報道官会見記録 (平成16年3月31日(水)17:00~ 於会見室)
日米和親条約締結150周年
(報道官)今日、3月31日は日米和親条約が結ばれてちょうど150年の記念日に当たります。日本時間では明日の未明になりますが、ワシントン時間で3月31日に、ワシントンのナショナル・アーカイブズで記念式典が開かれることになっています。一方、日本側では4月3日(土)に横浜で同じような式典と、これを記念するシンポジウムが開かれることになっています。是非皆様にもその点、御承知おき頂きたいと思います。
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ミャンマー政府による国民会議開催の発表
(報道官)ミャンマー政府が昨日、国民会議を5月17日にヤンゴンで開催すると発表しました。我が国はこの発表を民主化に向けた重要な一歩になり得るものとして注目しています。我が国はこれまでも国民会議にミャンマー国内の各少数民族とアウン・サン・スー・チー女史、国民民主連盟(NLD)と全ての関係者の参加が重要であると表明してきています。ミャンマー政府も全ての関係者の国民会議参加に向けて努力していると言っていますので、今後の推移を注目していきたいと思っています。特に我が国としては5月17日の国民会議開催の発表が民主化のプロセスの実質的な進展に繋がるよう強く期待しています。
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中国(日中外相会談、円借款供与式典、海洋調査船)
(問)日中関係ですが、日中外相会談が予定されていますが、その前後に予定されるはずの政府要人等の表敬が組まれていません。こうした予定が固まっていないことの背景には今回の尖閣諸島の問題が影響しているのでしょうか。
(報道官)川口外務大臣は4月3日、4日の2日間、1泊2日の日程で北京を訪問します。その目的は日中外相会談であり、そのような方向で準備を推し進めているところですが、なにぶん土日にかかるということもあって、その他の日程の調整がまだ続いている状況です。従って、この土日にどなたに会うことになるのか、これはもう少し時間がかかろうかと思います。今回の尖閣の問題が日程調整を難しくしているといったことは、私は承知していません。むしろ土日という関係、また、日曜日の夜までには川口外務大臣は東京に戻る必要がありますので、時間が大変限られていることもあって、調整がいささか手間取っているということだと承知しています。
(問)それに関連してですが、今日、北京の方で円借款の書簡の交換式が予定されていましたが、王毅副部長が突然出席出来ないということを日本側に伝えてきたわけですが、こういうイベントというのは事前に知らされるもので、それをベースとして予定されていたと思いますが、結局ここにきて直前にキャンセルされたというのは、やはり何か最近の日中関係の問題が影響しているという見方は出来るでしょうか。
(報道官)私たちの方に入ってきている話では、王毅副部長が日程的に無理になったということで、持ち回りという形に切り替える必要が生じました。この書簡の交換は今日行う必要がありましたので、日本時間で午後2 時、北京時間で午後1時に完了し、必要な手続きを全部整えたという形になりました。式典はありませんでしたが、必要な措置は全部取れたということで、あくまでもこれは王毅副部長の日程的な都合だと承知しています。
(問)日程的に無理になったというのはどういうことでしょうか。
(報道官)それ以上に詳しい話は中国側からも説明を受けていませんが、王毅副部長が調印式典に時間を合わせることが難しくなったという連絡だと理解しています。
(問)日中関係で、海洋調査船の関係で審議官が訪中するという話は自民党の部会で説明していらっしゃいましたが、その件はどうなっていますでしょうか。
(報道官)西宮審議官が、当初の予定では今日、北京で中国側とその話し合いを行うということで予定は組まれていたのですが、中国側から、日中外相会談の準備等で日本担当のセクションが大変多忙になってしまったので申し訳ないが延期させて欲しいという連絡があったために、西宮審議官は東京に残っています。いつこの話し合いを行うかという日程は、追ってまた話し合うことになろうかと思いますが、今は決まっていません。
(問)それとは別に海洋調査船の動きに関しては抗議というか、そのようなことはもうしていらっしゃるのですか。
(報道官)海洋調査船の問題についてはかねてからいろいろな場で申し上げているように、きちんと事前通告をするといった日中間の約束があるわけで、これをきちんと守るべきだということを中国側に度々伝えているところです。またそのことを更に再確認するためにもこの話し合いを行うことになっていましたので、いずれ話し合いが行われることになっています。また、今後、いろいろな機会に中国側に日本側の見解を伝えていく方針です。
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日朝関係
(問)日朝協議ですが、2月末の6カ国協議での接触からもう1カ月以上が経って、明日で4月になりますが、この間、全く返事がないということですが、この間の北朝鮮の動向と、今後の日朝協議の見通しについてお願いします。
