外務大臣会見記録 (平成15年4月25日(金)09:30~ 於:院内控室)
閣議
(外務大臣)今日の閣議で私の大型連休中の中東訪問について決定をしていただきました。それから私から草の根無償資金協力の実施状況、草の根文化無償資金協力の実施状況、そしてイラクの文化遺産の修復・保存に対する緊急無償についての三つについて発言を致しました。
中東訪問ですけれども、現在の中東情勢に鑑みて、中東和平、そして地域の平和と安定のための日本の真剣な取り組みの一環と致しまして、26日明日から5月5日まで、イスラエル、パレスチナ、ヨルダン、シリアを訪問しまして、各国要人等と会談を致します。
それから、草の根無償と草の根文化無償については、平成14年度の実施状況をとりまとめて報告をしました。詳細は資料をご覧頂きたいと思います。草の根無償が111ヵ国と1地域で95億円、そして草の根文化無償が22ヵ国で総額1億380万円の協力をしたということです。
それから、イラクの文化遺産の修復・保存についての緊急無償ですが、前に発表させていただきましたけれども、イラクに対するユネスコを通ずる支援の内、100万ドルの緊急無償についての新規拠出分、これについて報告をしました。
それから、閣僚懇談会で私から日本のODAについて、外国で評価をされている例としまして、これも資料があるかと思いますけれども、開発途上国の紙幣の中には日本のODA案件を紙幣の図柄としているものがあります。日本のODAが如何に高い評価を得ているか、日本がどういうことを紙幣にするかということを考えますと如何に高い評価を受けているかということがお分かりいただけると思います。その紹介をさせていただきました。
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重症急性呼吸器症候群(SARS)関係
(外務大臣)日本のSARS対策支援、これはSARS対策を供与するために26日にASEAN+3、それに香港を加えた保険大臣の会合が開かれます。そして29日にはASEAN特別首脳会議がそれぞれ開催されます。日本はベトナムの要請を受けまして、既に3月の中旬から4月の上旬にかけて、対症療法や感染対策に関する指導と助言を行うということで、国際緊急援助隊専門家チームを派遣して、ベトナムでの感染の拡大の防止に協力をしております。それから今後ともこの点については、関係国や地域のSARS対策に可能な限りの協力を行っていきたいと考えておりまして、現在東アジアを中心に医療器材等の援助ニーズ、これを調査をしておりまして、要請があれば迅速に対応していきたいと考えています。
(問)先程のSARSのニーズを調査した上でというのは、具体的に何か考えているのですか。
(外務大臣)私はSARSというのは、特にこの地域では非常に大きな問題であると思いますので、わが国として調査をした上で、お手伝いできるニーズがはっきりすればそれをベースに考えていきたいと思います。
(問)調査というのは在外公館を窓口に行うということですか。
(外務大臣)そういうことですね。
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イラク情勢
(外務大臣)イラクに対する現地状況調査団の派遣ですけれども、可能な限りイラク大使館の機能の再開をすることが必要でございます。バグダッドに現地調査団を派遣することに致しました。この調査団は相星中東二課長が団長になりまして、5名の人間が27日に成田を発って、28日にアンマン経由で陸路でバグダッドに入ります。5月1日にバグダッドを発って、アンマン経由で帰国を致します。この調査団が何をするかということですが、大使館事務所の破損状況、治安状況、他の外交団、外交使節団や国際機関の活動状況等を調査・確認するとともに、日本のイラク関連の人道支援や復旧・復興支援について、関係者と意見交換をし、現地状況の視察を行うということです。
(問)イラク戦の話になりますけれども、市民の犠牲について、マスコミでは1000人は越すだろうとか、調査によっては2000人や3000人とも言われていますが、大臣は以前、誤爆というものはあり得るという趣旨の発言をされていますが、この数字を前にして、あらためてそのお考え、そういう犠牲はやむを得ないものであるとお考えかあらためてお伺いします。
(外務大臣)犠牲はやむを得ないというふうには申し上げることはできないと思いますね。犠牲はないことが一番良い。それから私はこの前、誤爆は有り得るというより、むしろ市民の方がいろんなかたちで巻き込まれて犠牲になっていくということは、これは上からの爆弾だけじゃないですから、いろんなかたちでそういうことは戦争では有り得るというふうに思います。それがあるということは残念で、この点については戦争の始まった時点で、是非そういうことを極力少なくしてほしいということをお伝えをしたということは前にも申し上げたかもしれませんが、米国からはそれについては全く同じ考えを持ってやっているということを言って頂きました。米国が一番そういうふうに思っているのだということですね。それもそういうことだろうと思います。
ということで、非常にそういう意味では、数はいろいろな報道がありますけれども、そういうことがあったということは残念ですね。
(問)1000とか2000という数は極力少ないという中に入ると思われますか。極力少なかったと思いますか。
(外務大臣)それはよく分かりません。いろんな過去において戦争があって、例えば、死傷者の数が、長さとか何を目的としたかとかいろいろありますけれども、1000というオーダーではなかったということもたくさんあるわけですから、比較して多いとか少ないとかそういう話ではない。一人でもやはり少ない方が良いという話だと思います。
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米中朝協議
(問)北京で行われた米中朝協議ですが、北朝鮮が核兵器の保有を認めたことと、使用済み燃料棒の再処理を行ったことを明らかにしたとの報道が出ていまして、ブッシュ大統領も北朝鮮は脅迫のゲームに戻ったと発言されたそうですが、日本政府としては、その辺りの事実関係をアメリカから聞いているのかどうか、政府としてどう対応していくのか。
(外務大臣)報道は聞いています。事実関係については、これは終わった後で、アメリカからブリーフをしてもらえると思いますので、今の段階では確認はしていません。
(問)まだ聞いていないということでよろしいですか。
(外務大臣)そのことについては、聞いていません。
(問)確認ですが、北朝鮮が核を保有していることを会議で述べたということについてはアメリカからは聞いていないということですね。
(外務大臣)日本としては聞いていません。
(問)再処理についても同様ですか。
(外務大臣)そうです。
(問)この報道については、今日の閣僚懇で話題になりましたか。
(外務大臣)なっていません。
(問)米側は、公式の会見等でこれから事実としても不思議ではない、北朝鮮がそう言っても驚きではないと言っていると思いますが、日本側としては、仮にそういうことを言っていたとしたらどうですか。
(外務大臣)これは日本が出ている会議ではないですから、言ったとか言わないとか、そういう仮定の話で申し上げることはできないと思います。
(問)北朝鮮が核兵器を保有しているというのは、アメリカなどでは可能性が高いと報告されていましたが、日本政府としては北朝鮮の核兵器保有に関する認識というのはどうなのでしょうか。
(外務大臣)いろんなことがこれについては言われていますね。日本政府としては、何かそういう事実があったとか、なかったとか、そういうことは確認は今までしていません。
(問)あらためて日本政府としては、この協議が今後どのように進展していくべきだとお考えですか。(外務大臣)現場でどういうことかということについては、先程申し上げましたように、今の時点でそういった事実について何か申し上げるということはできないですね。日本としてはずっと前から言っていますけれども、この問題については、朝鮮半島に核があるということはあってはならないことである、問題を平和的に解決したいと思っていますので、やはり、粘り強く対話を続けていくことを希望しているということです。
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川口大臣の中東訪問
(問)中東に行かれますけれども、通称アブ・マーゼンと呼ばれるアッバース新内閣の組閣名簿が交付されて、昨日、歓迎の談話というのを出してらっしゃいましたが、その日にあわせるかのように、自爆テロがありまして、13人くらいの死傷者が出るという、パレスチナ自治政府内にも所謂新しい世代に対する反発とか、イスラエルの交渉姿勢に対する意見の違いが根強いようですが、その点についてパレスチナ側とどういう話をしたいとお考えですか。
