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演説

田中外務大臣政務官演説

第2回国連軍縮札幌会議における
田中外務大臣政務官挨拶


平成16年7月26日


 ただいまご紹介に預かりました田中でございます。本日、第2回国連軍縮札幌会議の開催にあたり、日本政府を代表して、御挨拶する機会を得ましたことを、大変光栄に思います。

 まず、会議開催のために尽力された、阿部国連事務次長を始めとする国連軍縮局及び国連アジア太平洋平和軍縮センターの方々、また、開催地として準備に奔走された、高橋北海道知事、上田札幌市長を始めとする北海道及び札幌市の皆様に対し、心から感謝申し上げます。また、世界各国から札幌の地を訪問された参加者の皆様を、心から歓迎したいと思います。

 我が国における国連軍縮会議の開催は、1989年の京都会議を皮切りに、今回で16回目を数え、札幌での開催は、1997年に続き2回目となります。この会議は、軍縮・不拡散に対する国際的な議論を活性化する上で、大きく貢献すると共に、市民が議論に参加する機会を提供させて頂き、国内外から高く評価されております。この4日間の議論により、軍縮・不拡散に向けての現実的な指針が示されると共に、札幌市民の皆様、さらには、日本国民にとって、軍縮・不拡散と平和の問題がより身近なものとなることを大いに期待しております。

 今回のテーマは、「平和・安全保障に対するさまざまな挑戦及び今日の軍縮」についてでありますが、大量破壊兵器の拡散防止を始め、貧困・感染症、テロ等、現下の国際社会が直面している「新たな脅威」について、国連が効果的に対処するため、国連を改革すべきとの声が高まっています。アナン事務総長が昨年11月に任命した「ハイレベル委員会」が検討を行っており、我が国は委員会の活動を強く支持しております。我が国としては、同委員会が今年12月までに行う対事務総長報告を踏まえつつ、国連・安保理改革を推進する気運を高めていきたいと考えています。

 北朝鮮による核兵器開発問題等が生じている今日、今後の軍縮・不拡散のあり方を探る上で、今回の会議の開催は、非常に重要な意味を持つものであります。そこで、今回の会議開催にあたりまして、軍縮・不拡散問題に対する我が国の取り組みについて具体的に紹介をさせて頂きたいと存じます。

 世界で唯一、核兵器の惨禍を経験した我が国は、核兵器が再び使われてはならないという強い決意を有しており、歴代の内閣は、核兵器を持たず、作らず、持ち込ませずという非核三原則について、繰り返し表明しております。小泉総理も広島、長崎での原爆式典で、この非核三原則を表明しています。我が国としては、核兵器のない平和で安全な世界の実現を目指し、軍縮・不拡散に関する様々な活動に取り組んでおります。

 第一に、我が国は、1994年以降毎年、国連総会に核軍縮決議案を提出しています。核兵器のない平和で安全な世界を実現するためには、現実的かつ具体的措置を、着実に、積み重ねていくことが重要であるとの考え方に基づき、この決議では、核兵器国、非核兵器国の双方に具体的な措置を取ることを求めています。「核兵器の全面的廃絶への道程」決議案として提出されたこの決議案は、昨年も圧倒的多数で採択されました。

 核軍縮を進めるための措置の中で、我が国は、特に包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効を重視しており、それに向けて様々な努力をしています。1999年に開催された、第一回発効促進会議では、我が国は議長国を務め、その後も発効のための要件となっている国々に対して、早期批准の働きかけを行っています。昨年九月にウィーンにて開催された第3回CTBT発効促進会議においても、川口大臣がこれに出席し、早期発効を強く訴えております。

 次に、核不拡散体制の礎として重要な核兵器不拡散条約(NPT)についても、我が国は、その維持・強化に取り組んできました。今年の五月には、ニューヨークにおいて、2005年NPT運用検討会議第3回準備委員会が開催されましたが、これに先立ち我が国は、2月にジャカルタにてインドネシアと共にワークショップを共催し、会議成功のための事前準備を致しました。また、会議中には一般演説を行い、我が国の核軍縮・不拡散に対する基本的考え方を表明すると共に、我が国の核軍縮・不拡散に関する立場を包括的に記した作業文書を提出しました。我が国は、核不拡散体制の強化のため、今後もNPTへの貢献を続けていく考えです。

 我が国は、国際社会の安全保障を確保するための重要な柱として、不拡散政策を重視しておりますが、主としてアジアにおける不拡散のための地域協力に力を入れています。昨年十一月に、アジアにおける初の不拡散に関する局長級会合となる、アジア不拡散協議(ASTOP)を開催したことを始めとして、本年2月にはASEAN全加盟国に日ASEAN不拡散協力ミッションを派遣し、5月にはアジア不拡散セミナーを主催しました。私自身も、6月にポーランドのクラコフにて開催された、不拡散に関する新たな国際的取り組みである、「拡散に対する安全保障構想(PSI)」一周年記念総会に出席し、アジアにおける不拡散体制強化が、アジア地域の平和と安定に不可欠であると強く訴えてまいりました。

 また、今年六月に開催されたシーアイランドサミットにおきましては、G8首脳が一致して、「不拡散に関するG8行動計画」を採択しました。行動計画では、大量破壊兵器等の不拡散体制を強化するために、国際社会が取り組むべき課題と方策が、包括的に提示されています。我が国としても、今後、他のG8諸国と共に、行動計画の具体化に取り組んでいくと共に、他国への支援や働きかけを通じて、国際的な不拡散体制の強化に向けて、最大限の努力を払っていく考えです。

 軍縮・不拡散の促進には、特に若い世代に対する教育が重要です。そのために我が国は、軍縮・不拡散教育を促進するべく様々な取り組みを行っています。例えば、1983年以降、国連による軍縮フェローシッププログラムの一環として、毎年若手外交官が、広島・長崎を訪問しています。昨年は、世界中から30名の若手外交官がプログラムに参加しましたが、広島・長崎での被爆者との意見交換などを通じて、それぞれが軍縮・不拡散にかける決意を新たに致しました。軍縮フェローシップの参加者の中には、軍縮外交の一線で活躍している外交官もおり、我が国としては、今後もこうした取り組みを継続していく考えです。

 さらに、国際的な軍縮・不拡散の現状等にについて、事実関係を正確に把握することは、こうした問題を建設的な形で議論するために不可欠です。そのため、外務省は、「日本の軍縮・不拡散外交」という資料を作成し、軍縮・不拡散問題への政府の対応や国際的な議論の流れを紹介しています。これも軍縮・不拡散教育の促進に貢献するものと自覚しています。

 今回の札幌会議の関連事業としても、昨年に引き続き、現役の先生方と軍縮・不拡散専門家と意見交換を行う軍縮教育セミナーが開催される予定です。長期的な平和は、紛争の原因と平和的解決方法に関する深い知識を共有することによってのみ確保されるという理念に基づき、今後も軍縮・不拡散教育の促進に取り組んでいく考えです。 

 以上、わが国の軍縮・不拡散分野に対する考え方、取り組みについてお話しして参りました。最後に改めて、国連軍縮札幌会議で、皆様の活発な議論により、世界平和に向けた道筋が示されることを期待しています。

 どうもありがとうございました。


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