(報道官)北朝鮮側に対しては、日朝協議を含めて話し合いを早く行おうということは度々督促もしていますし、また別な機会を使っても、主に北京の大使館ルートが中心ですが、伝えています。北朝鮮側は然るべきところに伝えると言っていますが、残念ながらまだ返事がないのは事実です。今後、北朝鮮側に対して働きかけを続けていこうと考えています。更に、例えば今回予定されている日中外相会談でも北朝鮮問題は当然議題として浮かんでくるはずであり、そうした機会を通じて北が話し合いの場に出てくるようにという話を日本側としても致すことになろうかと思います。
(問)進展状況を見ると日朝協議よりもむしろ6カ国の作業部会に向けた準備の方が先行して進んでいる感じも受けるのですが、それについては。
(報道官)特にどちらが後先ということもないのではないかと思いますが、少なくとも中国側からは私たちの方に作業部会のいわゆるコンセプトペーパーは既に届いていて、これを検討しています。いずれ日本と米国と韓国の間でポジションのすり合わせも行おうということになっています。六者会合の方が動くことも当然必要なことでありますので、六者会合、日朝の話し合い、必ずしも一緒でなくてもいいわけですが、そうした話し合いを出来るだけ前に進めていきたいという考え方は全く変わっていませんし、それに向けて努力しているところです。
(問)同じく日朝ですが、国会の方の話ではあるのですが、民主党側が特定船舶入港禁止法案を衆議院に提出し、自民党も来週提出するということのようですが、これは日朝交渉にどういう影響を与えるのか、どういうふうに御覧になっていますか。
(報道官)かねてから申し上げていますが、これはあくまでも国会の方で今検討されている状態で、政府の方からこれに対してコメントを述べるという立場にはないということです。それと共にもう一つ、北朝鮮は先日の外国為替管理法の改正を巡ってもかなり強く反応を示したということもあります。北朝鮮側が今後、この法律案が実際にもし成立した時にどういう反応を示してくるかということは今の段階で予想することは難しいですが、何らかの反応がある可能性はあると思っています。実際に入港を制限するといった法律が出来たとしても、それを実際に適用するかどうか。これはまたその時々の判断というものがあろうかと思います。あくまでも北朝鮮側の今後の態度如何にかかっているということも言えようかと思いますので、我々としてはまず法案の審議の推移を見守るということと、それに対して北朝鮮側がどのような反応を示すかということを見守っていきたいと思っています。
(問)議員立法を考えていらして議員の方たちは、法案を持つということ自体が北朝鮮への外交カードになるということを言っていたのですが、一般的に経済制裁法案を持つことが交渉力を高めるということになるとお考えですか。
(報道官)あくまでも北朝鮮に対しては対話と圧力という2つのアプローチ。その圧力も対話を進めるための圧力ということになろうと思います。様々な圧力の手段があるわけで、もちろんそういう法案が実際に可決されて法律が出来れば日本側にとっての圧力のもう一つの手段が生まれるということは当然の話です。先程申し上げたように、これに対して北朝鮮側がどのように反応するのか、我々としてはこうした日本国内の空気を十分北朝鮮側が察知して話し合いに速やかに応じて、話し合いによる問題の解決に向かって動き出すことを我々としても働きかけていきたいし、そのことを理解させるように努めていきたいと思います。
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報道官会見記録 (平成16年3月24日(水)17:00~ 於会見室)
レジェップ・タイップ・エルドアン・トルコ首相の来日
(報道官)レジェップ・タイップ・エルドア・トルコ首相が4月11日から14日まで日本政府の招待で訪日されます。エルドアン首相は滞在中、小泉総理大臣をはじめとする我が国の要人と会談し、2国間関係、イラク等の国際問題について意見交換をする予定です。お聞き及びかと思いますが、去年から今年の5月にかけて、日本では日本におけるトルコ年という様々な行事が行われており、日本とトルコの間で緊密の度合いが増して友好親善関係が一段と深まっておりますが、そうした中でのトルコ首相の訪問です。エルドアン首相としては今回が初めての訪日で、トルコの首相の来日としては9年ぶりです。
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中国人活動家による尖閣諸島上陸
(問)尖閣諸島に上陸した7人ですが、その後、最新の情報は入っていますか。
(報道官)私が聞いていますところでは、まだ島に残っています。島に上陸するために手漕ぎのボートで入ってきたわけですが、その手漕ぎのボートは海上保安庁側が押収しています。7人を乗せて尖閣諸島に入ってきた中国の船は既に日本の領海の外に出て、また方向転換をしているようですが、更なる領海侵犯は厳重に阻止するということになっています。従って7人は島に留まったまま出ていく術がないという状態だと聞いています。一方、石垣島で待機していた警察官18人が海上保安庁のヘリコプターで魚釣島に向かっており、予定では4時半ぐらいに到着ということですから、もう到着しているのではないかと思います。到着次第、退去のための強制措置をとるという方向で動いていると聞いています。