(外務大臣)日本が中東和平を前に進めることがずっと大事だということは、去年私が行ったときも言っていまして、日本として日本のロードマップも提出しているわけで、そういうことで動いていくことの支援を日本としてしていきますということです。暴力を停止をするということの重要性、かたやイスラエルに対しては、incursiouをやめていくということの重要性をずっと言ってきているわけで、出来るだけ早く、今、アブ・マーゼンの組閣ができたということは、非常に重要なステップだと思うんです、その改革の動きを日本としては支援していきたいんだということを言いたいと思っています。それで、そのロードマップを出来るだけ早く公表して、2つの国家が競争もしていくということで、是非パレスチナの人々に希望を持ってもらいたい。ロードマップに従ってその先進んでいくということが大変に重要であると日本として考えているということを伝えたいと思いま
す。
(問)大臣が一年前に行かれたときに、パレスチナ支援に対するロードマップというのを提示されたわけですけれども、その後いろいろな条件があってなかなか進んでいないわけですね。今回の訪問では、日本がどう関与していくか、どう進展させていくか、その辺りはどのように述べられるお考えですか。
(外務大臣)非常に急速な形で進展をしているかと言えば、それはいろんな意見があるんでしょうけれども、進展はしているんですね。アブ・マーゼンの民意に沿った形で首相に任命をし、そして彼が組閣をしたということは非常に大きな進展だと私は思っています。それで、日本としては、そういうことを後押ししていって、4者のカルテットのロードマップとの関係では、地方自治についてのノルウェーや日本や国際機関が入って、実施面で地方自治について、日本はその委員会の議長をやることにもう既になっているわけですね。そういったことの支援、そういう枠組みにおける支援とそれから日本のロードマップに沿っての支援、これはやっていって、改革を進めるということと、やはり信頼醸成を作っていくということが大事だと思いますので、そういうことについて日本として手伝いたいということを言っていく。
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外務大臣会見記録 (平成15年4月22日(火)09:15~ 於:院内控室)
北朝鮮関係
(問)ジュネーブの国連の人権委員会で出した報告の件ですが、昨日次官が「至らぬ所があった」という話しだったんですが、同じようなお考えでしょうか。
(外務大臣)内閣の支援室とは日頃から密接に連携を取ってやって下さいという話はしてありましたので、それが行き渡っていなかったということでしょうね。改めてそれは必要だということは言いました。
(問)そのおっしゃったということは、どういう機会で、どういうところの方に言ったのですか。
(外務大臣)秘書官です。きちんと伝わるように。
(問)北朝鮮を巡る協議が動き出す中で、拉致問題がどうなるかというのは大変関心があるところでだと思いますけど、こういう時期に、官邸と外務省というのは拉致問題になると、今回安倍官房副長官が反発されたということもありますけど、連携が、足並みが乱れてしまうのでしょうか。
(外務大臣)通常はうまくいっているんですね。家族の方のご支援は支援室がということでやっていただいてまして、非常に通常は外務省の人もそもそもそこに大勢行っていますし、全く通常ベースではうまく行っていると私は思っています。重要なことについて連携が十分でないということになってしまうというのは、非常に残念だと思うんですよね。いつもうまく行っていないということではない。外務省は3人くらいですか、もうちょっとですか支援室に行っているのは。
(問)肝心なところで繰り返されるなという気がするんですけど。
(外務大臣)肝心なところでいつもそういうことになっているわけではないんですね。肝心なところも含めてうまく行っているんですよね。そういう出てくる問題というのは、たまたま今回本当にそういう意味では非常に残念なんですけどね。そういう時について、起こってきたことが割と見えますから、今おっしゃられたような印象を持つということじゃないでしょうか。これは、連携というのは基本的にこの問題もそうですし、他の問題もそうですけど、大事なことですから。
(問)今回の問題は、支援室との連携という問題と外務省内での議論が充分になされこのような結論を出したのかという問題があるのですけれども、この外務省内での議論については大臣はどのような認識を持っていますか。
(外務大臣)外務省内でどこまで上がった話かということについては、はっきり聞いていません。私の所までは上がっていないというのは確かなんですけども、どこまで上がったかということは知りません。
(問)北朝鮮の問題については、これまでも省内で充分に議論がなされないまま決められているのではないかという指摘がありますが、今回はそのようなケースにあたるのでしょうか。
(外務大臣)全然違うと思いますね。そのおっしゃっているのは、平壌に総理が行かれたときの話ですか。
(記者)それだけではなくて、拉致の話なんかもそうですけど、省内的に。
(外務大臣)それは全くそういうことないと思いすね。私の所でも随分会議をしますし、次官の所でも、或いはその下のレベルでもよくやっていますし。中での議論がそういうふうになっていないということは全くないと思いますね。これを申し上げると言い訳をしているとか、エクスキューズをしているというふうに採られるといけないので敢えて今まで申し上げていないんですけども、非常に猛スピードで毎日走っているわけですよね。人数も限られていますし、例えば金曜日にそういうことがあれば局長、課長というのは居ないとか、そういうことになりますよね。ですから、カバーしていることが非常に多くて、タイミングで物事が重なるってことはあるんですね実際に。これは敢えて申し上げると、それだけ書かれると何か言い訳をしているというふうに書かれると私困ると思って今まで敢えて言わなかったんですけど、実態は一所懸命みんな仕事をやっていると思います。本当に週末も返上し、夜も残業時間凄い時間かけてやっているわけで、それでベストを尽くしてやっているという状況だということも知っていただきたいと思いますね。だからと言って、連携が支援室とあの件について無かったということが許されると言うことで申し上げている訳では全然ないのですけど。
(問)そういういろいろなつかさつかさでいろんな方々が自分の所に、今忙しい時期だからこそ、こういう拉致問題みたいな、敢えて言えば日頃の政策関心マターから言えば外務省で今回みたいなことになりやすいことを防ぐためにも、例えばアジア局だけでなく総合外交政策局が見るようにとか、大臣の所で見るようにとか。
(外務大臣)それは、そうなっているんですよね。総合外交政策局が中心になって北朝鮮の問題でも或いはイラクの問題でも日米の問題でも、いろいろなことはそういうふうによく動いていると思います。組織として機能面で言えば、基本的なことは私は非常にきちんと連携をとって緊密に動いていると思いますけどね。支援室、内閣には家族の人との関係のことはお願いしてあって、外務省はこの問題については交渉の所をやっているわけですね。それから、拉致問題全体についてこれは、内閣で安倍副長官の所で組織があるということで、政策的なことはそこでやって、政府全体として対応しているということですから、組織的な分業関係というのはきちんと整理ができていると思います。
(問)一般的な注意喚起に留めるのではなくて、今回のは正に何処まで上がっていて、どういう過程でそうなったか検証されるべきではないですか。
(外務大臣)と思いますね。その質問は発してあるんですけど、まだ答が上がってきていないんで。取り敢えず、私の所まで上がった話しではないということは確認しましたけど、どこまでということはちょっと分からないです。
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イラク復興支援(ORHA、基金設立)
(問)イラク関係ですが、復興で一部報道で支援の受け皿となる国際基金を新たに作って、米英とか国連に打診するというような報道があったのですけど、これについてはどうなのでしょうか。
(外務大臣)特に承知していません。イラクへの日本の支援はORHAの話について発表しましたけど、それ以外もいろいろなツールがあるわけですよね。例えば国際機関と連携すると言う話もありますし、周辺国と二国間でやるという話もありますし、それからユネスコの、例の博物館ですけども、そういうことも片やユネスコと一緒にやり、或いはもっと他のやり方も検討中であるわけですから、やり方としてはいろいろなやり方があって、ORHAだけがひとつのイラクについての支援のツール、方法、手段では無いということだと思います。
