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報道官会見記録(平成8年11月)


INDEX

・報道官会見記録(11月22、26及び29日付)は出張につき中止



・報道官会見記録(11月19日付)
・NPT延長後の核軍縮セミナーの開催について
・ザイール東部ルワンダ難民救済支援について
・ガリ事務総長の再選問題
・中国関係の査証について
・カニ密漁船問題について
・外務政務次官の英文名称について



・報道官会見記録(11月15日付)
・若竹丸船長について
・APEC関連査証について
・日米コモン・アジェンダについて
・プリマコフ外相との協議について
・中国への援助問題
・APEC時の日米韓外相会談の可能性について
・ザイール等アフリカ情勢
・ミャンマー情勢
・核兵器禁止条約に関する決議について
・我が国規制緩和に関する米国の要望書



・報道官会見記録(11月12日付)
・第3回極東知事会議
・「プロフェッソル・フロロフ」号の拿捕事件
・ミャンマー情勢
・中東和平関連
・国連行財政問題諮問委員会の選挙結果



・報道官会見記録(11月8日付)
・アフガン関係国連会合について
・高村政務次官への期待
・間宮海峡での密漁船問題
・モンデール大使の辞意について



・報道官会見記録(11月5日付)
・中東和平推進のための総理特使派遣について
・世界食糧サミットについて
・米大統領選について
・エリツィン大統領の手術について
・パキスタン情勢について
・ロシア密漁船への日本人乗船報道
・ミニマム・アクセス米の対外援助利用について
・エジプト派遣の緊急援助隊について



・報道官会見記録(11月1日付)
・化学兵器禁止条約
・ザイール情勢
・竹島問題




報道官会見要旨(平成8年11月19日(火)17:47~於会見室)

・ NPT延長後の核軍縮セミナーの開催について

(報道官)このセミナーは、外務省及び日本国際問題研究所軍縮・不拡散促進センターの共催によって、12月2日から5日まで京都で開かれる。このセミナーは、世界各国から実際の核軍縮交渉に直接携わっているハイレベルの政府関係者、内外の著名な研究者など約40名が個人の資格において参加する。このセミナーにおいては、CTBT、カットオフ条約についての意見交換にとどまらず、核兵器のない世界に向けた現実的核軍縮の中長期的方向について議論を行うこととなっている。
 若干具体的に申し上げると、STARTⅡが発効することになったとしても、米国及びロシアに3000から3500の戦略核弾頭が残るわけであり、引き続きSTARTⅢの交渉の早期開始を求めるといったことが一つ議論になるのではないかと思う。また、その過程において、イギリスとかフランス、中国といった、いわゆる中規模の核保有国について、米露間で進められている核軍縮のプロセスにいかに関与していってもらうかについても議論が行われることになると思う。その他、非核地帯についてとか、非核保有国の安全保障の問題について意見交換が行われることが期待されている。

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・ ザイール東部ルワンダ難民救済支援について

(報道官)ご案内のように去る15日、国連において多国籍軍派遣に関する決議が採択された。一方、ザイール東部ゴマ周辺地域より50万人ほどの大量のフツ族難民がルワンダ国内に帰還しつつある。こうした新しい情勢の変化を見極めつつ、わが国として財政支援を含め、どのような貢献を行うことが適切かについて今、真剣に検討しているところである。
 これに合わせて、わが国としては人道的観点からの対応策も検討している。昨18日、国連事務総長より発出された緊急の国連統一アピールについて今、その具体的な内容について検討を行っているところである。なお、先般も話したが、11月5日にわが国はUNHCRに対し1千万ドルを拠出することを表明しており、UNHCRと具体的な使用方法について話し合いを行っている。
 さらにわが国は、ルワンダ難民救済等に実績を有するわが国のNGOのAMDA(アジア医師連絡協議会)を中心として15日に設立された「アフリカ多国籍医師団」に対し、その医師などの派遣経費を支援することとした。今回、日本側から派遣されるのは8名であり、ケニアのナイロビにおいてアフリカ側医師など約10名と結団式を行って、その後ルワンダ及びザイールの難民キャンプにおいて3週間の医療活動を行うことになっている。この医師団派遣によって、ルワンダ及びザイール東部における大量の難民帰還等に対する医療・衛生分野での貢献が期待され、わが国の顔の見える国際協力に資するものになると考えている。

(問)人道的援助では11月5日にUNHCRに対し1千万ドル拠出することを約束したというが、このガリ総長のアピールはそれに上積みということか。

(報道官)そうである。事態はまだよく分からないけれども、とりあえず必要だということで緊急統一アピールが出た。それによると、約200万人の被災民のうち状況が許せば150万人ぐらいを対象にして援助を行いたいということで、総額2億6千万ドル弱のアピールが国連傘下のいろいろな機関を通じて出ている。これに対して日本としてどのような協力ができるかを今、鋭意検討を行っているということである。

(問)(我が国の)分担金の率から考えて満額だと3千万ドル近くになる(と推測する)が、それは如何なものか。

(報道官)具体的には今どの程度のことができるか、財政当局とも協議中であり、いましばらくお待ち頂きたい。

(問)AMDAに対する経費補助はいくらになっているのか。

(報道官)これはNGOに対する支援ということで、AMDAの経費の一部ということでわれわれが持っている予算から補助するもので、約500万円である。

(問)実際に(AMDAが)必要となる経費はどのくらいか。

(報道官)どの程度になるかはAMDA側から聞いていないので分からない。AMDA側が自ら集めた資金、また、アフリカ側からどの程度自らの資金が集まるかは分からない。この「アフリカ多国籍医師団」は13カ国から結成されるものであり、その中の10名ほどの医師がこのスキームで行くということである。

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・ ガリ事務総長の再選問題

(問)ガリ事務総長の再選が絶望的になったというふうに伝えられている。アメリカが拒否権を行使するであろうということで。アメリカを除く各国はガリ総長の再選を支持するようだが、日本は現在安保理には入っておらず来年からだが、このガリ総長の再選問題についてはどのような立場にいるか伺いたい。

(報道官)わが国は次期事務総長の人事については多大な関心を有している。18日から安全保障理事会において検討が始まったが、今のところ、ガリ事務総長の再任問題についての妥協は成立していないようである。今後、この問題がどのような取り扱いになるのか、われわれとして情報を集めているところである。アメリカ側が拒否権を行使してでも反対すると明言していること、アフリカ諸国を中心にガリ事務総長の再任を求める立場の国が多いということ、そういうことを踏まえて、今後とも安保理の常任理事国、アフリカ諸国の今後の出方をよく見ていきながら、わが国として適切な対応を検討していきたいと考えている。

