報道官会見記録 (平成16年12月15日(水)17:02~ 於:本省会見室)
町村外務大臣の日本記者クラブ及び日本外国特派員協会での政策演説
(報道官)明日16日、町村外務大臣は日本記者クラブ及び日本外国特派員協会でスピーチとそれに伴う質疑応答を行うことになっています。日本記者クラブが11時、日本外国特派員協会が15時からです。町村外交について基本的な考え方を説明し、記者の皆様の質問に答えることになっています。霞クラブの皆様におかれても、是非足を運んで頂きたいと思います。
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北海道在住カメラマンのイラク入り
(問)北海道のフリーのカメラマンで、本人も自己責任といっているのですが、イラク入りを計画しているという報道が出ているのですが、これに対する外務省の対応は。
(報道官)外務省でも大変憂慮しており、危機管理官が直接その方に電話で連絡し、いかに今イラクが危険な状態にあるか、特に警備を付けない形で、バグダッドのようなところに入ると極めて危険な状況になるということを縷々説明して、イラク入りを思いとどまるよう説得をしています。残念ながら今のところ、本人の気持ちを変えるには至っていませんが、もしその方が出国されて現地に行かれることになっても、例えばヨルダンのアンマンなどで再度状況を説明して、イラク入りを思いとどまるように大使館員から話をすることにしています。先般の香田氏の大変不孝な事件もありました。完全な形での警護は難しいのですが、護衛も付けずにそのままイラクに行くということは、大変危険だということは分かって頂けると思いますので、是非気持ちを変えて思いとどまっていただきたいということを、私の方からもお願いしたいと思います。
(問)その方とは電話で接触しているのですか。
(報道官)はい。また、いろいろな形でご家族の方にもご協力をお願いしたりしています。
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日朝関係
(問)北朝鮮との関係ですが、昨日、横田さんの遺骨の鑑定結果を踏まえて、北朝鮮外務省のスポークスマンが陳謝もなく、逆に非難するような内容で不快感をお持ちだと思いますが、現時点での受け止めと、それを踏まえでどのような対応をされるのでしょうか。
(報道官)北朝鮮外務省のスポークスマンの発言があったことは承知しています。横田めぐみさんの遺骨ということで我々に手渡された遺骨が横田さんのものではなかった、しかも二人分のものであったということは、科学的な鑑定の結果であり間違いのないものと我々は思っています。北朝鮮側が何故、捏造だとかそのような発言をするのか、我々としてもその真意をいぶかっているところです。北朝鮮に対しては既に、この骨が違うということを伝えるとともに抗議し、真相を解明し説明するよう求めています。さらに今月中にはそのほかの資料についても精査も終わることになっており、その結果についても当然北朝鮮の知るところになると思います。そうして点を含めて、北朝鮮側が我々が疑問と思っていることに対してどのような反応をするのか、正式な反応を見たいと思います。また日本側として、かなり挑発的な言葉も使われているあのスポークスマンの発言に対して、いちいちこれに対して反応するつもりは全くありません。北朝鮮に対しては、無条件で即刻6者協議に応じること、また、拉致問題については誠意を持って日本側が求めている情報の開示に応ずること、更に、今後我々の方から精査の結果に基づき再度申し入れをすることになるかと思いますが、それに対する回答を待ちたいと思います。あらゆる手段を通じて、北朝鮮側に対し我々が持っている強い抗議の気持ちを伝えていきたいと思います。
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報道官会見記録 (平成16年12月8日(水)17:00~ 於:本省会見室)
「国際平和協力における人材育成セミナー」の開催