(問)基金の設立というのは、過去の経験からして有力な選択肢であるというふうなお考えですか。
(外務大臣)それはアフガニスタンのことをお考えでいらっしゃるわけですね。特に今、基金の設立について日本政府として何か非常に中心的な課題だと言って議論しているということではないですね。
(問)基金ができたからと言っても、そこから出たお金の受け皿が、暫定統治機構とか、それをどうするかという問題は依然残るということになりませんでしょうか。基金ができれば全て解決ということですか。
(外務大臣)イラクの方の統治機構は、日を追っていろいろと動いているわけですよね。ですからそれも動くし、日本国について言えば、支援に使えるツールというのも向こうのイラク側の体制がどういう状況にあるかということで使えるツールが変わってくるわけですね。そういう意味では動態的なコンテクストでこれは考えていくということだと思いますけども。繰り返し言いますけど、基金の話についてそんなに具体的にこれだと言って動いている訳ではありませんから。
(問)現地の動態的な状況にも依ると言う意味でまだはっきり決まらない、分からないということですか。
(外務大臣)基金の話について言ったわけではなくて、例えば日本の経済協力についてE/Nというのが必要になるようなツールもあるわけですね、経済協力の中には。交換公文を結ぶためには相手国の政府が、統治機構がなければいけないというようなことがありますよね。ですからそういうことを申し上げたわけです。
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重症急性呼吸器症候群(SARS)関係
(問)SARSについて、北京での被害が広がっていますが、日本の対応としてどのようなことをしていますか。
(外務大臣)外務省としては渡航情報については、その状況の動きを見てかなり頻繁に動かしています。邦人の渡航、或いは現地にいらっしゃる方への対応はそういうことでやっています。あとは、厚労省とか入国審査のところでいろいろと、これは他の省の問題なので、私の口から何かこういうことですということを申し上げることはできないと思います。注意をして状況を見ていかなければならないと思います。
(問)危険情報については動かす予定などは。具体的に。
(外務大臣)必要に応じて既にやっていますので、インターネットで見ていただければ、かなりマメにはやっています。今どこについては何という情報を手元に持っていないので、これですと申し上げられませんけど、領事移住部に聞いて下さい。
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外務大臣会見記録 (平成15年4月18日(金)8:40~ 於:院内ぶら下がり)
閣議(支援委員会の設置に関する協定の終了)
(外務大臣)まず支援協定ですけれども、これを廃止します。方針については御説明をしてありますけれども、廃止することについて口上書を取り交わすわけですが、それを閣議で決定をしたということです。
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ORHA(復興人道支援局)への人員派遣
(外務大臣)ORHAについてですけれども、日本からORHAに対して文民を派遣をする、それによってORHAを通ずるイラクへの協力を行う、イラクの人道・復旧復興の協力を行うということでございます。当面4、5名ということです。いろいろな、外務省それから関係の各省、そして民間の方、そういった方をこれから募って、できるだけ早く送ると言うことを考えています。
(問)ORHAの派遣ですけれども、例えば閣議了承とか、閣議報告というのはおこなうのですか。
(外務大臣)(閣議了承とか、閣議報告)ということは特に行ってはおりません。もちろん了解済みです。
(問)時期的なものについては、できるだけ早くと今おっしゃいましたが、例えば来週中とか今月中とか。
(外務大臣)そうですね、今月中に送ることができればいいと思いますが、今月中に送るということが決まっているわけではないということですね。
(問)期間は。
(外務大臣)これも現地の情勢次第ですが、週の単位ということではなく、月の単位でということだと思います。外務省の職員として送るということであります。
(問)関係各省庁とか民間とかいうお話ですが、具体的にはどういったところが想定されて、具体的にどういったお仕事に当たるとお考えなんでしょうか。
(外務大臣)これは、むこうにどういうニーズがあるのか、そして我が方の、日本の知見といいますか、専門性がどの分野にあるのか、そうしたマッチングをした上で日本として適切に力を発揮できるところに人を送るということですから、そういうことをやりながらということで、今どこに、どの分野の、ということが決まっているわけではないということですね。日本として早い時期に送るということで、イラクの人道・復旧復興に協力をするということが重要だというふうに考えています。
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在イラク日本国大使館
(外務大臣)イラクの日本国大使館ですけれども、これについて、現地の情勢等を見ながら、できるだけ早く大使館員を戻すということを行います。
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北朝鮮
(問)日米韓の協議がはじまりますが、日本としてはアメリカにどういったことを求めていくのですか。
(外務大臣)方針ですね、進むための。エスカレーションを止める、そして戻していく、それから我が国としてできるだけ早い時期に多国間、もっと拡げるということを言っていくということです。核以外のことについても、できるだけ早く取り上げてほしいというふうに思っています。まあそういうことですが、全体として、どういう方向で進むかというのをみんなで議論の上、そういった方針を決めていくということだろうと思います。今まだそんなに先が非常に見えている話ではありませんので、基本的には1回やってまた考えてということだと思います。
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外務大臣会見記録 (平成15年4月15日(火)8:50~ 於:院内控室)
閣議(大臣の欧州訪問、イラクの緊急無償資金協力)
(外務大臣)閣議では欧州への出張とイラクへの緊急無償の実施について発言を致しました。欧州の出張につきましては、これは資料を配布しているとおりです。基本的に良いタイミングで行けたということと、日本についての期待が大きかったということ、それから日本が述べた5原則、これについては賛同が得られたということ、それで国連の十分な関与、これを確保すべきということで説明をしたということです。国連の関与ということについては、意見の一致があったわけですが、そのタイミングとかやり方とか、そこは意見が様々あるということです。及び中東地域の平和と安定について、これが重要であるということについても意見が一致、各国強い関心を示したということです。
イラクの無償資金協力、これにつきましては、1億ドルを上限とするというフラッシュアピールを受けた発表をさせていただきましたけれども、そのとき赤十字について800万ドル、ユニセフについて500万ドルというふうに言いましたけれども、そのうちのユニセフ500万ドルのうちの410万ドルについて、これを緊急無償資金協力、800万ドルとユニセフの410万ドルについて緊急無償資金協力を行うということを報告を致しまして、残りのユニセフの90万ドル、これは日本のユニセフへの今年度の拠出金で別途手当をします。それからもう一つWFPに1150万ドルの食料援助を行うということも申しましたけれども、これについても決定をされています。ということで、具体的な拠出を決定しましたイラクの人道支援、これが総額約3000万ドルになったということでございます。
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北朝鮮関連
(問)拉致被害者の方々が帰国されて今日で半年ということになりまして、昨日記者会見をされて、家族との再会について政府の努力への期待もおっしゃっていたのですが、北との交渉は日朝(国交正常化交渉)が今止まっていまして、多国間協議については、北側がちょっと柔軟ともとれる発言をしだしたりしていますが、この拉致問題を今後どういう枠組みでどういうふうに解決に向けて考えていらっしゃるのでしょうか。
