもMRTA側がペルー政府の示した三提案に対して、真摯な回答をすることがまず必要であると考えている。
(問)もう少し時間がかかりそうか。
(報道官)全体として我々は個々の事態、個々の情報に一喜一憂すべきでないと思う。忍耐を持って事態の推移を見ていく姿勢が必要と考える。
(問)もう既に長期化しているが、今後の展望如何。
(報道官)既に事件が発生してから一ヶ月近くたっているが、未だに70余名の人質の方々が大使公邸で拘束されている。我々としてはあくまでも人質全員の早期無事の解放を願って最大限の努力をしている。その点はペルー政府も十分理解し、適切な対応振りを示して頂いている。このように拘束期間が長く続いているために、人質の方々の健康状態と言うことについても、常に我々は心配している。同時に、政府としては人質の方々の健康管理に対する赤十字国際委員会のこれまでの努力を高く評価している。こういった中で、人質の問題全体の解決のためにはペルー政府側とMRTA側が直接に対話をして行く必要がある。まだ、MRTA側より回答が寄せられていないという状態が続いている。したがって、我々は、忍耐強く事態の推移を見ていく必要があると思っている。
(問)前に次官が人質の方の中で若干具合の悪い方がいると言っているが、その後情報はあるか。
(報道官)この前も次官が言ったように、邦人の中には特に緊急の治療を必要とする方がいるとは聞いていない。他の方々については個々のことを話すのはプライバシーにかかる事なので……。赤十字国際委員会で人質の健康状態を常時チェックしている。こういった努力の下で、人質の方々につき赤十字が全体として十分に見ていただいている。我々としてはその努力を今後も続けて頂きたいと思っている。
(問)在ペルー日本大使館は査証申請受け付けなど領事関係の窓口業務を停止することとのことだが、どのような理由によるものか。
(報道官)これは、ペルー側の状況認識をも聴取した上での結果だが、大使公邸に多数のペルー側の警備の方々の張り付けが必要とされる現状であること、このままでは大使館の警備がどうしても手薄にならざるを得ないこと、また現在、エクアドル大統領のペルー訪問でペルー側では警備対象の絞り込みが必要となっていること、こうした現地状況を踏まえて判断したものである。
(問)ペルー政府側から強く要請があったということか。
(報道官)ペルー政府側とは、いろいろな事につき常に緊密な連絡を取ってきている。今回の件は、いろいろな状況を勘案して、日本政府として主体的に判断したものである。
(問)ビザを日本側の空港で発給する措置が取られるのか。
(報道官)前回取ったそうした措置は、当面の大使館の態勢が整うまでの間の、しかも年末年始の際の臨時の措置であった。今回は日本に赴くために査証が必要な人は、訪日の途次にある最寄りの我が方在外公館で査証を申請、取得して入国して頂くことになる。
(問)現実的に考えるとフライトは米国行きが中心になるだろうが、ペルーの人で既にビザの申請を出している人についてはどうなるのか。
(報道官)既に査証を申請している人に対し過重な負担をかけることも一方において問題であり、そうした方々については現在検討中である。他方、新たに日本に来る人については、直接日本ではなく、途中の最寄りの我が方公館で査証を申請して頂くことになる。
(問)立ち寄り先のビザ取得については何らかの便宜はないのか。
(報道官)通常どおりの措置でやって頂きたいということである。
(問)前回の措置によってペルーからの一時的に入国者数が増えるとか言われたが、どうだったのか。
(報道官)入国管理局から特に日本に来る人が増えたという報告は受けていない。
(問)統計とかデータはとっていないか。
(報道官)その点については入国管理当局と相談し、数字が出せるようであればそのようにしたい。
(問)前回臨時に取った日本での入国手続きを、今度はなぜ出来ないのか。今回のことは臨時的なことなのか。
(報道官)臨時的なことだ。
(問)出来なくなった理由は何なのか。
(報道官)出来なくなったのではなく、しないということである。これは政策上の問題である。
(問)エクアドル大統領の警備等が終われば、また回復するということか。
(報道官)当面ということで、とりあえず取った措置であり、その辺のことはまた状況を見ながら判断していくことになる。
(問)大使公邸に警備が必要なことはこれまでと変わっていないが、それに加えエクアドル大統領の警備があっても、1回は再開した領事業務を停止するのは何故なのか。
(報道官)我が方の方針が朝令暮改のように変わらざるを得なくなりご迷惑をお掛けすることは甚だ遺憾なことである。ただ、人質の拘束期間が長く続いており、ペルー警備当局にもいろいろな圧力が出てくるところであり、あまり迷惑を掛けることも出来ないということで、残念だが当面わが方の措置を停止せざるを得ないということになった。
(問)ペルー政府や警察に負担がかかりすぎるなら、民間の警備員を雇うなどということは考えられないか。
(報道官)民間警備員を雇うことについては、お答え出来る材料を持っていない。
(問)今回の外務省の決定の背景には、ペルー政府側より大使館の警備を減らしたいとの申し入れがあったからか。
(報道官)ペルー警備当局と十分に意見交換した上で、先方が言っている大使公邸に多数の警備要員の張り付けが必要とされることから、大使館の警備が手薄にならざるを得ないということで、ペルー側にあまり大きな負担をかけるのは良くないと判断した。
比較衡量の問題だが、領事移住関係の事務については甚だ申し訳ないのだが、しばらくの間停止させて頂き、ペルーの警備当局の負担を過重にしないとの決定をしたものである。
(問)空港でのビザ発給措置を止めてくれとの要望が入国管理当局からあったのか。
(報道官)それはない。ないというよりは、前回はあくまでも一時的な措置であり、本来査証発給業務はリマの大使館で行う事務である。従って近隣公館から担当職員を派遣し、行政サービスが滞らないように配慮したつもりであった。それがこのようなことになり遺憾である。
(問)(リマにある)他の国の領事業務はどうか。他の国の公館で警備が手薄な所はないのか。
(報道官)それについては分からない。
いずれにせよ、今まさに日本の大使公邸があのような状況になっており、ペルー側に於いては既に長い期間相当な警備陣を張ってきていることに配慮せざるを得ない。
(問)冒頭説明での「直接対話再開への意欲が感じられる」というのは、どのような理由から言ったものか。
(報道官)1つには、ペルー政府と頻繁に意見交換、情報交換を行っているが、そうしたことが判断材料になっている。
また、表に現れている事として、パレルモ教育大臣がMRTA側に3つの提案をしている。MRTA側からこの提案に対して真摯な回答が寄せられることをペルー側は待っているところである我々はと考えている。
いずれにせよ、個々の事態につき、一喜一憂することは慎むべきである。ペルー政府が人質全員の早期の無事解放に向けて引き続き努力を続けていることを我々は十分に認識しており、それを踏まえ、事態の進展を注目しているところである。
(問)(韓国の)元従軍慰安婦にアジア女性平和基金が一時金を支払ったことに関し、韓国政府から日本に何か申し入れはあったか。
(報道官)申し入れがあったかどうかについては、お答えできる材料を持っていない。いずれにせよ、その後韓国のプレスの報道振りがあり、それにもかかわらず外務大臣が明日韓国を訪問される。その際の先方の大臣との会談の結果を見守りたい。
(問)一応、(申し入れは)なかったと思っていいのか。
(報道官)確認していない。
(問)あったら教えてもらえないか。
(報道官)承知した。
(問)交渉の再開は、ペルー政府からも日本政府に連絡は入っているのか。
(報道官)これまでも申し上げているとおり、ペルー政府とは緊密な連絡や情報交換を行っており、今後このようなパレルモ教育大臣とMRTAのセルパとの間での無線連絡によって、両者が会って話をすることについての話は聞いている。なお池田外務大臣は、今朝の本邦テレビ局とのインタヴューにおいて、現地の日曜日にはパレルモ教育大臣が公邸に入る可能性について言及している。
(問)厳しい状況に変わりは無いという認識は、1回の交渉で大きく事態が動くというような見通しは無いということなのか。
(報道官)これは、まだ74名の方々が人質にとらえられている状況というのは依然として続いているわけであり、そもそも事件が生じたのが昨年の12月18日であるということで、かなり長い時間がたっている。そういった中で一度ペルー政府とMRTA側との直接の対話が行われた。その後様々な理由によってこれが行われなくなったが、ようやく再開の運びとなる可能性がある訳である。これによってどのような具体的な動きになるかは、ペルー政府とMRTA側の話し合い如何によるわけであり、再開されるようなったということ自体、事態打開に向けての期待がもたれる。が、しかしながらこれによって状況が一挙にいい方向に向かうかどうかということについては、まさに話し合いが行われるのを見ていかなければならない。このような意味において、事態は依然厳しい状況にあるといわざるを得ない。
(問)橋本総理にも伝わっていると思うが、総理から指示はあるのか。
(報道官)今時点では承知していない。
(問)TV朝日の記者の釈放に関する、外務省の見解(コメント)如何。
(報道官)ペルー警察当局の許可を得ないこうした大使公邸内の取材は極めて遺憾である。将来このような事件の再発によって不測の事態を招き、また事件の平和的解決と人質の全面的解放に向けたペルー政府の努力を阻害するようなことが繰り返されないことを希望するものである。
(問)TV朝日記者の事情聴取は、外務省として行う予定はないのか。
(報道官)人見記者は、既にペルーを離れており、我々は今まで人質になって解放された方々でリマに滞在されている方についてはできるだけ会って、事情をお聞かせ願っているわけである。これはまったく相手側の自由意思に基づくものであって、人見記者についてはリマから離れているということであるので、その点は機会があるかどうかもう少し見ていかなければならない。
