外務省 English リンクページ よくある質問集 検索 サイトマップ
外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
トップページ 報道・広報 演説
演説
谷川外務副大臣演説

第2回アジア不拡散協議(ASTOP)
谷川副大臣冒頭スピーチ


平成17年2月9日


ご列席の皆様、
 本日、第2回アジア不拡散協議(ASTOP:エーストップ)が皆様のご出席を得てここに開催されることを、大変喜ばしく思います。この協議に出席するため来日頂いた皆様を心から歓迎申し上げます。

 はじめに、昨年末に発生したインドネシア・スマトラ沖での大規模地震による津波の犠牲者と被災者に対し、心より哀悼の意を表します。私は、1月27日から2月3日まで、韓国、タイ、スリランカ、モルディブを歴訪し、タイのプーケットでは、タイ政府主催で開催された「津波早期警戒アレンジメントに関する地域協力閣僚会議」に日本代表として出席いたしました。今後とも、被災国の一日も早い復興に向けて、日本として可能な限りの支援を行っていきたいと考えています。

ご列席の皆様、
 2003年11月13日に行われた第1回ASTOP(エーストップ)は、アジアにおける大量破壊兵器やミサイルなどの不拡散問題について、その分野の政策責任者が幅広い議論を行う場として開催され、有意義な議論が行われたと承知しております。前回協議において、参加された各国からは、協議を継続することの重要性が強調され、そのことが本日の第2回協議開催に結実したものと考えます。また、今般、日本の呼びかけに対して、各国から積極的な対応を頂きましたが、これは、不拡散政策の強化に向けたアジア諸国の強い意志を反映するものとして、高く評価しているところです。

 核兵器、生物兵器、化学兵器といった、いわゆる大量破壊兵器や、その運搬手段であるミサイルなどの拡散は、世界の平和と安定を揺るがす重大な問題です。また、特に2001年の米国における同時多発テロ以降、テロリストなどの非国家主体による大量破壊兵器やミサイルを用いたテロ活動は、現実的な脅威として強く認識されようになっています。

 このように厳しい現状に対処するためには、国際的な軍縮・不拡散体制を維持し、強化することによって、国際社会が一致団結して、大量破壊兵器やミサイルの拡散に立ち向かう必要があります。すなわち、一カ国でも多くの国が、軍縮・不拡散に関連する国際条約や枠組みに参加し、国内においてそれらの実施体制を強化していくことが重要と考えます。また、最近では、ご承知のとおり、これまでの不拡散体制を一層強化するため、新しい枠組みでの取り組みが進められています。国際原子力機関(IAEA)の保障措置の強化や、弾道ミサイルの拡散に対抗するための国際的な行動規範の立ち上げ、拡散に対する安全保障構想がその例です。本日の協議では、こういった新しい取り組みについても、十分に議論が行われ、参加各国の理解が深まることを期待しています。

 昨年を振り返れば、不拡散分野における国際社会の注目すべき動きとしては、4月に大量破壊兵器等の不拡散に関する国連安保理決議1540が採択され、また、6月のシーアイランドにおけるG8サミットでは、「不拡散に関するG8行動計画」が採択されました。また、本年は、5年に一度のNPT運用検討会議が行われる重要な年であり、軍縮への取り組みとともに、不拡散への取り組みの一層の強化に向けた対応が求められていると言えます。

 アジアにおいても、不拡散体制の強化に向け、首脳あるいは閣僚レベルで各国共通の確固たる意志が明確に打ち出されています。2003年12月の日・ASEAN特別首脳会議に際しての東京宣言、昨年7月の不拡散に関するARF(アセアン地域フォーラム)声明、昨年10月の第5回ASEM(アジア欧州会合)首脳会合議長声明などが採択されています。

 その一方で、アジアは、大量破壊兵器等の拡散やテロリズムといった脅威に直面しており、不拡散の取り組みを一層強化する必要に迫られています。特に、北朝鮮の核問題やミサイル等の拡散、そして、昨年2月に顕在化したカーン博士などによる核拡散の地下ネットワークの存在などは、このような必要性を我々に再認識させました。

 日本は、不拡散体制の強化を日本のみならず、アジア全体の安全保障政策の重要な柱の一つとして重視しています。大量破壊兵器等の拡散を効果的に防止するためには、国内管理、輸出入、輸送など、すべての段階で各国が対策を強化する必要があると考えます。アジアにおいて、このように重層的なアプローチで不拡散政策が進められることにより、地域の一層の安全と繁栄がもたらされ、さらには、世界の安全保障環境の改善にもつながると確信しています。

ご列席の皆様、
 最後に、この協議を通じて、参加15カ国の不拡散政策の責任者が、自由闊達な意見交換を行い、大量破壊兵器等の拡散問題をめぐる現状について理解を深めるとともに、今後各国が個別に、あるいは共同して行いうる取り組みについて、ともに知恵を出し合うことを期待いたします。そして、この協議の成果が将来にわたって生かされ、アジアにおける不拡散政策の強化にさらなる弾みを与えることを祈念いたします。

 ご静聴ありがとうございました。


副大臣 / 平成17年 / 目次


外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
外務省