(報道官)冒頭、お伝えしたいことがあります。我が国は、国際平和協力の分野で日本人の方々にできるだけたくさん活躍して頂きたいということで、人材育成に努めることにしておりますが、来週の15日(水)16日(木)に国連大学と共催で、国際平和協力における人材育成セミナーを開催することと致しました。このセミナーですが、例えば、国連の東シティモール支援団(UNMISET)事務総長特別代表として出ておられる長谷川祐弘氏、国連大学学長特別顧問の横田洋三氏、国連開発計画(UNDP)駐日代表の弓削昭子氏、その他NGOの方々、国連本部の文民訓練課長等、様々な方々に参加頂き、初日に参加者の間で意見交換を行い、どういう人材育成の方法があるだろうかと言うことを話しあって頂きます。翌日は、東京都内が中心になりますが、それに限らず学生・研修者の方々に参加して頂く一般討論の形で、出来るだけ多くの方にこの人材育成セミナーを通じて、国際平和協力への日本人スタッフの派遣につなげていきたいと思います。これにつきまして、セミナーについてぜひ取材して頂きたいと思います。
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北朝鮮から持ち帰った遺骨の鑑定結果
(問)北朝鮮の協議から持ち帰った横田めぐみさんの遺骨が別人だと言うことが確認されたようですが、これに関連し北朝鮮側への抗議は実際行われたのですか。
(報道官)本日、北京の大使館ルートを通じ、北朝鮮側に調査結果を伝えると共に厳重に抗議を行い、これは平壌宣言の精神に反する事であるとして日本側として強い遺憾の意を表明すると共に、真相の究明を改めて求めていくことを行っております。実際に大使館ルートで既に話し合いが終わったかどうかについてはまだ報告が来ておりません。
(問)それは報告をされ次第、公表するのですか。
(報道官)北京からの連絡があり次第、報告します。
(問)北朝鮮側の夫とされる方がこの骨を持っていたという報告があったと思いますが、その夫とされる人が持っていた骨そのものがまったく別人のものであったことについてはどうお考えになりますか。
(報道官)私どもが受けていた説明は、横田めぐみさんが亡くなった後、一旦土葬にされたものを夫とされた方が掘り出して自分の手元に置いておきたいと言うことで、火葬にして容器に詰めて保管をしていた。今回の実務者協議に際して日本側が強く要請した結果、遺骨と言われるものが、これがその遺骨だという説明がついて提供されたということです。、実際に鑑定をした結果、別人のものである、横田めぐみさんの骨でないという結果が出たわけです。従って、我々としては、何故このようなことが起きたのか、北朝鮮側の真意は何なのか。更にあえて言えば、夫とされる人物がこれを持ち込んできたわけですから、この人物が本当に夫なのかということを含めて厳しく問いつめる必要があると考えております。
(問)今の段階ではこの夫というのは疑問を抱かざるを得ないという感じですか。
(報道官)本人であるのかないのか、少なくとも先般の平壌でのやり取りの中では、キム・へギョンさんも一時一緒に現れ、横田めぐみさんと一緒に写った写真を見せたとか、夫であるということを先方がそう言っていたわけですが、我々としてはまだその点についても確認が出来ていないということです。
(問)今後の真相究明の場ですが、これまでの実務者協議の結果がこういうことであり、今後どういう形、どういうルートで真相究明を図っていくつもりでしょうか。
(報道官)まずは今日、こうした形で出た鑑定結果を北朝鮮側に伝え、日本側としての厳重な抗議をするとともに、北朝鮮側の誠意を疑わざるを得ないという日本側の気持ちを伝えます。更にその過程で、一体どういうことなのかという北朝鮮側の釈明を求めることになります。実は今回実務者協議に派遣した日本側代表団が持ち帰った資料は、このめぐみさんの遺骨だと称されたものは大変重要なものでしたが、それ以外にもかなりいろいろなものを持ち帰っています。この鑑定、精査について更に1、2週間かかれば大体結論が出るといわれていますので、その結論が出た段階でそれを全ていったん確認し、内容を検討した上で、北朝鮮側に対する我々の対処方針を決めていくことになろうかと思います。
(問)別人の骨とは実際どういった方のどういった骨であったのでしょうか。
(報道官)報告は来ていません。この鑑定というのは、北朝鮮側から渡された遺骨が横田めぐみさんのものであったのかないのかということを鑑定したわけで、鑑定結果としてこれは別人のものであるという鑑定結果が出たということです。これが誰のものかといったところまでは結果が出ていないと聞いています。
(問)鑑定結果が出たのは今日ですか。
