![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() | ||||||||||
|
トップページ > 報道・広報 > 演説 |
![]() |
植竹副大臣演説
開発資金国際会議における植竹繁雄外務副大臣演説
平成14年3月22日 議長、御列席の皆様本日、ここに日本政府の代表として、開発問題についてお話をさせて頂くことは私の喜びであります。この会議の成功に向けた、主催国メキシコ政府及び国民の方々の御尽力に敬意を表したく存じます。 さて、私は本日、世界最大の援助国の代表としてお話をさせて頂くことにいささかの感慨を覚えるものであります。思えば、第二次世界大戦が終了したとき、私は中学生でしたが、当時の日本は、食糧すら外国からの援助に頼るような状況でした。 日本がそのような状態から立ち直り、今の繁栄を実現したのは、日本人一人ひとりが、平和への誓いを新たにし、よりよい生活を求めて努力をしたからです。一人ひとりが未来を信じ、努力することこそ、国造りの最大の原動力です。開発を自らの手で行うこと、すなわち「オーナーシップ」が、日本の開発を支えました。 もちろん、日本は、諸外国や国際機関からの支援、つまり世界中が手に手を取り合って協力し、支えあっていくという「パートナーシップ」にも大きく後押しされました。我が国が世界に誇る新幹線は、1964年の東京オリンピックの際に世界銀行の融資により実現しました。また、日本が、1990年に至るまで融資を返済していたことは、余り知られていないことかもしれません。 このように、日本は、自らの経験から、開発のためには「オーナーシップ」と「パートナーシップ」がいかに重要かを知っています。その後、豊かになった日本は、この考え方に基づいて、開発援助を進めて参りました。その考え方は正しかったと今でも確信しております。 例えば、我々のアジアの友人達は、オーナーシップを大いに発揮し、発展を遂げてきました。今日、東南アジアの友人達が、援助を受ける側から援助を行う側に進みつつあるのを見て、日本は意を強くしています。 また、日本は、1993年に初めて「アフリカ開発に関する東京国際会議」、いわゆるTICAD Iを開催し、アフリカの開発に向けたオーナーシップとそれを支える国際社会のパートナーシップの強化に成果を挙げてまいりました。明年後半に、TICAD IIIを開催し、国際社会のアフリカ開発に向けた一層の取り組みを促していきたいと思います。 議長、 21世紀を迎えた今、グローバル化の進展によって、貧富の格差は益々拡大する傾向にあります。また、感染症や環境問題が深刻化し、開発問題をめぐる情勢は大きく変化しています。我々は、途上国における貧困の撲滅と、持続可能な成長が、「良い統治」を通じて実現されることが最も重要なことであると認識しています。同時に、先進国や途上国の政府のみならず、国際機関、NGO、民間企業など、あらゆる関係者が参加し取り組みを更に強化することが今、求められています。そのために、私は、以下の三つの要素を強調したいと思います。 まず第一に、貧困を削減し、開発を進めるには確固たる目標が必要だということです。 国際社会は、目に見える目標を掲げ、その達成に向けて、種々の取組みの成果が最大となるよう努力することが重要です。2000年9月の国連ミレニアム・サミットで確認された「ミレニアム開発目標」は、まさにそのような目標です。 これらの目標達成に向けた取組みにおいては、日本は特に、教育、保健、環境といった分野が重要であると考えています。例えば、保健の分野においては、2000年の九州・沖縄サミットにおいて、議長国として感染症対策の重要性を強調すると共に、5年間で30億ドルに上る支援策を表明し、着実に成果をあげています。これに加えて、その後の議論の流れで世界エイズ・結核・マラリア対策基金が創設されることになりましたが、そこでも日本は、中心的役割を果たして来ています。 第二に、国造りは、持続可能な成長なしには達成されません。そのためには、多様な資金源を活用することが重要です。 言うまでもなく、途上国の開発を進める上で政府開発援助は重要な役割を果たします。そのため、日本としても、現在までに累計で2000億ドルの援助を行っています。また、この10年間、国際社会の援助総額が減っている中、日本はその政府開発援助を49%増加させ、2000年には135億ドルに上っています。 その一方で、途上国への政府開発援助総額の三倍もの規模に達している民間資金もまた、開発に重要な役割を果たしていることを正しく認識しなければなりません。また、貿易も重要であり、この点日本の途上国からの輸入額は、毎年2000億ドルの規模に上っています。開発を進めるに当っては、国内の資金、投資を含む海外からの資金、貿易、援助などを上手に組み合わせる必要があります。先に合意がなされておりますこの会議の宣言文は、多様な資金源の活用について、適切なバランスを取っていると考えております。 第三に、人間を中心に据えるアプローチが大切だということです。 国造りの基礎は「人造り」です。開発の過程において途上国がオーナーシップを発揮するためには人造りが不可欠です。また、将来、途上国が援助を不要とする時代が到来しても、人が国家の最大の財産であることには変わりはありません。我々は、途上国の経済・社会開発に必要な人造りを強化していかなければなりません。貿易関連の能力開発についての支援は、その一例です。 同時に、深刻化しつつある貧困、環境問題、麻薬、感染症といった脅威から各個人を守り、一人ひとりの視点を重視する取組みを強化する「人間の安全保障」の考え方もますます重要となってきていると認識しております。 議長、 日本は、現在、経済的に困難な状況にありますが、これを打開するため、構造改革を進めています。この改革を断行し、日本の経済が活力を回復していく中で、引き続き日本は世界の開発問題の解決に向けて主導的な役割を果たしていく決意です。その上で、各国ともより緊密なパートナーシップを形作っていきたいと思います。 昨年9月の同時多発テロは、全世界の人々に、同じ地球で暮らし、同じ運命を共にしているとの意識を改めてもたらしました。ともに協力して諸課題に取り組もうではありませんか。 御清聴有難うございました。 |
副大臣 / 平成14年 / 目次 |
| ||||||||||
![]() |