(問)現地対策本部が預かっているというTV朝日の取材テープはそのような形でTV朝日に渡すのか。
(報道官)テープを東京に運び、東京においてTV朝日に渡したいと考えている。
(問)報道の中でTV朝日側は現場での引き渡しを要求しているということであるが、もう一方の当事者の希望をどう考えているか。
(報道官)現地において、TV朝日側から現地対策本部に対して当該VTRを現地で渡していただきたいという要望があったことは事実である。しかしながら、現地対策本部はパンドルフィー首相及びパレルモ教育相から、この当該ビデオテープを外交ルートを通じて、伊藤TV朝日社長に直接渡すこととの依頼を受けた。(現地対策本部)はこのことをリマにおけるTV朝日チームに話した上で、同ビデオテープを東京に運ぶことを考えている。
(問)もう東京に向かっているのか。
(報道官)今週中にはTV朝日側に実際に手渡せるように手配している。
(報道官)ロシア船籍タンカー沈没事故に関連して、明日1月13日より17日にかけて、国連の専門機関により設置された国際海事機関(IMO)本部(ロンドン)で開催される会合において、我が国代表団は今回のナホトカ号の事故に関連して、以下の内容の発言を行う予定である。まず第一に今月2日に日本海で発生したロシア籍タンカー「ナホトカ」号の事故は、我が国に極めて深刻な海洋汚染を引き起こし、海洋資源に大きく依存する我が国の国民生活に深刻な影響を与えている。第二に事故の原因は今のところ不明であるが、船体が折損した事実は何らかの構造上の問題があった可能性があったことを示唆している。第三に、今後今回のような事故の再発を防止するために我が国は、次のことを強く期待する。
(報道官)在英大の参事官、書記官、国内からは運輸省の船舶検査奨励官、その他の者である。若干補足的に申し上げると、今説明した中の海上人命安全条約というのは船舶の安全航行などの海上における安全を確保するため船舶の構造及び設備に関する技術基準及び検査制度に関し定めた条約である。我が国もロシアも締約国になっている。海洋汚染防止条約というのは船舶による海洋汚染の防止を図るため、油等の排出規制、海洋汚染防止の観点からの船舶の構造及び設備などの関し定めた条約である。この条約においては1993年7月6日以降に建造契約が結ばれる油タンカーなどには二重船体にすることと規定されているが、ナホトカ号は1970年建造と時期が古いためこの規定自身は適用されない。しかしながら旗国の油等の輸出規制といった義務はこの条約のもとで課されていることになる。寄港国の監督というのは、海上人命安全条約及び海洋汚染防止条約などの規定に基づいて締約国に与えている権利であって、各締約国の港に入国する外国の船舶に対して、当該締約国の職員が監督を行うことができることとされている。今回の問題については事故の原因というのは、旗国政府であるロシアが調査を行うことになろうと思う。現時点では明確なことは分からないが、しかしながら、このような事故が起こった何らかの構造上の問題があった可能性は否定できない。IMOにおいては、既にできあがっている関連条約のもとで技術的な面を含めて議論することによって将来このような事故の再発を防いでいこうとするものである。
(問)この会合は今回の事故を契機として開かれるのか。
(報道官)これは、定期的な会合の1つであり、IMOの中で開催される第5回旗国小委員会という定例会合である。
在ペルー大使公邸占拠事件
(問)現地のパレルモ教育相がゲリラとの無線について、報道官は「接触」という言葉と「交渉」という言葉を使ったが、これは交渉なのか交渉以前の接触なのかについて、ペルー政府側から何か(説明は)あったか。
(報道官)これは我々が現地におけるテレビ報道をそのまま翻訳したものであり、そこではフジモリ大統領は直接「交渉」の可能性があると言った。昨年12月28日パレルモ教育大臣とMRTA側との接触は非公式な直接の「接触」、「対話」との説明を受けている。連絡をしあって今週末にもパレルモ大臣がMRTAに会いに行くとのことなので、実際どういうことなのかそれを見てから、ペルー政府側の説明も受けつつ今度の連絡の意味を考えたい。
(問)テレビ朝日記者のビデオテープはペルー政府から日本側へ引き渡されたとの報道があったが、これについて外務省は確認しているか。
(報道官)テープが寺田顧問及び佐藤現地対策本部長に手渡されたこと自体は事実である。ただ、まだ人見記者が拘束中であり、その持つ意味合い等々についての説明は控えたい。
(問)テープをペルー政府側から受け取って、その後の取扱はどうするのか。
(報道官)現時点では説明を控えたい。
(問)いつの時点でテープを受け取ったのか。
(報道官)確認する。
(問)TV朝日系列2名の釈放について、報道官はTV朝日とペルー政府との問題といわれたが、テープの扱いはどうなるのか。
(報道官)その点については、まだ人見記者が拘束中であり、コメントは差し控えさせていただきたい。
(問)TV朝日系列の人見記者が拘束されているので、現時点で公邸内を撮影したビデオテープを受け取っていることを確認できないと言われたが。
(報道官)その意味合いということではそうであるが、受領したのは事実である。
(問)人見記者が解放された時点で、テープの取り扱いにつき説明があるのか。
(報道官)(その時点で)質問があれば、説明させていただく。
(問)人見記者の釈放が、ペルー首相が言われていたタイミングと比べ2回とも遅れているが、何か予定以外の行動あるいは予期せぬ事が起きているのか。また、もともと釈放の時期はメドがついていなかったということか。
(報道官)本件は、TV朝日を代表する弁護士とペルー政府との話し合いに基づく事項であり、第三者である外務省がコメントするのは適切ではない。
(問)日本政府としてビデオテープをとりあえず預かっているということか。
(報道官)「預かっている」という点は事実でありその旨申し上げたが、とりあえずか否かといったその意味合いについては現段階では差し控えたい。
(問)ロシアの作業船だが、詳細については照会中と言われたが船自体はどこにあるのか。
(報道官)詳細は判明していない。まさに今どこにあって、どのような船で、いつから活動が可能か、どのような活動が可能か、今現在確認中である。
(問)都甲駐ロシア大使が先日ロシア側に申し入れを行っているが、その返事が返ってきていないのではないか。
(報道官)御指摘のように9日都甲大使からポスヴァリュク・ロシア外務省次官に対し申し入れを行い、また小倉外務審議官とイリューシン・ロシア第一副首相との会談が10日に行われた際にも小倉外務審議官から本件問題について触れ、日本側として申し入れを行った。それぞれ9日及び10日ボスヴァリュク次官及びイリューシン第一副首相は、本件について遺憾の意を表明し、その上で今回このような書簡が接到したということである。そうしたことで、こうした対応振り自体は、評価し得る。
(問)国連のアナン事務総長が日本人記者団に対して国連にテロ対策の協議の場を設けたいと言ったが、これについてはどのように考えるか。
(報道官)その点調べて次の機会に説明したい。
会見終了後、テレビ朝日のビデオテープは、現地時間10日21時30分に、パンドルフィ首相とパレルモ教育大臣が佐藤現地対策本部長と寺田顧問を呼んで渡された旨記者に通報した。
在ペルー大使公邸占拠事件
(報道官)現地時間1月1日に7名の人質の解放があった後、目に見える形では状況に大きな動きはなく、1月4日の報道官会見において、状況につき「膠着状態に陥っている。」と申し上げた。こうした状況は今日までも続いているが、これは、本事件の早急かつ平和的な解決と人質全員の無事解放のための真剣な努力をフジモリ大統領が行っていないことを意味するものではない。フジモリ大統領は、様々なオプションを探りつつ真剣な努力を続けている。その意味で、今は重要な時期である。
パンドルフィ首相は、現地時間1月9日、記者に対し、予定されていたペルー政府とMRTAとの非公式な対話の日程は、報道関係者がペルー政府の許可なく大使公邸に入った行為により中断されたままになっている旨述べた。フジモリ大統領のこの問題解決に向けての努力がこれ以上阻害されないよう、関係者による最大の配慮が要請される。
なお、現地時間1月7日に発生したテレビ朝日系列記者等の公邸侵入事件につき、昨日及び本日10日、テレビ朝日と外務大臣との間で話し合いが行われ、池田大臣より日本政府の立場を申し上げるとともに、テレビ朝日の立場を承った。内容については申し上げられないが、両者の間で本件の円満解決のために今後とも協力していくことで一致を見た。
また、銃声のような音が先程聞こえた件については、現在、現地で鋭意事実関係を確認中である。
(問)(銃声のような音があってから)動きは見られるか。テレビを見ている限りではそうでもないが。
(報道官)われわれも現在のところ、テレビ以上のことは承知していない。
(問)テレビ朝日系記者2名は拘束中のままだが、(パンドルフィ)首相は日本時間本日午後ぐらいに釈放されるのではと言っていたがどうか。
(報道官)首相がそのように言ったことは、報道を通じて承知しているが、未だ釈放されていないことも事実である。いつの時点で当該記者等が解放されるかは、ペルー政府が決めることと心得ている。
(問)テレビ朝日の侵入事件についての今のコメントの中に「本件の円満解決に努力していくことで一致」というが、本件とはどのことを言うのか。
(報道官)侵入し、その後その場で拘束され、取り調べを受けていることである。
(問)円満解決とは何を言うのか。
(報道官)円満解決という言葉が適切かどうかはあるが、いずれにせよ、両者が協力し合ってこの問題をペルー側との間で適切に処理していくとのことである。
(問)テレビ朝日が外務省の意向をきくということか。