(外務大臣)本当に半年も経ってしまって、ご家族の方、残されたお子さん方も本当にこの半年、毎日毎日お互いのことを思わない日はない状況で過ごされたのだと思います。物事の進展がなくて非常に残念だと思っています。可能な限り、ありとあらゆる機会を捉えて前に進めたいと思っているわけでして、様々な働きかけもやっているということですけれども、これは会議の場としては、やはり今中断されている日朝の(国交正常化)交渉の場ということだろうと思いますが、可能な状態が他の場であれば、それは常にそういうところで取り上げていくということです。
(問)その関連でですが、拉致問題というか、日朝交渉は去年の秋ぐらいに日本側が5人を北に返さない決定をして、それで家族をむしろ日本へ戻しなさいということになって以降止まっている状況なわけですが、改めて今の時点で日朝交渉を再開する日本側としての条件というのはどういうふうにお考えですか。
(外務大臣)この条件で再開をしますとかそういうことは言っていなくて、今まで言っていることは全部言っているわけですから、そういった前提の上で何か新しい条件をそれに付けるとか、そういうことではないです。出来るだけ早く再開をしたいと日本としては考えているということですね。
(問)核問題とかに関して特にハードルがあるというわけではないということですか。
(外務大臣)核問題は日本の問題でもありますし、国際的な問題でもありますね。日朝平壌宣言に書いてあること、それが守られている状態になった時に正常化交渉が終了して、正常化が行われるということですから、特に新しい条件をこの時点で新しく付けるとかいうことではない。核の問題は日本だけの問題ではないわけで、国際的な枠組み、議論が必要で、いずれにしてもこの問題は日米韓、近隣の中国、ロシアといった関係の国とも連携をしていくと、特に日米韓の三カ国の連携をきちんとやりながら進めていくということです。
(問)昨日曽我ひとみさんが発表された手記の中で、私の二つの家族、北朝鮮にいる家族と日本にいる家族、この二つの家族をバラバラにしたのは誰ですかと言っています、誰だとお思いになりますか。
(外務大臣)本当に曽我さんの気持ち、お辛いものがあるだろうと思います。ずっとそういう流れがあって、歴史をどこまで遡ればということなんでしょうけれども、具体的にこの人とか、その組織とか、いろんな複合的な力だろうと思います。それが歴史ということじゃないかと思います。そのところに大勢の個人個人の方の犠牲の歴史が刻まれているということだと思います。本当にお気の毒だと思います。
(問)続けて、このバラバラになった家族をまた一緒にしてくれるのは誰ですかとおっしゃっていますが、これは誰だと思いますか。
(外務大臣)みんなが努力をしているということだと思います。政府もしていますし、日本国民の方もみんなバックしていると思いますし、それから家族の会もありますし、いろんな人が今一所懸命やっていると思っています。勿論相手側もあるわけですから、そういった力があってそういうことが可能になると思います。
(問)そしてそれはいつですかとおっしゃっています。いつだと思いますか。
(外務大臣)出来るだけ早くしたいと思います。
(問)各国が北朝鮮に呼びかけている多国間協議のフォーラムの中で、拉致問題というのも一つの重要な議題として取り上げられるのでしょうか。日本政府としてはそういう意向なのでしょうか。
(外務大臣)日本政府としては、そういう(多国間協議の)場が立ち上がった時にいろいろな問題を議論したいと思っています。その問題、何を議論するかということについては、一切今の段階で国際的に合意があるわけでありませんし、これをどう取り上げるかということは相手とまず話し合いの中で合意があるわけで、ですから大事なことは話し合いが早くスタートするということだと私は思っています。
(問)その話し合いの形態について、今日一部報道でいわゆる日米韓という三カ国、局長級のTCOGの会合プラスアルファで中、露、北朝鮮を含めた局長級の会合を開きたい方向で政府が検討しているという報道がありましたが、この事実関係はどうですか。
(外務大臣)今の時点で特にそういうものを開きたいということで考えているということはないです。ただ連携は関係国の間では頻繁にやっていますから、連携をしなければないとかそういうことではないです。
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スリランカ和平
(問)スリランカの和平の方なんですが、LTTEが声明を出して米国で和平会合を準備会合をやろうとしたところがテロ組織であるということで排除されたために、それをもって声明を出して、6月の東京会議への参加方針を見直すという声明を出しているのですが、こういうことに対して大臣としてどういうふうな働きかけをされようとしていますか。
(外務大臣)それについてはまだ私は聞いていません。
(問)もしそういうことであれば、何かお考えはありますか。
(外務大臣)確認をしてみませんと、どういうトーンで言われたか。この前、東京でやった和平のための会議のセッションを一つやったわけですけれども、そのときにはいろいろ事前に問題があったわけですが、日本がお座敷の提供をしたということが、むしろ話を前に進めるという意味でプラスになったと私は思っていますし、日本の役割はその状況で十分に果たせたと思っています。そういう意味で6月の会合も重要だと思っています。ですから今のお話はどういうことだったのか聞いてみないとわからないです。
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外務大臣臨時会見記録 (平成15年4月9日(水)16:30~ 於:会見室)
国連緊急統一アピールを受けての我が国の人道支援
(外務大臣)イラクのフラッシュ・アピールを受けて我が国の人道支援策を申し上げたいと思います。まず、今までに503万ドルというのを出したことがあります。これはこの前申し上げましたけどもユニセフ、WFP、それからUNHCRに出した訳ですけども、その後3月28日に国連、赤十字から両方あわせて総額24億米ドルのフラッシュ・アピールがあったわけです。それでということが御座いましたので、追加的な支援策を取りまとめたというわけです。まず金額としては1億ドルを上限とする人道支援を行うということでして、これは人道的な面での被害の状況やオイル・フォー・フード計画の今後の推進の状況を見ながら、1億ドルを上限とする支援を行うという事です。この支援の、1億ドルが上限ですけども、具体的に何かという事については、子供あるいは妊産婦を始めとする女性を中心にしまして、特に不足をしている水、それから食糧等の生活基礎物資あるいは緊急な対応が必要な医療・衛生関係の支援、これを重点的に取りまとめました。食糧ですが、内容は現地の需要が大きい豆類7千トン、それから日本の政府米1万トンを供与するという事でして、WFPに対して二つ合わせまして1150万ドルの支援を実施します。また、バグダッドあるいはバスラで、医療支援、食料と生活物資の配布、給水施設の修復等の緊急人道支援をICRC、赤十字国際委員会がやっていますけれども、それとユニセフに対しまして支援をする。ICRC、赤十字国際委員会には800万ドル、ユニセフには500万ドル、合計1300万ドルということになります。それで、今の1150万ドル、800万ドル、500万ドルを足しあわせますと、約2500万ドルになりますけれども、それに、既に発表した503万ドル、先程申し上げたものですが、それを足して、総額で約3000万ドルということが、具体的に拠出を決定したものです。それから、1億ドルを上限というふうに申しましたけれども、これ以外の支援はどうするのかということですが、これはOFF(オイル・フォー・フード)の計画が実際にどのように動いていくか、そして難民や避難民の見通し、それからそういったことも含めた人道的な被害として、どういう支援が必要とされているかというニーズ、こういったことを見て、必要に応じて検討していくということでございます。一日も早く、イラクの困っている人達の手に届くようになれば良いというふうに考えています。私から申し上げるのは以上です。
(問)確認ですけれども、政府米の中身は何でしょうか。MA(ミニマム・アクセス)米はあったのでしょうか。
(外務大臣)それは今食糧庁でいろいろ検討していただいていると思いますので、食糧庁が考えていると思います。
(問)食糧支援、WFPに1,150万ドルを出していますね。そのお金で日本政府から1万トンのお米を買ってもらうのと、あと、豆については、これは現地で。
(外務大臣)どこかで調達をするということになりますね、7,000トンは。金額的には併せて1,150万ドルということになります。
(問)イラク政府の完全な打倒はあとどのぐらいと日本政府は見ていますか。
(外務大臣)これについては、いつ頃という決まった見方は持っておりません。
(問)長期ということですか。
(外務大臣)終わりの始めという段階にあると思っていますが、終わりと言ってもどういう状況が終わりだということも、非常にいろいろな形があり得るわけですので、事態を注視していきますが、あとどれぐらいというふうに予測はしていません。