(問)わが国はガリ再選を支持するのか、しないのか。

(報道官)これはまず常任理事国5カ国の全部の意思が統一されることが必要である。アメリカがもしも最後まで反対するということで、常任理事国の間でのコンセンサスもできなかった場合には、結局のところガリ事務総長の再任の可能性がなくなるということで、恐らくはアフリカ諸国が他のアフリカ人候補を推薦していくのではないかと思う。その辺のことも踏まえて、わが国としては対応ぶりを検討していくことになる。

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・ 中国関係の査証について

(問)昨日も次官に伺ったことだが、中国人の団体観光客に対する査証の手続きを簡素化というか、中国人が日本に来る場合に旅行業者による一括申請を認める方針になったようだが、中国人に対する査証発給は非常に厳しいと中国の人たちから不満が出ていたように聞いている。今回、この緩和措置というか、こういうことが行われるようになったのは、どういう情勢の変化があったのか。

(報道官)ご指摘のように、観光目的の中国人訪日査証は非常に増えており、平成元年で1571人だったものが翌2年には6024人になり、7年には1万1533人というように急増している。そうした中国からの観光者数の増加などに鑑み、日中両国間の人的交流をさらに促進するとの観点及び規制緩和の観点から今回、団体観光の査証申請を認めるという措置を導入したものである。

(問)これまで中国人の渡航に対してビザが厳しかったのは、日本に居ついてしまうことが怖いといったことでの厳しい態度と言われていたが、そういう心配はなくなったというように見ているのか。

(報道官)今までは個人的関係に基づいて身元保証人を立てられる人に対してのみ査証を付与してきたが、これまでの実績等を勘案して身元保証人を立てられない人に対しても、旅行社を通じた団体観光旅行の代理申請を行うことによって、この取得を可能とする道を開いたものである。こうしたことは、今までの実績を踏まえたものであると同時に、わが国として中国との人的交流をさらに促進していきたいという気持ちの表れである。

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・ カニ密漁船問題について

(報道官)前に質問が出ていたカニ密漁の問題だが、最近ロシア側から連絡があったことを説明したい。11月4日にプロフエッソル・プロロフ号は大陸棚の水産物の不法採取の容疑でだ捕された。この船の船長であるロシア人だけが現在取り調べを受けているということである。この船に乗っている日本人は5名である。この5名の乗組員は現在ネベリスクに係留されているプロフエッソル・フロロフ号の船内に滞在しているが、この5名についてはいかなる法的措置もとられる予定はないということである。なお、ロシア側からわが方の在ウラジオストク総領事館に対し、この5名の日本人の氏名及び所在について同様の通報があった。

(問)氏名は分かったのか。

(報道官)分かっている。

(問)目的など、また、なぜ(今でも同地に)残っているかはどうか。

(報道官)なぜ残っているかということについては、ロシア側からまだ通報はきていないようである。

(問)全員が男性か。

(報道官)全員男性の方である。

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・ 外務政務次官の英文名称について

(問)外務政務次官の英文表記が決まったようだが、これは高村さんだけに適用されるのか、それとも今後政務次官の表記を変えていくことになるのか。また、他の閣僚級経験者の方が政務次官になっている省についても同様に適用されるのか。さらにどういう観点でその用語を選んだのか。さらにニュアンスは英語で触れるとき、どのくらいの意味合いがあるのか。

(報道官)閣僚経験のある高村次官が外務政務次官に就任されたことは、外交機能を強化しようとの現橋本内閣の姿勢の現れと理解している。この背景には、外務大臣が大変な激職になっているという事実がある。政務次官の大臣補佐機能の一層の強化が望ましいとの判断があったものと考える。外務省としては、こうした閣僚経験を持っておられる高村次官にどのような形で外国との接触、話し合い等をして頂くかについて、いろいろ考えてきたが、その一環として高村政務次官が大臣補佐機能の一層の強化ということで十分役割を発揮して頂くために、最もふさわしい英文のタイトルとしてこの度「State Secretary for Foreign Affairs」という名称を使って頂くことを決めたものである。なお、わが国には英文の官職名の統一に関する法令はない。従って、他の指摘のような関係省の政務次官がどのような英文の名称を実際上使うかについては承知していない。外務省として、このような名称を使うようにしたということが、参考にされるかも知れない。われわれとして、各国の例をいろいろ調べたが、なかなか比較は難しい。いずれにせよ、この「State Secretary for Foreign Affairs」ということは、各国で使われているいろいろな名称から大きく違うものでもなく、また、高村政務次官に十分に働いて頂くために適切な名称ではないかと考えている。

(問)これまでは何と言っていて、それとこの英語との違いはどういうことか。

(報道官)今までは「Parliamentary Vice-Minister for Foreign Affairs」という言い方だった。それに対し「Parliamentary Vice-Minister」というところが「State Secretary」に変わったということである。

(問)アメリカの国務長官は確か「Secretary of State」だが、それを意識しての名称なのか。

(報道官)国務長官は確かに「Secretary of State」だが、同じ「Secretary of State」という名称が国によっては閣外大臣を意味するところもあったり、「Minister of State」ということで閣外大臣を意味するところがあったり、いわゆる政務次官レベルでもって「Parliamentary Secretry」とか「Parliamentary under Secretary」があったりと、いろいろ使い方があるようである。そうした中で、われわれとしてはいろいろな点を考えてみて、この「State Secretary for Foreign Affairs」という名称が一番ふさわしいと考えたものである。

(問)これは今回限りか、それとも今後外務省としては続けるのか。

(報道官)先程申し上げたように、英文官職名の統一に関する法令がないといことである。何分にも高村政務次官は就任されたばかりであり、われわれとしては高村政務次官にこの名称でやって頂くということで考えたものである。

(問)次は「Vice-Minister」に変わることもあるのか。

(報道官)われわれとしては、こうした大物の政務次官がいつも大臣を補佐されるようになることを期待している。

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報道官会見要旨(平成8年11月15日(金)16:00~於会見室)