(問)政府の方針としては退去させるという方針ですか。それとも身柄を拘束して刑事手続きをとるということですか。
(報道官)先程申し上げましたように、自分たちで出ていく術がない人たちであるという状況ですので、身柄をまず拘束して、たぶん那覇になると思いますが、必要な手続きをとって、強制退去ということになろうかと思います。
(問)身柄を拘束というのは沖縄県警による逮捕ということでしょうか。
(報道官)法に則った身柄の拘束です。不法侵入ですから。
(問)それに関連してですが、1996年にも、この時は香港、台湾の夫婦が上陸したという事例があります。今回2回目ということになりますが、前回と比べてどういう点で対応が違っているのか、あるいは違っていないのか、その点、どのような違いがあるのか教えてもらえますでしょうか。
(報道官)日本政府の対応としては尖閣諸島、魚釣島、歴史的に見ても、国際法上も日本固有の領土であることに変わりはないわけで、そのことについては内外に対して明らかにしています。こうしたところに不法に入ってくる外国人がいた場合には、まずできるだけ上陸をさせない努力をしてきたわけですが、今回、上陸してしまったために必要な措置をとるということです。あくまでも法に従った、決められた手続きをとるということです。こうしたことが繰り返されることは大変遺憾なことです。従って今日、午前中に竹内次官が在京の武大偉中国大使を外務省に呼んで、中国側にこうした事態を起こさないようにと強く申し入れたわけです。こうした措置は、実は19 96年の時にもとっていることであり、特にどこか違ったことがあるのかという御質問だとすれば、基本的な考え方、とった手段について違いはないということです。私たちとしては尖閣の問題で、例えば近隣諸国や地域との関係、全体が損なわれることにならないようにと考えていますので、必要な措置はきちんととる、ただしこれによって特に事が荒立てられるようなことはないように、その辺のことは考えつつ処理を進めていくということです。
(問)確認ですが、逮捕して、那覇の方に持っていって起訴してという段取りですか。
(報道官)この場合、強制退去ということになろうかと思います。法に則った身柄の拘束です。いずれにせよ不法入国の外国人という扱いであり、そのような措置で手続きをとるということは今回に限ったことではなく、何回も行われていることだと聞いています。
(問)さはさりながら、武大偉大使を呼んだ時に、武大偉大使は中国には中国の立場があるという返答をしているわけで、この辺が日本政府と見解が非常に乖離があると見受けられるわけで、そうであれば彼らの行動は中国政府は黙認しているのではいでしょうか。
(報道官)今回の場合には事前に情報がなかったということもあって、特に事前に何かをするということには至らなかったわけです。中国側から、例えばこの尖閣に向けて不法入国を図ろうとするようなグループがあった時には直ちにそのようなことは止めるようにと中国側に申し入れることは度々やっていることです。先程申し上げたように、日本側の基本的な立場というのは中国側に対してきちんと伝えているわけで、中国側がどのように考え、どのような措置をとるかということについては、そのとった措置に対して日本側がまたどう対応するかということになりますが、今回の場合には武大偉大使に対しては日本側の考えをきちんと中国政府に伝えてほしいと要請しました。
(問)大臣が4月に訪中されますが、その時に大臣から中国に改めて申し入れはするのでしょうか。
(報道官)私はまだ具体的に中国側との話し合いでどのようなものがアジェンダになるかというところまで承知していませんが、当然この尖閣の問題は日中間の一つの大きな懸案ですから、こうした事態がないように大臣から申し入れるということは十分可能性のあることだと思います。
(問)日米地位協定の交渉ですが、現在、長嶺北米局参事官が訪米されていて、昨年4回重ねて中断している日米地位協定交渉を近く再開するのではないかという話もありますが、正式な日程等は固まっておりますか。
(報道官)私が承知しているところでは、次回ワシントンで24、25日ぐらいの日程で開かれると思っていますが、なるべく早く合意に至るようにしたいと日米双方が考えているということだと思います。実際にどこまで話し合いが進んでいるのかについては今協議中のことですので、そこまで立ち入ったコメントは控えたいと思います。
(問)24、25の日程で協議は開かれるということですか。
(報道官)そのような段取りだと聞いています。
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特定船舶入港禁止法案
(問)船舶入港禁止法案ですが、先ほど自民党の部会を通りまして、部会での討論の中で自民党側の認識として、外為法と船舶入港禁止法の2つあって、どちらを先に発動するのかというと外為法を先に発動して、それから船舶をというのが自然な流れであるという説明があった。つまり、貿易をまず禁止して、その手段であるところの船を止めると。それが逆になってしまうと貿易は自由であるということを法律で認めているのに、船を止めるということになると矛盾してしまうと。ですから、外為法が先で、船が後。これが自然な流れだという説明があったが、政府としてもそういう認識でよろしいでしょうか。