(報道官)我々のところに入ってきたのは今日の昼過ぎと聞いています。
(問)食糧支援がまだ12.5万トン残っているが、これについてはどのように対応するのですか。
(報道官)現在、北朝鮮に2回目のモニタリングチームを、外務省の職員を中心に、実際に今回提供した12.5万トンの食糧、医薬品がきちんと行きわたっているかどうかの調査を行っているところです。この調査結果、更にはWHOやWFP(世界食糧計画)等からの要請があれば提供することを検討しますが、今回の横田めぐみさんとされた遺骨の問題もあるので、北朝鮮側の態度の誠意に対して我々は重大な疑問を抱かざるを得ない状態に立ち至っています。今後の食糧支援について、もう一度厳しい目で考え直す必要があろうかと思っています。いずれにせよ、まず国際機関からの要請があることが検討を始める前提となるので、今の段階ではまだ国際機関から追加の支援要請が来ていないので、このままの状態をしばらく続けることになろうかと思います。
(問)自民党では制裁のシュミレーションしてプログラムを作っており、また町村大臣も政府として内部的には検討している趣旨のことをかつて述べていましたが、今はどのようになっているのでしょうか。
(報道官)政府の態度としては、制裁のための制裁ではなく、あくまでも制裁とは、政府が持っている、あるいは国会から政府に与えられた一つの北朝鮮に対する対応手段であるので、これを実際に発動した場合には、どのような発動の仕方、どのような場合に発動するのか、といったことを部内で検討していることは確かです。しかし、今回この状態について、まずは北朝鮮に対しこの鑑定結果を伝え、厳重に抗議するとともに、まず一体なぜこのようなことになったのかという釈明を求める必要があると思っています。制裁というのは、1、2週間後に出てくる今回の調査結果の全容を明らかにした上で対応を考え、それに対する北朝鮮側の反応も見た上で検討すべき時に検討することになろうかと思います。
(問)政府部内で検討している経済制裁とは省庁横断でやっているのか。
(報道官)基本的には外務省が中心になっていますが、必ずしも北朝鮮政策については外務省だけのものではありません。特に制裁については外務省だけが出来るものではなくて、国交省、財務省等他省庁にもまたがることであるので、関係機関との連絡も取る必要があると思っています。
(問)シュミレーションというのはどの辺りまで進んでいるのでしょうか。
(報道官)部内で行っている検討ですので、詳しい説明は受けていませんが、法律ができ、その法律を適用する場合にどのようなことを考えなければいけないかということを検討しているということです。あくまでも、政府の決定であるとか、政府の取るべき措置を具体的にどうこう考えているところまで至っていないと承知しています。あくまでも机上の検討と考えて頂ければ結構です。
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報道官会見記録 (平成16年12月2日(木)16:05~ 於:本省会見室)
公明党幹部によるサマーワ訪問
(問)公明党の幹部がイラクのサマーワを訪問することを検討しているようですが、外務省としては把握されてますか。
(報道官)そのような報道があったことは承知していますが、具体的にどのような計画をお持ちなのか、私達としてはまだ把握していません。私達としては、イラクについては全ての邦人に対して退避勧告を出しており、イラクへは入らないようにと呼びかけているところですので、そうした点も検討いただけたらと思います。
(問)基本的には好ましくないと考えていらっしゃるのですか。
(報道官)実際にどのような計画をお持ちなのかはっきりいたしませんので、今の段階で特にその計画についてどうこう申し上げるわけにはいきませんが、もし検討されるということなのであれば、そのような点も十分考慮に入れて頂きたいと思います。
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報道官会見記録 (平成16年12月1日(水)16:03~ 於:本省会見室)
日本EU市民交流年共同記者会見
フィーチャム世界エイズ・結核・マラリア対策基金事務局長の来日