(報道官)具体的内容については控えたい。われわれとしてはあくまでも邦人保護の観点から、出来るだけの協力をしていくとのことである。
(問)(釈放まで)しばらく時間がかかると見ていいのか。
(報道官)現在現地はまだ夜中であり、どのような反応が出てくるか、もう少し時間が経たなければ分からないところである。
いずれにせよ、拘束されている人が今取り調べを受けているとのことであり、事情をよく拝察し、出来るだけ円滑にこの問題が解決できるよう邦人保護の観点より協力をしていくとのことである。
(問)先程、膠着状態は続いているけれども大統領は努力しておられると言われたが、具体的に努力とは何をいうのか。
(報道官)具体的なことについてはコメントを控えたい。
ただ最近、フジモリ大統領、パンドルフィ首相がインタビューその他において、その考え方を外部に披露しているが、そこからも、MRTA側とコンタクトは出来ていないが、真剣な努力がなされていることは皆さんに分かって頂けることと思う。
在ペルー大使公邸占拠事件
○冒頭発言
(問)昨日の会見で質問のあった、ペルー現地で拘束されている日本の記者だが、容疑や法律上の根拠についての回答は。
(報道官)我々がペルー政府側から受けている説明によれば、ペルー憲法の第2条24項f2による身柄拘束ということだ。
(問)それは非常事態宣言と関係あるのか。
(報道官)もともと憲法にある規定である。先にブリーフィングで説明した経緯があるが、これは拘束について定めているペルー憲法の条項で、非常事態宣言云々に直接関わるものではないと理解している。
(問)(当該憲法の規定は)非常に総則的なものだと思うが、これ以上の法的根拠あるいは容疑はないのか。こうしたものにつきもう少し調べていこうと考えはないのか。
(報道官)今、ペルーに於ける関連の法律に基づいて取り調べが行われており、記者の方には弁護士が付いているとのことである。従って質問の件については弁護士と警察当局で色々話し合っていくものと理解している。我々としては、邦人保護の観点から適正な手続きに沿って身柄拘束等が処理されているか見守っていくということであり、具体的な問題は弁護士とペルーの警察当局に委ねたい。
(問)現地大使館員が記者と接触したらしいが、具体的な話はあったのか。
(報道官)報告ではその場で適当な通訳がいなかったので、通訳として取り調べに関わったと聞いている。
(問)大使館員がか。
(報道官)そうだ。
(問)その時点では逮捕されているかどうか確認できていないのか。
(報道官)あくまで通訳として働いたとのことである。当該記者の個人的なプライバシーに関わることであり、質問については政府側から答えることは一切差し控えたい。
(問)個人的なプライバシーに関わるという理由でか。
(報道官)これは(取り調べは)あくまでペルー政府が行うべきことであり、我々(政府側)が接見をしたのではない。
(問)今後正式に大使館員が接見する予定は。
(報道官)手続きが適正に行われている限り政府側より特に要求することはないと思う。いずれにせよ弁護士側が色々と判断していく問題と考えている。
(問)手続きが適正に現在行われていると政府は考えているのか。
(報道官)今のところ取調中であるとのことであり、根拠についての説明は聞いているが、それについて今我々として判断する立場にない。いずれにせよ適正でないとは例えば弁護士からは聞いていない。
本件に限らず、外国でその国の法律に違反するとの疑いで取り調べを受けている場合、明らかに適正でないということが判断される場合以外、我が政府は相手国の手続きに従って調査等が行われるのを見守っていくということが基本的姿勢であり、今回もそのような立場をとっているということである。
(問)昨日配布された和訳の憲法では、素人目で見ても、テロを行った被疑者は15日までの予備拘束を受けるとされており、今回の記者はテロを行ったのではないのに24時間以上拘束されているが、これについて政府として何ら申し入れする用意はないのか。
(報道官)1つの根拠としてこの規定が示されているが、いかなる解釈のもとにいかに適用されているかは日本政府として有権的に解釈する立場にない。いずれにしてもこの問題は当該記者に弁護士がついているので、質問の事項を含め今後とも弁護士から当方への照会等が行われていくかと思われるが、日本政府として介入するものではない。
(問)外国の警察当局に邦人が拘束される場合、一般に日本の大使館員が警察当局の代わりに通訳することとなるのか。
(報道官)詳らかにしない。
(問)2条24項f項というのは、1つには一般犯で裁判所の令状がある場合24時間の拘束ができること。もう1つはテロや麻薬に関する場合は15日間の拘束ができることである。今の質問の文脈からは後者のテロの方に関連して拘束されているとの理解でいいのか。
(報道官)我々は有権的解釈をする立場にない。我々としては(ペルー政府が)根拠として挙げたのは今のところこの条文だということだ。
(問)解釈や介入をしないとの立場はわかったが、事実関係は確認しないのか。
(報道官)取り調べられている人の為に何が行われるべきかはまさに弁護士の仕事であり、政府の役割ではない。そうした問題は弁護士が処理するということである。その過程で、あくまで仮定の話ではあるが、何か不適切な処理の仕方があった場合、政府として言うことがあれば言っていくが、邦人保護という一般的観点からすれば、その国の法律のもとで弁護士がついているという事態においては、政府は事態を見守っているということだ。
(問)一般的な邦人保護というが今回の問題は一般的状況と思えないが。
(報道官)「一般的状況下」とは言っていない。一般的に邦人保護と言ったのである。
(問)今回の件が一般的邦人保護の件か特別な邦人保護の件なのか。
(報道官)邦人保護に特別とか一般とかの差はない。このような事件が起きた場合は一般的に邦人保護の立場からするとこういうことだ説明したのだ。
(問)そのf項というのは拘束期間について2つあって、それは解釈ではなく、どちらかを適用しているのかという問題だと思うが、それすらはっきりしないのか。
(報道官)具体的にペルー警察当局により取り調べが始まっている。なおかつ弁護人がついている。我々としてはこれを見守っている。質問の問題は全て弁護士がやるべき問題と認識している。
(問)24時間過ぎているということは15日が適用されていると見ているのか。
(報道官)それはまさに弁護士の仕事である。日本政府が直接考える問題ではない。
(問)報道官は邦人保護の観点から法が適正に運用されているか見守っていると言ったが、24時間以上拘束されて裁判所に身柄が移されていないということはf項後段によって拘束がされているととらざるを得ないのではないか。
(報道官)そう解釈するのは(皆さんの)自由だが、こういった1つの国の手続きについて、(仮定の問題として)適正でないとの判断があった場合は何か言うことはあろうが、今の時点この事件について日本政府が意見を言うことはない。
(問)具体的な根拠についてf項前段か後段かとか、或いはそれ以上の具体的な容疑について調べるのか。
(報道官)あくまで日本のテレビ会社及びそれに関係する人がが取り調べを受けている。その代理人として弁護人が活動している。
(問)その1人は邦人ではないのか。
(報道官)邦人であっても日本政府ではない。
(問)その邦人は邦人保護の対象にならないのか。
(報道官)まず、弁護士がつくかつかないかで非常に大きく事情が違う。今回は弁護士がいち早くついてテレビ会社のために仕事をしている。その過程で、日本政府に援助を求めているということは今のところない。あくまでも当該会社及び弁護士のやることであり、今政府が関与すべきものとは考えていない。
(問)現状ではか。
(報道官)そうだ。
(問)法に基づいていなければ邦人保護の観点から政府が何らかの措置をとるのか。
(報道官)一般論では適正な手続きに沿って処理がされていないと判断される場合には、その時々の状況によるが、適切な措置をとるということだ
(問)その判断根拠は、今回はどの部分が適用されているかどうかと思うが。
(報道官)当該会社なり弁護士なりから一切そういった話は聞いていない。
(問)一般論でいいが、邦人が海外で拘束されている場合、弁護士がついている時どういう法律に基づいて拘束しているかわからなくても外務省としては邦人保護の義務を果たしているということか。
(報道官)義務を果たしていないなどとは一切言っていない。
(問)はっきりさせる必要はないのか。
(報道官)いずれにせよ今我々として適正な手続きの基づいて処理されていないと弁護士から聞いていない。いずれにせよ、弁護士はペルーで働いている人であり、色々な法律の解釈ができる。日本政府はペルーの規定を有権的に解釈できない。どんな形でこの問題が扱われるかわからないが、弁護士と警察当局の話し合いということになっている。
(問)政府として弁護士に接触する考えはないのか。
(報道官)例えば全く一般論であるが、いずれ適正な手続きに沿って物事が処理されていないといったような疑いが出てくるようなことがあった場合は、こちらから弁護士に話をするというよりも、まず弁護士から何か言って来るのではないか。日本政府が事件に巻き込まれたわけでなく、日本の私人がペルーの法律違反の疑いで取り調べを受けているということであり、それが出発点であるので、その方のためにいろいろの点で働くのは正に弁護士の仕事であると心得ている。
(問)具体的な解釈は別にしても、ペルー政府に対して今回の拘束に当たるものが例えばこの項の前段であるのか後段に該当するものなのかを尋ね、その回答を我々にお答えいただけないのか。
(報道官)もしも皆様方にそのような関心があるなら、弁護士に聞くなりペルー政府に聞く問題であって、日本政府に聞くことではない。
(問)人質事件の推移だが、昨年末に報道陣がテロリストと接触した後、膠着状態という言い方をしていたが、その認識は変わらないのか。