(報道官)この船舶の入港禁止に関わる法案は、与党側で検討されている段階で、私たちとしては現在どのような準備が進められているのか、あくまでも国会サイドからの話であって、政府側からのコメントは控えているという状態です。与党側の検討の結果を待ちたいと思います。念のため申し添えますと、たとえどのような制裁のための措置があったとしても、これを発動するかどうか、これはあくまでもその時の状況、北朝鮮側がどのような対応をするかということを見極める必要があるわけで、今の段階でそうした点について論じるのはまだ早すぎるのではないかと思います。
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イラク復興支援
(問)イラクですが、午前中の記者会見で、イラクの評議会の議長が日本に対して石油開発の技術協力などを求めていきたいと、近く石油省の代表団を送りたいとおっしゃっているのですが、こういった分野で日本が技術的な協力をするということは考えられるのか、そのあたりはどのようにお考えですか。
(報道官)イラクの復興に対する日本の支援というのは、前々から申し上げているように、資金面での協力、人的な協力ということですが、人的な協力は、今の段階では、自衛隊の方々は自分で自分の身を守る術があり可能ですが、例えば公務員、これは外務省の職員が限られた数が行っておりますが、そのくらいしか今可能性がありません。ましてや民間企業の方、もしくは、例えばNGOの方に復興支援に協力をしていただくという段階にきていないのは、大変残念であります。治安がよくなって、こうした方々が実際にイラクに行っていただけるようになった時には、石油も含めたイラクの復興支援は様々な形で展開されることになろうかと思います。当然日本のもっている技術も提供することになろうかと思いますし、日本の資金、特に民間の企業の方々が進出をするということが、一番大きな力になるだろうと思っております。既に日本は50億ドルまでの資金供与を2007年までにするということを決めておりますし、そうしたODAも一つの大きな力になると思っております。
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報道官会見記録 (平成16年3月18日(木)14:00~ 於本省会見室)
イラク国立博物館長の訪日
(報道官)ドニー・ジョージ・イラク国立博物館長が3月30日から4月6日まで日本を訪れることになりました。イラク復興支援策の1つとして、日本は文化遺産の保護を大変重要な柱と位置付けていますが、日本が持っている経験、技術を活かして可能な限り博物館が行っている、特に文化財の修復といった点に協力していきたいと考えています。既にこの博物館についてはユネスコを通じて文化財修復研究作業室の再建支援を始めていますし、これから文化無償の協力スキームを使って支援を続けたいと考えています。フランスと日本の間でもイラク国立博物館への支援を日仏協力の1つの柱として実施することが合意されており、こうした点についてドニー・ジョージ館長と日本側とで話し合いを行いたいと考えています。
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スリランカにおける総選挙
(報道官)4月2日(金)、スリランカで総選挙が行われます。スリランカの総選挙は、クマーラトゥンガ大統領が国会を解散したことを受けて行われるものですが、スリランカ全土で自由、公正かつ政治的な暴力なしに総選挙が行われることが、スリランカの和平プロセスの進展のために大変重要と私たちは考えています。このためにスリランカの選挙の監視団を派遣することを決定しました。日本政府の監視団ですが、外務省職員とスリランカに関する有識者で構成し、今月中にも日本を出発して、約1週間、現地で選挙が公正に行われるように投票の視察等を行うことになっています。これにより私たちが行っている「平和の定着」の政策の一環として進めているスリランカ和平への関与が一層高まることになるだろうと思っています。
(問)監視団は何人ぐらいになりますか。
(報道官)数人と聞いています。
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スペインにおけるテロ事件
(問)マドリードで起きました爆弾テロについて犯行声明を送ったとされている団体ですが、また新たに声明を出しまして、日本とかイタリアを名指してアメリカの下僕だ、同じようなテロを起こすだろうと言っていますが、このアブ・ハフス・アル・マスリ旅団とは一体どういうグループだと、現在、外務省では認識されておりますでしょうか。
(報道官)犯行声明及び日本などに対するテロの攻撃の可能性を示唆したという2番目の声明が果たしてどこまで信憑性のあるものなのかは、報道したアラビア語系の報道機関も多少の疑問を持ちながら伝えていると私たちは聞いています。従って今、この段階でこの報道、もしくはこの声明が本物なのか、どの程度の信憑性があるのかといったことについてはコメントは差し控えたいと思います。この団体については、マドリードでの同時多発テロを一体誰が行ったのかについて、今スペイン側で調査・捜査が行われているわけです。当然その中の一つとして可能性のあるグループとして調査が行われていることと承知しています。しかし実際にどういう繋がりがあって、何をやっているところなのかについては、まだお伝えするような情報を持ち合わせていません。テロ事件の捜査については、この他、バスクの関係のグループとか、モロッコの関係のグループとか、幾つか可能性のあるグループの名が挙がっていて、そうした点の調査が続いているとは聞いていますが、まだスペイン政府として結論を出したという報道、報告には接していません。
