谷川外務副大臣演説
ジュネーヴにおける津波被害に関する人道支援会合
谷川秀善副大臣スピーチ
ヤン・エグランド国連人道問題担当事務次長、
各国政府及び国際機関の代表者の皆様、
- はじめに、今回のスマトラ沖地震による大津波で亡くなられた方々に心から哀悼の意を表します。また、被災地で懸命の救援活動を続けておられる援助関係者の方々に心から敬意を表します。更に今回の意義ある会合を主催されたエグランド国連事務次長に心から敬意を表します。
- 今回の大津波では、被災国の方々はもとより、欧州や我が国を含む世界中の多くの方々の尊い生命が奪われました。このような未曾有の災害に際しては、我々一人一人がその悲しみを自らの悲しみと受け止めて支え合う、すなわち共感と連帯の精神が試されていると言っても過言ではありません。
- 我が国自身、ちょうど10年前の阪神淡路大震災では、6千人以上の尊い命が奪われました。また、最近では新潟で大地震が発生し、大きな被害を残しました。このような自然災害に何度も見舞われた我が国は、今回の被害に特別な同情の念を禁じ得ません。
- 今回の大津波による被害に対しても、先日発表された国連の緊急アピールに応え、連帯の精神に立って、国際社会は既に多大な支援を表明しています。今後は、効果的・効率的な援助を実施していく上で、各国・国際機関の間の援助の協調が一層重要になると考えており、国連がより一層中心的な役割を果たすことを期待します。
- 我が国は、今回の被害に対して、資金、知見、及び人的貢献の3局面で、最大限の支援を実施していきます。資金面では、当面5億ドルを限度とする支援を無償で供与することを表明しました。そのうち2億5千万ドルを、国連の緊急アピールに応えるべく、関係国際機関を通じた被災国の支援に充てます。具体的には、UNICEF(ユニセフ:国連児童基金)に7千万ドル、WFP(世界食糧計画)に6千万ドルを拠出するほか、援助活動の調整を担うOCHA(オチャ:国連人道問題調整部)や国連の防災活動で主導的役割を担うISDR(国際防災戦略)等の国連機関、IOM(国際移住機関)やIFRC(国際赤十字・赤新月社連盟)等の国際機関に拠出することを予定しています。
- また、同時に、被害の深刻なインドネシア、スリランカ、モルディヴの3ヵ国に、直接、総額2億5千万ドル相当の無償資金協力を行います。私は、各国が自ら表明した支援を早急に実施に移すことを呼びかけます。
- 知見に関しては、我が国は、太平洋のメカニズムを参考としてインド洋地域に津波早期警戒メカニズムを速やかに構築するよう努力していきます。来週、10年前の大震災から復興を遂げつつある兵庫県神戸において国連防災世界会議が開催されます。会議では、我が国の提案により、このメカニズムについての「特別セッション」が設けられます。我が国は、その機会に、具体的な枠組みや訓練、セミナーの開催を含む協力のあり方について議論する考えです。我が国としては、ISDRの行う調整の下で、太平洋のメカニズムに知見を有するUNESCO(ユネスコ:国連教育科学機関)等の国際機関や関係諸国と協力しつつ、その持てる知見と技術を積極的に提供していく考えです。
- 人的貢献については、我が国は、今回の災害発生後、直ちにインドネシア、タイ、スリランカ、モルディブの各被災地に国際緊急援助隊を派遣し、医療分野での支援活動を実施してきました。また、自衛隊も活用して、被害者の捜索・救助活動を行ってきました。更に、我が国は、インドネシアにおいて、自衛隊を活用した輸送支援や衛生状況改善のための措置を実施すべく、航空自衛隊の輸送機を派遣しています。
- 更に、今回の大津波によって、被災国の社会基盤は深刻な打撃を受けました。今後は、上記3局面の緊急支援に加え、新たに中長期的な復興支援についても、各国・国際機関と緊密に協調し、最大限の支援を行います。
- 今回の災害では、未曽有の惨禍に対し、世界各国の政府や人々が迅速かつ強力な連帯の手を差し伸べています。我が国も、我が国自身の過去の災害の際に世界中から温かい支援を頂き災害の苦しみを乗り越え、復興に向けて立ち上がることが出来たことから、今回の災害に対して最大限の支援を行っています。今回の会合を通じ、国際社会の共感と連帯が一層強化され、自然災害に対する備えが充実され、将来への希望へとつながることを強く願っています。
ありがとうございました。
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