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演説

小野寺外務大臣政務官演説

国際刑事裁判所(ICC)に関する日EUセミナーにおける小野寺外務大臣政務官冒頭挨拶
(16年12月3日午後 三田会議所)


平成16年12月3日


 本日、欧州連合(EU)と共催し、国際刑事裁判所に関するセミナーが開催され、これだけ多くの方のご出席を得られたことを大変喜ばしく思います。セミナーの冒頭にあたり、一言ご挨拶申し上げます。

 国際刑事裁判所、「ICC」は、様々な意味において、画期的かつ野心的な国際機関です。旧ユーゴ、あるいはルワンダでの人道的な惨劇に対処すべく、国連の下で国際刑事裁判所が設けられましたが、これらはあくまでも臨時のものとして設置されました。これに対し、ICCは、条約を設立の根拠とした、はじめての常設の国際刑事裁判所です。
 我が国は、1998年のローマ会議の当時から、ICCの設立を一貫して支持し、その実現に向けて努力してきました。ローマ会議において我が国は、見解の異なる国の立場を橋渡しすべく、交渉の最終局面では、各国の合意の成立を促すために、管轄権の行使を一定期間猶予するとのいわゆる日本提案を行い、ICCに関するローマ規程の採択に少なからぬ貢献をしました。
 ICCが、その活動を実施する上では、締約国に対し様々な協力を求めることになり、ICCはその法的な基盤や、活動の方法においても斬新な点が少なくありません。ICCが今後どのように中立性を維持し、また実効的な活動を行い、さらに普遍的な支持を得ていくことができるかにつき、非常に高い関心と期待が集まっています。
 ICCは最近、コンゴ民主共和国及びウガンダにおける二つの事態について捜査を開始する旨発表しました。この捜査の進展、あるいは他の地域での捜査の可能性についても世界が注目しています。我が国は、現在ローマ規程の締結につき鋭検討を進めておりますが、国民に対し、ICCが今後広く国際社会全体の期待に適切に応えていけるかどうか十分に説明をしていく必要があります。こうした中で、EUの協力を得て、今回のセミナーを開催することができたことは、時宜に適ったものと考えております。
 また、我が国は、憲法にも謳われているとおり、自らが締結する国際約束を誠実に遵守することを約束しています。したがって、ローマ規程を締結するにあたっては、条約上の義務を十分に実施できるようにしなければなりません。現在政府部内では、外務省、法務省をはじめとする関係省庁が、その検討を鋭意行っているところです。検討に時間がかかっていると感じられる方もいらっしゃるかとは思いますが、日本は自国が結んだ国際的な約束や公約をしっかり守ることを極めて重視しており、ICCに関するこうした検討の進め方も、我が国が、この重要な国際機関につき、真剣に取り組んでいることの証左であるとご理解いただければと思います。

 今回のセミナーには、欧州各国からICCに関する政策の立案、あるいはローマ規程の国内での実施に関し直接携わっている関係者の参加を得ています。また、ICCからは検察局の幹部職員であるフェルナンデス・デ・グルメンディ官房長が出席されています。ICCから関係者が訪日されるのは、2002年のローマ規程発効以降はじめてのことです。今回はこうした方々から、ICCの現状と課題、そして将来的な展望につき、存分にお話し頂ければと願っています。
 また、日本国内からも、かねてからこの問題に高い関心を有していらっしゃる遠山清彦議員、犬塚直史議員の両議員、また国際法の観点から研究を深めている専門家の方々をお招きすることができました。EU、ICCそして国内の関係者を交えまして、様々な観点からICCにつき御議論頂けるものと期待しています。

 本日の会合は大変な盛況で、申込者が定員を上回ったと聞いています。このことは、我が国の国内でもICCにつき関心が高まりつつあることの現れではないかと感じています。本日のセミナーにおいて、この重要な問題につき、是非とも活発な議論が行われ、我が国におけるICC、ひいては国際社会における法秩序のあり方につき、さらに関心が高まることを期待しつつ、ご挨拶とさせて頂きたいと思います。


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