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報道官会見記録 (平成16年3月17日(水)17:00~ 於本省会見室)
パレスチナ関連
(報道官)現地情勢に関する外務省としての考え方ですが、現地時間で15日と16日にイスラエル軍がガザ北部へ攻撃を行い、この結果パレスチナ人の子供を含む一般市民に負傷者が発生しました。大変遺憾なことと感じております。イスラエル政府は16日に地上攻撃を含めてガザに対する軍事行動を強化する閣議決定を行っています。イスラエル政府は、この決定は14日に発生したパレスチナ過激派による自爆テロへの対応だと述べていると承知していますが、私どもとしてはイスラエルの軍事行動によって一般市民に更なる犠牲者が生じること、暴力の連鎖によって事態の更なる悪化に繋がることを強く懸念しています。我が国はイスラエルが自らの行為の帰結を十分に認識し、自治区での軍事行動等の自体の悪化に繋がる行為を控えるよう強く期待します。
一方、パレスチナに対する支援がまとまりました。日本時間の今夕6時の予定ですが、パレスチナ自治政府に対し日本政府から5億円の無償資金協力を行うこと、このための書簡の交換がパレスチナ自治区西岸ラマッラで行われることになりました。パレスチナ自治区では2000年9月のイスラエル軍との衝突以来、イスラエル軍がこの自治区を封鎖しているために内部の経済状況が悪化して厳しい外貨不足が生じています。今回の5億円を使ってパレスチナ自治政府が自治区内での経済構造調整努力の一層の推進に必要な商品を購入する代金の支払いに使う、こうしたことによってパレスチナ自治政府の厳しい財政事情を改善して、自治政府が自治政府としてきちんとした仕事をできるようにする、これがパレスチナ和平にも繋がっていくようにということを期待しての支援です。先般、日本を訪れたシャース外務長官、ファイヤード財務長官、こうしたパレスチナ自治政府側の要人からも日本に対して強く支援要請があったところです。
もう一つパレスチナに対する支援をすることになりました。これは実は去年の4月に既に川口外務大臣の方から、日本として国連等を通じて2225万ドルの支援をする計画を発表していましたが、この内212万5000ドルを国連開発計画を通じ3つのプロジェクトに支出することになりました。1つが先程御紹介しましたラマッラという、今パレスチナ自治政府の本部が置かれているところですが、この地域でのゴミ処理場の改良計画に40万ドル使うことになっています。この地域は、ゴミ処理が大変な問題になっていて、このままいくと地下水源まで汚染されてしまう、伝染病も出そうだということで、この問題を解決するために使用されます。また、ガザ地区に住んでいる人たちに、衣料品、毛布、枕、靴等が不足しているため、こうした生活必需品を地元の人たちに供給するために52万5000ドルを使うことになりました。更に、パレスチナ自治政府の、例えばハードとソフトの両面で能力を高める、政府職員の訓練、必要な事務機器の購入、そうしたものに120万ドルを使って、パレスチナの自治政府、特に首相府や主な官庁の能力を強めて更なる和平努力の推進に向かってもらう、こういう計画で総額212.5万ドルを国連開発計画を通じて支出することになりました。
(問)今、お話のあった5億円の無償資金協力で購入する商品というのは具体的にはどういうものですか。
(報道官)基本的には様々なもの、つまり今パレスチナ自治区は大変な外貨不足になっており、特に自治政府が絡んで購入した資材、例えば事務用品もそうですし、時には生活用品、こうしたものの支払いが滞っています。ですからこの資金を使ってとりあえず滞っている支払いをきちんとするとか、更に必要なものを購入するといったことに使う。財政支援の意味も込めた支援だと聞いております。
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スペインにおけるテロ事件
(問)スペインのテロですが、容疑者が6人捕まったという報道もありますが、やはり日本政府としても、かなりアル・カーイダが絡んだ犯行の可能性は強いという見方を強めているということになりますか。
(報道官)そうした情報、また報道があるということは十分承知いますし、出来るだけ情報を入手するようには努力しています。特にマドリードの大使館を通じて、今そうした努力を続けているところですが、我々独自の情報は今はありません。従って、状況の判断は、これから先、スペイン政府がどのように判断されるのか、そうしたことにもかかってくると思います。全体状況としては、このテロは極めて深刻なテロですし、スペインのこれから出来てくる社会労働党を中心とした新しい政権がこの先どのような政策を打ち出してくるのか、わが国は既に新しいリーダーに対して祝意をお伝えするといったことはしていますが、出来るだけ新しい政権の政策についても早い機会に情報を入手するように努力していきたいと思います。