(報道官)現実問題として膠着状態が続いている、動きがないとの認識はその通りである。また、その点についてはフジモリ大統領自身認めている。ただそのこと自身が即ちフジモリ大統領が何も努力していないと言うことではなく、米国のテレビや色々な報道機関にインタビューされているところを見ても、色々努力されていることは分かる。
(問)これまでは報道機関に発言することは少なかったと思うが、ここのところ積極的にインタビュー等で発言しているが、これはペルー政府の戦略が変化しているとの認識なのか。
(報道官)フジモリ大統領がどのような考えであのようなことをされているかつまびらかにはしないが、我々は今までペルー政府側と緊密な連絡、情報交換を行ってきており、フジモリ大統領の考えというものは我々なりに十分理解して来たところである。ところが、これまではフジモリ大統領自らそういった点について対外的に話をしなかったので、我々の理解ということで皆さんに話してきたが、フジモリ大統領が色々と話されたことによってこれまで我々が説明してきたことと、フジモリ大統領が今言われていることが一致しているという認識である。
(問)フジモリ大統領が視察に行かれた際に、身代金に触れられ、企業がそのような要求に応じないようにというような趣旨のことを発言しているのをテレビで報道していたが、これはどのように解釈したらよいのかわからないが、そのような意味合いがあるいはインディケーションはあったのか。
(報道官)翻訳の問題もあるのか、身代金という言葉が使われているかどうか分からない。しかし、いずれにせよフジモリ大統領が言われていることは、テロの脅迫には屈しないということである。日本企業云々についても、そのコンテクストで言われているものと我々は理解している。
(問)日本企業がテロに屈しないという様なコンテクストでということだが、例えば一番ぴんとくるのは身代金のことが思いつく。そういう個別的な意味合いはないのか。
(報道官)フジモリ大統領が昨年12月21日に国民へのメッセージを発表して以降、フジモリ大統領の姿勢、考え方というものは一貫したものであり、何かその間に変わったものがあるというふうには我々理解していない。
(問)日本企業等の対応が変わってきたからあのような発言に繋がったというわけではないのか。
(報道官)何度も繰り返して恐縮だが、現地において身代金云々についての憶測が流れたときに、日本政府として根拠のないと、根も葉もないとかとの形での評価はこれまでに何回か言ってきているし、日本企業の対応が変わってきたとは我々は理解していない。
(問)セルビアについて、タイミングの問題として今この時期にというのは若干遅いと思うが、如何。
(報道官)セルビアについては長い経緯があり、その都度外務報道官コメントといった形で説明してきている。
(問)セルビア側には伝えているのか。
(報道官)色々な形で既に伝えている。今般こういった形(報道官談話)でこの度OSCE常設理事会で報告書の勧告の迅速かつ完全な履行を当局側に求めるという結論が出たことを踏まえ、この報告書を真剣に受け止めて尊重するよう特にセルビア当局に対して強く呼びかけるということである。
(問)一部都市で野党の勝利を当局側が認めているようであるが、この動きについての考え如何。
(報道官)我々とすれば、個々の具体的な選挙結果等について判断する立場にないが、従来からOSCEに協力して色々日本なりの支援協力をしてきたところであり、我々としては、OSCE調査団の報告書が正しいという認識の下に、これをセルビア当局が真剣に受け止めて尊重することを求めるということである。
(問)ペルーにおいて現地の日本人記者が現在、現地の警察当局に留め置かれ、取材したテレビカメラ、ビデオテープ、ノート等が押収されたという現地報道があるが、現状をどのように承知されているのか。
(報道官)我々がとりあえずペルー政府側から受けている連絡によると、二人に対する取り調べが行われ、また彼等が住んでいる場所の捜索が行われたということである。関連の法律により、このような措置がとられたということである。
時間的な制約もあり、今の段階で連絡を受けているのは以上であるが、現地時間で1月8日勤務が始まったところで、然るべくわが方からペルー当局にどのような取り調べが行われているのか等々照会する予定にしている。
(問)関連の法律というのはどのような法律か。
(報道官)まだきちんとした話を聞いていないので、先方から正式な回答があった段階で説明させて頂きたい。
(問)仮に日本国内で同様なケースが起きて、外国のメディアがそこに入っていった場合、日本の警察が外国メディアに対して拘束することは如何なる場合でも難しいと思う。これはペルーでは何か可能な法制度等があるのか。
(報道官)日本の場合とペルーの場合を比較云々することは適当かどうかわからない。いずれにせよ、2人が如何なる法律のもとで取り調べを受けているかについては、繰り返しになるがきちんと照会するつもりである。
なお、大使公邸がある場所を含め、現在非常事態宣言が布告されており、これに基づく取り締まりが行われている。詳しくは存じないが、大使公邸周辺の一定地域に立入禁止区域が設けられている。こういう事実だけは、とりあえず承知しているということを申し上げる。
(問)逮捕されたということではないのか。
(報道官)そこも含めて、我々の解釈できるような言葉のどれが適切か判断しかねるところがあるので、とりあえず我々としては2人が警察当局の事情聴取を受けていると受け止めている。詳しいことは、現地時間1月8日に照会して把握していきたい。
(問)先ほどの首相のメッセージの中で「日本人を人質にすることによる恐喝」という言い方をしているが、これは身代金のようなものを念頭に置いた表現と考えられるのか。
(報道官)先方からまだ詳しい話しを聞いていないので、我々にも必ずしも十分理解できないところがある。先方から詳しい説明を受けない段階でこちらから解釈すると、皆さんをミスリードすることになるおそれがあるので、差し控えさせて頂きたい。
ただ、テロに屈しないということは元々ペルー政府はいろいろなことで明らかにしている。また、私の記者会見の場において、身代金ということについては日本側もペルー側もその支払いは考えていないことを説明させて頂いた経緯がある。繰り返しで恐縮であるが、このメッセージについて個別の詳しいことは我々から説明できないことを理解頂きたい。
(問)査証の発給については、停止してからそう長くないが、どのような事態が変わって再開できることになったのか。大量の人が来た等あったのか。
(報道官)領事担当職員がいなくなったこともあり、一時的な措置として事前に査証を持っていなくても、何らかの形で身分を証明する文書があれば、そのまま来て頂き、入国の時点において入国管理官がその場で審査することにしていた。しかし、このたび近隣の領事担当職員の出張という形で、査証事務も在ペルー日本国大使館でできるようになったということである。
(問)その間にどっと人が来たということはなかったのか。
(報道官)一時期日本においてそのような報道がなされたこともあったが、入国管理当局から外務省はそのような話は聞いていない。
(問)昨日の銃声について、その後何か更に詳しいことはわかったのか。
(報道官)我々は赤十字国際委員会から話を聞いたが、内容は赤十字国際委員会のシェレル次長がインタビューで述べていたことと同じであった。即ち、射撃音は空に向けて撃ったもの、けが人はいないという説明である。
(問)何で撃ったのかということは承知しているのか。
(報道官)承知していない。
(問)警察から事情聴取を受けている2人の住んでいる場所の捜索が行われたという意味は、ホテルと受け取ってよいのか。
(報道官)1人はペルー人であり、その人は自宅があるのかもしれない。日本の記者の方は恐らくホテルであろう。現実に今滞在しているところという説明を受けている。
(問)2人についてはどのような容疑で調べているのか、現地対策本部にもまだ一切入ってきていないのか。
(報道官)まだ現在取調中ということである。
(問)パンドルフィ首相が出した声明の中で、ゲリラ側が身代金を要求する可能性があれば、これを拒否する方針を決定したと通信社が報道しているが、このように発言したということも確認されていないということか。
(報道官)パンドルフィ首相が国民に向けて発表したメッセージは、皆様方に渡した仮訳そのものであると我々は理解している。
(問)「身代金」という言葉は入っていないのか。
(報道官)入っていない。日本語で言う「恐喝」という言葉は入っているが、「身代金」という言葉は入っていない。
(問)外務省としては説明は受けていないが、それを支持する姿勢であることは変わりはないのか。
(報道官)我々は個別の事項について説明を受けていないので、個々のことについてはどのような意味か不明というところはある。しかしながら、全般的には先ほど申し上げたとおり、日本政府はペルー政府の努力を支持していく。
(問)現在のところ首相の声明発表ぐらいで、二人の正式な遺憾の意を表明したものはペルー政府から届いていないのか。
(報道官)まだ届いていない。
(問)二人の記者の侵入事件に関して、現地対策本部が当該所属しているテレビ朝日の関係者を立入禁止にしたという報道があるが、これはどのような根拠に基づくのか。
(報道官)我々が承知しているのは、現地対策本部においてリマに出張中の記者の方々に対し、記者懇談を実施している。これには全ての報道機関の方が参加されているわけではない。しかしながら、大手の日本メディアの方々は集まってこられるという話を聞いている。これらの方々に対して、現地対策本部において立入禁止区域内に入る時には、必ずペルー政府側の許可を得てほしいということを要請した経緯がある。その場にいた当該記者が現在取り調べを受けているということであり、現地対策本部としては正式に要請したことを守ってもらえなかったということで、当該社の方に現地対策本部に来て頂くのは差し控えて頂きたいという措置をとったと報告を受けている。