・ 若竹丸船長について

(報道官)第31若竹丸の徳永船長について説明したい。10日に同船長はロシア側から釈放され、14日、ユジノサハリンスク発函館行きの航空便で帰国することが期待されていたわけだが、ご案内のように帰国できなかった。その点について現地のサハリン州検事局よりハバロフスク総領事館に対して、次のとおりの連絡があった。
 徳永船長に関するユジノサハリンスクのロシア連邦保安局の作成した捜査の書類には不備がある。そのためサハリン州検事局よりこの保安局に対して再捜査するよう要請があった。再捜査が行われる場合においても、徳永船長が拘留されることはないが、日本に帰国することはできない。再捜査には数日を要するが、場合によっては長期化することもあり得るとの連絡が入った。
 この通報を受けて、ハバロフスク及びモスクワにおいて、直ちにわが方よりロシア外交当局に対し、捜査が中止されて一度釈放された徳永船長がロシア側の内部の文書にかかわる事情のみを理由として現地に引き続き留まらなければならないというのは理解できないことを述べるとともに、徳永船長が早期に帰国できるよう強く要請した。

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・ APEC関連査証について

(報道官)最近、日本で、「政府がAPEC地域の科学研究者を対象としたAPEC域内共通の専用査証の創設を提唱することを明らかにした」という報道があったが、このように報じられている事実はない。政府としては、査証手続きの迅速化、簡素化を通じて人の国際交流を図っていきたいと考えている。そのような観点から、今年の1月からAPECビジネス数次査証を発給しているという経緯がある。

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・ 日米コモン・アジェンダについて

(報道官)ある報道で、日米コモン・アジェンダについて、「進展見えぬ日米コモン・アジェンダ」というのがあったので、お手元に資料を配布させて頂き、これは全く事実に反することを説明したい。
 コモン・アジェンダの下でいくつかの成果が現れており、子供の健康の分野とか、人工衛星の分野とか、途上国の女性支援の分野、珊瑚礁の分野、市民・社会と民主化の分野、民需産業技術分野等いろいろと成果が出てきている。特にポリオの撲滅に関しては、日米協力の結果、ポリオの西太平洋地域からの駆逐に成功したという成果が現れている。また環境問題に関しても、パラオ政府との協力の下で珊瑚礁の保護を目的とした「珊瑚礁研究センター」を設立するということで今、日米協力関係が進んでている。
 なお、この記事の中で、「遅れる官民協力」という表現もあるが、これについても(これは、記事の中で別の所に書いてあるように)コモン・アジェンダ円卓会議(平岩外四・経団連名誉会長をヘッドにして頂いている)が発足しているし、また、去る9月に橋本総理大臣が「コモン・アジェンダ世界会議」を1998年1月ごろ開催したいということを提唱していることから、官民協力が既に実施されているということなので、念のためその点説明させて頂いた。

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・ プリマコフ外相との協議について

(問)来日したプリマコフ外相が今日午前中、中曽根元首相らに北方4島の共同開発を提案したが、これは日本にとってはポジティブなことか。

(報道官)この点については一体、外相会議の中でどのような形で正式に話が出たか、まだ報告を受けていない。今日しかるべき時点で担当の課の方から説明する予定である。ただこの問題については、従来から池田外務大臣ほか関係者が説明しているように、わが国としてはこうした提案について聞く用意はあるが、北方領土問題に対するわが国の立場が害されるようなことでは実行に移すのも困難なことで、とりあえず聞いてみようということである。どのような話し合いが行われたか、もう少し待って頂きたいと思う。

(問)定期協議の場で先の若竹丸の件は触れていないか。

(報道官)午前中の段階ではまだ触れていない。

(問)触れる可能性はあるか。

(報道官)今晩また両大臣が会うので、その辺は見なければならないが、いずれにせよ非常に緊急を要することであり、わが方としては現地で至急申し入れをして向こう側の肯定的な回答を待っているところである。

(問)その内容次第では、大臣から改めて善処を求めることもあるか。

(報道官)今日の段階でどういうことになるのか、これもしばらく待って頂ければと思う。

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・ 中国への援助問題

(問)中国への無償援助再開は決定と理解してよいか。

(報道官)この問題については、今日、官房長官が言われたように、無償資金協力については初めて政府の考え方を党の方に説明させて頂いて、これからも議論させて頂くということである。外務省としては、この対中無償資金協力については、中国による核実験のモラトリアム表明を受けて、その再開について検討していきたいということである。なおその際、与党ともよく相談していきたいと考えている。

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・ APEC時の日米韓外相会談の可能性について

(問)APECの際に日米韓外相会談が開かれるのではないかとの話があったが、どうか。

(報道官)これについては、まだ現時点では確認できない。

(問)調整はしているのか。

(報道官)そこも含めて今の時点ではちょっと確認できない。

(問)では開催されない可能性もあるのか。

(報道官)そこも含めて、今の時点では甚だ申し訳ないが確認を避けさせて頂ければと…。

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・ ザイール等アフリカ情勢

(問)ザイールを中心としたアフリカの情勢把握と和平を図るために日向参事 官が訪れたと思うが、日向参事官の行動、その成果について報告等はあったか。

(報道官)日向参事官は11月5日より17日までの日程でルワンダ、ザイール、タンザニア、エチオピアを訪問してきている。これまでのところ、ケンゴ・ザイール首相、大湖地域の調停活動に従事しているニエレレ元タンザニア大統領、ルワンダのビジムング大統領などと会談をしている。これらの会談を通じて、わが方より、わが国のこの問題への懸念を表明して、武力行使の即時停止、当事者間の対話による平和的な解決、難民対策の強化を訴えている。同時に、今国連でいろいろ話し合いが行われ、多国籍軍の派遣等が検討されているが、国連とかアフリカの諸国による取り組みをわが国として支持していく旨を伝えている。各国とも日本のこうしたメッセージには耳を傾ける姿勢を示している。

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・ ミャンマー情勢

(問)ミャンマーで新たなアウン・サン・スー・チーさんとSLORC側との接触が行われたとの話をちょっと聞いたが、それは外務省に情報として入っているか。

(報道官)ミャンマーの山口大使からミャンマー政府に対し、この度のアウン・サン・スー・チーさんに対する襲撃事件は、わが国として見過ごすことのできないものであるという立場を伝えるとともに、改めてミャンマー政府がこの問題について明確な説明を対外的に行うべきこと、及びミャンマー政府とアウン・サン・スー・チーさんの側が対話の糸口を探って、事態の打開を図ることを期待していること、また、SLORCが自制した対応をとるよう申し入れた。 これに対しSLORC側から、この襲撃事件は政府側が仕組んだものではない旨、事件の真相究明はなお続けられており、目下、調査中である旨、また、アウン・サン・スー・チーさんの身辺警護には一段と配慮することとしている、といった説明を受けている。