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特定船舶入港禁止法案
(問)特定船舶の入港禁止法案が、今日、与党の方で来週にも提出するということで合意が正式にされたようですが、改めてこの法案に対する評価と日朝関係に対する影響、どのように御覧になっていますか。
(報道官)与党の方でこの法案について、今までずっと準備をされ、協議をされて、だんだんまとまってきたということは伺っています。しかし、政府が提出する法案ではなく、あくまでも与党の方で御検討頂いているものですので、外務省、政府としては国会内でのそうした動きを見守っていくことが基本的な考え方です。北朝鮮に対する制裁にも使うことが出来る法案ということは重々承知していますが、北朝鮮に対して実際にこうした制裁を行うかどうか、これはあくまでも北朝鮮側が事態を悪化させるようになった時には必要な制裁を考えるということであります。先日の日朝ハイレベル協議の席上で、北朝鮮側が外為法の改正に伴う日本側の措置について大変強い反応を示していたこともありますので、北朝鮮側はこうした日本側の動きを十分知っていると思います。そうしたことが北朝鮮側にとって日朝間の交渉を早く再開してきちんとした話し合い、拉致の問題の解決、更に様々な二国間の懸案の解決に向けて前向きに動き出すことに繋がってくると良いと思っています。
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報道官会見記録 (平成16年3月10日(水)17:00~ 於会見室)
ドミニカ共和国移住者問題
(問)ドミニカの戦後の移民の件ですが、今日、総理が国会で外務省として反省すべき点があるとおっしゃっていますが、外務省としては具体的にどういうことについて反省をしているのか、そして今後の対応というのはどういうことを考えていらっしゃるのか、この2点をお願いします。
(報道官)本日の参議院での委員会審議の中で、総理が外務省として多々反省すべき点があった、今後このような不手際を認めて然るべき措置や対応を考えたいと発言されたことは外務省としては重い発言だと思っています。それに併せて、改めて領事移住部を中心にこの問題についてどう対応するかを検討しています。裁判が今行われている出来事ですので、外務省は外務省の言い分があって裁判で争っていることですから、具体的に突っ込んだ中身の話はできません。裁判は裁判として、現在、実際に移住されて困っておられる方、現地にまだ留まっていらっしゃる方、日本に帰って来られた方、幾つかのグループに分かれていますので、それぞれのグループの状況を見ながらどういう支援が出来るかということを外務省としてきちんと考えるということです。実は今までも、例えば医療の面とか、農業開発の面とか、同じドミニカの中でも別な場所に移るとか、様々なプロジェクト、支援を行ってきたのですが、現実問題としてお困りになっている方がいらっしゃる。この方々に対して更にどういう手が打てるのか、お手伝いが出来るのか、支援が出来るのか、これを真剣に、しかも早急に考えなければいけないと思っています。
(問)そうしますと、確認ですが、今日の総理の発言というのは外務省としても全く同じ認識ということでよろしいでしょうか。
(報道官)これは今までも国会審議の中でも取り上げられたことがあります。また裁判の場でも、外務省は外務省なりにいろいろな考え方を法廷で説明してきたわけですが、総理の発言として、外務省として多々反省すべき点があったということです。これは長い長い歴史があるものです。1956年からの話ですから、改めて、外務省が行った今までの措置、その過程をもう一度きちんと振り返って、今の段階でどういうお手伝い、支援が出来るのか、それを考えてみるということです。
(問)総理の発言で、外務省として反省すべき点が多々あったという御発言があったわけですが、訴訟内での政府の主張というのは変える方針がないということなのでしょうか。
(報道官)法律的な側面から申しますと、例えば当初、外務省がドミニカ移民について募集を行ったことが、外務省が契約を結んだのではないかということで争われていたり、時効の問題はどうなのか等、幾つかあるわけです。法律的な問題については、今のところ外務省として裁判の中で主張していることは、正しいと思って主張しているわけで、これは裁判としてそのまま続いていくことになろうかと思います。裁判とは切り離した形で支援をすることは、総理も述べておられるように、困った方、苦労された方に対して今の段階で、今までやった支援に何が不足しているのか、何をすべきかということを考えて打つべき手を打つということにこれから向かうと思っています。
(問)同じ質問ですが、早急に手を打つということでしたが、その目途というのは今念頭にありますでしょうか。
(報道官)先程申し上げましたように、医療、農業開発の支援、融資、子供の教育などいろいろな形で今までも現地で行ったり、日本に戻ってきた方については帰国当時の支援を行っていたわけです。その後のフォローアップとして果たして今の段階でどういうことが出来るかといったようなことを検討しなければいけませんので、出来るだけ早くということで、特にいつまでに何をするということが今の段階で決まっているわけではありません。しかし総理の発言、官房長官の発言にもありますように、政府として出来ることをやるということだと思います。
