外務省 English リンクページ よくある質問集 検索 サイトマップ
外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
トップページ 報道・広報 演説
演説
小島外務大臣政務官演説

2001年国連軍縮石川・金沢会議における小島政務官挨拶

平成13年8月28日

ご列席の皆様、

 本日、2001年国連軍縮石川・金沢会議の開催にあたり、日本政府を代表して御挨拶する機会を得ましたことを、大変光栄に存じます。会議開催のために尽力された国連軍縮局及び国連アジア太平洋平和・軍縮センターの関係者の方々、開催地として準備に奔走された石川県及び金沢市の皆様に対し、心から敬意を表したいと思います。また、世界各国からこの地を訪問された参加者の皆様に心より歓迎を申し上げます。

 我が国における国連軍縮会議の開催は、今回で13回目を数え、これまで多くの成果を上げて参りました。21世紀の最初の年に、この伝統ある会議が、我が国の伝統文化を色濃く伝える金沢の地で開催されることは、誠に意義深いものであります。今回の会議には、世界各国の政府関係者や専門家が多数参加し、軍縮・不拡散の現状と展望について活発な討論を行い、新たな世紀に世界の平和と安定を実現するためには、何をなすべきかについて議論を深めるとうかがっています。この4日間が、石川県民及び金沢市民の皆様、更には日本国民にとって、軍縮・不拡散と平和の問題をより身近なものとして捉えるための良き機会となることを心より願っているものでございます。

 新しい世紀が始まりました。しかし、前世紀に生み出され、56年前の夏、我が国の広島と長崎に筆舌に尽くしがたい苦難をもたらした核兵器は、残念なことに、前世紀の「負の遺産」として、新しい世紀に引き継がれてしまいました。核兵器や生物・化学兵器などの大量破壊兵器及びこれらの運搬手段である弾道ミサイルの国際的な拡散は、世界の平和と安全に大きな脅威をもたらしております。また、世界各地で頻発する武力紛争では、小型武器や対人地雷等により、日々、多くの人命が奪われております。これらの問題に対処する軍縮・不拡散のための国際的努力が粘り強く進められてはおりますが、現状は遅々たる歩みにとどまっております。

 このような中、我が国は、軍縮・不拡散の促進を外交政策の重要な柱のひとつとして位置づけ、「現実的かつ漸進的アプローチ」を基本として、真摯な外交努力を重ねて参りました。特に、核兵器については、唯一の被爆国として、核兵器のない世界の一日も早い実現を目指して、国際社会で一貫して積極的な役割を果たし、実質的な貢献を行って参りました。

 例えば、我が国は、94年以来、毎年、核軍縮に関する決議案を国連総会に提出してきましたが、昨年は、全面的核廃絶に至るまでの具体的な道筋を示した新たな核廃絶決議案「核兵器の全面的廃絶への道程」を提出致しました。

 我が国は、CTBTは、核兵器不拡散条約(NPT)を礎とする国際的核不拡散体制を支え、核兵器のない世界を実現するための現実的かつ具体的措置として、極めて重要な意義を有すると考え、早期発効に向けて、積極的な外交努力を行ってきました。例えば、99年に開催された第一回発効促進会議で議長国を務め、その後も、「調整国」として、その批准がCTBT発効のための要件となっている国々に対し、様々なレベルで早期批准の働きかけを行ってきました。小泉総理も明言されたとおり、我が国は、今後とも、このような外交努力を継続していく所存であり、特に、この9月、ニュー・ヨークで開催される予定の第二回発効促進会議の成功にむけて努力を傾注致して参ります。

 NPTについては、2005年に開催される次回運用検討会議に向けて、明年春から準備プロセスが始まります。我が国は、これに先駆けて、明年はじめにNPT運用検討プロセスの円滑な開始を目的としたワークショップを本邦で開催し、今後の議論のための有益な材料を提供する予定であります。
 その他、国際原子力機関(IAEA)については、我が国は、この6月、IAEA検証体制を強化するための追加議定書をアジア地域においてより広く受け入れてもらうことを目的としたシンポジウムを東京で開催を致しました。兵器用核分裂性物質の生産の禁止を目的とするカットオフ条約についても、交渉開始のための環境整備のためのワークショップを、この5月にジュネーブで主催を致しました。

 弾道ミサイルは、製造・保有を禁止する国際条約は存在しておらず、多角的な不拡散体制の構築に向けた国際社会の努力が重要であると考えております。現在、輸出管理の国際協調を行う枠組みである「ミサイル技術管理レジーム(MTCR)」を中心に、国際規範作りの取組が行われていますが、我が国は、そのような努力の一環として、この3月、弾道ミサイル拡散問題についてのアジア諸国との意見交換会合を本邦で開催したところでございます。

 世界各地で頻発する武力紛争では、小型武器が安易に用いられ、毎年50万人以上の犠牲者を生み出しております。児童兵の問題等もあり、小型武器は、被害者・加害者の双方を傷つけ、「人間の安全保障」を脅かす「事実上の大量破壊兵器」となっている現状でございます。
 先月、ニュー・ヨークで国連小型武器会議が開催され、小型武器の非合法取引のための措置、回収・破壊のための国際協力、会議のフォローアップ等を盛り込んだ最終文書が全会一致で採択をされました。これは、国際社会の今後の取組に向けた極めて重要な第一歩として、高く評価されるべきものでございます。この問題が提起されて以来、国際社会において一貫してイニシアティブを取ってきている我が国は、この会議でも積極的な役割を果たしましたが、これからも、小型武器回収プロジェクトの推進をはじめ、この問題に積極的に取り組んでいく所存であり、はじめの第一歩として、会議の成果を踏まえ、今後の取り組み方について議論するフォローアップ会合を、来年初頭を目処に我が国で開催する予定でございます。

 以上、我が国の軍縮・不拡散分野における最近の主な取組につきまして申し述べました。最後に改めて、新たな世紀のはじめの年に開催されるこの国連軍縮石川・金沢会議で、皆様の活発な議論により、21世紀の平和な世界の実現に向けた智慧が結集されることを期待してやみません。
 どうも有り難うございました。  


政務官 / 平成13年 / 目次


外務省案内 渡航関連情報 各国・地域情勢 外交政策 ODA
会談・訪問 報道・広報 キッズ外務省 資料・公開情報 各種手続き
外務省