(問)では軍の将校の訪問が伝えられたが、その後の接触は伝えられていないわけか。

(報道官)今月の上旬から中旬にかけて以降、この政府の連絡将校とアウン・サン・スー・チーさんの接触は途絶えているようである。わが国としては、以前から説明しているように、SLORC側とNLD側が対話を図ることが一番重要との考えであり、なんとかまたこの将校とアウン・サン・スー・チーさんとの間のコンタクトが続いていくよう望むものであり、引き続きこの双方の側の直接対話を実現するよう働きかけを行っていく所存である。

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・ 核兵器禁止条約に関する決議について

(問)国連で核兵器禁止条約を早く締結すべしという決議案に対して日本は棄権に回ったと伝えられている。この理由として、黒河内大使がこれよりも核軍縮・廃絶に向けた兵器用核物質の生産禁止条約が先だと述べられたとの報道がある。ただしこのカットオフ条約は現在のところカナダ等がこの提出をあきらめたとの報道も伝えられており、見込みが果たしてあるのかどうか。その見込みのないもののために棄権するのは如何なものかとも思うが、その辺どうか。

(報道官)最近国連において、軍縮・軍備管理の関連の決議がいくつか採択されてきている。そのうちの究極的核廃絶に向けた核軍縮決議は、日本がイニシアチブをとって今回、第3回目のものとして決議案を出し、それが採択された経緯がある。その中で、カットオフ条約の早期開始ということにも期待が込められているが、今の話は恐らくICJ勧告提起事件決議案の採択について日本がどういう態度を取ったかということだと思う。この決議自身は、マレーシアほかの国が国連総会第1委員会に提出していたもので、ニューヨーク時間14日午前、投票に付され、採択された。わが国はこの決議案のうち、核軍縮努力を誠実に継続し、交渉を妥結する義務が存在するとのICJの全員の一致の意見に関するパラグラフは支持するものである。他方、わが国としては核軍縮を推進するためには、現実的かつ具体的な措置を着実に積み重ねていくことが重要であると考えており、そのためにはまずCTBTに続く現実的、具体的措置であるカットオフ条約交渉を早期に開始することが重要であると考え、この決議案全体については棄権した。
 カットオフ条約の今後の展望について、ごく簡単に説明すると、このカットオフ条約というものはCTBTに続く核軍縮条約であり、わが国としては条約交渉の早期の開始を重視している。他方、核兵器保有国と非核兵器保有国、特に非同盟諸国との間の対立が厳しくて、日本としては苦しい立場にある。非同盟諸国は、期限付き核廃絶を強く主張しているが、これは核兵器保有国が受け入れる余地のない、現実性に乏しいものと考えざるを得ない。わが方としては、非同盟諸国がこのような理想論に終始するよりも、できるところから一歩一歩進めていくという、現実的な対応ぶりを示すことを望むものである。なお、カナダ云々ということを言われたが、非同盟諸国の主張する期限付き核廃絶を求める核軍縮に関する特別委員会の設置については、核保有国の反対もあって実現が困難と考えるが、今後の核軍縮の方向性について議論する場を軍縮会議内に例えばワーキング・グループといったような形で設けることは考えてもよいのではないかと考えている。いずれにせよわが国としては、核兵器保有国と非核兵器保有国の対立を助長しないような形で早期に条約交渉を開始し得るよ?,u桙、、最大限の努力を行っていきたいと考えている。

(問)では次の総会で交渉を促す決議案を出すこともあるのか。

(報道官)今のところ、非同盟諸国の態度が非常に硬いということもあり、果して決議案を出していくということが、すぐ条約交渉の開始につながるのか、もう少し非公式な形でも非同盟諸国を説得していかなければいけないか、そちらの方がいいかをいろいろと真剣に考えているところである。

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・ 我が国規制緩和に関する米国の要望書

(報道官) 今お手元に配った、わが国の規制緩和等に関する米国政府要望書の発表だが、これは毎年、規制緩和推進計画を政府が見直しており、その際、内外からの意見・要望を募集しているということで、アメリカとかEUとかカナダとか豪州からも要望書が提出されている。その一環でアメリカからも今度要望書が出てきたということで、今度の内容についても例年アメリカから出されてきている要望と大幅に内容が異なるものではないと理解している。

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報道官会見要旨(平成8年11月12日(火)17:00~於会見室)

・ 第3回極東知事会議

(報道官)13日、14日に福井で第3回日露極東知事会議が開催される。会議の主催は日露極東交流協議会及び環日本海地域連絡協議会であるが、外務省、通産省、自治省も後援の形で参画し、関係者が出席する。この会議は、日露間の地域間交流の中核として位置づけられている。ロシアでは新憲法採択以降、知事をはじめとする各地域の代表者が連邦院(上院)議員である等、地方の発言力が強化されている。こうした状況において、中央のみならずロシアの各地方との交流を強化することは重要になってきている。政府としては、今後極東との関係、就中、経済関係については地方自治体、民間の意見を幅広く汲み上げつつ、関係強化を図りながら進めていきたいと考えている。こうした趣旨に基づき、外務省としては関係省庁と諮った上で、具体的には今回の会議において「極東貿易投資促進セミナー」の開催、「極東知事会議メンバーの間のパソコン、通信データ・システムのアイディア」などを発表、提案する予定である。

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・ 「プロフェッソル・フロロフ」号の拿捕事件

(報道官)カニの密漁によるプロフェッソル・フロロフ号の拿捕について、わが方としては引き続き事実関係を調査中だが、ロシア側からまだ正式の回答は寄せられてきていない。乗船したといわれる日本人が3名か5名かについても不明である。非公式な情報はあるが、正式な確認はできていない。わが方としては、引き続き確認をしていく所存である。

(問)全く名前も数も動機も入ってきていないということか。

(報道官)乗組員の名前等については非公式の情報はあるが、発表できるだけの正式な情報は寄せられていない。

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・ ミャンマー情勢

(報道官)アウン・サン・スー・チー女史が暴徒に襲撃された件については、明確な説明を対外的に行うべきである旨をSLORCに申し入れているが、まだ回答に接していない。他方、わが方は去る10月末、アウン・サン・スー・チー女史を政府側連絡将校が訪問したとの情報に接し、アウン・サン・スー・チー女史とSLORC側とのコミュニケーションのラインがともかく回復したものとして今後の展開を注目してきた。わが国としては、従来よりSLORCとNLDがいかに対話の糸口を見出していくかがカギと考えて、SLORC及びNLDに働きかけを行ってきた経緯がある。今回の襲撃事件は極めて残念であるが、ミャンマー政府とアウン・サン・スー・チー女史との対話の糸口を探る努力が継続され、今後とも事態の打開が図られることを期待している。