(問)正式にということはどういうことか。懇談というのは所謂ブリーフィングのような非公式なものではないのか。
(報道官)現地対策本部としては、出張されている日本の報道関係者のために必要がある時には便宜供与をしているが、どのくらいの期間かについて報告は受けていないが、それを含めて今後は来て頂くことを遠慮して頂く措置をとったと報告を受けている。
(問)現地対策本部の判断で決めるということか。
(報道官)然り。
(問)立入禁止区域内に入るには許可を得てくれと正式に要請されたという言葉を遣われたが、正式にというのはどのようなことか。
(報道官)何をもって正式かということがあるかもしれないが、先日現地において対策本部とメディアの方々の意思疎通を良くしていくために、幹事社のようなものを作って頂きたいと頼み、快くそれを受けて頂いた経緯がある。現地時間12月31日に一部報道関係者の大使公邸侵入事件が起きたため、ペルー側との間でトラブルが生じないよう、現地対策本部として懇談が行われた後、張り出しという形でそうした要請を行った。その場には現在取り調べを受けている御当人もいたということである。
(問)今回の侵入事件と、この前の共同通信の場合を言われたが、後者については立入禁止区域に入っていくところまでは了解されていたのではなかったのか。
(報道官)正確に言うと、ペルー政府側が了解したのは、大使公邸の正門前までの立ち入りは認めるということであった。しかし、その事前了解に反して一部の報道関係者がそこから大使公邸内に入っていってしまった。今度の場合は、そもそも正門前に続く禁止区域から(警察の許可を受けずに)侵入した。
(問)侵入事件という言葉で二つをくくっていることは、報道官の扱いとしては2つは同じだと見ているのか。
(報道官)特別な意味で2つを侵入事件といっているのではない。正式には、一部報道関係者がペルー政府側との事前了解に反して大使公邸に侵入した件というのが12月31日の件である。今度は1社だけの問題である。
(問)本省としては、テレビ朝日に対して遺憾の意を表明したのか。
(報道官)先ほど申し上げたように、総理大臣、総理大臣臨時代理、官房長官それぞれ遺憾の意の表明があった。対策本部としては、このような方々の意思表明を受け、今はとりあえずどのような理由で取り調べが行われているか等必要なことを調べていくつもりである。
(問)身代金に関わる説明とは、どんな説明をしたのか。
(報道官)斉藤領事移住部長の方から、身代金に関わるこれまでの各種の報道に対する日本の対応ぶりを詳細に説明した。
(問)身代金要求については、橋本首相は「そういうものはない」としているが、外務省はコメントしないといっている。実際はどうなのか。
(報道官)ご質問は5日付のある日本の新聞に出た記事に関連したことだと思うが、この点について5日の私(報道官)の記者会見における私の答え方が杓子定規に過ぎたと思っている。5日、総理大臣は、「少なくとも全くそういう打診は受けていないし、受けていないから拒否もない」と対外的に言われた。この記事は、日本企業に関連するものであり、日本政府の対応ぶりを直接に取り上げたものではなかった。このことから自分(報道官)は、総理大臣の発言を受け、むしろ「この種の記事はペルー政府の努力を著しく阻害する」という点を強調することに努めた。その関連で「事実関係を確認したか」との質問に対しては、総理大臣が既にこの点について発言されている以上、自分(報道官)からは「一切コメントしない」という政府の基本的立場を繰り返す方が適切と判断して、そのような記者会見でのやりとりになったものである。今後とも人質関連の質問については、私(報道官)からは今説明した日本政府の基本的立場を述べることになると思うが、こと5日付の本邦紙に報じられている「MRTAが人質をとられている日本企業に対し総額1億ドルの身代金要求をした云々」の記事の内容については、これは政府として事実に反していると判断していることをこの際改めて話させて頂く。
(問)どの点が事実に反しているのか。
(報道官)政府はペルー政府はじめ関係国、関係者と緊密な連絡、情報交換を行っているが、この「MRTAが人質をとられている日本企業に対して総額1億ドルの身代金要求云々をした」という記事の内容については、諸情報を注意深く分析した上で政府としてこうした記事の内容は事実に反していると判断したものである。
(問)だからどこが事実に反しているのか。要求自体か。
(報道官)MRTAが人質をとられている日本企業に対し総額1億ドルの身代金要求をした云々のところである。
(問)つまり要求自体がなかったということか、または1億ドルという額のことか。
(報道官)額を含めて全てである。MRTAが人質をとられている日本企業に対し総額1億ドルの身代金要求をしていたという、そのこと全体である。
(問)今日の説明会で、改めて企業側にそういう要求があったかどうかを確認したか。
(報道官)本日の説明会で、どのようなやりとりがあったかについては、恐縮だが説明を差し控えさせて頂くが、既にこの場でその都度説明してきた身代金に関わる報道が行われた際の日本政府の対応ぶりについては、詳しく斉藤領事移住部長から出席の方々に説明した。
(問)今後個別に説明というが、もし身代金要求などがあったら政府にすぐ連絡するようにということか。
(報道官)今後と言ったが、既に個別に連絡を取り合っている。例えば赤十字国際委員会を通じる家族の方々と人質との間の通信の問題とか、その都度ファックス等、電話等で個別に取り合ってきているが、改めてこの説明会に比べて連絡を随時取り合っていこうということを確認し合ったことである。従って「今後も」ということである。
(問)それは身代金要求のようなことも含めてか。
(報道官)身代金のことについては恐縮だがコメントしない。いずれにせよ先程申し上げたように、関連企業の方々、また今日は関連企業の代表の方々だけでなく、大使館に他省から出向している方々及び外務省の職員の家族も来られていた。皆様方は先程も説明したように、今後の事態の成り行きとか見通しとか、人質となっておられる方々の健康問題について引き続き大きな関心があるということだったので、そうしたことも含めていろいろと連絡し合っていきましょうということが確認されたということである。
(問)事態の見通しについてはどのように説明したのか。
(報道官)事態の見通しについては、こう着状態に陥っていて、依然として状況は厳しいという判断、評価の下に、これまでの(12月)24日からのいろいろな推移等を説明した。
(問)通産省からも来ていたが、どんな理由からか。
(報道官)ついこの間まで日下経協部長と担当の室長の方が現地対策本部で働き、その間特に進出企業の方々との現地における連絡体制整備ということにいろいろ努力してきた。それを踏まえて本日、出張した担当の室長にも来て貰ったということである。
(問)今日、関連企業の方は各社か、全社か。
(報道官)私(報道官)から申し上げ得るのは、関連企業の方と関連の館員の方々ということで、30名弱であった。
(問)企業ないし家族の方から外務省に何か要求、お願いみたいなものは出なかったか。
(報道官)質疑応答が行われたが、その内容については恐縮だが説明を差し控えさせて頂きたい。
(問)企業数、団体は何企業なのか。
(報道官)それについてもわが政府からは確認はしない。
(問)欠席した企業もいたということか。
(報道官)自分(報道官)自身、具体的にどういう企業の誰が出席したということまで承知していないが、関連する企業の方々は集まっておられたと了解している。
(問)全社ということか。
(報道官)そこまでは分からない。いずれにせよ、この前の第2回説明会の模様についても何社、何人集まったということについては私(報道官)の方から説明するのを差し控えさせて頂いた経緯もあり、今程度の説明で止めさせて頂ければ有り難いと思う。
(問)経緯を知らずに聞くのだが、改めてなぜ何社という数字とか関連企業が全部でいくつと知らせてもらえないのか。
(報道官)いろいろと皆さん方で報道はしているが、具体的にどういう社の、どういう方が人質になっているということについては、政府の方からは発表しないということでずうっと来ている。
(問)その発表できない理由は何か。
(報道官)こうしたことについてそのような発表をすること自体が、人質になっておられる方々の生命等に何らかの悪影響を及ぼしてはいけないということで、当初からわれわれの方からは発表することを差し控えさせて頂いてきた。
(問)それは今も変わらないということか。
(報道官)そうである。
(問)1月1日以来、新しい解放はなく、依然として厳しいこう着状態というが、これはどんな判断からか。つまりゲリラというか彼らはしばらく粘るつもりなのかどうか、その辺の分析はやっているのか。こうしたこう着状況の理由だが。
(報道官)日本時間で昨年12月28日にパレルモ教育大臣がMRTA側との直接対話を始めた。しかしその後、一部報道機関が公邸内の取材、報道をして、その後7人の人質が解放されたが、それ以降こう着状態に陥っているということであり、なにゆえにこう着状況に陥っているかといったことについては、総合的に申し上げることも出来かねるが、いずれにせよ、このような状況が先程申し上げた一部報道機関による取材、報道を1つの原因として生じるようになったと判断せざるを得ない。恐らくこのこう着状態が今後どうして解消に向かうのか皆さん考えておられると思う。われわれとしては、こう着状態はずっと続いているが、ペルー政府が引き続き人質解放のために真剣な対応をしていると考えている。ペルー政府がいつ、どのような行動をとるかについては、日本政府はペルー政府に全幅の信頼をおいてペルー政府の対応に委ねていく所存である。いずれにせよ、日本として行える協力については、引き続き積極的に行っていく考えである。
(問)橋本総理も一部報道機関がああした報道をしたのは遺憾というような発言をされ、今報道官もそう判断せざるを得ないと言われたが、それはそのように判断する材料があるわけか。それとも単なる推測なのか。