(問)イラクの現政権崩壊後の話なんですが、暫定統治機構を巡り、いわゆる顧問派遣というものを米国から既に要請はありますでしょうか。もしあるのでしたら具体的にどのようなことをお考えでしょうか。
(外務大臣)暫定統治機構とおっしゃったのは、ORHAの話ですか。暫定統治機構をどのような形で作るということについては、まだ全く、これからの話であるわけですね。ですから、そこに人を出してくれとか、そういう具体的な話にはなっていないという状況なので、おっしゃっているのはたぶんORHAの話でしょうか。
(問)そこの部分もはっきりしていないので、逆に、もしアメリカからどちらかの機構に関して・・・・・・。
(外務大臣)何れにしても、どちらにしても、具体的にそういうことだということではないのですが、ORHAの方のお話でしたら、これは今クウェートにあって、日常的にいろいろな連絡をとるということはやっています。ということで、どういうふうに連絡をとり続けていくのが一番いいかということは考えておりますが、具体的にじゃあ派遣をしてくださいということではないと思いますので、そういうことです。
(問)今のお話に関連して、緊密に連絡を取り合っているというのは、どういう形で行なっておられるのか、現地に人を派遣して・・・・・・。
(外務大臣)クウェートの大使館、それから今、応援出張で他の国にある日本の大使館から人をクウェートに派遣して、そういった形でやっています。
(問)先程のアピールに対する対応なんですが、一般ではそういうアピールが出れば、それの2割程度を日本が負担するのではないかといったような見方もありまして、それを考えると今回の額というのはかなりこじんまりしたものかなという印象、ちょっとこじんまりしているかなという印象があるのですが、こういう金額になったことについてはどういう判断があったのか、お伺いできますか。
(外務大臣)いろいろなことを考えたわけですが、一つは、24億ドルのうち、オイル・フォー・フードが一体どれぐらいを占めることになるのかという判断がありますね。24億ドル丸々いろいろな国が拠出をするということが必要だということではないわけですね。今まで、既にコミットした国がありますから、日本の1億ドルを入れると大体それは14億ドルになるのですが、オイル・フォー・フードがどういうことになるかというのがよくわかりませんが、10億ドルぐらいカットになる話もあります。だから1億ドルというわけではないのですが、これは総合的に日本として考えて、いろいろな状況、そういう今後の、何が起こりそうかとかいろいろ考えて、一応1億ドルというふうに考えたということです。具体的には、これ上限ですから、何にそれを使っていくかという残りの、先程約3,000万ドルと言いましたが、残りの7,000万ドルについてはこれからまた状況に応じて考えられていくということです。
(問)先程のORHAの関連なんですが、仮に顧問であれ、どういうかたち、肩書きであれ、派遣要請があった場合に日本政府としては人を派遣するお考えはありますか。
(外務大臣)ORHAというのは、アメリカの国防省の組織であるわけですね。それで、今クウェートにあるけれども、今後、イラクに移るだろうということがありますね。それからORHA自体がアメリカの組織であるのか、もう少し国際的な色彩が強いことにしようといういろいろな考え方もありまして、今、どういうふうに連携をとったらいいかという意味では非常に重要だと思いますが、いろいろな変数がありますので、今の時点でそうすべきだとか、そうすべきでないとか日本が具体的に言えるには材料がまだ十分にないと。
(問)昨日、北アイルランドでアメリカとイギリスの首脳会談があって、イラクの戦後について国連の果たす役割とかについて協議がなされたのですが、その協議について大臣はどのように評価されているかというのと、それを踏まえて今日からヨーロッパ3カ国を訪問されますが、どのような話し合いを欧州諸国としたいと思っていますか。
(外務大臣)英米の首脳会談は、これは記者会見や声明、ステートメントで見た範囲で申し上げれば、非常にいい、今後の進め方としてはいいお話だったのではないかという評価はしています。何分にもいろいろな、今、各国の考え方もイラクにおける武力行使の実態も日々刻々変わっているわけですね。ですから今の時点ではっきり、私として、これを獲得することが大事ですというふうには申し上げられないのですが、やろうと思っていることは、一つは、5原則の時に申しましたが、国連の十分な対応を通じて、国際協調によってこれをやっていくということが非常に重要であるわけですから、そういうことについては働きかけをしたいということです。各国、立場が日々変わっているような状況で、最新事件の、どういうふうに考えているかということを踏まえて、その上で日本としてどういうふうに、何をどう働きかけるかということを更に考えていくということです。国際協調が非常に必要だ、何故必要かと、本当に言うまでもないと思いますが、やはり国際社会が武力行使を巡って、意見が異なるようになってしまったということですから、イラクの復興については、やはりみんなが一緒にやるという意味で非常に大事ですし、実態的にも少数の国だけでやってできることというのは限度が、リソースの点をとっても、お金の点をとっても、限度があると思うんですね。やはり全部まとまる形というのが望ましいですし、国際社会の今後の物事に対応していく能力ということを考えても、国際社会がこういった復興ということを契機として更にまた、まとまっていくという状況というのが望ましいと思っています。
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北朝鮮(拉致問題)
(問)イラクとは別件で一つお伺いしたいのですが、今朝の自民党の外交部会で、拉致はテロだと思うというふうにおっしゃったと聞いているのですが、それについて、まず大臣のおっしゃるテロというのはどういうふうに定義されているのかという一点と、もう一点は、被害者の家族の方々が拉致と認定して経済制裁をというふうにおっしゃったと思うのですが、それについては、改めてどういうふうにお考えですか。
(外務大臣)私が外交部会で言いましたのは、こういうことです。普通に言えばテロだと思いますということを申し上げまして、これは、私は今までも国会でも言っていますし、この間、家族の人に言ったことでもあります。ですから何ら違うことを言っているわけではないです。経済制裁の話ですが、これもこの前、家族の方に申しましたが、今の時点で拉致を理由に北朝鮮に対して経済制裁をするということは、政府としては考えていないということです。テロの定義とおっしゃいましたが、これはこの前家族の方にも言いましたが、定義がないということでもあるわけでして、ですから普通に、普通の人の常識で考えれば、人の命、身体、安全に危害を加える話ですから、それを意思に反して連れていくということですから、そういうことは普通に言えばテロでしょうと、そういうことです。
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外務大臣会見記録 (平成15年4月4日(金)10:40~ 於:会見室)
閣議
(外務大臣)今日の閣議では、私が中国に日曜日から行きますので、その話につきまして決定をして頂きました。臨時代理は福田官房長官です。
農水大臣からWTOの農業交渉について期限が3月の末で出来なかったということについて御発言がありましたのを受けまして、私の方からWTOの新ラウンド交渉全体の観点から今後の交渉についてはこれをしっかりやっていきますということを発言を致しました。農業交渉自体については、モダリティが3月末に確定出来なかったということは残念ですけれども、主要論点で各国間の隔たりがありましたので、それはやむを得ないことだ
と思っております。農水大臣も同じ様なことをおっしゃっていらっしゃいました。ただ、そういうことでありますが、今後、9月のカンクンに向けて様々なベンチマークと言いますか、デッドラインがありますので、それをきちんとやって、交渉を進めていくということは非常に大事なことだと思っています。
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重症急性呼吸器症候群(SARS)
(外務大臣)閣議後の閣僚懇談会で、私からSARSへの対応につきまして、これは昨日発表させて頂きましたけれども、香港と中国の広東省に向けて渡航の是非を検討するように促し、不要不急の渡航を延期するようにお勧めするという危険情報を出しましたということを言いまして、今後とも邦人の安全確保には万全を期したいと考えていますということを申しました。