(問)明確にすべきだとの申し入れに、まだ回答はきていないということか。

(報道官)然り。

(問)先日、山口大使からの申し入れがずっと棚上げされていたようだが、今回もナシのつぶてだと「またか」と国民から思われるかも知れない。回答を促すようなことはしないのか。

(報道官)今のミャンマーの情勢は極めて流動的であり、また極めて機微な状況にあると思う。そうした中で、アウン・サン・スー・チー女史側もSLORC側もいろいろなことを考えているというふうにわれわれは感じ取っている。従って、SLORC側が十分にいろいろな状況を判断した上で、NLD側との対話の糸口を見つけることについて何か肯定的な考え方なりがわが国に対し示されることを期待する。

(問)先日、次官に欧州連合がとったような制裁措置をとらないかと質問したのに対し、次官はまず対話が大切と言われた。それは分かるが、単に言うだけでは言うことを聞いてくれないこともある。何らかの制裁措置は全く考慮にないのか。

(報道官)われわれが欧米諸国の若干の国と違った政策をとっている大きな特徴は、NLD側とSLORC側との間で対話の糸口を見つけてもらうためにSLORC側にもNLD側にも話しかけるということである。われわれは、ミャンマーの国内政情が緊迫化したり、また騒擾事件が起きたりすることは望むものではない。なんとか両者に話し合いの糸口を見つけて頂くことが重要と考えている。最近そういったような兆候が出てきて期待していたところに、残念ながらアウン・サン・スー・チー女史に対する暴徒の襲撃が起こってしまった。こうした事件にかかわらず、最近みられたそういった努力が続けられ、これまでわが国が求めてきた対話の糸口が見つかり、両者の間に対話が行われることを期待する。従って、今の段階で欧米の一部の国がとっているような措置を日本政府がとるということは考えていない。

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・ 中東和平関連

(報道官)松永政府代表が総理特使としてエジプト、イスラエル、ガザ地域に赴いている。これは、わが国の一連の継続的な和平努力の一環である。松永総理特使は10日、ムーサ外相と会談し、11日にはムバラク大統領と会談して橋本総理の親書を渡した。ムバラク大統領との会談において松永特使は、ムバラク大統領の指導力に期待する旨を強調した。ムバラク大統領からは、和平プロセスの現状に対する深い憂慮の念が表明された。同時に、イスラエルがアラファト議長のおかれた立場をよく理解して、対応を進めていくことが重要との指摘があった。松永総理特使は、現地時間で12日、ネタニヤフ首相及びアラファト議長とそれぞれ会談して総理書簡を渡すことになっている。これらの会談において、松永総理特使はわが国として和平プロセスの現状を憂慮しており、既存の合意の実施など、具体的なプロセスの進展を図ることが喫緊の課題であることを強調するとともに、今後ともわが国として和平プロセスの進展に向け努力を行っていく旨を伝達する予定である。

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・ 国連行財政問題諮問委員会の選挙結果

(報道官)11月8日、国連総会において行財政問題諮問委員会の選挙が行われ、西欧その他のグループからは改選2議席に対し米国、仏、NZの3国の候補者の間で投票が行われた結果、仏、NZの候補者が当選し、米国は落選した。米国の敗因だが、分担金支払いの遅れなど、米国の国連財政に対する最近の対応に対して、他の加盟国の間に反発を生む雰囲気があったため、米国のこの諮問委員会候補に対する支持が伸び悩んだという要素はあったと考えられる。また情報をとってみると、どうも米国の候補に投票すると約束したにもかかわらず投票しなかった国があるようである。その中には、自分の国が米国の候補に投票しなくても米国は当選するだろうと予想していたがために入れなかった国もあるようである。
 こうした結果になったことの今後の影響だが、米国の国内においては、共和党が多数を占める議会を中心に国連に対する批判が強いことはご承知の通りである。もしも国連の最大の分担金負担国である米国がこの委員会に委員を出せないことが議会による国連批判の材料とされるならば、影響が深まる可能性もあり、今後の米国内における反応は予断を許さない。わが国は、来年よりこの委員会に委員を出している国の中では最大の分担金負担国となる。従ってこの委員会において、わが国の委員がいかなる姿勢をとるかが重要となる。米国の委員がいない中、わが国の委員が単独で大口拠出国の立場を反映して発言する必要が生じる場面もあるかと考えている。

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報道官会見要旨(平成8年11月8日(金)17:40~於会見室)

・ アフガン関係国連会合について

(報道官)11月7日、国連は来る18日にアフガニスタン問題に関する国連主催の会合をニューヨークで開催する旨発表した。この会合は、関係各国の行っている和平調停努力を調整する目的で国連が開くものである。わが国は、この会合に積極的に参加し、貢献していくつもりである。わが国としては、この会合がアフガニスタン紛争当事者が話し合いのテーブルに着くことを促進するものとなるよう強く希望している。なお、この会合に対して本省幹部の出席を含め今、代表団について検討しているところである。

(問)これは当事者でなく、関係国の会合か。

(報道官)そうである。周辺国及び主要国ということで、紛争当事者は招待の対象になっていない。

(問)日本が提案している東京で会議を開くということは現状ではどうなっているか。

(報道官)これについては、まだああいった方向で物事が進むというふうにはなっていない。われわれの頭の整理としては、今度開かれるこうした周辺国及び主要国の会合と、アフガニスタン各派の会合とは二律背反ではなく、相互補完的なものであると考えている。このわが国の提案については、今後アフガンの各派とか関係国の対応ぶりを踏まえて、国連とも協議しつつ、その可能性を探っていくという考えである。

(問)本省から幹部が行くということは、さっそく高村さん(外務政務次官)とかか。

(報道官)これはまだ18日のことなので、今考えているのは外務省の職員である。

(問)次官級とかか。

(報道官)今考えているのは、国会の方もあり、局長を補佐する者などを念頭に置いている。

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・ 高村政務次官への期待

(問)高村政務次官には沖縄問題のほか、外務省としてはどんなことを期待するか。

(報道官)外務省の事務方としては今般、非常にシニアな、また閣僚経験をお持ちの高村政務次官が来られたことを大変有り難く思っている。ことにご案内のように、今外務省は世界の各地でのいろいろな問題、懸案に取り組んでおり、外務大臣お一人ではなかなか全てをカバーできないところがある。従って、そういう国際会議とか、二国間の関係というところで政務次官に今まで以上にご活躍頂けることを願っている。なお、国内における政務次官のお働きぶりについては、外務大臣及び政務次官も言っておられたが、これは国会の方のご理解も得てということなので、その辺のことはもう少し見ていかなければならないかと思っている。