(報道官)これは推測ではない。今までペルー政府その他関係国、関係者の方々と広く意見を交換し、情報収集をしているところである。ただそうした意見交換だけでなく、客観的事実としても、MRTA側とペルー側との直接対話が始まって、その後あのような事件が生じ、7人の解放はあったが、その後何の変化も起こらなくなってしまったということを考えると、それがどれほどの重さであったかとか大きさであったかは別にしても、1つの原因であったと判断せざるを得ない。
(問)どうもそれは推測に過ぎないような感じがするが、例えば7人を解放した後は占拠グループはその後はしばらく動けなかったかも知れないが、それを判断せざるを得ないというのはもっとしっかりした材料を持っているからか。
(報道官)自分(報道官)がここで発言しているのは、自分(報道官)の個人的判断ではない。今までのいろいろな情報を分析した上での判断である。
(問)するとその判断はハプニングがなければもっと進展するはずであったというはっきりした見通し等があったと考えてよいか。
(報道官)個々の状況のことについては正にペルー政府のこの問題の解決に向けての対応に直接に関わることなので、その質問に対し直接に答えるのは差し控えさせて頂きたい。いろいろ情報はあり、いろいろな話があったということは事実だが、今の質問そのものに答えるのは日本政府としは控えさせて頂きたい。
(問)身代金に戻るが、日本政府の対応ぶりを説明したというのは、どんな説明か。
(報道官)これは身代金に関わる報道についての政府の対応ぶりということである。即ち、昨年の12月28日及び29日現地で「日本政府は身代金の支払いの途を開く用意がある」という報道があり、それに対して30日の自分(報道官)の記者会見で、「このような報道は根も葉もない」と申し上げたという点。1月3日の自分(報道官)の会見で「陰に陽に依然として憶測の記事が行われているようなので、この際ペルー側も日本側も身代金の支払いは考えていない」ということを申し上げたという点。それから先程説明した1月5日の総理発言及びその日の外務報道官会見で述べた政府側の立場、それを斉藤領事移住部長から企業の代表の方々に説明した、ということである。
(問)身代金については出席者の質問に答えてということか。
(報道官)冒頭に説明したように、堀村審議官に続いて斉藤領事移住部長は公邸内の生活、保健、環境についての説明をし、引き続いてその問題とは直接関係ないのだが、こういう対応ぶりを政府がしたという説明をしたということである。
(問)「延期されたことを評価する」となっているが、6カ月延びただけだ。EUは対抗する立法措置を採択し、カナダ政府はもっと強い対抗措置を明らかにしているが、わが国としては例えばヘルムズ・バートン法を将来とも運用しないようにするとか、もっと強い働きかけを米国政府にするような計画はないか。
(報道官)ヘルムズ・バートン法そのものが一般国際法上許容されない域外適用の恐れがあるという懸念は従来伝えてきたところである。そうした中で、わが国は実際上はこの法律によってほとんど影響を受けないということもあり、カナダやEUといったような措置はとっていない。他方、WTOにおいて昨年の11月20日にパネルが設置されている。それに対して12月2日に書面でわが国はこのパネルに第三国として参加する旨通報している。ただまだ審議がされていない。審議が行われた場合には、わか国として引き続き先程申し上げた懸念を伝えるとともに、慎重な運用を求めていく所存である。
(問)つまりEU、カナダと歩を一にするということか。
(報道官)EU、カナダはそれぞれいろいろ国内的な措置をとるよう国会の動きとかいろいろあるようだが、そういったこととは日本は異なる対応ぶりである。
(問)しかし、立場は同じではないのか。
(報道官)国際法上許されない域外適用の恐れがあるということでは、他の国と同じ立場である。
(問)最後のコメントで「キューバの民主化はいまだ不十分で、一層の民主化が必要」といきなり出てくるが、どのあたりの改善を日本政府はキューバに望んでいるのか2、3教えてもらえないか。
(報道官)今具体的に言える材料は持っていないが、自分(報道官)がこれまで説明を受けたところでは、キューバで経済改革が行われているということで、経済改革を進めていくためにも日本の経験からして民主化というものが必要であるといった点について機会あるごとに先方に話しているといったことが1つあげられる。
(問)すると第3章の域外適用以外のヘルムズ・バートン法の趣旨とキューバの民主化は分かるということか。
(報道官)趣旨はよく分かるが、だからといって国際法上許容されない域外適用の恐れがあるのは困るということである。
昨日の記者会見から本日にかけて報告すべき事態の進展はない。残念ながら膠着状態ということである。
本5日、日本の1つの新聞がMRTAが人質をとられている日本企業に対して総額1億ドルの身代金要求していた云々と報じている。日本政府は、これまでこの種の報道については多くの人質の方々の命と安全に関わるこの事件の性格に鑑み、個々の事実関係の確認を含め、一切コメントしないということを基本立場として保持してきた。しかしながら、事件が膠着状態となり、様々な情報が飛び交うなか、本日このようなMRTAを利する記事が出たことは極めて遺憾である。この種の報道が今後とも行われることは、今回の事件の一刻も早い平和的解決並びに人質の全面開放に向けたペルー政府の努力を著しく阻害するものと考える。
(2)質疑応答
(問)MRTA側を利する記事が出たことは極めて遺憾ということは、記事の内容について遺憾とすることではなく記事が出たことを遺憾とするということか。
(報道官)冒頭申し上げた通り、MRTA側に人質に取られている本邦企業が総額1億ドルの身代金を要求されているといった内容の記事が報道されることはMRTAを利すると政府は判断しており、そのような記事が出たことを遺憾とするという意味である。
(問)内容については、日本政府はこのような事実があったということについて確認はしたのか。
(報道官)冒頭申し上げた通り、個々の事実関係についての確認については一切コメントしないというのが基本的立場である。しかし、この記事が出たということについては遺憾の意を表明しておくことが適切であると判断したものである。
(問)事実関係は別にして、記事が出たことが遺憾ということなのか。
(報道官)この身代金云々ということについては、以前の記者会見の場でも説明した通り、基本的にはこういったことについてはコメントしないというものである。しかしながらその中でも特に我々として意見を述べておいた方がよいと判断した場合には、それぞれ違った状況ではあるが、これまで今回を含め3回身代金関係についての政府の立場を申し述べてきた。詳しく述べると、去年の12月30日に「日本政府は身代金の支払いの道を開く用意がある」といった報道が28日及び29日に現地において行われたことを受けて「そのような報道は根も葉もない」と述べた経緯がある。更に1月3日身代金の支払いについて憶測が行われていることを受けて「ペルー側も日本側も身代金の支払いは考えていない」ということを述べた経緯がある。身代金に関して、基本的にはいっさいコメントしないとの立場であり今後ともその立場を続けていくが、今申し上げた事項については政府としての考え方を表明しておく必要があると判断した。
(問)橋本総理は否定していたが、事実関係について外務省として否定すべきではないのか。
(報道官)今朝、橋本総理大臣、池田外務大臣、高村政務次官がオペレーションルームに来られ、我々からこれまでの経緯について説明を行った。現地対策本部に出張していた日下通産省経済協力部長が帰ってきて、同部長から現地において直接見聞きしたことを含めた詳細な報告を受けた。その他、諸情勢について分析を行った。
(問)政府のこの種の記事に対する考え方は分かったが、要求があったかどうかについてはコメントしていないのか、このような事実はなかったと否定しようとの考えはあるのか。
(報道官)こういったことがあったのかなかったのかという事実についての質問については、基本的立場に戻りコメントしないというものである。
(問)日本政府に対して要求があったということについてもそうなのか。
(報道官)この手の問題については、従来日本も主要国もそうであるが、正に人質の命に関わることであるので、コメントしないというのが原則である。しかしながら一方において色々な憶測記事が出たときにおいてそれが事態の解決に資さないと判断した場合には、今回も含めコメントすることもありうべしということである。
(問)今回のは憶測記事ということなのか。
(報道官)今回のことについては冒頭に説明したこと以上でも以下でもない。遺憾と申し上げたのは事件が膠着状態を示してさまざまな情報が飛び交う中、このようなMRTA側を利する記事が出たことは極めて遺憾ということである。
(問)MRTA側を利すると判断した根拠如何。
(報道官)これは冒頭説明したことと裏表の関係であるが、この種の報道が、何らかの形で今後とも行われることは、この事件の一刻も早い平和的解決並びに人質の全面解放に向けたペルー政府の努力を著しく阻害するからである。
(報道官)本日午後1時より来日中のラモス・ウルグアイ外相と池田外務大臣との会談が行われた。今回の会談は、在ペルー日本大使公邸占拠事件に関するウルグアイ政府の立場を直接我が国に説明するとのウルグアイ大統領の指示によって、ラモス外相が急遽派遣され、実現したものである。我が国としてはウルグアイ大使の解放が結果として事件をより一層複雑なものにしたと認識しているが、今回ウルグアイ側が外務大臣を急遽派遣したことは同国の誠意の現れとして一定の評価はできると考えている。他方、現地においては、現地時間昨年12月31日の一部報道関係者による公邸内の取材・報道以来、1月1日に7名の人質の方が解放されたことを除いては、事態の進展は認められず、ある意味で膠着状態に入ってしまったと言える。このようなことから、残念ながら事件は依然厳しい状態にあると言わざるを得ない。政府としては、事態を注意深く見守ると共に、一刻も早い本件の平和的解決、人質の全面解放に向けて全力を傾注していく考えである。なお、これまで2度に亘って、事件に関係を有する日本企業に対する説明会を開催してきたが、第3回目の説明会を1月7日に行う方向で準備を行っている。
