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松宮大臣政務官演説
第60回国連人権委員会ハイレベル・セグメント
松宮大臣政務官ステートメント 議長、人権高等弁務官代行、ご列席の皆様、 まず最初に、先週マドリードで発生した卑劣なテロ行為に対する我が国の強い非難を表明するとともに、犠牲者及びご家族の方々への深甚なる弔意と同情の念を表したいと思います。 我が国政府を代表して、この第60回人権委員会でスピーチを行うことは、私の喜びとするところです。まず、マイク・スミス豪大使が議長に選出されたことを心よりお喜び申し上げます。我々は、貴議長と共に、今次人権委員会を成功に導いていくため協力していきたいと思います。 昨年は恐らく、人権高等弁務官事務所にとって史上最も不幸かつ困難な時期であったと思います。私は、この機会に、イラクで亡くなったセルジオ・ヴィエイラ・デ・メロ前高等弁務官及び他の国連職員の方々に対し、改めてお悔やみを申し上げたいと思います。我々は、人権の闘士、親愛なる友人を失いましたが、身の危険にも揺らぐことなかった彼の決意と、人道の理想をめざし止むことのなかった彼の献身が忘れられることはないでしょう。 この難しいときにあって、人権高等弁務官事務所を率いてこられた、ベルトランド・ラムチャラン人権高等弁務官代行の業績に、我々は敬意を表します。 我が国は、ルイーズ・アルブール新人権高等弁務官の指名を歓迎します。我が国は、同弁務官が率いられる人権高等弁務官事務所との協力を期待します。 議長、 ここで我が国の人権政策を申し述べたいと思います。我々は、全ての人権と基本的自由は、普遍的価値を有し、老若男女を問わず、世界中のすべての人に等しく保障されるべきと考えます。人権の実現は、国際社会の責務です。このことは、ウィーン宣言・行動計画にある、「国家の一義的責任」を否定するものではありません。そのことはいかなる国家といえども逃れることはできません。しかし、国際社会は、人々が苦しんでいるのに無関心ではいられません。もしも国家が人権保障の義務を果たすことができないならば、国際社会はそれに立ち向かわなければなりません。人権委員会は、ここで、鍵となる役割を果たします。我々は、共通の懸念に立ち向かうべきです。そうでなければ、人権委員会はその存在意義を失うことになりましょう。 ウィーン宣言は、国家的地域的特殊性と普遍性の相互作用を指摘しています。我々の今日の課題は、特殊性を尊重しつつ、普遍的価値を育んでいくことです。この目的のため、我が国は、対話を重視しています。人権状況改善の努力を行っている国に対しては、非難ではなく奨励していくというのが我が国の基本的立場であります。対話を通じて、我々はお互いを理解し、困難を乗り越えることができます。これまでの歳月、絶え間ない対話を通じ、多くの人権条約や文書が作成され国際社会に規範を示してきました。このプロセスは続けられ、これら規範に実効性が与えられるよう努力していくべきです。それは、人権委員会の重要な役割を支える、人権の普遍性を確固たるものとするでしょう。 グローバリゼーションは、普遍的価値を有する人権に新たな側面を加え、過去理解されていたよりもよりダイナミックなものとなってきています。グローバリゼーションは、我々の政策優先度にも影響を与えています。テロや感染症などの国境を越える脅威は、“国家の安全保障”の概念からの脱却を必要としています。我が外務大臣が昨年9月の国連総会演説で述べたとおり、21世紀においては、我々は、この世界が直面する危険や脅威には、軍事的・政治的手段のみでは対処していくことができません。我々の対応は、詳細かつ着実で、社会、人道、人権、経済復興などあらゆる問題の側面に対応するよう考えられたものでなければなりません。更に、人間一人ひとりがその潜在力を発揮することができるような社会環境を作り出していくため、我々は人権、民主主義、グッドガバナンスを保障するために努力していかなければなりません。 この実現のため、我が国は「平和の定着と人間中心の国造り」を外交・国際協力の一つの柱においており、様々な分野で積極的に貢献しています。個人一人一人は、尊厳ある人生を全うすべきであり、こうした「人間の安全保障」を実現するために、生きる力をつけ、コミュニティーの強靱性を高めるために、様々な具体的支援を国際的に展開しています。我が国は、ODAなどの外交手段を通じ、国連、各国、NGOと共に、人間の安全保障を推進していきます。この努力の一つの例は、昨年秋に東京にて開催されたアフリカ開発に関するTICADIIIです。また、国造りの基礎となる、災害に強い国造り、地域作りを推進するため、我が国の提案を受け、国連は防災世界会議を来年1月に神戸で開催することを決定しました。我が国はその成功に向け積極的に協力していきます。 議長、 我が国にとって重要事項であるいくつかの点につき申し述べます。 我が国は、社会のあらゆる分野で男女が等しく参加する男女共同参画社会は、人々の個性を発揮しその潜在力を最大にする機会を与えるという意味から、人間の安全保障を推進する上で不可欠な要素であると考えます。男女共同参画社会は、男女双方の益に資するものです。我が国自身の努力に加え、我が国は、国際的に、女性の地位向上と女性に対する暴力撤廃のため、行動してきています。紛争予防、紛争管理及び紛争後の平和構築のための様々な案件において、我が国は国連、国際機関、各国及びNGOと共に女性のエンパワーメントを重視していきます。 我が国はまた、障害者を差別から守り、等しく人権を享受できることが求められていることを認識しています。我が国は引き続き、障害者権利条約アドホック委員会への議論に積極的に参加していきます。 議長、 昨年、人権委員会は初めて北朝鮮の人権状況決議を採択しました。決議は、特に、北朝鮮に対し、外国人の拉致に関する問題を解決するよう求めており、日本政府も問題解決に向けた働きかけを行ってきておりますが、未だに問題解決がなされていません。こうした拉致は人間の尊厳、人権及び基本的自由の重大かつ明白な侵害であります。北朝鮮がこれまで関係国際機関との協力に、前向きに対処してこなかったことにつき、改めて遺憾の意を表します。我が国は、北朝鮮に対し、拉致被害者が、ご家族と離ればなれになっている現在の非人道的状況を一刻も早く解消し、残りの被害者についても十分な真相究明を踏まえて、拉致問題を早急に解決することを求めます。またこの関連で、強制的失踪作業部会及び人権高等弁務官事務所に全面的に協力することを強く求めます。 議長、ご列席の皆様、 我々の前には課題が山積していることは明らかです。今日のグローバルな諸課題は、人権の保護・促進という我々の課題を非常に複雑なものとしています。我々は、その使命を果たすため、手元のあらゆる資源を動員する必要があります。開かれた対話と、人間の安全保障の推進の絶え間ない努力によってのみ、我々は共通の目標に達することができます。我が国は、その一員として、国連、各国及びそのパートナーと共に、人権のための努力に協力していく決意です。私は、それ以外の道はないと信じます。 ご静聴ありがとうございました。 |
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