(問)国会のご理解を得るのを見なければいけないけれども期待感を持っているということか。

(報道官)期待感を持っている。外務大臣も昨日の官邸での記者会見で強調されていたが、日本が今後行ういろいろな政策そのものが世界全体に影響を与えるということである。日本全体として外交活動を活発化させる意味でも、新しい政務次官のもとで事務次官以下われわれも一体となって努力していきたいと考えている。

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・ 間宮海峡での密漁船問題

(問)間宮海峡でだ捕された密漁船に日本人が乗っていた件はその後何か入っているか。

(報道官)この前の記者会見の席上でロシア側に照会していると話したが、ロシア外務省よりその後わが方在ロシア大使館に対し、次の3点についての連絡が入っている。第1点は、11月3日、モスクワ時間で19時20分、プロフェソル・フロロフ号がロシア国境警備隊によりだ捕され、船内で不法に捕獲された海産物7トンが確認されたということ。第2点は、この船には乗組員名簿に記載されていない日本人が乗船していることが確認されたこと。第3点は、この船はサハリン州のネベリスクに連行され、取り調べが行われている、という3点である。その他詳細についてはまだ不明であり、引き続きわが方は在ロシアの関係公館を通じて関連情報を収集している。

(問)この前確認できなかったが、日本人は何人か。

(報道官)これは、ロシア外務省の話とサハリン州外交代表部による人数が違っている。ロシア外務省によると、当初日本人は2名と報道されていたようだが、実際には3名であることが確認されたとわが方に通報してきた。しかしサハリン州外交代表部によると、日本人は5名と述べており、人数に違いがある。この点についても事実関係を今調査しているところである。

(問)5人の名前は分かるか。

(報道官)今のところ確認できていない。

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・ モンデール大使の辞意について

(問)モンデール大使が辞任の意思を表明されたが、これは今後の日米関係にどんな影響を及ぼすか伺いたい。

(報道官)モンデール大使ご夫妻が橋本総理ご夫妻にあいさつに来られたと聞いている。いずれにせよ、わが国政府として、橋本総理からも言われたと承知しているが、モンデール大使が93年9月に着任以来、日米関係の発展のために計り知れない貢献を行ってこられたことを高く評価するものである。特に今年の4月のクリントン大統領の訪日を駐日大使として取り仕切られた他、沖縄の基地問題をはじめとする安保面での協力とか、経済・貿易問題に対しても多大な努力を払われた。モンデール大使の辞任は極めて残念なことであるが、今後も日米関係の発展のために助力を得られることを期待したいと思う。モンデール大使の後任としてどなたが今後選ばれるかはわが方は承知していない。いずれにせよ、この重要な日米関係を発展させていくことは、日米両国政府の共通の意識なので、新しい大使と日本政府との間でまた緊密な関係が結ばれ、両国関係の発展に貢献して頂くことを望む次第である。

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報道官会見要旨(平成8年11月5日(火)17:03~、於:会見室)

・ 中東和平推進のための総理特使派遣について

(報道官)わが国政府は、中東和平を推進するための国際協力の一翼を担うとの観点から、松永政府代表を総理特使として11月10日から12日までエジプト、イスラエル、ガザ地域に派遣することとした。総理特使がそれぞれの首脳他との会談ができるよう現在準備をとり進めているところである。わが国としては、今準備を進めている会談において、ハイレベルで和平当事者に対し直接、和平プロセス特にパレスチナ・トラックの前進に向けて働きかけを行う予定である。
 なお、わが国は中東和平プロセス推進のための環境整備として、これまで2億2千万ドル以上に及ぶパレスチナ援助を行ってきている。また、わが国としては国際連合パレスチナ難民救済事業機関を通じて、パレスチナ難民に対して食糧援助を行うということで、今最終段階の準備を行っているところである。
 また、この和平プロセスを側面から援助することで、近く開かれるカイロ経済サミットについてこの機会に説明させて頂く。
 カイロにおいて、中東・北アフリカ経済会議が12日から始まる。わが国は、小倉外務審議官を首席代表として、各省十数名の政府代表団を派遣する予定であり、邦人企業関係者約50名がこの会議に参加する予定である。これは、中東和平の多国間協議の枠組みの下で行われる会議で、和平プロセスのさらなる進展の必要性、地域協力の一層の推進の重要性につき、わが国政府代表団は訴える予定である。また、具体的にわが国としても、パレスチナ人をはじめとする和平当事者への経済支援、環境、水資源、観光の分野を中心とした多国間協議への貢献を中心に、中東和平プロセスに対して貢献を引き続き行っていくことを改めてこの会議において表明する予定である。
 なお、このサミットの機会をとらえて、わが国は多国間協議の枠内の環境と水資源分野の今後の活動について議論するとともに、この2つの分野での新しいプロジェクトを発掘するための議長ミッション(海老原近ア局参事官が議長であるが、)をエジプト、イスラエル、パレスチナ暫定自治政府及びジョルダンに派遣する。こうしたことをこの会議の場でも触れていく考えである。また、この機会に、エジプト政府及び日本国際問題研究所の共催でカイロでエジプト・アジアセミナーを11月10日に行う予定である。これは、エジプト側からアブー・ゼイド外務次官、わが方からは小倉外務審議官が共同議長を勤めることになっている。

(質疑応答)
(問)総理特使の現地での会談は準備中とのことだが、どんな方々を予定しているのか。

(報道官)できるだけハイレベルの方々に会って頂くということで、今最大限の努力をしているところである。従って、具体的にどのような方々と会って話ができるかは、もう少し時間を頂ければと思う。

(問)こちらとして申し込んでいるのは大統領や首相か。

(報道官)できるだけ高いレベルである。総理特使なので、一番こうしたことについて責任のある方々に会って会談して頂くよう、事務方で努力している。

(問)総理のメッセージなり親書なりを持っていくのか。

(報道官)総理親書を携えていかれるかどうか、現時点でお答えする材料はないが、現在は非常に重要な時期であり、ともかく直接和平当事者に対して、特にパレスチナ・トラックの前進へ向けての働きかけを行うということで、日本としての正式な考え方を背景に総理特使として松永政府代表に行って頂くと理解している。

(問)パレスチナ・トラックが難しくなってから数週間経つが、なぜ今になって派遣するのか。

(報道官)パレスチナ和平がなかなか難しいというのはご指摘のとおりであり、この難しい状態がそう簡単になくなるということはなかなか予想されない。そうした中で、わか国としても、わが国としての貢献をしていきたいということでこの度派遣することになった次第である。