(報道官)本日5時から日本記者クラブにおきまして、日本EU市民交流年に関する外務大臣と日本駐在のツェプターEU大使の共同記者会見が予定されていますので、できるだけ多くの方々の参加をお願いしたいと思います。
ご存じの方も多いかと思いますが、今日は「世界エイズ・デー」ということで、日本国内も含めて、世界各地でエイズ撲滅のための様々な行事が予定されています。先月23日に国連合同エイズ計画とWHOが発表した報告書によると、世界のHIV・エイズウイルスの感染者数が、昨年末の段階で過去最高の3940万人になりました。特に中国を始めとする東アジアでの増加が急激であり、過去2年間で5割増しとなっています。また、日本でも残念ながらエイズは増え続けており、厚生労働省のエイズ動向委員会によると、日本国内のHIV感染者は今年9月末現在で6337人。この2年間を見ると毎年600人ずつ増えている勘定となります。これに対して日本は、特に途上国におけるエイズの拡がりを防ぐ目的で、2000年の沖縄サミットの時に「沖縄感染症対策イニシアティブ」を始め、2000年から2005年にかけて2億7000万ドルを支援しています。更に2002年から2004年にかけて「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」に2億4620万ドルを拠出しています。この「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」はジュネーブに本部がありますが、同基金のリチャード・フィーチャム事務局長が今月9日の国連大学の公開シンポジウムなどに参加されるため、今月7日から11日まで日本を訪問されることになっています。厚生労働省や外務省の幹部と会談をする他、世界基金支援日本委員会の会長である森前総理大臣とも会談が予定されています。できるだけ多くの方々のインタビューに応じたいと希望していますので、ご検討いただければと思います。
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国連「ハイレベル委員会」報告書
(問)国連改革についてですが、本日「ハイレベル委員会」の報告書が明らかになりました。これを受けて日本政府としては、常任理事国を増やす案の支持拡大に努めるということになるのでしょうか。
(報道官)2案併記されていますが、この段階で私達がどちらの案をより強く支持するとかしないとかという段階ではなく、まずはこれをじっくり読むと共に、例えば日本の場合、日本、ドイツ、インド、ブラジルとの4カ国でそれぞれ常任理事国入りを目指し、互いに支持し合う所謂G4というグループを作っていますので、そうした国々とも相談しながら、国際世論の動向も見ながら考えていきたいと思っています。しかし、我々がかねてから要請していたように、国連改革の一つの方向として安全保障理事会の常任理事国と非常任理事国を共に増やしていくという方向が示されたことは大変好ましいことだと思っています。
(問)二つの案を比べて見ると、一方は常任理事国を増やすという案ではないわけですから、常任理事国を増やすという日本国政府の考え方からすれば、「モデルA」の常任理事国を増やす方の案に近いのだと思いますが、支持を表明しないというのは拒否権の問題がひっかっかっているということですか。
(報道官)拒否権の問題について述べると、日本としては常任理事国が将来増えたとしても、現在存在する常任理事国と新しい常任理事国との間で、持っている権限に差が出来るようなことは好ましくないという考え方を基本的には持っています。従って、そういうことはこれまでにも表明してきたわけですが、今回拒否権は付与しないという方向についても報告が出ていることを考えると、これからこうした点も含めていろいろな議論の中でこの問題をどう解決していくのか、日本だけが主張してできるといったものではありません。国際世論との関係もあります。先程述べたG4グループの他の国々の考え方なども参考にしながら、日本として考え方をまとめていくことになろうかと思います。いずれにせよ、日本は来年の1月1日から非常任理事国として、国連安全保障理事会にも加わって議論に参加するわけであり、アナン事務総長を中心として国連で進められるであろう国連改革の検討に積極的に参加していきたいと思っています。
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