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川口大臣の訪欧、イラク問題
(外務大臣)私のヨーロッパに行く話ですが、まだ最終的に決まってはいませんが、先方との関係で日程が固まったということではありませんが、国会のお許しを頂ければイギリスとドイツとフランス、この3カ国について、行きたいと思っております。何をしに行くかですが、イラク問題については国際的に様々な意見がありますので、日本として基本的に
どういうことを考えているかということを説明をして、国際協調が大事であるということを言いたいと考えていますが、基本的には、それぞれの各国が今、よってたつところのお湯の温度を測りにいくと、そういうことでございます。
(問)訪欧の日程の方は、大体の幅で結構ですが、いつ頃でしょうか。
(外務大臣)出来たら9日の夜に出まして、数日間ということだと思います。
(問)今のその訪欧で、日本としてどういうことを考えているかを説明するとおっしゃいましたが、どういうことを考えていらっしゃいますか。
(外務大臣)それは、イラクの人道復興についての基本的な考え方ということでして、今、5つのことを考えています。まず、前提としてはイラクの復興をきちんとやっていくことがイラクという中東地域で非常に大きな力を持っている国にとってももちろん重要ですし、中東地域全体の平和と安定、発展という意味で重要だということが前提ですが、そういうことを達成するために、一つはイラクの主権、領土の一体性を支持をしますということです。2番目に、イラクの体制はイラク人の手で決めて、イラクの国民の手で良い統治、ガバナンス、これを確立するということです。3番目に、国連の十分な関与を通じまして、国際協調でイラクの人道復興支援を行っていくということです。4番目に日本としては、これまでの経験を活かして切れ目なしに関与をしていくということです。5番目にNGOと民間の積極的な参加を得まして、オール・ジャパンでやっていく、そういうことです。この5つを基本的な考え方として説明をしたいと思っています。
(問)国連の十分な関与というのは、暫定統治についてもそういうふうにお考えですか。
(外務大臣)これはいろいろな終わり方、今後の戦いの戦闘の進展、様々なことがありますので、今の時点でどういうふうになっていくかということははっきり言えない。これは今後引き続き検討をしていく。この段階では、そういう細かいことについて今言っているわけではなくて、基本原則として今お話をさせて頂いているということです。
(問)イラクの戦後復興支援については、まだ細かいことはとはおっしゃいますが、既に戦争をやっているアメリカやイギリスが主導権を握るべきであるという考え方と、そうではなくて国際協調のために、出来るだけ一部の国が特別な立場とすべきではないという考え方もあって、それこそが各国の、先程おっしゃった温度というところにも関わってくると思うのですが、日本はこれに関しては今どういう立場ですか。
(外務大臣)まさにそういうことのために温度を測りに行くのですが、私はまず最終的にどういうふうになるというのがいいかという絵が描ける前に、安保理でやはり亀裂が、安保理の常任理事国の間で引き続き隔たりが存在をしていますよね。オイル・フォー・フードの決議が暫く時間をかけて出来ましたけれども、今後、国連の安保理がきちんと機能していくためには、まずやはり仲直りという過程が必要だと思っているんですね。そういう過程を見て、戦争の進展の推移を見て、いろいろな、何が現実的に可能な話であるかということが決まってくるんだろうと思っています。そういうためにお湯の温度を測りに行くというのが、一つの、そのためのベースを確認をしに行くというか話をするということですね。
(問)安保理の仲直りとおっしゃる復興支援に関わる決議、そういうことを念頭に置いてとおっしゃったのですか。
(外務大臣)それもありますし、それから、一般的に安保理が機能をしていくということのために仲直りというか力を合わせてやっていくということが非常に重要と思っています。イラクの問題についてもそうですし、他の問題についてもそうだと思っています。
(問)そのために仲介するというお考えまで含めてあるということですか。
(外務大臣)今の段階では、日本としては、私としてはお湯の温度を測りに行くだけです。
(問)先程の5つの原則の中で、日本の切れ目ない関与ということをおっしゃいましたが
、戦争終結後の軍事占領の段
階でも日本の関与のあり方というのはあり得るのですか。
(外務大臣)これは、日本の既存の憲法ですとか、今存在をする法律とか、そういうことの中
で状況を見ながら出来ること
はもちろんやっていくということです。それ以上に、例えば新しい法律を作ってどうする
かということについては、今
の時点で具体的に決めているわけではない。もしそういうことが必要だという判断があれ
ば、それは国会にお願いをす
る、お話をするということでして、今の時点では何も決めていないです。
(問)先程、大臣が5原則の中でおっしゃったNGO、民間と積極的な参加を得てということですが、ちょっとイメージ的に湧かないのですが、民間についてはどういう形で関わるというのが想定されるのでしょうか。
(外務大臣)これは基本的な考え方ですから、それが具体的にこういう形ですというふうに申し上げるには少しまだ時間が必要だと思いますが、例えばアフガニスタンでNGOの方の果たしている役割は非常に大きいですよね。今もNGOの方は北部イラクに現に入っているということもあるわけですから、自ずとそれはその時の、何が復興、人道支援のために必要かということで、もうちょっと経つと見えてくるのではないでしょうか。
(問)先程大臣が挙げられた5点ですが、この様な会見の場で大臣がここまで明示されたのはおそらく初めてだと思うんですね。これは大臣のお気持ち的なものなのか、それともいわゆる例えば川口イニシアチブとか、日本政府としてのたたき台だとかという、割とファームなものなのか、この5点というのはどういう位置付けですか。
(外務大臣)これはこの前、週末のテレビ番組でも同じことを申しています、私は。日本としての考え方が、これは外務省としての考え方でもあり、そういう意味では官邸にも、考え方についてはお話をしています。
(問)繰り返しの質問になるのですが、復興に関してフランスなどのヨーロッパは国連を中心でという言い方をしていて、アメリカはこれについては、国連の役割はあるというふうには言っていますが中心でとまでは言っていないということなんですが、大臣御自身はアメリカとヨーロッパの間で復興を巡る考え方の違いというのはあるというふうに感じられますでしょうか。
(外務大臣)今は戦争がどういうふうに終わるかということがはっきりしない状態で、具体的に何と何が違うのかというところまで話は詰まっていないと思うんですね。基本的にブッシュ大統領は、この前アゾレスでも言いましたし、この間のブレア首相との会談の後でも言いましたが、国連の決議についてはアメリカもそれは推しているわけですね。その決議が、例えば具体的に文言におとした時にどういう内容の決議だとか、どこをカバーする決議なのかとか、そういう議論についてはまだ国際的にするには時期尚早で、そういう意味で先程言いましたような仲直りをすることが必要だとか、戦争は今後どういうふうに展開していって、どういうふうに終わるのか、その時においてのイラクのニーズは何なのかということがある程度見えてこないと、今抽象的にその決議の文言を披露しても余り意味がないということだと思います。実益がない。
(問)2点お聞きしたいのですが、復興の話は極めて大事だとは思うのですが、現実には戦争はまだ継続中ですが、今回の大臣の訪欧で如何にこの戦争を早く終わらせるかということについて何らか話し合うとか、日本の考え方を示すというようなお考えはないのかということが一つと、安保理の仲直りのためにというふうにおっしゃいましたが、安保理の仲直りのためにはもう一方の当事者であるアメリカの役割というのも大事なんですが、欧州の湯加減を見た上で、アメリカと引き続き何かお話とか、そういうようなお考えもあるのでしょうか。
(外務大臣)後の方でいきますと、それはアメリカとは、これはしょっちゅう話をしていますので、私も電話で話そうと思えば話すことが出来ますし、事務的にも連携はいろいろとっていますから、当然にアメリカともいろいろ話はいろいろなレベルでしてくということは当然だと思っています。戦争は今続いているわけですが、これについての日本の考え方というのはもちろん出来るだけ早く終わった方がいいと思いますし、死傷者が出来るだけ少ない方がいいということであり、同時に日本が大事だと思っている、そういう意味では全ての国が大事だと思っている大量破壊兵器の廃棄、これがなされる形で終わる、なされるということが大事だと。そういう形だということが私は重要だと思っています。ですからそれはアメリカにも伝えていますし、国会でも私、答弁しましたし、ヨーロッパにももちろん伝えるということです。今の時点で、じゃあ停戦をするべきだということを働きかけるのかという意味だったら、そういうことではないです。
