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演説
逢沢外務副大臣演説

豪・インドネシア共催テロ対策閣僚会議における逢沢外務副大臣スピーチ


平成16年2月5日

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 2月4~5日、インドネシア・バリ島にて豪・インドネシア共催テロ対策閣僚会議が開催され、我が国よりは、逢沢外務副大臣及び漆間警察庁次長が出席しました。会議において、逢沢副大臣よりなされたスピーチは以下のとおりです。

(和文)

【冒頭】

 まずはじめに、議長をつとめられている、アレクサンダー・ダウナー豪外務大臣、ハッサン・ウィラユダ外務大臣に対し、地域のテロ対策の政治的意思の強化のため、本会議開催のイニシアチブを取られたことに心から感謝の意を表したいと思います。バリ島における爆弾テロ事件においては我が国国民も2名亡くなりましたが、昨日、私は事件跡地(グラウンド・ゼロ)を訪問し、献花致しました。この機会を借りて、改めて、日本政府及び日本国民を代表して、おぞましいテロ攻撃によって命を失ったすべての国の犠牲者及びそのご家族の皆様に対し改めて哀悼の意を表します。

【テロ情勢】

 国際社会におけるテロ・ネットワークによるテロの脅威は依然として深刻です。最近では昨年のジャカルタ、サウジアラビア、トルコでのテロに加え、イラク国内では爆弾テロ等が連日発生しており我が国の外交官2名がテロと見られる攻撃で犠牲になっています。我が国としては、如何なる理由をもってしてもテロを正当化することはできず、断じて容認できません。
 これまでのスピーカーも述べられたように、東南アジアにおいてはジュマ・イスラミーヤ(JI)は今後とも大規模なテロを実行する能力を有しており、依然として高い脅威をもたらしています。JIは、その幹部の多くが、アフガニスタンでの軍事訓練等に参加するなど、アル・カーイダとも関係を有すると考えられます。アル・カーイダやJIは、イラク情勢を利用して、資金収集活動やリクルートを活発化する危険があり、この地域においてもテロに対する警戒を強化する必要があります。

【テロ対策の優先分野と我が国のテロ対策協力】

 我が国と東南アジア諸国は政治・経済的に緊密な関係を有しており、この地域のテロ情勢に強い関心を有しています。昨年12月に東京で行われた日・ASEAN特別首脳会議でも日ASEAN行動計画の採択という形で合意されたとおり、我が国として東南アジア各国のテロ対策の努力に最大限の協力を行って参ります。この地域のテロ対策のためには、以下の取り組みが特に重要であると考えます。
 第一に、法執行機関の能力向上と捜査・情報面の更なる協力強化です。東南アジア地域では、テロリストの拘束等で一定の成果は上がっており、各国政府の努力を我が国としても評価しています。他方、依然として逃亡中のテロ組織メンバーが多数存在するなど、更なるテロ組織の実態解明とメンバーの拘束が必要です。このため、我が国は、各国警察の能力向上が長期的にはテロ対策にも資すると考えており、今後とも、インドネシア警察改革支援プログラム、フィリピン警察への指紋自動識別システム等に関する協力等各国警察に対する協力を推進して参ります。
 第二に、テロリストの国境を越えた移動の抑止及びテロの手段の自由な移動の阻止が重要です。この観点から出入国管理の強化、海上パトロール等の強化が必要です。このために我が国は、出入国管理や偽変造文書対策セミナーを実施し、更にインドネシアのジャカルタ、バリ等7空港、ジャカルタ、スラバヤ等の3湾港に対し、人・貨物等の保安検査等のための機材の供与を検討しています。また、海上警備能力の強化のため、専門家派遣、留学生の受け入れ、研修、セミナーの実施を行っている他、ハードウェアの供与の可能性を含め、更なる協力を検討しています。
 第三に、テロリストの居場所がどこであるかにかかわらず、その訴追を確保することが重要です。この観点から、テロリストの引渡・訴追の義務を含むテロ防止関連12条約の早期締結が重要であります。同条約を未締結の国々においては、その早期締結に向け、ここに参集する大臣による政治レベルのイニシアチブを期待します。この会議の成果として、参加閣僚がテロ防止関連条約の早期締結に向けた力強いコミットメントを表明することを提案します。テロ防止関連条約の締結を促進するため、我が国は、昨年、東京において、テロ防止関連条約締結促進セミナーを開催しましたが、今後とも要請に応じ、専門的知見を提供していきたいと考えます。
 以上申し上げたような各種セミナーを含め、毎年約250名を受け入れ、キャパシティ・ビルディング支援に取り組んできていますが、今後も努力を継続して参ります。

【テロ対策における地域、国際協力】

 また、こうした国境を越えて活動するテロ組織によるテロを防止するためには、二国間の協力に加え、地域協力、国際協力を推進していくことが重要です。アジア太平洋地域においても、様々な国際的な枠組みにおいてテロ対策を進めていますが、わが国も積極的な貢献を行って参ります。
 APECにおいては、域内の経済活動の円滑化と安全を確保しつつ、テロ対策が図られています。昨年のAPEC首脳会議で合意され、アジア開発銀行に設置されたテロ対策基金に、我が国としても積極的に協力します。
 また、ARFを政治安全保障面での地域協力の枠組みとして更に発展させていくことが重要です。この観点から、昨年8月に発足したテロ対策を扱う枠組みを活用して、テロ対策、法執行面での協力をARFで更に取り組んでいくことが重要です。
 また、地域のテロ対策のフォーカル・ポイントとして、マレーシアの東南アジア反テロ地域センターを活用することが重要です。我が国としても、我が国の行っているキャパシティ・ビルディング支援のうち可能なプログラムについては、同センターと連携して実施し、東南アジアのテロ対処能力の向上に貢献していきたいと考えています。
 この機会を利用して、北朝鮮の問題について取り上げさせて頂きます。北朝鮮による日本人拉致問題は、日本国民の生命身体の安全と我が国の主権に関わる重大な治安問題であり、我が国としては、これまで繰り返し求めてきたこの問題に関する政府間協議に北朝鮮側が早期に応じることを引き続き求めていきます。この問題の解決には国際社会の理解と協力が不可欠であり、御参席各国の理解と協力を引き続き期待します。

【まとめ】

 最後に、ここバリ島において、我々が改めて、テロを断固として非難し、テロとの闘いにおける団結を再確認することは意義深いものであると考えます。今後、2日間の議論が有意義なものとなることを願って私の発言を終わらせて頂きます。


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