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演説

小野寺外務大臣政務官演説

児童と武力紛争に関する国連安全保障理事会公開討論における小野寺外務政務官ステートメント(仮訳)


平成17年2月23日

(英語版はこちら)

議長、
 貴議長の議事の下、本日の安保理公開討論に参加することを名誉に思います。閣下が議長の任に当たられていることは、この問題を貴国が重視していることを表しています。今回我が国の外務大臣は残念ながらニューヨークに来ることができませんでしたが、閣下の要請を受け、代理として私に公開討論に出席するよう指示がありました。

議長、
 オララ・オトゥヌ児童と武力紛争に関する国連事務総長特別代表による事務総長報告の紹介に感謝します。

 国際社会が武力紛争下の児童の苦しみに一層関心を払うようになったことを心強く思います。このような関心の高まりによって、いくつかの状況で前向きな進展を達成しました。一方で、多くの場合、児童は厳しい状況にさらされている厳然たる事実は依然として変わっていません。このような状況は受け入れられるものではなく、国際社会は良心にもとる状況を改善するために積極的な行動を取る必要があります。

 このような行動が効果的であるためには、まず正確に現実を認識する必要があります。事務総長報告が示すとおり、児童兵の徴用及び活用やその他の児童に対する暴力を巡る現状について、我々は限られた情報しか有していません。紛争下では援助関係者のアクセスはしばしば制限されています。重要な社会基盤が得てして破壊されているため、外部との通信も困難です。さらに武装グループは自分たちの活動を秘匿したがります。このような要因によって、情報収集や情報の評価は極めて困難なものとなります。

 そこで、児童兵の徴用と活用に関して、タイムリー、客観的、正確、かつ信頼に足る情報を提供するため、組織的で包括的な監視・報告メカニズムに向けた行動計画を策定するよう、安保理決議1539は事務総長に対して求めました。我が国は、事務総長報告にある行動計画を歓迎し、監視・報告メカニズムの創設を支持します。同時に、そのようなメカニズムを創設するにあたって、以下のような点を考慮に入れることが重要と考えます。

 第一に、このメカニズムが効果的に機能するためには、連携と調整に基づくアプローチが必要です。事務総長報告にもある通り、関連情報を有している関係者は多岐にわたります。国連機関ではPKOミッションやUNICEF、OCHA、UNHCR、人権高等弁務官事務所が挙げられ、当該国政府や地方自治体、さらには現地で活動している地元あるいは国際的NGOも情報を持っているでしょう。従って、監視・報告メカニズムのフォーカル・ポイントは、これら関係者の情報源や専門性を活用しつつ、調整と連携を確保すべきです。

 第二に、そのようなメカニズムの下で行われる情報の集積や状況の評価にあたっては、現場の声が十分に反映されるよう確保される必要があります。例えば、ミャンマー政府は年少児童の徴兵を防止する委員会を設立し、この委員会が実施する行動計画を策定しましたが、これ自体前向きな措置と見なされるべきものです。従って、監視・報告メカニズムは、このような情報を反映する方法を創設の上、将来の事務総長報告において評価され、反映されるようにすべきです。この過程で、児童兵の徴用を防止する実際の効果について、国連のカントリー・チームの評価も反映される必要があります。

 第三に、監視・報告メカニズムが創設された後は、継続的にこのメカニズムの向上に努める必要があります。メカニズムに基づく最初の報告書が提出された後に、報告書に含まれている情報のタイムリーさ、正確さ、客観性、信頼性を検討するために、十分なレビューが行われるべきです。その上で、メカニズムに基づく作業を一層向上するための方法を特定する努力を行うべきです。

 特定の状況に対する客観的な視点と信頼に足る情報によって、講じなければならない適切な措置の基礎が用意されます。全ての関係者は特定の状況に取り組むための適当な措置を検討するよう奨励されるとの事務総長報告の考え方を我が国は共有します。多くの場合、最も重要な関係者は当該国政府でしょう。国連の枠組みでは、安保理に加えて、総会や経済社会理事会も、適当な場合には、そのマンデートに従って措置を検討すべきです。

議長、
 紛争下の児童の問題を議論するにあたって、国連のPKO要員が児童の虐待を行ったとされるコンゴ民主共和国での事件に触れないわけにはいきません。このような行為は受け入れがたく、不埒なものです。このような行為によって児童が苦しむことに加えて、コンゴ民主共和国のみならず他の地域における国連の信頼性を深刻に傷つけ、その努力を台無しにしてしまいます。我が国は、国連の性的搾取に関する不寛容政策を強く支持し、この政策が実際に遵守されるよう強い措置を取る必要があると確信します。そのような措置を検討するにあたって、我が国は安保理PKO作業部会の議長として、他の関心国とともに作業していく用意があります。

議長、
 紛争下の児童を支援するために、我が国が参加した最近の具体的プログラムを簡潔に紹介したいと思います。昨年三月には、リベリアの児童兵の武装及び動員解除、社会復帰、社会への再統合を図るUNICEFのプロジェクトに対して、我が国は364万ドルの貢献を行いました。このプロジェクトによって、1万5千人の児童が自分の家や町に帰ることが期待されています。また、アフガニスタンとイラクでは、地域社会の復旧を図るとともに、長期にわたる武力紛争で苦しむ児童のトラウマを軽減することを目指したUNICEFによる「バック・トゥー・スクール」を我が国は支援しています。このようなプログラムは全て我が国が主張する人間の安全保障の考え方に基づくものです。関係する国連機関と密接に協力しながら、児童と女性に特に重点を置きつつ、人間の安全保障の考え方に従って一般の人々の福祉増進と能力向上に我が国は今後とも努めます。

議長、
 最後に、紛争下の児童を支援するという共通の目標に向けて、国際協力を強化する必要性を強調したいと思います。本日の公開討論のテーマが示すように、アフリカの児童兵の問題は特に深刻で我々全てにとっての懸念事項です。一方で、問題はアフリカのみに限定されるわけではありません。我々は、12歳の子どもが教育も受けることなく、ほかの生活様式があるということさえしらずに、カラシニコフ銃を持って走り回るとの世界中の悲惨な現実を変える必要があります。

 それゆえに、私は非安保理メンバー国の考え方も聞くために貴議長が公開討論を開催したことを讃えます。これらの国によって本日表明された意見は、安保理の審議に然るべく反映されるべきです。我々が知恵を併せれば、児童と紛争の問題に国連がより効果的に取り組む方法を見出すことができると確信します。啓発の時期は終わり、今や具体的行動の時期です。世界中の児童のため、具体的計画を実施するよう我々は皆で努力すべきです。

 ありがとうございます。



政務官 / 平成17年 / 目次


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