(問)話は変わりますが、毎日新聞の若手政治家の座談会の中で、自民党の河野太郎さんが川口大臣は不適格というような発言をして、そう言った指摘は野党だけでなく、特にイラク問題で現在あるわけですが、そうった国民への説明責任を果たしていないとか、顔が見えないとか、そういった声が出てくることについて、大臣ご自身はどうしてそういった声が出るのか、どうしたいと思っていますか。
(外務大臣)いろいろあり、まず申し上げたいのは、私はイラク問題についてははっきり説明しているし、出来るときに必要な説明は全部していると思っています。それから、この間野党の先生がおっしゃっていましたが、存在感が無い訳ではないと私は思っています。その上で、これは政治の世界にいらっしゃる方、いろいろお考えがあることもある訳で、いろいろ感想があってそれは別に良いのではないかと思っています。私自身がそう思っていないし、自分はそれでやっていると思っているということです。
(問)戦後の復興を巡って、国際社会の協調が大事だということは誰も反対していません
が、まさにその先に統治の状
態をどうするのかということがお湯の温度を測りに行くようなものだとおっしゃいました
が、それは既に解っている話で、そこでそれを日本がどうするのかということを問われていると思いますが、それについてははっきりおっしゃらないのですか。それでまた、お湯の温度を測りにいくだけでは日本がどうしたいのかということが依然として見えてこないのですが、どうお考えなのですか。
(外務大臣)お湯の温度を測りに行く及び先ほど申し上げた5つの基本的な考え方について、これについて説明をするということであって、目的はそのような意味では2つなのですが、国際的な課題は見えているか、これはそうではないと思います。これは例えば、フランスの発言、ロシアの発言、注意深く追っていると徐々に変わってきているということです。いろいろな事を考えていろいろな状況を反映して変わってきている訳であって、これで今のところで、切断をして、その切断面を見て話が決まるということではないと思っています。
(問)それにしても、その時点時点でタイム・カードがあって、日本はこの時点、若しくは10日の時点で当時の状態についてどうなのかということについてはおっしゃらないのですか。
(外務大臣)それを言うためには、まず現実的に戦争が終わった時の段階にどういう事になっているかということは、今全然見えないんです。もう少したたないと見えてこないということが一つですね。それから国際協調が大事だという事ですけれども、しばらくまだ時間が、仲直りをしていくというふうに言いましたが、歩み寄るということには時間がかかるということですよね。ですからそのような事をやっていって、その上でどのようなことを日本として考えるか、或いは何が現実的に可能なのかということも踏まえる必要がありますので、その時点での話で、これはイラクについて、武力行使があってそれを支持するということを日本が言うまでの過程で、日本の態度が見えないという議論が大分あったわけですけれども、それで非常にパラレルなご質問をしているなという気がしますが、やはり日本としては、きちんとどのように戦争が終わるか、この戦争が如何に終わるかという事を見極めないと、その時どうなっているかということも解らないし、ニーズがどのくらいあるか、それから国際社会の相互の国の関係がどうなっているか、様々なことがある中で、具体的なことについてはまだ誰も、話になっていない訳ですね。ブレア首相とブッシュ大統領の間ですら、今そこまでは話ができる段階ではありませんね、ということになっている訳です。具体的に統治として、どのようなことがあるかと描けている訳では全然ないですね。ですから日本が今申し上げたような5原則、基本的に国際社会はどの国もそのような段階で考えているということです。
(問)大臣は安保理に亀裂があるとおっしゃいましたが、しかし、復興のあり方については、差違があるかどうか解らないとおっしゃいましたが、亀裂があるとは何について亀裂があるとお考えですか。
(外務大臣)亀裂が今大分修復されてきている途上にあると思います。パウエル長官とドビルパン外相の話も、ヨーロッパにいらした訳ですし、その亀裂があるという意味では、武力行使があった時点で、武力行使を直ちにやるか、或いはご存じの通り、しばらく時間を置くかという方法論についての違いなんです。それはある段階で私の印象ではかなり、これはちょっと言葉が難しいのですが、相当に強いある種の、相互に対する話をしていくことがすっと伝わらないという感じを双方が持つようになったということだと思います。それからアメリカ国内においても、例えば国連の果たす役割についての信頼感、それはかなりの温度差や、いろいろな意見があると思います。そのようなことがある程度、まとまっていくように、そこまで国際社会はある程度時間をかけるということが大事だと思います。
(問)大事なところだと思いますので、統治のところをもう一度お伺いしたいと思うので
すが、なかなか姿が見えないというのは、確かに現実としてはそうなのかもしれませんが、一方でアメリカとヨーロッパの非常な関心事、一番上にあると言っていいのは、暫定統治機構に、米英主導でやっていくのか、米がそのような意向を持っているのは、様々な米の高官の発言を見ても解りますし、一方英は若干あるし、更に仏、独はそれに距離があるという位置づけはおおまかはっきりしていると思います。日本がわざわざ大臣が3国に行かれて話をされる時に、一番溝がありそうなところで、日本がどのような考えを持って対応していくのかというのは、先方にとっても関心事だと思いますが、もう一度そういった趣旨を踏まえて、相手側から日本はどう考えているのかと聞かれたときに、どうお答えになるのかもう一度お聞きしたいのですが。
(外務大臣)どのように答えるかということについて、それは、今二つに分けられたような、現実問題としてはそういった分けた方ではないと思います。白から黒まで、濃淡が段々に濃くなっていくということがどこかということが国際政治の現実として、あるわけです。そういう議論では全くない訳ですよね。それで間の灰色の陰の濃さについての議論が全くないときに、白か黒か私はどっちですと言うことの意味は私はあまり無いと思います。だからこそ、ブッシュ大統領とブレア首相の間ではそれ以上の話にはなっていない、それは、もう少しそのような時期になって、きちんと議論しましょうとなっている訳ですから、すぱっと切って日本はここですとできるような段階ではないし、どこの国もそのようなことは言っていないです。日本のそのような意味での原則は先ほど申し上げたとおりです。
(問)国連の決議の場合は、まだどうなるか解らない段階で、かなりぎりぎりになってからでいえばありましたが、国連決議があるのが最も望ましいとおっしゃいましたが、そのような意味では、白か黒か解らない段階でどっちかというのをあれはおっしゃっていましたが。
(外務大臣)そのような意味では、国連決議は意味があると思っています。
(問)では、今回の暫定統治機構の場合はまだそのような感じではおっしゃることは出来
ないということですか。
(外務大臣)それは、国連の決議は意味があると申し上げている訳ですが、あれは武力行使があるとしたらと言った時もありますし、決議後という段階としましたものも有りましたが、その対象は武力行使をするということについて、かなり現実的に議論される段階になってということでして、1441が出来る前に日本がそのようなことを言っていた訳では全然ないですよね。
(問)今の質問と重なるのですが、5つの原則の中で国連の十分な関与を通じた復興支援とおっしゃいましたが、十分な関与というのは決議がある状態を指すのか、あるいは米国が主導権を握りながらその中に国連が関与するような形のものでも、それも国連の十分な関与と呼べるのか、どういうふうなことを意味しているのでしょうか。
(外務大臣)ですからそれはグレー・ゾーンがどの様に濃くなっていっているかというお話をしていらっしゃるんですよね。それは、まさに今後、戦争が、戦いが、武力行使がどの様に展開をしていってどの様な状況で終わるか。その時点までに国際社会と言いますか国連の安保理がどの様な、相互に感覚を持つようになっているか、そういったことによっていくと思います。ニーズがまだ全然分かっていないんですね。余り、今から先の議論をしてしまっても、本当にイラクのその時の状態、何を国際社会がイラクのためにすることが必要か、今、全然分かっていないわけですね。
(問)先程、お答えが一つ分かりにくかったので申し訳ありませんがお伺いしたいのですが、停戦を働きかける段階では今はまだないというお話がありましたが、先程大臣がおっしゃったのは……。