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日墨FTA
(問)メキシコとのFTA交渉ですが、今、どういうところまで来ているのかということと、今後の見通しについて説明をお願いします。
(報道官)昨日、訪日中のメキシコのウサビアガ農相が亀井農林水産大臣と話をされて、農産品については極めて建設的な話し合いが行われ、大きな進展があったと聞いています。鉱工業製品についても中川経産相が向こう側と電話で話をされたことも含め、進展があったと聞いています。つまり一番大きな農産品、鉱工業品について進展があったということで、私たちは大きな前進があったということは喜んでいるのですが、御承知のように単にそれだけの話ではなく、様々な包括的な話し合いです。例えば政府調達についてはまだ合意が得られていないとか、農産品、鉱工業品についても個々の品目の関税率をどうするかといった詰めの話も残っています。従って、今直ちに合意といったような状態に至っていないということもまた事実ですので、最終的な詰めを速やかに行って、出来るだけ早く実質的な合意を固めたいと思っています。
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日朝協議
(問)日朝協議に関してですが、六者会合から10日経って北朝鮮側から回答がないということで、現に政府の拉致専門幹事会終了後、細田会長の会見で、外務省に対して、北朝鮮に対して督促をするようにという話をしたということですが、現時点ではどういう対応を考えているのか改めて教えていただけますか。
(報道官)実は先日、韓国の潘基文長官が来られて、川口外務大臣と日曜日に会談を行い、その後、潘長官は小泉総理とも会っておられるわけですが、この後、中国に行かれると聞いています。潘外相の方からも中国側に対して、例えば作業部会を開くといった問題について話し合いを早めるようにと言及されるということもあろうかと思います。外務省は外務省なりに北朝鮮側に対して今までのルートで、特に拉致を中心とした日朝間の話し合いを出来るだけ早く開こうと申し入れているわけで、ボールは北側のコートにあるということ、返事を早く欲しいということを繰り返し伝えています。今、この段階で新しく何かをするかどうかについて、私は情報を持ち合わせていませんが、継続的に申し入れをしていることは承知しています。
(問)伝えているというのは6カ国協議後に伝えているということですか。
(報道官)六者会合の時に日朝の話し合いがあって、その時に伝えたということは確認していますが、その後、どういう形の伝え方をしたか私は承知していません。
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対中ODA
(問)中国に対するODAの額ですが、20%削減で1000億円を割るという状況になっていますが、日中関係に及ぼす影響はどのように御覧になっていらっしゃいますか。
(報道官)日本の困難な財政事情の中でODAも削らざるを得ないということは中国側も十分理解をしていると思います。我々としては、今まで行ってきたODAを再度、中身をよく見直して、中国にとって今ここが一番必要だという部分について力を入れたODAを提供することにしています。全体の額は経済状況を反映したこともあって減る傾向にありますが、例えば環境問題、特に内陸部の発展に繋がるもの、貧困対策、そうした面に重点を置いたODAを行うことで中国側もこれを多としていると聞いています。従って日中関係で、ODAの額が減ってきたからといって、それが直ちにマイナスに働くことはないと信じています。むしろ、中国側も我々の考え方を理解して、日本側からの円借款についてはこれを有り難いものとして評価していると思っています。
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報道官会見記録 (平成16年3月3日(水)17:00~ 於会見室)
イラク(同時多発テロ、外交官殺害事件の車両の到着)
(報道官)イラクとパキスタンでイスラム教の宗教行事であるアーシューラにからんでテロ事件が発生したことは皆様御承知のとおりです。3つの大きなテロがあり、多数の方々が亡くなられ、怪我をされました。これに関し川口外務大臣が、テロを断固として非難し、また亡くなられた方々、御遺族の方に哀悼の意を捧げ、怪我をされた方の一日も早い御快復を祈るという大臣談話を発表しました。日本国政府は如何なる形のテロであれテロは断固として非難し、こうしたことを認めることは出来ないということを強調すると共に、イラク、パキスタンでこのようなことが起きたことは大変遺憾であり、このような事態の再発をなんとかして防ぎたいと願っています。
(問)明日、奥大使達が乗っていた車がバグダッド空港から空輸されるそうですが、詳しい時間とかを教えてください。