(問)この派遣のタイミングは官邸の意向か。

(報道官)具体的に承知していない。いずれにせよ、日本として今の和平のプロセスの現状に鑑み、貢献をしていくべきであるということで、かなり前から内々検討が加えられてきたことは事実である。

(問)松永氏が総理特使で派遣された前例如何。

(報道官)今まで色々な立場で行かれている。例えば、欧州関連で昔のCSCEみたいなところで、本来ならば外務大臣に行って頂くところへ代理として行かれるとか、その他具体的にはすぐお答えできないが、松永政府代表が正式に日本の代表として行かれたことは何回かあったと思う。

(問)エジプト・アジアセミナーに松永特使は出席するか。

(報道官)セミナーに出席するかは承知していない。時間的にうまくいくかどうかということで、エジプトの首脳の方々との会談がどうなるかということにも影響されると思う。この会合自体は先程述べたように共同議長が決まっており、その他出席者としては、エジプトからムーサ外務大臣、タタウィ経済協力大臣他が出られることになっている。また、エジプト・アジアセミナーということで、アジアからはマレーシア、韓国、インドネシアなどの代表が参加することになっていると聞いている。

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・ 世界食糧サミットについて

(報道官)「全ての民に食糧を」という名の下に11月13日から17日まで開かれる世界食糧サミットについて説明する。これは、FAO創立50周年を記念して開かれるものであり、世界で8億人いるといわれる飢餓に直面している人々及び栄養不良の人々の撲滅を目指すことがこの会議の趣旨である。この点に関連して、13日の食糧サミット開会式の後に正式採択される食糧サミット政策声明及び行動計画がこの度決定された。この中で、わが国として特に評価すべき点を3点ほど説明したい。
 第1点は、具体的な年限、即ち2015年ということを明記して、2015年までに栄養不足の人口を半減させる政治的コミットメントが表明されることになったこと。
 第2点は、21世紀には食糧、エネルギー、環境が世界経済の成長の阻害要因になりかねないところ、今度開かれる食糧サミットで各国の農業生産の重要性にハイライトが与えられるということである。この点もわが国として重要と考えるところである。
 第3点として、持続的な食糧安全保障政策の実施のために、開発途上国に対するODAの重要性が認められたということである。わが国としては、今後とも開発途上国に対しODA等を積極的に利用し、この面で貢献をしていきたいと考えている。

(質疑応答)
(問)食糧サミットで評価する3点は、わが国がそういう方向として申し入れたものか。

(報道官)必ずしもわが国だけが申し入れたわけではなく、また食糧サミットの中では、まだ色々な点も含まれているが、特にわが国が主張し、盛られることになった代表的なものとして3点を挙げさせて頂いた。

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・ 米大統領選について

(問)米国の大統領選挙は明日判明する。クリントン大統領の優位は動かないと言われるがコメント如何。

(報道官)担当部局の方でもう少し事態が判明してからコメントなり何か出すのではないか。いずれにせよ日本にとって最も重要な国における大統領の選挙であり、大統領選挙の結果、日本としてまた新たに米国との関係は色々な面で進めていきたい。日本の政府も新たにまたでき上がるわけだから、良い関係を継続して米国との間で発展させていきたい、というのが日本の基本的な立場である。

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・ エリツィン大統領の手術について

(問)ロシアのエリツィン大統領の手術の現状如何。

(報道官)先程、官房長官が言われたことにプラスしてわれわれとして申し上げることはない。いずれにせよ、手術の成功を祈るだけである。

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・ パキスタン情勢について

問)パキスタンでブット首相が解任されたが、現地の情勢はどうか。

(報道官)治安等の面では、空港の機能など全て平常通りである。イスラマバード、カラチ市内も通常通りであると承知している。

(問)軍の部隊の出動は確認しているか。

(報道官)われわれが把握しているところによると、空港、首相府の前、国会議事堂の前、大統領府の前に軍隊の姿は見られない。ただし、電話公社前及びラジオ局前には軍の大型車両が配備されているようである。先程、イスラマバード市内の状況について、通常通りと申し上げたが、具体的には道路の封鎖もない。
 なお、日本人学校は平常通り授業を行っている。また、わが方としては、イスラマバード日本人会及びペシャワール日本人会組織に対しては大使館より緊急連絡網を通じ情報提供を行い、念のため注意喚起を行っているのが現状である。

(問)パキスタン政府からわが国に対して事情説明なり通報はあったか。

(報道官)その点については、今はっきりと答えられる材料はないが、われわれは記者会見等によりレガリ大統領の措置を承知している。いずれにせよ、今回の下院の改選はあくまでもレガリ大統領が憲法上の権限に基づき実施したものであり、今回の動きは従来の良好な日本・パキスタン関係に影響を与えるものではなく、今後とも日本政府としては今の暫定政権と関係強化について協力していきたいと考えている。

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・ ロシア密漁船への日本人乗船報道

(問)間宮海峡で、ロシアの密漁船の中に日本人2人が乗っていたという情報があるが、外務省の情報如何。

(報道官)本件については報道で承知し、現在、外交ルートを通じて事実関係についてロシア側に照会中だが、まだ回答はもらっていない。

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・ ミニマム・アクセス米の対外援助利用について

(問)ミニマム・アクセス米について、来週にも対外援助に利用しようと農水省が計画しているようだが、外務省としての考えはどうか。

(報道官)食糧援助にミニマム・アクセス米を含めた政府米を利用するかどうかについては、従来から食糧不足国などからの具体的な要請、国内の需給状況などを踏まえてWTO協定その他の国際ルールに照らして、ケース・バイ・ケースで判断することにしている。今年度の食糧援助における政府米の利用については、現在、先程申し上げた食糧不足国からの具体的な要請を踏まえ、国際ルール及び種々の外交的側面にも慎重な考慮を払いつつ、検討することとしている。

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・ エジプト派遣の緊急援助隊について

(問)エジプトに派遣した国際緊急援助隊の成果について伺いたい。

(報道官)国際緊急援助隊は10月30日に現地に到着後、直ちに救助活動を開始し、現地時間11月3日正午まで救助活動を行なった。日本の救助チームが生存者の有無を確かめてからエジプト救助チームが瓦礫の除去作業を行なうといったように、日本とエジプト両国の救助チームの協力関係は良くいったと報告を受けている。残念ながら生存者の発見には至らなかったが、今度の日本の国際緊急援助隊の現地における活動は、エジプト官民の高い関心をひき、関係者からも謝意表明があったと承知している。なお、この国際緊急援助隊は11月6日に帰国する予定になっている。