(外務大臣)停戦を働きかけに行くわけではないと。
(問)そこがちょっと分かりにくかったのが、要するにWMDの廃棄が大事であると。戦争は早く終わってほしいし、被害者は少ない方がいいというのであれば、例えば戦争を早く終わらせるために停戦交渉を通じてフセイン政権からWMD廃棄の確約をがっちり引き出すと、そういう交渉の可能性もあると思うのですが、それはないと。例えば湾岸戦争で日本はそれをやって失敗したんだから、そういうことはやっても仕方がないと、そういうことの意味でおっしゃっているのでしょうか。
(外務大臣)いろいろな進展はあると思います。それは突然にサダム・フセイン大統領が証拠を全部出すから是非ここで武力行使はやめてほしいと全く言う可能性がないかと言ったら、それは私がそれを決めるわけではありませんから、いろいろな可能性は国際政治の中であるかもしれない。けれども、1441によってイラクが違反を是正する機会が与えられて、武力行使がこれだけあり得そうなオプションというふうに見えても、尚かつそういうことはやらなかったわけですね。ということから言えば、どういう方法をとれば大量破壊兵器の廃棄が可能かということは、あの時に、基本的にサダム・フセイン政権が大量破壊兵器の積極的な国連というか査察への協力をしなかったと。ですからサダム・フセイン政権ということが問題なんだということが事実上重なってきますねというお話をしたと思うのですが、それから言うと基本的にそういうことがある。そういうことというのは、どういう方法で大量破壊兵器を廃棄出来るかということは自ずから見えてくるのではないでしょうか。
(問)基本事項を端的に1つだけ。各国のお会いになるのは外相でよろしいですか、調整しているのは。
(外務大臣)そうですね。
(問)首脳はどうですか。
(外務大臣)それは特に考えていません。
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外務大臣会見記録 (平成15年4月1日(火)10:15~ 於:芝記者会見室)
閣議
(外務大臣)私からいくつか、一つは今日の閣議で15年度版の外交青書について特色を紹介して配布をいたしました。
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イラク復興支援等調整担当大使
(外務大臣)二番目にイラク復興支援等調整担当大使の発令を今日付けでいたします。高橋文明さんという大使ですけれども、今までユネスコをやっていまして、そのあと水フォーラムを担当していました。イラク復興の政治的なプロセスで他の国とのいろいろな関わり合いがありますので、そういった関わり、あるいは日本として支援策を考えていくわけですが、そういったことについて外国との連絡調整をいたします。
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支援委員会の廃止
(外務大臣)三番目に支援委員会の廃止の件です。これについては平成14年度末までに廃止をいたしますということで方針を作って、これは設置協定に基づいて処理をしなくてはいけないので、その仕事をずっとやっておりまして、外国と調整をいたしておりました。その調整が今最終段階にあって、4月中旬を目途に廃止をされるということになっています。今日以降は支援委員会を通じる新たな支援は実施をしないということです。支援委員会の事務局は体制を大幅に縮小して、精算業務がありますので、精算事務所にして今年、半年くらいかかるのではないかと思いますが、精算を行うということです。繰越金、これは精算が終了した後、残金が監査を受けて最終確定をするということになりますのでこれは国庫に返納いたします。今日以降のいくつかの事業、例えば日本センターの事業、それはいい事業だから続けるようにとのお話がございましたし、北方四島の住民支援、これについても続けていくわけですが、それぞれ違った形で続けていくということで、問題になりました透明性等の問題が解決するような形で支援をしていくということです。
(問)支援委員会の件なんですけれど、大体ごたごたしたのが1年くらい前で、節目を迎えることになったと思うんですけれども、改めて、この就任された直後の一連の問題を振り返って、今どういうふうに受け止めていらっしゃいますか。今後の展開も含めて。
(外務大臣)改革を2月からずっとやってきて、これもその一環であると思います。機構改革あるいはその行動計画ということと並んで、いくつかの課題が一応のある段階になったということは、私としては正直ほっとしているところがありますけれど、大事なことは、その問題になった透明性とか、いろいろな方の幅広い参加を得て物事を決めていくということであるわけで、その考え方は今後きちんとやっていかなければいけないと思っています。その後をきちんとやらなければ、今までやった改革に魂が入らないと思っています。
(問)その関連ですけれども、いわゆる「はこもの」、大型事業は止めるということになってきたと思いますけれども、これで以前大臣は国会答弁で、ふさわしくない面があった、とお話されていますけれども、改めて「はこもの」を止めた理由について御説明を頂けないでしょうか。
(外務大臣)協定の一番の本旨、といいますか、そこに立ち返って事業を行うということが必要だと思ったということですね。
(問)そうしますと、「はこもの」を計算していくと、数十億円くらい使ってしまうというわけで、結果的に政策判断のミスといいますか、そういうことになりませんでしょうか。
(外務大臣)それはならないと思います。これは国会でも申しましたけれども、協定違反のことをやっていたわけでは全然ないので、最も適切だったかどうかというと、疑問無しとしないということですけれども、それは別にその政策が違反だ、政策的に間違ったということではない。その都度、その都度、それは必要だというご意見は頂いていたわけですから、先方から。
(問)そうしますと、大型事業ですが、今回当面止めるということですけれども、将来に渡って、未来永劫止めるといってるわけではないということですか。
(外務大臣)スキームではいたしません。それは、そういうことが出来ないスキームになっていますから。そうしましたから、ということですね。
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川口大臣の外国訪問
(問)明後日からイギリスを訪問されるという一部報道がありますけれども、事実関係は。
(外務大臣)結果的には(訪問は)致しません、ということです。国会との関係で、中国訪問を6、7、8日とする、ということで最終的な調整をしています。その直前にイギリスに行ける可能性が多少あったので、それを探求をしたということでしたけれども、結論的には参りません。イギリスに行こうと思いましたのは、今、国際社会がイラクを巡って亀裂が入っている状況にありますので、それを直して、と言いますか、そこに改善できることは何かないだろうか、という点で、まずイギリスと少しこの点について話をしてみたい、というふうに思ったということです。
(問)それは、今後はいかがですか。イギリス訪問は。
(外務大臣)全てこれは国会審議との関係ですけれども、事情が許せばイギリス及び他のヨーロッパの国を訪問したいとは思っております。ただ、今具体的にいつ、とか、何か検討を具体的にしているということではない、ということです。
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イラク情勢
(問)イラクですが、アメリカがシリアに対して牽制というか、軍事物資を流したということで批判を強めていますが、このことについてはどう思うかということと、今後アメリカとシリアの関係がこじれるとアメリカとアラブということではなくて、イラク以外のところにも戦争というか、広がっていくのではないかと懸念が一部出ていますけれども、このことについてはどう思われますか。
(外務大臣)これはあくまで大量破壊兵器と国際社会ということであると私は考えています。ですから、アメリカとアラブという問題ではない。それはきちんとアメリカは説明をしていると思うし、日本としてもそういう風に考えています。それからシリアとの関係でアメリカのラムズフェルド長官がいろいろおっしゃっていらっしゃいますけれども、それは我々としてそういった生の情報を持っているわけではないので、それが正しいとか正しくないとかということを申し上げる立場にはないわけで、国防長官が公の場であれだけおっしゃってらっしゃるわけですから、当然アメリカとしてはそういう根拠を持って言っているんだろうと思っています。
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