この説明会の主たる説明事項は、昨年12月24日に開かれた前回の説明会以降の現地情勢及び公邸内の衛生状態確保のための諸処置である。その他、邦人企業側から何らかの要望があれば、現地に取り次ぐ用意がある。
最後に1月3日付ウォール・ストリート・ジャーナル紙が米のテロ専門家の話として、今回の事件で、米政府が日本側に対して、MRTAの要求に寛大な対応をしないよう強い圧力をかけた模様である旨報じているが、これは事実無根である。このような報道が行われること事態極めて遺憾と考える。
(2)質疑応答
(問)本日のウルグアイ外相との会談では、日本のウルグアイに対する支援問題は話されなかったのか。
(報道官)今日は、二国間の問題についてはほとんど話されなかった。ちなみに日本は過去ウルグアイに対し円借款を供与したことがあるが、ウルグアイはかなり所得の高い国であり、同国に対して我が国は、技術協力として研修生の受入れ、専門家の派遣等の協力を進めているが、いずれにしても今日は経済協力の話しは出なかった。
(問)膠着状態に入ったと言われたことについて、以前は長引くこと自体決して悪いことではないと言われたと記憶しているが、今言われた膠着状態というのは良い兆候なのか、悪い兆候なのか。
(報道官)確かに、総理も何度も言われているように事態が長引いていること自体は、強硬策が採られていないとのことであるが、他方我が国としてはこれまでペルー政府に全幅の信頼をおいて出来るだけ早期に、平和的に、この問題が全面的解決を見ることを臨んできており、現実に昨年末にはペルー側とMRTA側との直接対話が始まったということで、事態の進展に有る程度の期待感が出てきたところでまた膠着状態がでてしまった訳である。これまで、こうした機会に、何度か説明したが、我々一つ一つの事象に一喜一憂すべきとは思わないが、12月31日の公邸内の取材、その後の7人の人質の解放以降、事態の進展がないことに対して、我々は状況が厳しいとの認識を持たざるを得ない。他方、公邸内の人質の方々の様子については、いろいろな関係者からの話を聞いていると、平静さは保たれているとのことであり、生活環境も以前より改善されているとのことである。また、先日シプリアーニ大司教が日本の報道機関とのインタビュ-を受け、その内容が報じられているが、ここからも分かるようにシプリアーニ大司教は長引いている今回の状況の中で、公邸内の人たちといろいろと話をすることによって、少しでも関係者の心の平静が保たれるよう大きな役割を果たしていると我々は認識している。こうしたシプリアーニ大司教の行動が、長引いている事態の平和的解決への貢献となってくれればと期待している。
(問)対ロ政策を変更したとの報道が一部にあったが事実関係如何。
(報道官)橋本総理は昨年末、在ペルー日本大使公邸占拠事件との関連でエリツィン大統領宛に書簡を発出し、その中で日露二国間関係にも言及している。これは、新年を迎えるにあたって、昨年行われた政治対話のモメンタムを今年も引き続き維持することを確認したものであり、それ以上のものではない。一部報道では、我が国政府が対ロ方針を転換したようなことが述べられているが、そのような事実はない。これまでの説明の繰り返しになるが、東京宣言に基づいて、北方領土問題を解決し、平和条約を締結して日ロ関係の完全な正常化を達成するために最善の努力を払うと共に、ロシアの改革努力を支持して、各派の分野における協力と関係強化をはかるとの我が国の考え方に何ら変更はないとのことである。
(問)書簡が出たのは、P8声明文の後か。
(報道官)然り、P8というかロシア大統領として、G7諸国に対し提案をしたことを受けて、橋本総理は昨年12月27日にエリツィン大統領宛に返事の書簡を出した。その中で総理は、エリツィン大統領が在ペルー日本大使公邸占拠事件に高い関心を有していることに敬意を表すると共に、エリツィン大統領に、この事件への対応に関する我が国の基本的考え方を伝達したもの。その後、これ(我が国の考え)はパリにおいて、G7/P8議長国声明という形でまとまって発表された経緯がある。
(報道官)昨日の記者会見から現在に至るまで、新しい動きは見られない。昨日の記者会見でも申し上げたように、現地時間昨年12月31日の一部報道関係者による取材、報道がこれまでのペルー政府の努力を阻害し、事態をより複雑にさせているというのが依然として日本政府の認識である。
日本政府が身代金支払いの道を開く用意があるとの報道が、昨年12月28日及び29日にリマで行われたことを受けて、昨年12月30日の自分(報道官)の記者会見において、このような報道は根も葉もないことを申し上げた経緯がある。その後も、陰に陽に依然としてこのような憶測が行われているようであるので、この際ペルー側も、日本側も身代金の支払いは考えていないことを申し上げたい。
本日3日、在京カナダ大使館より、クレティエン加首相発橋本総理大臣宛書簡が手渡された。その趣旨は、日本政府が執っている措置につき、クレティエン首相自身の確固たる支持を伝えたいということ、橋本総理大臣や池田外務大臣のこの危機の早急かつ平和的な解決に向けての努力をカナダは引き続き全面的に支持する、ということである。
(2)質疑応答
(問)ウルグァイ外相が来日するが、池田大臣といつ会うのか。
(報道官)明日4日午後に池田外務大臣は、外務省においてラモス・ウルグァイ外相と会談する。
(問)総理が兼本(カネモト)警察庁国際部長、米村(ヨネムラ)外事課長からペルーの出張報告を聞いたようだが、その詳細如何。
(報道官)本日総理がオペレーション・ルームに来られ、池田外務大臣、高村政務次官と共に緊急対策本部からこれまでの状況について説明を聞いた。その際、今指摘のあった警察庁の2名がリマから帰国し、出張滞在中の現地の状況について総理に直接説明した。
(問)警察庁の2名は、いつからいつまでリマに滞在したのか。
(報道官)詳細まで承知していないが、12月中であったと記憶している。
(問)警察庁の2名は、オペレーション・ルームには常駐なのか、それとも今日総理に報告するためだけに来たのか。
(報道官)両名は、現地リマにおいては現地対策本部のメンバーとして働いていたが、帰国してからは元々警察庁で勤務しており、今日出張報告を聞いたということだ。
(問)ペルー政府も日本政府も身代金を支払わないということについて、日本はペルー側に再確認したのか。
(報道官)ペルー側については、元々明確な形でテロリズムには、譲歩しないと言って来ており、わが国政府もテロリズムに対する基本的な立場は、従来P8の枠組みで述べてきたものである。そういった双方の基本的立場はあるが、先ほども申し上げたように身代金支払いについて憶測が流れているので、この際ペルー側も日本側も身代金の支払いは考えていないということを申し上げることとした。
(問)今言われた主語は、ペルー側、日本側の両方か。
(報道官)この際、ペルー側も日本側も身代金の支払いは考えていないことを申し上げたいということだ。
(問)先ほど言われた憶測が出た時点で、再度ペルー側と接触されて意志疎通したのか。
(報道官)その点については、説明を控えさせていただきたい。
(問)日本の外務省の報道官がペルー政府の立場を述べるというのは、異例なことだと思うが確認を取ったのか。
(報道官)もちろん日本政府には日本政府の立場がある。他方、以前から申し上げているとおり日本政府はフジモリ大統領のこの事件全体に対する平和的全面解決に取り組む姿勢に全幅の信頼をおいて協力しており、この身代金の問題についても双方の立場は一致しているという意味で申し上げたのである。
(問)ゲリラが日本企業と個別交渉をしているとの話もあるが、日本企業も身代金の支払いは行わないと言っているのか。日本側というのは企業も含んでいるということか。
(報道官)自分(報道官)が今日申し上げるのは、繰り返しで恐縮だが「日本側」ということである。
(問)企業に対しては、日本政府がこういう立場だから、個別交渉はしないようにということを日本政府から企業に対して言っているのか。
(報道官)一般的にこういった問題については、コメントを差し控えさせていただいているが、種々憶測が流れているので、本日「日本側」としても身代金の支払いは考えていないということを申し上げた次第である。
(問)6日に東チモールの活動家のホルタ司教が来日されるようだが、外務大臣との会談等セットされたのか。これに対する外務省の対応如何。
(報道官)最新情報を持っていないので、確認の上、別途お答えする。
(問)ペルーの国家警察のテロ対策本部長人事が行われたようだが、これについての考え如何。
(報道官)他国の人事異動の話であり、コメントは差し控えたい。
(報道官)日本時間本日07時25分頃、7名の人質が解放された。人質が解放されたことは喜ばしいことである。しかし、依然として多数の方々が公邸内に人質として拘束されているという厳しい状況は変わっていない。政府としては、引き続きペルー政府に全幅の信頼をおきつつ、この問題の平和的解決及び人質の全面開放に向けて全力を傾注していく所存である。
