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土屋外務大臣政務官演説

人間の安全保障シンポジウム
-国際社会が様々な脅威に直面する時代におけるその役割-
土屋政務官挨拶

(英語版はこちら)

平成15年2月25日 
於:赤坂プリンスホテル「五色の間」


 緒方貞子、アマルティア・セン人間の安全保障委員会両共同議長、パネリストの皆様、ご列席の皆様、
 「人間の安全保障国際シンポジウム」への皆様のご参加を歓迎致しますとともに、開会にあたり一言ご挨拶申し上げます。

 ご列席の皆様、

 全ての人が、人間らしく生まれ、人間らしく生き、人間らしく亡くなる。この一見当たり前のことが、実は難しい世界に私たちは生きています。

 ここにお集まりの皆様には、すでに「人間の安全保障」という言葉は聞き慣れた言葉かもしれません。逆に、「国家の安全保障」はわかるけれど、「人間の安全保障」は初めて聞くという方もいらっしゃるかもしれません。

 現在、世界では情報通信技術の飛躍的発達とも相俟って、人間活動、経済活動のグローバル化が急速に進展しています。グローバル化は世界経済の成長や生活水準の向上といった恩恵をもたらす一方、貧富の差の拡大や、環境破壊、紛争、地雷、難民問題、国際組織犯罪や感染症といった地球規模の問題が深刻さを増しています。

 人は誰もが豊かな可能性を持つ尊い存在ですが、個人の生存や生活が脅かされ、その尊厳が冒されるとき、自らの可能性や能力を発揮することは著しく困難となります。それは個人のみならず、社会全体の未来をも損なうものです。それぞれの個人が持つ豊かな可能性を実現するために、人間が人間らしく生きられるような社会をつくること、それが人間の安全保障の目指すものです。

 例えば、私が先月訪問したウズベキスタン、キルギスタンでは、私自身、人間の安全保障を確保することの重要性を実感しました。かつてソ連邦の構成国であった両国は、冷戦の終焉とソ連崩壊の中、1991年に独立を果たしました。しかし、人々は民主主義国家の樹立に大きな期待を寄せたものの、政治経済システムの大きな変革の中で国家の機能が十分に働かず、経済は低迷し社会は混乱しました。このような状況下では、国家の安全保障の考え方だけでは人々を守ることはできません。そこでは、コミュニティーの役割と一人ひとりの視点を重視する人間の安全保障が重要となってくるのです。

 私はウズベキスタンで、恵まれない家庭の子ども達や孤児達に職業訓練を行うセンターを訪問し、厳しい状況におかれながらも、希望を失うことなく笑顔で訓練に励む子ども達の姿に心を動かされました。彼らの内に秘められた無限の可能性が花開くよう、教育の機会を与え、安心して生活できる環境を整備する必要性を痛感しました。これが人々の心の中に希望を生むとともに、その希望を花咲かせることにつながるのです。これがまさに、人間の安全保障を確保するということであり、国際社会、そして私たち自身がその実現のために力をかす責務があると考えます。

 ご列席の皆様、

 我が国は、人間の安全保障を外交の重要な視点の一つとして位置づけ、緒方、セン両共同議長をはじめとする人間の安全保障委員会の活動を支援してきました。このたび、二年間の活動の集大成である最終報告書が完成したと伺っています。人間の安全保障概念を深め、国際社会の具体的な行動指針となる提言をまとめるという、困難かつ貴重な仕事を完遂した委員の皆様の多大なる努力に心から敬意を表したいと思います。我が国は、人間の安全保障の実現にあたって、今後とも最大限努力していく考えです。

 人間の安全保障という視点は、今後ますます重要性を増していくと考えます。本日のシンポジウムが、ここにお集まりの皆様の人間の安全保障に対する理解を深める一助となることを心から期待しております。最後に、シンポジウムへの参加を快く引き受けて下さいました各パネリスト、司会者の皆様に再度御礼を申し上げ、私の挨拶とさせていただきます。


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