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演説
阿部外務副大臣演説

ESCAP/60回上海総会
首席代表阿部外務副大臣演説


平成16年4月26日

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李肇星議長閣下、キム事務局長閣下、代表各位並びにご列席の皆様

 私は、日本国政府及び日本国民を代表して、李肇星・外交部長が議長としての大役を果たされることに心からの祝意を表明します。

 上海は、1947年、ESCAPの前身であるECAFEが第1回総会を開催した記念すべき地であり、再び上海で総会を開催することを心よりお慶び申し上げます。また、今次総会の場を提供された中国政府、上海市政府及びすべての関係者の皆様並びに中国国民の温かいおもてなしに、深甚なる感謝の意を表明します。

 議長、
 まずはじめに、現在、世界が直面している最も複雑かつ困難な課題であるイラク情勢にふれたいと思います。イラクに新国家を建設することは、平和を願う世界各国の共通の希望であります。イラク復興のためには多くの課題がありますが、まずは、6月末の統治権限の移譲及びその後の選挙の実施など今後の政治プロセスを着実に進めなければいけません。そのためには、各派の幅広い合意を形成し、また、国連の十分な関与を確保することが必要と考えます。卑劣な暴力に屈することなく、イラクの復興支援に積極的に取り組むという我が国の基本方針は揺らぎません。5名の邦人人質は17日までに解放されましたが、全ての人質の早期の解放を実現するとともに、国連を含む国際社会が一丸となってイラクによるイラク人のための国家再建に力を尽くしてまいりましょう。

議長、

 我が国の経済につきましては、昨年の実質成長率が2%台後半となるなど、着実な回復を続けております。これは、我が国が「改革なくして成長なし」の理念の下、構造改革の取組を進めたことの成果であると共に、中国を含めたアジア全域が、アジア経済危機を乗り越えて、相互依存を深め、更に経済拡大していく新たな段階に達したことの兆しと考えております。

 現在、アジア太平洋地域において、包括的経済連携を含め様々な地域協力が進展し、貿易、投資、人の交流等あらゆる面での相互依存が深まりつつあります。これは、経済の発展、地域の安定にとり大変好ましいことと考えます。

 グローバル化が進展し、世界規模での相互依存が深まる一方で、国内紛争の国際化、テロや人身取引、不正薬物、HIV/AIDS・結核・マラリアなどの3大感染症など、人々をおびやかす脅威が多様化、深刻化しています。こうした問題は「貧困問題」と密接な関係を有しています。これらの問題の抜本的な解決を図るためには、地域レベルでも貧困削減に取組むことが急務です。

 我が国は、この新たな課題を克服するためには、国連が掲げたミレニアム開発目標の達成に向け、全ての関係者が一致して協力することが極めて重要と考えます。ミレニアム開発目標をアジア太平洋地域において具現化するために、ESCAPが果たすべき役割は大変大きいと考えます。

 特に、ESCAPが、優先事業を「貧困削減」、「グローバリゼーション対応」、「社会問題対策」の3つに絞り、域内経済の再活性化のために尽力していることは、グローバル化の進展に伴う問題の解決にも大きく資するものと高く評価しています。

 このような観点から、今次総会において、我が国は、ESCAPが比較優位を有する分野を優先して、限られた資源の中で最大限の効果を挙げ得るプロジェクトが実施されることを期待し、「ESCAPによる技術協力決議案」を提出しました。皆様方のご理解並びにご支持を得られれば幸いです。

 また、我が国は、グローバル時代における課題に挑戦すべく様々な取組を行っています。例えば、2000年に発表した沖縄感染症対策イニシアティブ、2002年からの世界エイズ・結核・マラリア対策基金の設立と貢献、2003年の第3回世界水フォーラムの開催などです。その他、日本・ESCAP協力基金を通じ、アジアハイウェイ・プロジェクト、クリーンな環境のための北九州イニシアティブ、障害者の権利に関するびわこミレニアム行動計画等を支援してきました。今後ともESCAPが実施するプロジェクトを支援していきたいと考えます。

 グローバル化時代では、先に述べた通り人々をおびやかす脅威が多様化・深刻化しております。これらに対応するためには、国境を守るという従来の国家安全保障のみの考えでは人々は守れません。国家の安全保障を相互補完するために、我が国は、人間一人一人の保護・能力強化により、人づくり、社会づくりを通じた国づくりを進める「人間の安全保障」の考え方を重視し、これを国際社会において推進しています。我が国は、この理念を実現するため、国連に累積額約2億2,700万米ドルの「人間の安全保障基金」を拠出するなど、既に具体的なプロジェクトを実施しています。ESCAPを通じた支援も通じて、今後とも、このアジア太平洋地域において、人間の安全保障が実現するよう尽力していきます。

 議長、

 アジアハイウェイプロジェクトにつきましては、1959年、ECAFEにおいて初めて提唱されて以来、大変長い年月が経過しました。幾多の困難を乗り越え、本日、アジアハイウェイ道路網政府間協定の署名式を迎えることができたことは、これまで本プロジェクトに対し積極的に貢献してきた我が国としても誠によろこばしいものと考えます。

 アジアハイウェイプロジェクトは、東京を起点にアジアにおける重要な道路を結ぶ壮大なプロジェクトであり、現代版「シルクロード」と呼んでも過言ではありません。本協定の成立は、運輸・交通のみならず、貿易・観光などの面でもメンバー国に裨益するところが大きいことから、本協定の促進を図るために、今次総会に「アジアハイウェイ道路網政府間協定決議案」を提出しました。皆様方が本協定の重要性を十分にご理解頂き、一カ国でも多くの国が本協定を締結されることを切に願っています。

 最後になりますが、今次総会が、今後のアジア太平洋地域の一層の発展に寄与することを心から祈念いたします。ご静聴有り難うございました。



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