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演説
水野外務大臣政務官演説

第五回国連軍縮京都会議における水野政務官挨拶

平成14年8月7日

ご列席の皆様、

 本日、第五回国連軍縮京都会議の開催にあたり、日本政府を代表して御挨拶する機会を得ましたことを、大変光栄に存じます。会議開催のために尽力された国連軍縮局及び国連アジア太平洋平和・軍縮センターの関係者の方々、開催地として準備に奔走された京都市及び国立京都国際会館の皆様に対し、心から敬意を表します。また、世界各国からこの地を訪問された参加者の皆様を暖かく歓迎致したいと思います。

 我が国における国連軍縮会議の開催は、1989年の京都会議を皮切りに、今回で14回目を数えるに至り、これまで多くの成果を上げてまいりました。この伝統ある会議が、我が国の伝統文化を体現した平和都市でもあるこの京都の地で過去五回開催されたことは、誠に意義深いものがあります。今回の会議には、世界各国の政府関係者や専門家の方々が多数参加し、昨年の米国における同時多発テロ事件以降の新たな状況の中で、軍縮・不拡散の現状と展望について活発な討論を行うとうかがっています。この三日間が、京都市民の皆様、更には日本国民にとって、軍縮・不拡散と平和の問題をより身近なものとして捉えるための良き機会となることを心より願うものであります。

 昨年の米国同時多発テロ事件を契機に、核兵器や生物・化学兵器などといった大量破壊兵器がテロリストの手に渡る危険性について、世界の平和と安全に対する大きな脅威として強く認識されるようになりました。我が国としても、テロとの闘いを自らの問題として捉え、この闘いに向けて国際的な協力を進めていきたいと考えます。こうした考え方に基づき、小泉総理は、他のG8首脳とともに、本年のカナナスキス・サミットにおいて「大量破壊兵器及び物質の拡散に対するG8グローバル・パートナーシップ」を立ち上げました。これは、ロシア等における化学兵器の廃棄、退役原子力潜水艦の解体などを含むイニシアティブであり、テロ対策のほかにも、安全保障や環境保全の観点からも有意義であると考えており、我が国としても、かかる趣旨に鑑み当面2億ドル余の貢献を表明致しました。

 大量破壊兵器である生物・化学兵器は、「貧者の核兵器」とも呼ばれ、テロリストによる入手、使用の可能性が高いと考えられています。1995年の地下鉄サリン事件の例もあり、我が国は化学兵器の恐ろしさを十分認識しております。生物兵器禁止条約(BWC)及び化学兵器禁止条約(CWC)は、生物・化学兵器それぞれの使用・開発・生産等を包括的に禁止しています。昨年米国で起きた炭そ菌事件は、生物兵器を用いたテロが現実の脅威であることを改めて強く我々に示しました。我が国としては、BWC体制の強化のための外交努力を今後も続けてまいります。

 テロと軍縮の問題は、大量破壊兵器の問題だけではありません。世界各地で頻発する民族対立や国内紛争では、小型武器が安易に用いられ、毎年数多くの犠牲者を生み出しております。特に、犯罪組織やテロ組織はあらゆるタイプの小型武器を使用しているといわれております。小型武器は、被害者・加害者の双方を傷つけ、「人間の安全保障」を脅かす「事実上の大量破壊兵器」となっております。昨年7月国連小型武器会議において採択された「行動計画」を受けて、我が国は、フォローアップ会合を、本年1月本邦で開催致しました。我が国は、今後も引き続き、小型武器回収プロジェクトの推進をはじめ、この問題に積極的に取り組んでまいります。また、地雷の問題は、紛争終結後の復興と開発にとって大きな障害となっております。我が国は、本年1月のアフガニスタン復興会議で約19,022万ドルの地雷対策支援を表明しました。軍縮の具体的な懸案に立ち、目に見える成果を上げられるよう「行動する軍縮」の考え方の一環として、小型武器や地雷問題の解決に全力で取り組んでおります。

 また、テロ組織等に兵器やその関連物資が渡らないよう、我が国は、国際的な輸出管理協調における協力をはじめ、国際的な拡散防止体制の強化にも一層努めてまいります。大量破壊兵器を運搬可能な弾道ミサイルの拡散も、世界と地域の平和と安全に対する脅威です。我が国はこのような弾道ミサイルの不拡散のための国際的ルールづくりに貢献すべく、本年3月には、ミサイル不拡散セミナーを開催し、私も出席してASEAN等のアジア諸国に対しミサイル不拡散の重要性につき呼びかけました。

 その他の軍縮問題についても、引き続き取り組んでいく必要があります。例えば、核軍縮は引き続き軍縮における最も重要な課題の一つであります。我が国は、唯一の被爆国として、核兵器のない平和で安全な世界の一日も早い実現を目指して、94年以来毎年、核軍縮に関する決議案を国連総会に提出してきました。昨年も、一昨年と同じく全面的核廃絶に至るまでの具体的な道筋を示した決議案「核兵器の全面的廃絶への道程」を提出し、国際社会から圧倒的支持を得たところです。

 また、我が国は、包括的核実験禁止条約(CTBT)を、核兵器のない平和で安全な世界を実現するための現実的かつ具体的措置として、極めて重要な意義を有するものと重視しています。昨年11月ニューヨークで開催された第二回CTBT発効促進会議は、世界117ヶ国が参加し、関係各国に対する早期署名・批准の要請等を盛り込んだ最終宣言が全会一致で採択されました。我が国は、同会議に向けた「調整国」として積極的に意見調整に努めました。今後ともCTBTの早期発効に向け、積極的な外交努力を行ってまいります。

 国際的核不拡散体制の礎である核兵器不拡散条約(NPT)については、本年4月、ニューヨークで第一回準備委員会が開催され、2005年運用検討会議に向けた準備プロセスが円滑に立ち上がりました。我が国は、準備委員会に先立つ2月にセミナーを開催し、私自身も参加するなかで、現在のNPTを巡る状況について論点整理を行いました。また、準備委員会に作業文書を提出する等の貢献を行ないました。今後とも新たな「運用検討プロセス」において、積極的な貢献を果たしてまいります。
 国際原子力機関(IAEA)の保障措置を強化する努力も同じく重要です。我が国は、昨年6月に追加議定書普遍化のための国際会議をIAEAと共催し、続いて、南アメリカ、中央アジア、アフリカにおけるセミナーの開催を支援してまいりました。さらに、本年内にこれら各地域のセミナーの締めくくりとして、グローバルな会議を本邦で開催することを計画中です。
 兵器用核分裂性物質の生産禁止を目的とするカットオフ条約についても、交渉開始のための努力を続けております。そのためにはジュネーブの軍縮会議を再活性化することが、不可欠であり、今回会議の出席者としてこの会場におられる猪口邦子軍縮代表部大使が、我が国を代表して、現在、打開に向けて日夜取り組んでいます。また、我が国は、この軍縮会議などにおいて、対人地雷禁止条約、いわゆるオタワ条約の参加国拡大のための外交努力を続けてまいります。

 以上、我が国の軍縮・不拡散分野における最近の主な取組につきまして申し述べました。最後に改めて、テロの脅威による新たな情勢のなかで開催されるこの国連軍縮京都会議で、皆様の活発な議論により、世界の平和と安全の実現に向けた智慧が結集されることを期待してやみません。
 どうも有り難うございました。



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