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演説
矢野外務副大臣演説

第5回新生・復興民主主義国際会議における矢野外務副大臣ステートメント

平成15年9月12日


ナンバリン・エンフバヤル首相閣下、
ロブサンギーン・エルデネチョローン外務大臣閣下、
ご列席の皆様、

 モンゴル政府の主催による第5回新生・復興民主主義国際会議において日本政府を代表してステートメントを行う機会を得ましたことを大変光栄に存じます。

 モンゴル政府は民主主義に依拠し、民主化に向けて着実に歩を進めることによって、ここに参集した他の新生・復興民主主義国にとって、良い民主化の一つの道筋を示しています。我が国もまた、モンゴルの民主化・市場経済化に向け一貫して協力してきました。その意味で、この会議がモンゴル政府の主催により、このモンゴルの地において行われることには大きな意味があり、我が国としても喜びとするところであります。

ご列席の皆様、

 民主化を進める上で、指導者による決断は重要な要素です。しかし、それだけでは十分ではありません。民主主義の重要な柱として透明性、責任、参加の3つの要素が挙げられますが、民主主義を支えるのは一人一人の個人であり、このいずれもエンパワー(人材育成)された個人なくしては成立しないものです。この観点から、モンゴルにおいて民主主義国際会議に先立って初めて国際市民社会会合が開催されたことを評価します。

 日本では古来から、「国づくりは人づくりから始まる」と言われております。民主主義が機能するためには、個人の能力を高め、エンパワー(人材育成)された市民及び市民社会を育てることが必要です。このため、我が国は、自国においては数世紀にわたって、教育に重点的に投資して来ました。また今日では、民主主義の担い手となる市民を育成するために教育プロジェクトを支援して来ています。その例としては、UNICEF(国連児童基金)を通じて成功裏に実施し300万人の子どもが学業に復帰したアフガニスタンにおける「バック・トゥー・スクール キャンペーン」があります。もちろん、日本の歩んで来た道は完璧ではなく、物を重視したあまり、心の豊かさといった大切なものを忘れてしまった面もあります。日本の成功も失敗も参考にしていただければと思います。

 エンパワー(人材育成)された市民が政治過程に参加することを可能にするのが「法の支配」です。法の支配を実現し強化することがきわめて重要であるとの考え方から、我が国は、例えばカンボディアやベトナムにおける法整備や司法分野の人材育成支援を実施しており、同様の支援をモンゴルに対しても行いました。

 このように指導者と市民の良き協調関係があって初めて、民主主義に基づく良き統治が可能となります。この良き統治の重要性について、我が国はこれまで様々な機会に表明してきていますが、これは民主化のプロセスを考える上で極めて重要な課題です。

 私は、先週、南ア、モザンビーク、タンザニア及びスーダンを10日間で訪問して来ました。日本は9月29日から10月1日の間、UNDPをはじめとする国連機関及びアフリカのためのグローバル連合(GCA)との共催により、「第3回アフリカ開発会議(通称「TICAD III」)」を開催します。この場においても、アフリカの発展を進めるために必要な要因としての、民主的なガバナンスの重要性について議論される予定です。

ご列席の皆様、

 人間一人一人が参加する民主主義の重要性については今日の世界では幅広く認識されていますが、民主主義を世界で促進していく上で、人間一人一人の尊厳を脅かす深刻な問題が障害となっていることは否定できません。紛争、犯罪、文盲、伝染病、ジェンダーの平等の否定、居住の不足、飢餓といった問題です。こうした問題は、尊厳ある生を否定し、人々の生活を単なる生存のレベルに押し下げるものです。こうした問題に適切に対処するために、我が国は「人間の安全保障」の考え方を提唱しました。これは生存や生活や尊厳に対する脅威から個人を守り(プロテクション)、個人の潜在的能力を引き出す(エンパワメント)という人間個人に着目した考え方です。この考え方に基づいて、我が国は「人間の安全保障」を通じて数々のプロジェクトを実施しています。その例として、国連ESCAP(アジア太平洋経済社会委員会)が東南アジア諸国で実施している「人間の尊厳イニシャティブ」の下での人的資源開発のためのコミュニティベースの社会的弱者対策への支援が挙げられます。

ご列席の皆様、

 最後に民主主義に対する重大な挑戦であるテロに一言言及させて頂きます。先般、セルジオ・ヴィエイラ・デ・メロ国連事務総長特別代表をはじめとする国連関係者が、バグダッドの国連本部に対する攻撃の犠牲となられたことに対して、我々は強い憤りを感じるとともに、これを断固として非難するものです。この卑劣なテロ行為は如何なる理由をもってしても正当化できるものではありません。私たちは、民主主義国の代表として、テロに対して断固として反対し、テロと闘う決意を世界に対して示さなければなりません。

ご列席の皆様、

 この会合において参加者が民主主義への強固なコミットを新たにし、新生・復興民主主義国が民主化を着実に進めていくことを切に希望いたします。

 ご静聴ありがとうございました。


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