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報道官会見要旨(平成8年11月1日(金)13:30~ 於 会見室)

・ 化学兵器禁止条約

(問)化学兵器禁止条約が来春にも発効するということだが、米国、ロシアという鍵になる国の批准が見えていない。それに対し、日本としてどういう方針でやっていくのか。

(報道官)まず、発効の見通しだが、65カ国が批准書を国連事務総長に寄託した後、180日以内に条約が発効する。10月31日現在で64カ国が批准しており、残り1カ国が批准書を寄託すれば、180日後に発効する。近々にも批准書を国連事務総長に寄託する可能性のある国が数カ国あるという情報を得ており、来年4月または5月にはこの条約が発効することになると予想される。
 米国については、クリントン大統領は早期に議会に批准を求めたいとしているが、米国は大統領選挙の最中で、議会は開かれていない。我が国としては、早期批准を求めていく考えである。
 ロシアについては、この条約が発効するまでに、批准すると述べている。ロシアに対しても早期批准を求めていく考えである。
 また、中国については、批准書を寄託するためには、国内周知期間が必要であるということで、まだ具体的にどのような段取りで批准をしていくか明らかでない。いずれにせよ、我が国としては、中国に対しても、早期批准を求めていく考えである。

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・ ザイール情勢

(問)ザイール、ルワンダ、ブルンディ情勢で混乱が見られるが、日本として、新たな対応はどうか。

(報道官)ザイール情勢の緊迫化に伴い、我が国として、今後の対応につき3つのことを考えている。第一は、関係当事国への働きかけの強化、第二は、国連、OAU等との協議を通じての当事者間の話し合い実施。そのため、国連事務総長特使の派遣等のイニシアティヴ、国際会議開催提案を支持していくこと、第三は、難民対策の強化である。
 第三の点については、先日、外務省として発表したが、UNHCRのルワンダ・ブルンディ特別計画に対し、1000万ドルの新たな拠出を協議中である。この資金は、3つある緊急に資金を必要としている活動の支援、すなわち、第一に、輸送、水、救援物資、補足的食料、保健、シェルター等、人命維持のため緊急に必要な活動の支援、第二に、帰還促進活動を含めた恒久的解決に向けた活動の支援、第三は、今次紛争により、打撃を受けているUNHCRの現地事務所の活動強化の支援、のためのものである。
 関係当事者への働きかけについては、11月5日より17日まで、日向中近東アフリカ局参事官を、ルワンダ、ザイール、タンザニア及びエチオピアへ派遣し、関係諸国ハイ・レベル及びOAUと協議することとしている。
 国連はクレティアン特使を任命しており、OAUは、10月31日に討議をしているようだ。いずれにせよ、特使派遣や会合の報告を受けて、我が国としては、国連・OAUとの具体的な協力のあり方についても探っていきたい。

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・ 竹島問題

(問)竹島に、韓国が埠頭建設をしている問題だが、その後新たな情報はどうか。

(報道官)これまでの調査の結果、細部の事実関係はともかく、2月以来の竹島における韓国側の埠頭建設工事が引き続き継続されていることは事実であることが判明した。

(問)事実であるとすると、韓国側に何か伝えるということは考えているのか。

(報道官)その点については、我が方は、昨日10月31日午後、加藤アジア局長が在京韓国大使館の金龍圭(キム・ヨンギュ)公使を召致し、申し入れをしている。内容は、竹島の領有権問題に関する我が国の一貫した立場を述べたということ、及び、本件工事が行われていることに対し、遺憾の意を申し入れるとともに、工事の中止を求めたということである。
 なお、我が国としては、竹島問題に関する日韓両国の立場の相違が、日韓両国国民の感情的な対立に発展して、両国の友好協力関係を損なうことは適切ではないと考えている。今後とも両国間で冷静に話し合いを積み重ねて、努力していきたい。いずれにせよ、この問題をめぐり、日韓関係全体に悪影響が及ぶことは是非とも回避する必要があると考えている。

(問)申し入れに対する金公使の回答はどうか。

(報道官)この問題に関する韓国側の立場を繰り返すと同時に、日本側の申し入れの点については本国に伝えると述べている。

(問)韓国側の立場というのは、具体的にどう言ったか。

(報道官) 韓国側の立場について、具体的にどう言ったかについて、今お答えする材料を有していない。

(問)韓国は領土問題は存在しないといっている。我が国としては、我が国の領土であるという立場をとるとともに、両国間での冷静な話し合いをというのは、竹島をテーマにした話し合いを求めていくということか。

(報道官)我が国としては、既にこの問題について、長年にわたり、韓国と話し合いをしている。その話し合いを努力して積み重ねていきたいということである。

(問)韓国は領土問題は存在しないと言っいるが、我が国としては話し合いを続けていくということか。

(報道官)我が国として、この問題をことさらに取り上げるということではなく、いろいろな話し合いの場において、この問題についての我が国の立場を説明した経緯がある。また、これまでの間、長年にわたり、我が国の立場はいろいろな形で先方政府に伝えてきている。

(問)技術的に、工事は止まらない見通しだが、やむを得ないということか。

(報道官)我が方としては、この工事自身に対して遺憾と思い、工事の中止を求めた。我が国の申し入れは、金公使を通じて本国政府の方に伝えられるということである。我が国のそうした立場を、韓国政府が分かって頂けることを期待する。
 ただ、我が国として何度も説明するが、日韓関係は重要な関係であり、従って竹島問題に関する日韓両国の立場の相違が日韓両国民の感情的な対立に発展したり、両国の協力関係を損なうことは全く適切ではないと考える。日本側の考え、立場を正しく理解して頂きたいと思う。

(問)工事の状況については、どう見ているか。

(報道官)報道によれば、ケーソンを降ろしているとかいうことであるが、我々なりに調査した結果、細部の事実関係はともかく、今年の2月以来埠頭建設工事が続けられているということが事実であると総合的に判断した。
(問)工事は韓国政府が行っているのか。

(報道官)具体的に先方の建設当事者が誰であるかにつき、お答えする材料を有していない。

(問)工事が2月から行われていて、工事主体が分からないということか。

(報道官)工事主体が誰であるかというような事実関係の細部について皆様に具体的にお答えできる材料は有していない。全体として工事が行われていると我々は確認しているということである。

(問)工事の中止申し入れは、(先方)政府にしているのか。

(報道官)然り。

(問)発注者が政府ということか。

(報道官)いずれにせよ、我々は埠頭建設工事が竹島において継続されているということが事実であると確認しているということである。

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