さて、日本時間昨日未明の一部報道関係者による大使公邸内の立ち入り取材について、これがこれまでのペルー政府の努力を阻害し、事態をより複雑にしたものと考える。こうした事態にもかかわらず、ペルー政府のこの人質問題に対する基本方針は変わっていないと考える。フジモリ大統領は、現地時間昨年12月31日に報道されたスペインEFE通信との単独インタビューの中で、要旨次の通り述べている。「実力行使を放棄するためにはゲリラ側が保証委員会の前で武器を置き、すべての人質を解放しなければならないことを明確にしてきた。この立場を我々は変えていない。理性と慎重さで行動すれば、最終的には血を流さず、MRTAと人質双方の人権を全面的に尊重した方法で解決されるであろう。対話を維持するための前提については、第一にはMRTAの囚人解放の可能性をすべて排除することであり、次には合意されることについて、誠実かつ忠実に履行されることである。」以上の点である。
我々としてはフジモリ大統領のこのような発言に表れているペルー政府の方針にに全幅の信頼を置きつつ、引き続き緊密な連絡を取りながらこの問題の平和的解決及び人質の全面開放に努力する所存である。
(2)質疑応答
(問)「事態を一層複雑にした。」という理由如何。
(報道官)我々はフジモリ大統領がとっている真剣な努力を全面的に信頼して、協力してきている。フジモリ大統領側でとってきた措置は、一部の報道関係者に公邸の正面前における取材を許可するというものであった。しかしながらそういう事前の了解に反して一部の報道関係者が公邸の敷地内のみならず公邸の建物内部に入り、しかもMRTA側の一方的な主張というものを世界に広げてしまったということであり、こうしたことによってフジモリ大統領のこれまでの対応振りを複雑にさせてしまっている。そのように解釈している。その後も7名の人質が解放されたではないかという指摘があるかもしれないが、これについては現象面のことしか話せないが12月28日にパレルモ教育大臣が公邸に入って直接交渉を開始した以前の段階でも断続的な人質解放の動きはあった。また今回はパレルモ教育大臣が、公邸内には入っていない中で7名の人質の解放があったということを想起したいと思う。今回の7名の解放はあったが、我々としては依然として厳しい状況が続いていると判断せざるを得ない。
(問)ペルー政府の基本的な方針は変わっていないとのことだが、一部マスコミの取材に関する日本政府とペルー政府との意見交換があって、それを受けてのことなのか。
(報道官)その点について、詳しく説明するわけにはいかないが、いずれにせよフジモリ大統領の考え方がこのEFE通信との単独インタビューの中に明確に述べられており、それが今の段階でもそのとおりであるということの説明をペルー側から受けている。
(問)7名の人質解放について、日本政府として理由を聞いているか。
(報道官)同じ事を繰り返して恐縮だが、今回のことも含め頻繁にペルー側と連絡を取り合っており、いろいろな事についての話は承っている。しかしながらひとつひとつのことについて説明するということになるとなかなかそうはいかないので、御理解いただきたい。
(問)一部マスコミが公邸内に入ったことで、ペルー政府から日本政府に対して抗議等来ているか。
(報道官)ペルー政府側なりの反応は然るべく聞いているということをお伝えする。
(問)「MRTA側の主張を世界に広げてしまった。」と言われたが、これはまずかったのか。
(報道官)我々は、フジモリ大統領の真剣な努力に全幅の信頼をおいている。これまでフジモリ大統領は適切な対応をとってこられ、我々はこれを高く評価してきた。そういった時にフジモリ大統領のそうした努力に水を差しかねない一方の側の主張が大々的な形で報道されてしまったということ、これは決して事態の早期解決には資さないものと判断せざるを得ない。
(問)テレビの前でしゃべったことを含め、MRTA側の主張は、日本、ペルー両国政府に伝わっていたのか。
(報道官)既に御承知のようにこれまで断続的に人質の解放がされる時に声明が発表され、それは頻繁に明らかにされてきた。それらの発表について一喜一憂するわけにはいかないが、当初から述べられていたMRTA側の要求がああいった形で発表されたわけで、せっかく直接対話が始まったばかりの段階でそうしたことが今後のこの直接対話に悪影響を与えないことを切に願う次第である。
(問)MRTAのメディアとのインタビューが良くなかったというのは、ペルー政府も同様の声明なり非難をしているのか、それとも日本政府独自の判断か。
(報道官)自分(報道官)は「良くない」とは言っていない。「こうした報道がこれまでの政府の努力を阻害し、事態をより複雑にしている」と言っている。フジモリ大統領は、ともかくこの問題の平和的な解決を求めて今真剣に努力しており、今度のこの事件について間接的な形では現地のメディアにおいて感触といった感じのことが流されているようだが、事実問題としてペルー政府が声明を出しているというようなことはない。
(問)公邸正門前での取材許可についてペルー政府はどういう考えで取材を許可したかの説明はあったのか。
(報道官)その点に関する説明は受けているが、内容についてはコメントを差し控えさせていただきたい。
(報道官)現地時間31日11時30分頃より、10人ずつくらいのプレスのグループが何回かに亘って、公邸の正門前の道路まで立ち入りが認められた。その後、一部のグループが、公邸建物内部へ入ったが、これはペルー政府の事前の了解なしに偶発的に生じた事態と承知している。今回の公邸内での取材、報道についてはMRTAに対して、一方的に宣伝する機会を与えたこととなったことは遺憾である。
(2)質疑応答
(問)ペルー政府にはその趣旨は伝えたか。
(報道官)ペルー政府とは常に緊密な連絡を取っている。我々がペルー政府側に伝えているのは、「ペルー政府の対応に全幅の信頼を寄せている」ということであり、寺田駐メキシコ大使がフジモリ大統領に会って、現地の最新の状況等についてお聞きした際にも、寺田大使からその旨(全幅の信頼)を申し上げている。
(問)逆にペルー政府側から、そういうことになったことの説明はあったのか。
(報道官)正門前の道路までの立ち入りが認められるということについては、ペルー側から事前の連絡を受けていた。また、あのような偶発的な事態が生じた後、ペルー側からMRTA側に意見表明の機会を与える事態が生じたことは、ペルー政府側の意図するところではなかったという説明を受けた。
(問)その説明はフジモリ大統領から寺田大使にあったのか。
(報道官)具体的にどのレベルであったかについては説明を差し控えさせていただきたい。いずれにしても、ペルー政府側から現地対策本部にそのような説明があったということである。
(問)寺田大使が会われたのは何か意味があったのか。
(報道官)頻繁に連絡していることの一環である。
(問)寺田大使が直接会ったのは初めてかか。
(報道官)いままでも色々な形での連絡はとっており、その一環である。具体的接触・連絡の手段については申し上げられない。
(問)正門前までの立ち入りが認められるということについては、ペルー側からはどういう説明があったのか。
(報道官)具体的にどのような説明があったかは差し控えさせていただきたい。
(問)正門までの立ち入りが認められたことと、MRTA側の声明を遺憾だとのことはつじつまが合わないのではないか。
(報道官)ペルー政府側の措置として、大使公邸正門前まで取材を可能にするような措置がとられたが、かかるペルー政府側の意図に反して、一部のメディアの方々が公邸の敷地内、しかも公邸の建物の中に入り、MRTAその他の人々と取材する機会が生じたこと、そしてその機会を通じてMRTA側の一方的な考え方がメディアを通じて世界に広く伝わることとなったことは、フジモリ大統領の対応に全幅の信頼を置いている我が国政府として遺憾と考えているということである。
(問)同時に青木大使、そして日本企業の代表の方のコメントが流された訳であるが、その内容についてどう考えるか。
(報道官)この前より説明しているとおり、政府は広く情報を収集し、その意味するところを分析しており、(このインタビューについても)している。なお、青木大使については、これまでも公邸内の責任者として頑張ってきていると解放された方々から聞いているが、引き続き同大使には人質の全面開放まで頑張って貰いたいと思っている。
(問)ウルグアイの外相の来日について、事務的な折衝が続いているが、どういうことで来日するのか。
(報道官)我々が受けている連絡は、ウルグアイ側が今度のMRTAによる日本大使公邸襲撃・占拠事件について、同政府の立場を直接日本政府に説明したいということで来日すると聞いている。もちろん、リマにおいても、ウルグアイにおいても、ウルグアイ政府の立場は聞いているが、ウルグアイ政府としては外務大臣を日本に派遣して、直接外務大臣の口から、日本政府に説明したいという気持ちであると理解している。
(問)日本大使の早期召還に対するウルグアイ政府の反応ということもあるのか。
(報道官)先方がどのような説明を実際に考えているかは分からないが、ひと頃メディアを通じても流されたMRTAの2人のメンバーがウルグアイにおいて釈放されたということと、それまで人質になっていたウルグアイ大使が解放されたということ、そのことについてのウルグアイ政府の立場を直接に日本政府に説明したいということで来日すると理解している。
(問)言葉は適切ではないが、サンクションとして、大使の帰国を早める以外に、援助を止めるとかのリアクションはされているのか。
(報道官)角田大使の帰国日程を早めることとしたのは、あくまでも本国政府との事務打ち合わせのためであり、それ以上のことを理由として帰国日程を短縮したということはない。
(問)前回までのブリーフィングでは、今回のように遺憾であるということは言っていないのに、なぜ今回遺憾と言うのか。(一部報道関係者の公邸内取材が)ペルー政府の意図するところではなかったことを受けて行うものか。
(報道官)今回の事態が生じた後、当地対策本部のプレス担当から、(わが方の受け止め方を)説明してきたが、これまで得た諸情報を踏まえ、今のような政府としての考え方を明らかにした方がよいと判断したものである。
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