(報道官)奥、井ノ上両外交官が乗っていた車、銃撃された車がバグダッドに戻っていまして、今バグダッドから日本に向かっている最中です。近日中、今週中に日本に着く予定で動いていますが、これは大型貨物であり、積み替えなどいろいろなことがありますので、正確にいつ着くといったことは、途中の警備の関係もあり、今は申し上げる段階に至っていません。出来るだけ早く、今週中にということで手配をしているところです。
(問)事件から3カ月が経っているのですが、それだけかかった理由というのは。
(報道官)先程も申し上げたように、大変大きなものですし、取り扱いについて日本側、当初回収したイラク警察或いは米軍、CPA、いろいろなところの手配、更に途中の経路を設定するといったこともあったために時間がかかっていましたが、今回、日本に持ち帰って更なる捜査を行うことがまとまったことから戻ってくることになったものです。この車が日本に戻ってくることによって事件の真相がまた一つ分かる手段になることを期待しています。
(問)現時点では、事件についてテロの可能性が高いとの考えは変化がないですか。
(報道官)兼ねてから申し上げているように、この車の片側に銃痕が集中しているといったこと、状況が決して当初言われていたようなものではなく、例えば奥大使達が何か食べ物を買おうとしてその最中に襲われたといった情報は全くの誤りで、実際には車の走行中に銃撃を受けて亡くなったといったことが米軍でも確認されていることから、私たちとしては、物が盗まれていないことも含め、テロの可能性が強いと考えていますが、そのことも含めて車が日本に回収された段階で更なる捜査が捜査当局によって進められると期待しています。
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北朝鮮
(問)今日の午前の予算委員会で小泉総理が北朝鮮に対していわゆる経済制裁とか、圧力を強めることについての考え方というのを述べておられましたが、外務省としては、今現在、目標としている日朝ハイレベル協議の早期開催に対して経済制裁の発動を検討することや、特定船舶入港禁止法案の早期成立の動きといったものというのはハイレベル協議の実施、早期開催にどういうふうに影響するとお考えですか。
(報道官)基本的には「対話と圧力」という考え方で北朝鮮に対して臨んでいくことは、今までもとってきましたし、これからもとっていくわけです。まず改正外為法が北朝鮮側に対してある一定の圧力となってきたことについては、平壌で行われたハイレベルの折衝の中で北朝鮮側がいろいろと指摘したことからも感じ取れるわけです。また例えば、ハイレベルや六者会合の中における日本側の拉致問題の早期解決を求めるという発言、また核問題の解決を求めるという発言を後押ししたということも考えられると思います。しかし小泉総理が発言されたように、必ずしも圧力だけでいくわけではなく、かねてから川口外務大臣が述べているように、圧力は対話を進めるためにかけるものということになります。特定船舶の問題については、現在、与党の方でお考え頂いていることで、政府として今コメントをする状況にありませんが、これまでどおりの方針で北朝鮮に対して出来るだけ早く問題の解決のための話し合い、解決のための措置を取ることを働きかけていきたいと思います。経済制裁を今の段階ですることは日本政府として考えているわけではありませんが、事態が悪化されるような状況になった時には、当然考えなければいけないことと考えています。
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ムルアカ氏
(問)先程、鈴木宗男元衆院議員の秘書だったムルアカさんが記者会見をしまして、2年前に外務省が彼の外交旅券は偽造だったと発表したことについて、自分の旅券は外交旅券でもないし、もちろん偽造でもなかったということは法務省の一連の手続きで明らかになった、それで外務大臣に謝罪を求めたい、ついては2月26日付で内容証明付郵便を送ったと発表しましたが、これについて外務省側としてはどういう対応、もしくはコメントを。
(報道官)ムルアカ氏から内容証明付の手紙が届いたことは確認していますが、一昨年の3月の段階で外務省が東京にあるコンゴ民主共和国の大使館、更に本国政府にも問い合わせたところ、その当時に同人が持っていた旅券について、当初、コンゴ民主共和国の方から、これは偽造旅券、偽造文書だという言葉で回答が来たということがあったので、そういう回答を受けたということを公表したわけです。また、外交旅券であったということについては、表を見ただけでは外交か公用かということは区別がない旅券だったということですが、番号がDから始まっていたのでこれは外交旅券と思われるという回答を得ており、そのことを含めて我々はそのような報告を出したわけです。その後、コンゴ側から、これは偽造旅券ではなく、然るべき判子が押していない、つまり外交旅券、もしくは公用旅券を発行する権限を持っているコンゴ民主共和国の外務省当局が判子を押した時に初めて有効になるものだが、その判子が無く、替わりに東京の大使館の判子が押してある、従って無効だという返答を受けました。従って外務省としては、いずれにしても、まず無効の旅券を使っていたということは我々としては受け入れることの出来ないことと判断をしています。従ってムルアカ氏からの内容証明付の書簡は受け取りましたが、謝罪の必要はないと考えています。
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